パリ4区にあるサン・ルイ島からセーヌ川に架かるトゥルネル橋を南側に渡りつつ右側を眺めると、シテ島に建つノートルダム大聖堂が望める。二、三日、雨も多く、どんよりとした天気が続いていたが、この時間(午後2時前)、雲の隙間から差し込む光で美しい姿を見ることができる。ちなみに左岸からシテ島に架かるのがアルシュヴェシェ橋で、クルーズ船が向かう右岸側で、シテ島とサン・ルイ島を結ぶ橋がサン・ルイ橋となる。
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トゥルネル橋を渡るとパリ5区になり、最初の交差点の東南角に建つビルが「トゥール ダルジャン(La Tour d'argent)パリ本店」である。トゥール ダルジャンは、誰もが知るフランス料理の最高級レストランで、日本でも紀尾井町のホテルニューオータニに支店がある。これからそのパリ本店でランチを食べることにしている。
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パリ本店は、今から400年以上前の1582年、宗教内戦が続き混迷するフランスを統治していたアンリ3世(1551~1589)の時代にこの地に開店した。その後も洗練された料理は評判を呼び、フランス歴代の王を始め、各国の王侯貴族、世界中の著名人などセレブたちに利用され、現在もフランス料理界を始め、最高級のフレンチ・レストランとして君臨している。特に鴨料理の評価が高く、19世紀後半からは、料理に使う鴨の全てに番号を付け、現在もロワール地方(ヴァンデ県シャラン)で特別に飼育された最高級の鴨肉を使用している。
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この日案内されたテーブル席は、トゥルネル橋側のセーヌ川とサン・ルイ島が望める窓際席で、テーブルには、クリスマスシーズンらしく、水差しに赤い薔薇と、赤い蝶ネクタイをしたクマの絵柄のビスケットが添えられていた。
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ところで、トゥール ダルジャンのパリ本店では、料理の素晴らしさに加え、その料理に合う完璧なワインを数多く取り揃えていることで知られている。その数、何と50万本と言われ世界一と評されている。ビルの地階には、それらの膨大な数のワインを収めた巨大なカーブがあり、お客からのどんな注文にも即座に答えることができる様に準備されているとのこと。ちなみに、こちらがワインリストで、約400ページにも及ぶ。。
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料理の注文は、前菜三品、メイン三品、デザート三品から一品づつチョイスするランチセットメニュー(65ユーロ)からお願いすることにした。
コースは、最初に、カナッペ、小さなキッシュなどアミューズグールから始まる。
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飲み物は、スパークリング水(7ユーロ)を頼み、白ワインはランチ用のサジェスチョン6種から、プイィ フュメ シャトー ド トラシー2008 (1/2)(54ユーロ)を選んだ。
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アミューズは、小さな鴨肉が入ったもの。
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前菜(その1)は、赤ワインソースで味付けられたエスカルゴで、グリーンレンティルと泡ソースを添えた逸品。
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前菜(その2)は、リヨン名物のグラタン料理で、クネル・ド・ブロシェと言い、川魚のすり身を楕円形に固め、ソースをかけてオーブンで焼いたもの。身はふわふわした食感。
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次の赤ワインは、やはりランチ用のサジェスチョン4種の中から、サントネー クロ・ド・ マルト ルージュ2007 (1/2)(49ユーロ)を選んだ。
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メイン(その1)は、ホタテのローストで、クランベリーと緑のキャベツを付け合わせとし、ソース ペリグーと言う牛のだし汁のフォンドヴォーにマディラ酒を加え、トリュフのみじん切りを加えて煮たソースをかけたもの。ホタテの表面のカリカリした焼き具合と肉厚で弾力感のある食感と絡み合って抜群である。
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メイン(その2)は、鴨肉で、鴨のローストと青リンゴとベトラーヴ(赤カブのような野菜)。フルーティで甘いソースと鴨との相性が良く、想像より軽やかな味わいで大変上品。
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デザート(その1)は、季節のアイスクリームとシャーベット
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デザート(その2)は、オレンジマーマレードとダークチョコレートのパレット
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最後に、カフェ(10ユーロ)を頼み、ミニャルディーズ(こちらはチョコレート)を頂き終了した。料理は、どれも、見た目も光沢があり美しく輝き、味も大変洗練されており美味しかった。また、ワインもサジェスチョンがあるのは良かった。ところで、もう一種類の(前菜)コンソメスタイルのボルシチ、(メイン)子牛のほほ肉・ペリグーソースとポテトピューレの煮込み、(デザート)クランベリー風味の栗とバニラであったが、どんな感じだったのだろう。興味は尽きない。。
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振り返ると、ランチ客は皆いなくなり、既に他のテーブル席は掃除が終わっていた。少し慌てて退出するそぶりを見せたところ、スタッフからゆっくりしていて大丈夫と言われる。壁には、古きパリの町並みを描いた絵地図が飾られている。
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支払いの際の明細書を挟むビルフォルダーと一緒にスタッフが持参した皿には、「トゥール ダルジャンからの眺め 1582年」と書かれたパリ本店がオープンした当時のセーヌ川とノートルダム大聖堂の風景が描かれている。。
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店内はスタッフのサービスも良く窓から望むセーヌ川とパリの素敵な景色を見ながら美味しい食事を楽しむことができた。また、400年にわたってパリの歴史の変遷を見つめてきたレストランで食事したかと思うと大変感慨深くもあった。
