ブログ「かわやん」

森羅万象気の向くままに。

4・25の沖縄9万人集会を取材して

2010年04月28日 20時29分20秒 | Weblog
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 米軍普天間飛行場返還問題で県内移設に反対し国外・県外に求める沖縄県民大会が4月25日午後3時から読谷村運動広場で開かれ取材で参加した。集会最終で参加者が発表されたが、その数9万人(実行委員会発表)。24日の八重山郡民大会700人、宮古地区大会3000人を合わせて沖縄での大会は9万3700人を数えた。「県内移設はノー」を示した。
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県内移設反対の県民集会は昨年11月にも開かれたが、今回は初めて県議会各会派が超党派でのぞみ、県内全41市町村長全員が移設反対した文字通りの「島ぐるみ」の歴史的集会になった。最後まで出席をためらっていた仲井眞弘多知事は「県外移設、国外移設」とは具体的に述べなかったが、「政府は公約を守れ」と原稿なしで声を張り上げて述べた。集会では県内移設の断念を迫るとともに、国外・県外移設を求める大会決議と、日米地位協定の抜本的改定をはかり返還後の跡地利用促進を求める大会スローガンを採択した。

しかし朝に関西をたち沖縄に向かったが、正午すぎに那覇市近郊を出発したものの、アクセスとなった北谷から北行きの道路は混んで動かず。一時10キロの大渋滞になり、その列に巻き込まれて、会場には3時半を回っていた。大会に間合わなかった人も多数出たようで、26日の新聞報道では途中でかえった大型バスもあったという。
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世界一とも言われる危険な普天間飛行場返還を決めた1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)合意だ。それから実に13年経過した。SACO合意をどうみるかについては、当時雑誌の仕事で知花昌一さん(現読谷村議)にインタビューしたが、それから沖縄の負担軽減は1つもすすんでいない。現在辺野古移設の修正案が政府部内で検討される状況があるが、今回の「島ぐるみ」集会は「県内移設は不可能」との沖縄の民意を内外に強烈に示したといいえる。
沖縄県内41市町村長(代理2人)が出席した。檀上に並ぶ姿は壮観でもあった。普天間基地をかかえる伊佐洋一宜野湾市長は「鳩山首相は米国移設要求を」と述べ、稲嶺進名護市長は「子や孫に二度と苦難の歴史を歩ませてはならない」と訴え、基地の騒音被害を受ける普天間高校生二人は「平和な沖縄の未来を手にしたい」と力強くアピールした。
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本土で思っていた沖縄の状況とは違っていた。「10万近い人が参加するのだとうか」という心配をもっていた。というのは、教科書問題での11万5000人集会で、その日の新聞にはバスの無料券がついていおり、各自治体は有線放送などで住民に参加を呼びかけていた、その徹底が11万5000人集会に結びついた。今回はそうしたかたちではないので、「どうかなあ」と思ったのだが、いざ行くと、そこは「島ぐるみ」闘争そのものだった。



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300字コラム 新党誕生から見えてくるもの

2010年04月22日 19時32分56秒 | Weblog
 新党がどんどん誕生し、先輩格の「みんなの党」は余裕発言でいつもあらわれる。何しろ世論調査では公明を抜く支持率をあげているのだから。

 しかし考えてみたら、「自民はもめていても最後は分裂などしない。そこが強み」という評価が5年くらい前まであったが、もろくも崩れ去った。一方、反保守政党は分裂しない。社民は普天間基地問題で「ひょっとして連立離脱組が出て、袂を分つ人も」と危惧されたが、いまのところ大丈夫だ。

 既成政党はともかく、革新の側で新党が出ないものなのかーとも思う。ところがその兆しはない。むしろ既存の革新政党が猛接近する動きすらある。

 つまりこうだ。分裂する自民は余力があるのだ。革新の側こそ、とても
余力などないから、既存政党の歩み寄りがとりざたされるのだ。政治地図は保守の力量をまざまざと見せ付けているともいえる。

逆説、皮肉を言うのではなく、新党誕生で露呈している真実なのだ。
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300字コラム 産経の特ダネが連日続く

2010年04月20日 08時48分58秒 | Weblog
産経新聞が2日連続で一面で抜いた「辺野古沿岸部」「普天間基地現行」という普天間基地移設問題が、どうも中央政府では今最大の具体案になってきているようだ。しかしこれは沖縄の県内移設であり、負担軽減策の対極にある最悪のシナリオである。

 産経や読売は政府情報をよく抜く。とりわけ治安関連では治安当局がリークしたものだと読者がわかることがあるが、今回はリークではなく、完全な産経の特ダネ。大山鳴動して鼠一匹も出ずということか。「沖縄の負担軽減で日本国民は分ち合い」をと、鳩山首相は19日記者団に語ったが、そのヒューマニズムは賛辞を送る。しかし、もう一歩話しを進めてほしい。「海兵隊はいりません」と。本当に「海兵隊」はいるのか。

本当に朝鮮半島は火薬庫なのか。そうではない。米中は今後対立するのか。そうではない。東アジア情勢をしっかり検証して、普天間基地移設の王道を歩むべきだ。


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300字コラム 沖縄・読谷での4・25集会は最大のヤマ場

