携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

【覇権争奪 新ケータイ戦争③】 電子端末、ケータイの領域を浸食 顧客争奪戦激化

2010-03-28 | 市場動向/世界



 「魔術のように革命的な製品を紹介することから、2010年が始まる」。

 米サンフランシスコで1月27日に開かれた、アップルの新製品発表会。カリスマ経営者として呼び声の高いスティーブ・ジョブズCEOは、自信に満ちた表情で新製品「iPad(アイパッド)」を掲げた。

 B5判サイズの雑誌とほぼ同じ大きさ。今、この電子端末は世界中のIT関係者から熱い視線を浴びている。

 インターネットや動画閲覧はもちろん、アイパッドは、デジタル情報として配信される電子書籍にも対応できる。データ通信の利用を拡大させたい企業にとって、まさにうってつけの製品。


●携帯電話の領域を侵食

 「iPhone」をヒットさせたアップルだけに、世界中の通信会社が秋波を送ってやまない。発表後の1月29日、NTTドコモの山田隆持社長も「大変、強い興味を持っている」と積極的な発言をした1人。

 だが、携帯電話メーカーにとって気が気ではない面もある。通話機能がついていないことを除けば、アイパッドの機能はスマートフォンに似ているため、携帯電話の領域を侵食する懸念もある。

 携帯電話の領域を脅かしつつあるのは、アイパッドだけではない。

 アイパッドの発表に先立つ1月上旬、米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。

 米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが巨漢を揺るがせながら見せた小さな電子端末は、同社製の基本ソフト(OS)を載せた「タブレット型」と呼ばれるパソコンだった。

 キーボードは付いていない。スマートフォンのように画面を直接さわって入力するタッチパネルで、持ち運びのしやすさから屋外での利用を見込んでいる。

 「個人のユーザーを引きつけたい」。スティーブ・バルマーCEOは笑顔で語った。CESでは、米コンピューター大手のデル、中国のレノボもタブレットPCを発表するなど、にわかに活気づいている。

 MM総研の中村成希アナリストは「屋外のネット環境が整備され、携帯型機器のニーズは高まってきた。タブレットPCは、携帯電話とパソコンの中間というスマートフォンに近いニーズの開拓が見込める」と話す。

 外資系PCメーカー幹部も、「携帯電話に絶対的な優位性はない」と挑発する。


●顧客奪い合い激化

 これに対し、携帯電話メーカーも表計算のようにこれまでパソコンが担った機能をスマートフォンに搭載するなど、領空侵犯に余念がない。

 昨年末、ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル」はコミック配信サービスを日本でスタートしており、さらなる「越境組」の登場も見込まれる。

 電子端末同士の垣根が低くなったことで、顧客を奪いあう競争が激化するのは必至の情勢。電子端末の主力製品として本命視されるアイパッドは米国で4月3日、日本でも4月下旬にお目見えする。

 携帯型の電子端末市場にどのようなインパクトと変化をもたらすか。携帯電話の歴史で「2010年4月」は、重要な1カ月として語り継がれるかもしれない。





【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2010年3月27日(土)」


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