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(2011.12.24)
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トゥルネル橋を渡るとパリ5区になり、最初の交差点の東南角に建つビルが「トゥール ダルジャン(La Tour d'argent)パリ本店」である。トゥール ダルジャンは、誰もが知るフランス料理の最高級レストランで、日本でも紀尾井町のホテルニューオータニに支店がある。これからそのパリ本店でランチを食べることにしている。
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パリ本店は、今から400年以上前の1582年、宗教内戦が続き混迷するフランスを統治していたアンリ3世(1551~1589)の時代にこの地に開店した。その後も洗練された料理は評判を呼び、フランス歴代の王を始め、各国の王侯貴族、世界中の著名人などセレブたちに利用され、現在もフランス料理界を始め、最高級のフレンチ・レストランとして君臨している。特に鴨料理の評価が高く、19世紀後半からは、料理に使う鴨の全てに番号を付け、現在もロワール地方(ヴァンデ県シャラン)で特別に飼育された最高級の鴨肉を使用している。
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この日案内されたテーブル席は、トゥルネル橋側のセーヌ川とサン・ルイ島が望める窓際席で、テーブルには、クリスマスシーズンらしく、水差しに赤い薔薇と、赤い蝶ネクタイをしたクマの絵柄のビスケットが添えられていた。
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ところで、トゥール ダルジャンのパリ本店では、料理の素晴らしさに加え、その料理に合う完璧なワインを数多く取り揃えていることで知られている。その数、何と50万本と言われ世界一と評されている。ビルの地階には、それらの膨大な数のワインを収めた巨大なカーブがあり、お客からのどんな注文にも即座に答えることができる様に準備されているとのこと。ちなみに、こちらがワインリストで、約400ページにも及ぶ。。
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料理の注文は、前菜三品、メイン三品、デザート三品から一品づつチョイスするランチセットメニュー(65ユーロ)からお願いすることにした。
コースは、最初に、カナッペ、小さなキッシュなどアミューズグールから始まる。
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飲み物は、スパークリング水(7ユーロ)を頼み、白ワインはランチ用のサジェスチョン6種から、プイィ フュメ シャトー ド トラシー2008 (1/2)(54ユーロ)を選んだ。
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アミューズは、小さな鴨肉が入ったもの。
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前菜(その1)は、赤ワインソースで味付けられたエスカルゴで、グリーンレンティルと泡ソースを添えた逸品。
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前菜(その2)は、リヨン名物のグラタン料理で、クネル・ド・ブロシェと言い、川魚のすり身を楕円形に固め、ソースをかけてオーブンで焼いたもの。身はふわふわした食感。
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次の赤ワインは、やはりランチ用のサジェスチョン4種の中から、サントネー クロ・ド・ マルト ルージュ2007 (1/2)(49ユーロ)を選んだ。
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メイン(その1)は、ホタテのローストで、クランベリーと緑のキャベツを付け合わせとし、ソース ペリグーと言う牛のだし汁のフォンドヴォーにマディラ酒を加え、トリュフのみじん切りを加えて煮たソースをかけたもの。ホタテの表面のカリカリした焼き具合と肉厚で弾力感のある食感と絡み合って抜群である。
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メイン(その2)は、鴨肉で、鴨のローストと青リンゴとベトラーヴ(赤カブのような野菜)。フルーティで甘いソースと鴨との相性が良く、想像より軽やかな味わいで大変上品。
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デザート(その1)は、季節のアイスクリームとシャーベット
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デザート(その2)は、オレンジマーマレードとダークチョコレートのパレット
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最後に、カフェ(10ユーロ)を頼み、ミニャルディーズ(こちらはチョコレート)を頂き終了した。料理は、どれも、見た目も光沢があり美しく輝き、味も大変洗練されており美味しかった。また、ワインもサジェスチョンがあるのは良かった。ところで、もう一種類の(前菜)コンソメスタイルのボルシチ、(メイン)子牛のほほ肉・ペリグーソースとポテトピューレの煮込み、(デザート)クランベリー風味の栗とバニラであったが、どんな感じだったのだろう。興味は尽きない。。
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振り返ると、ランチ客は皆いなくなり、既に他のテーブル席は掃除が終わっていた。少し慌てて退出するそぶりを見せたところ、スタッフからゆっくりしていて大丈夫と言われる。壁には、古きパリの町並みを描いた絵地図が飾られている。
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支払いの際の明細書を挟むビルフォルダーと一緒にスタッフが持参した皿には、「トゥール ダルジャンからの眺め 1582年」と書かれたパリ本店がオープンした当時のセーヌ川とノートルダム大聖堂の風景が描かれている。。
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店内はスタッフのサービスも良く窓から望むセーヌ川とパリの素敵な景色を見ながら美味しい食事を楽しむことができた。また、400年にわたってパリの歴史の変遷を見つめてきたレストランで食事したかと思うと大変感慨深くもあった。
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(2011.12.24)
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