携帯電話業界ブログ

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ドコモ、LTEで国際市場へ本格進出 試される国際企業の資格

2008-12-17 | LTE/4G/XGP



 携帯端末市場の縮小傾向に拍車がかかっており、機能の付加価値戦略が一段と重みを増しつつある。

 こうした中、NTTドコモは2010年に、「LTE」という超高速無線通信技術を導入する。携帯電話の画面上で目的地までの道を立体表示したり、話した言葉を自動的に外国語に翻訳してくれるようになる。

 技術の海外輸出も視野に入れるドコモにとって、LTEの開発は国際企業への脱皮に向けた重要な試金石になる。


●次世代サービスが可能に

 LTEは、現行の第3世代(3G)通信技術の進化形と位置づけられ、3.9Gとも呼ばれる。

 毎秒約200~300メガビットと、3G携帯の約100倍の速度で通信を行えるのが特徴。ドコモは2004年に「スーパー3G」という名称で開発を本格的に開始した。

 実は通信技術の開発で、ドコモには苦い経験がある。2000年代前半に3Gを開発した際、その開発ペースが早すぎたため国際市場で孤立。

 ドコモ仕様の端末を開発していた日本の携帯メーカーの国際競争力をそぐ要因になったといわれる。 そのためLTEでは(開発の)先頭集団に位置しつつ、世界的な開発競争をリードする方針を貫く。

 技術開発では「他社技術との互換性を確かめながら進める」考えで、海外の携帯電話事業者やメーカーなどと積極的に連携を図る計画。

 その先には、同じ通信技術を採用する海外企業への技術輸出や、端末の共同調達などが視野に入っている。


●他サービスとの差別化

 ただ、技術開発で国内外で優位に立つドコモが、LTEを通じてどこまで顧客を獲得できるかは不透明な部分も残る。

 ドコモがLTEを導入する10年に先立ち、09年中にはKDDIなどが出資するUQコミュニケーションズとウィルコムが、それぞれ高速無線通信「ワイマックス」と「次世代PHS」サービスを立ち上げる。

 いずれも毎秒数十メガビット程度と速度ではLTEに劣るが、すでに両社とも自社技術を活用する法人顧客の本格的な囲い込みに入った。

 後発のLTEが、これらのサービスと差別化を図ることは決して容易ではない。


●導入計画に課題

 また、普及に向け、海外企業と今後どれだけ歩調を合わせられるかも明確ではない。

 海外の主要携帯電話会社の大半が採用を計画するLTEだが、多額のインフラ投資が必要になるだけに、導入計画がうまくいかない可能性もある。

 欧州では、日本と異なる電波の周波数帯でLTEを利用する計画が持ち上がっており、携帯端末の互換性の確保などで、ドコモも大幅な支出の拡大や、技術開発計画の見直しを迫られる可能性がある。

 ドコモは、海外への技術輸出などを有利に進めるために、アジアを中心とした海外企業への出資を強化している。

 当面は既存の3G技術の輸出が焦点となるが、中長期的にはLTE分野の技術輸出にシフトするとみられる。国内市場が飽和するなか、国際市場への本格進出を図れるか。

 LTEは、国際企業としてのドコモの力が試されることになる。





【記事引用】 「フジサンケイ ビジネスアイ/2008年12月17日(水)/17面


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