携帯電話業界ブログ

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韓国・台湾のIT大手、スマートフォンの対応で明暗 HTC躍進、苦戦のLG電子

2011-04-12 | 端末メーカー/世界



 韓国と台湾のIT(情報技術)大手の明暗がスマートフォンなど新型端末への対応ぶりで分かれている。

 韓国サムスン電子と台湾・宏達国際電子(HTC)がスマートフォンで欧米大手を脅かす一方、韓国LG電子や台湾・宏碁(エイサー)は業績が悪化。

 新型端末の普及は、IT機器の製造受託サービスを含むアジアの電子産業全体の勢力図を変えようとしている。


●開発遅れで連続赤字

 韓国ではLG電子が苦戦している。2010年10~12月期は2四半期連続の営業赤字だった。世界シェア3位の携帯電話端末で、スマートフォンへの急速な需要シフトを読めなかったためだ。

 1月に対抗機種を発売したが、それだけで済まない構造問題も明白になった。

 かねて「サムスン電子の後追い」と指摘されてきた経営手法。製品開発の遅れの遠因となり、競合メーカーの新機種投入サイクルの速さについて行けなくなった。

 この反省から、10年10月に創業家から経営トップに就いた具本俊(グ・ボンジュン)副会長は各分野で首位奪取への戦略を明確に掲げる。スマートフォンでの失敗を引き金に、紳士的とされる社風が変わり始めた。

 携帯世界2位のサムスン電子も09年11月、米アッブルの「iPhone」の韓国市場登場に「頭を殴られるような衝撃を受けた」(幹部)。

 主力機種「ギャラクシーS」は、画質が高い有機ELパネルを搭載する独自性で必死に追いすがる。米調査会社ガートナーによると、10年のスマートフォンの世界シェアは4位(8.6%)。

 多機能携帯端末(タブレット)でも、米調査会社IDCによれば、10年10月発売の「ギャラクシータブ」の世界シェアは、10~12月期で17.4%に達した。

 「iPad(アイパッド)」(72.9%)に唯一、対抗しうる存在。


●ネットブック戦略狂う

 台湾ではエイサー、華碩電脳(アスース)のパソコン大手2社が2010年10~12月期に前年同期比で減収だった。

 両社は低価格パソコン「ネットブック」で急成長したが、顧客層が重なるスマートフォンやタブレットの登場で筋書きが狂った。アスースは、07年10月、世界に先駆けネットブックを発売。

 エイサーが一時、世界シェア首位の米HPに迫ったのも、ネットブックの貢献が大きい。エイサーは3月末、この路線を主導したジャンフランコ・ランチ総経理兼最高経営責任者(CEO)が辞任した。

 両社は4月に入り、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したタブレットを発売。王振堂エイサー董事長は3月末、社員向けメールで「スマートフォン、タブレットを含めた携帯端末で世界トップ級になる」と宣言した。

 一方、台湾の勝ち組がスマートフォン専業のHTC。

 アンドロイド搭載製品が米国で人気を呼び、米ガートナーによれば、10年の世界シェアは5位(8.3%)だった。今年4~6月期にはタブレットにも参入する。

 HTCは1997年、「PDA」と当時呼んだ携帯情報端末の受託生産を主力に設立され、07年6月に初めて自社ブランド製品を発売した。

 09年1~3月期には受託生産から撤退した。世界初のアンドロイド搭載スマートフォンを08年9月、米通信大手のTモバイルUSAを通じて発売して飛躍。

 株式時価総額でフィンランドのノキアやカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)と肩を並べる。




【記事引用】 「日本経済新聞/2011年4月11日(月)/12面」


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