NTTドコモ、富士通など日本の通信関連企業は韓国サムスン電子と次世代携帯電話技術を使ったスマートフォン向け中核半導体を共同開発する。
2012年にも合弁会社を設立する方向で最終調整に入った。開発するのは米社が高いシェアを占める通信制御用の半導体。日韓連合で半導体開発の主導権を確保、世界市場の開拓を狙う。
●次世代端末で主導権
通信制御半導体は、無線や通信信号を制御する携帯電話の頭脳となる部品。
同半導体市場では現行第3世代携帯電話の基礎技術を持つ米クアルコムが約4割、スマートフォンでは8割前後のシェアを占めるとされる。
このままでは次世代携帯亀話でもクアルコムヘの依存度が高まり、柔軟な端末開発に支障をきたす恐れがあるとみて日韓各社は連合に踏み切る。
新会社は本社を日本に置き、資本金は300億円程度とみられる。ドコモが過半を出資。サムスン、富士通のほか、NEC、パナソニック・モバイルコミュニケーションズが残りを出資する方向で調整している。
新会社は半導体開発の開発・設計・販促に特化し、実際の製造は外部委託する見通し。
次世代携帯電話技術ではドコモも開発を主導。ドコモの通信ノウハウとサムスンの量産化技術、富士通の設計技術などを組み合わせ半導体を開発。
新会社に出資する各社が自社製スマートフォンに組み込むほか、世界の携帯電話メーカーにも販売する。今後、世界市場をけん引するとみられる中国市場をにらみ、中国の通信会社に採用を働き掛ける。
サムスンは、スマートフォン主力機種「ギャラクシー」シリーズの次期モデルに搭載することも検討する。
●端末開発の迅速化
スマートフォンは11年の世界出荷が約4億7千万台とされ、15年には約11億台と携帯電話の世界出荷の約半分を占める見通し。日韓連合で成長するスマートフォン向けの半導体需要を開拓する。
サムスンはスマートフォンのパネルに使う有機ELで世界首位。半導体でも世界2位だが、通信制御の技術が手薄でクアルコムに大きく引き離されていたため、ドコモと組む。
ドコモは自ら半導体開発に関わり調達コストを低減、端末開発の迅速化などにつなげる。
日韓企業の連合は電子部品ではソニーがサムスンとテレビ向けの液晶パネル生産で韓国に合弁会社を設けているが、半導体分野でも本格的な合弁事業が動き出す。
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年9月13日(火)/1面」