カズさんの旅たび

 ~歴史、文化、芸術、美食紀行。。

インドへの旅(その6)スジャータ~前正覚山

2013-03-13 | インド(仏跡)(その1)
このブッダ・ガヤーのマハーボディー寺院南側にある蓮池をムチャリンダ池と言うが、ここから南に2、3キロメートル下ったナイランジャラー河(尼連禅河)沿いに、ムチャリンダと名付けられた村がある。
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現地では、そこにある池こそがオリジナルの蓮池(ムチャリンダ池)であると言われている。ぜひとも見学したいと思い、マハーボディー寺院の見学後に車で向かった。狭い道路の両側には住宅が立ち並んでいる。
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数人の地元民に道を尋ねながら進んでいくと、畑の畔道が現れ左手に樹木で覆いかぶさった池が現れた。周りには、牛が数頭座り込んでいた。
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周りはゴミだらけである。しかし、この乾季にも関わらず、池の水はなみなみとしている。マハーボディー寺院の蓮池とこちらの池のどちらが、本物であるかはもちろん誰もわからない。ただし、ここの池には建造物がまったくないため、ゴミを取り除くと仏陀が生きていた時代の風景に近いのは間違いない。
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その後、スジャータ村に向かった。スジャータ村は、ブッダ・ガヤーから東に直線距離にして2キロメートル弱のところに位置している。車で行く場合は、マハーボディー寺院から一旦500メートルほど北に行き、右折してナイランジャラー河に架かる橋を渡る。
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橋を渡ったところが、スジャータ村になる。スジャータ村とブッダ・ガヤーとの間に流れるナイランジャラー河は、現在乾季に当たるため雑草で覆われている。ところが雨季になると、一面大河になり、長雨の際は洪水に見舞われ、この橋も利用できなくなる。
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スジャータ村のさらに東側には、マハーナディー河が流れており、北に5キロメートルほどいったところで、2本の河は合流して1つの河(パルク河)になり、ガヤー方面に流れていく。

スジャータとは、シッダールタ(仏陀)が悟りを得る直前に乳がゆを供養しシッダールタの命を救ったという娘である。ここにスジャータ寺がある。
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真新しい祠があり、中に仏陀像と乳がゆを差し出すスジャータ像が祀られている。申し訳ないがあまり有難さを感じにくい像である。
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右側に菩提樹の木があり回り込むとそばに扉が付いた小さな祠がある。
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こちらの祠の中は、苦行により痩せ細った姿のシッダールタ像が祀られている。
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菩提樹の根元に祀られたストゥーパの浮彫は素晴らしい。多くの仏陀坐像が彫られている。
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祠のあるスジャータ寺の近くには白亜の寺院がある。
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周りには、子供たちが数人遊んでいる。寺を出ると、10ルビー欲しいとすごい勢いで近付いてくる。無視して車で立ち去るが、いつまでも車を追いかけてくる。なんとも心が痛くなる思いであった。
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スジャータ寺から車で5分ほど南東方面に下ったマハーナディー河沿いに、ウルヴェーラー村がある。ここには、苦行林があったと言われる。仏陀が6年間におよぶ苦行を実践した場所はここなのだろうか。現在は、ヒンドゥー教の小さな寺院があり、入口には仏陀の座像がある。
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何をするわけでもなく、住民が数人座っている。
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我々が近付くと、当然のように近付いてきて、しゃべりかけてくるが、全く無視をとおし、一通り見学して、数分で退散した。退散途中にも、女性数人が手を出しながら、布施を要求してきた。退散しながら、ヒンドゥー教をあらためて眺めると、周りは林で覆われており、苦行林の場所はここなのだという気になり来れてよかったと思った。
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ナイランジャラー河の方面を眺めると、数人がマハーボディー寺院の方角に歩いているのが見えた。乾季ならではの風景だ。
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その後、スジャータの徳をたたえて作られたというストゥーパに向かった。思ったより巨大なストゥーパである。ストゥーパの後方(北東方面)には、小さく山が見える。
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この山は、前正覚山(プラークボディー山)と言う。プラークとは(前)の意でボディーとは(さとり・正覚)を意味する。シッダールタは、苦行林で6年間に渡る修行を行ったが、悟りを開けずにいた。シッダールタは、この山で悟りを開こうと向かい、山中の石室で足を組んで座ったという。
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子供たちがストゥーパの上で遊んでいた。
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次に、北東方面に見える前正覚山に向かうことにした。ブッダ・ガヤーからは北東に直線距離で6キロメートルほどの距離に位置する。スジャータ村からは、東に流れるマハーナディー河を越えることになるが、直接の橋は架けられていないので、一旦、渡ったナイランジャラー河を再び渡り、ガヤー方面(北)に向けて進み、先の大橋を渡って行くことになる。ガヤー方面に車を走らせていると、ナイランジャラー河の向こうに再び前正覚山が見えてきた。
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前正覚山とは逆に左前方に山が見えてきた。こちらはガヤー・シーサー(象頭山)である。仏陀は、この山頂で火の献供を行っていた行者カーシャパ3兄弟とその弟子1,000人を前に、「燃えているのは、儀式の火ではなく、実は自らの欲望である。火の献供を実行したところで、自らを清めたり欲望を離れることができない」と説法を行った。
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マハーナディー河はパルク河に合流する。北上するとガヤー市が近づいてきた。時刻は13時半になった。交差点で右折したところでドライバーのヴィージェイが食事にしようと、車を停めたが屋台はハエだらけでまったく食欲がわかなかった。私はバナナで済ませ、その後パルク河を渡り前正覚山に向かった。
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途中、道路上に犬の死骸があった。まだはねられてそんなに時間がたっていないようだ。ハイウェイ上でも2度遭遇したので3匹目である。しばらく走ると「プラークボディーは右」との看板が見えてきた。
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路地を右折して進む。道路は舗装されていない悪路だ。しばらく進むとようやく舗装道路になり左手に前正覚山が見えてきた。
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2、3キロメートル進んだろうか。登山道が見えてきた。
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登山道は舗装されているので快適である。周りには、土産物を売る人や物乞いも多く座っている。以外に標高差は高くないのかあっというまに、山の中腹まで来た。目の前にチベットの寺院が現れた。
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右手に目をやると、巨大な岩が覆いかぶさっており、入口らしきものが見える。
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近づいてみる。この石室は留影窟(ドンゲシュワリー)と呼ばれている。前正覚山で悟りを開こうとシッダールタはこの石室で足を組んで座ったが、その時、浄居天が「ここは悟りを開くところではないので、苦行した所から遠くないピッパラ樹の下の金剛座で悟りを開くように」と勧めた。一方、石室内にいた竜は、立ち去ろうとしていたシッダールタを引き留めたが、シッダールタは竜の願いをかなえるために、自らの影を残して去ったという。
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中に入ってみると、洞窟内には、苦行像が祀られていた。右手にはヒンドゥー神と思しき像もあった。合掌、礼拝して退出した。
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山頂には、アショーカ王が建てたといわれる7つのストゥーパがあると聞いたので、上ろうと思い周りを見渡すが道がない。留影窟そばの地元民に聞くと7つではない、6つだと言い、木々が茂るけもの道を指差し、そこを上れという。指をさす方向には猿が数匹こちらを見つめていた。彼は案内が必要かと聞いてきたが、煩わしいので私は不要だと答えて、そのけもの道を上って行った。
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けもの道を上ると多い茂っていた木々はすぐになくなり、その後石ころだらけの崖となり道がよくわからなくなった。結局ロッククライミングのように、岩に手を添えて道なき道を上って行く。
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やがて、頂上が近いのか、広い尾根道が現れ、チベット旗がなびいていた。ストゥーパはどこにあるのか分からず探していると、目の前に3メートルほどの高さの小山があり一面草が多い茂っているのが見えた。
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小山に上って気が付いた。あちこちに小石が転がっていると思いきや、よく見ると、小石ではなくレンガのかけらであった。この小山はレンガが積まれたストゥーパだったのだ。
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ストゥーパ群はどこも崩壊著しく保存のための活動はなされていないようだ。巡礼者や観光客がここまで来ないことも理由の一つにあるのだろう。結局、ストゥーパは、5つ確認できたが、正確な数までは確認できなかった。
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前正覚山は、ブッダ・ガヤーから見る風景と、山頂からの風景とではまったく違う。山頂に立つとわかるのだが、この山は、北東方面から南西(ブッダ・ガヤー方面)方面へと延びる尾根になっている。この尾根は途切れながらも、これから向かう八大聖地の一つ、ラージギルの五山方面に続いている。
しばらく山頂からの景色に浸った後下山した。途中この崖のようなけもの道に牛が2頭歩いていた。約1時間の見学であった。
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ホテル近くに戻ったが、まだ16時だったので、昨日に引き続き、各国の寺院を見学することにした。17時から日本寺で座禅を組めると聞いたので向かう。
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読経をする僧侶は、若い女性であった。30分読経があり30分座禅する。参加者は5名だった。日本寺はメイン道路から離れているせいか、静かで心が落ち着いた。日本に戻った気分になった。
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18時に座禅は終わりホテルに戻った。その後は昨夜と同様にビールを飲んでターリーを食べて寝た。
(2012.11.20)

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