2010年04月19日 23時31分00秒 | Weblog
 4月25日に沖縄県読谷村で開かれる県民集会は普天間基地移設問題で最大の政治的ヤマ場となってきている。どれだけ参加者があつまり、県内移設に「ノー」を叫べるのか。5・15には普天間基地包囲の市民運動もあるが、その闘争に勝るとも劣らない。

 ただ自民党政権が20年近くできなかった移設問題で5月末で全て解決などできないことはわかりきっている。それを言わなくてもいいのに鳩山首相は「5月末には解決する」と断言するからよくない。大平元首相はいつも「あー、うー」と言っていただけで何を言っているのかわからなかった。それだけ駆け引きができたわけだが、鳩山さんの誠意はよくわかるが、政治的発言としてはどうかと思う。

 とにかく4月25日に読谷での集会は、最大の政治決戦であることは事実だろう。


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日曜新聞読書欄簡単レビュー

2010年04月18日 11時32分22秒 | Weblog
 文明批評は「野蛮」とラベリングされたマイナスの文明を先端の文明とよみがえらせることだ。その1つの成果は実松克義『アマゾン文明の研究 古代人はいかにして自然との共生をなし遂げたのか』(現代書館、3990円)―朝日―にあらわれている。アマゾン文明はアメリカ最古の文明の地であり、アンデス山地や太平洋岸地帯ではないことを証明する。これは1950年代にドナルド・ラスラップが唱えたもので、著者はその裏付けを本書でやりとげている。レヴィ=ストロースが『野生の思考』で見出した文明観を覆す。都市を形成し農業文明を発展させたアマゾン文明は遺跡を残さなかった。それは石を使う文明とは異なり、土を利用する自然との共生を進めた文明であったからだ。その末裔がいまアマゾンに住む人たちなのだ。ヤノマミ族を好戦的な「未開人」として描いたのは人類学者が捏造した報告であることにもふれている。文明史観は実証的研究により新たな視点が甦るものだ。評者は柄谷行人。

 文明批評というジャンルでは情報化時代のツイッターをどう見るかも現代では重要な視点を提供する。シェル・イスラエル『ビジネス・ツイッター』(日経BP社、1800円)―日経―ではビジネスとのかかわりを論じている。顧客サービスでの素早い対応で効果を上げているという報告など70もの実践報告が書かれている。

 文学関係では、これは買い求めたいと思わせたのが『源氏物語』研究に碩学西村亮の『源氏物語とその作者たち』(文春新書、809円)―毎日―だ。『源氏物語』の入門書であると同時に、最高の良質の「批評」でもあると評者渡辺保は書いている。コピー時代の産物ではない。1000年前の文学作品は、好みに応じて紫式部以外の書き手が書き入れをしていく。その結果、つじつま合わないところがでてくる。それを著者は証拠をあげて示す。さらに当時の権力者藤原道長の娘、中宮彰子に仕えた紫式部がたびたび遭った「被害」は、道長が作品を自分のものだと勝手にもっていく。失われた部分はつじつまが合わない。どこが合ないかを実証してみせる。そこで浮かび上がるのは紫式部が書いた部分がいかに文学的に、小説家として優れているかということなのだ。読者は知らず知らずのうちに『源氏物語』の世界に惹き込まれるというわけだ。「自由な空想をめぐらしながらもシッカリ実証している。実証の上に立つ空想は小説よりもはるかに面白い」と評者は書く。

 9日に他界した井上ひさし『井上ひさし全批評』(白水社、5800円)―毎日、日経―は、36年に及んだ選考という批評の井上の集大成。関わった賞の数は30をこえる。本書800ページに登場する作家は700人。その数驚異であるが、選考が最大の批評とみていた。「揺るぎない規範を自分の内に持ちながら、選考の場ではしなやかで融通無碍。その思考のみちすじがそのまま選評に表れる」と毎日の評者池澤夏樹は書いている。宮部みゆき、高村薫らの作品評が日経には紹介されている。

 香納諒一『虚国』(小学館、1800円)-日経―は、田舎の濃密な人間関係を再現さしてハードボイルドの物語を創り上げた作品。まったくのよそものであるカメラマンが飛び込む世界として日本の原風景が現出する。また長引く不況で疲弊する地方を舞台とするが、社会的な問題は抑え気味に書いているという。この手法は横溝正史の手法につながる。「じっくりと時間をかけて読んでほしい」と、評者関口苑生は書いている。文中敬称略。
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金曜インタビュー 日本の百済文化を辿る旅をした韓国文人協会理事長金年均さん

2010年04月15日 21時52分34秒 | Weblog
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--- 今回の訪日の目的は。
金年均さん 古代百済人の足跡をたどることです。それは韓国人の歴史を知ることでもあり、また自らの正体性について、アイデンティーについて思いをいたすことです。歴史を知ることで創作の刺激になりますし、百済人の足跡をこうして直接感じることができたのは成果があるでしょう。2泊3日の日程ですが、枚方、京都などを回りたどることができました。大きな目標は韓日交流です。今回、日本の作家、詩人などとの交流ができませんでしたが、今後実現したいですね。

-----金理事長は何の分野で文学活動をされていますか。
金年均さん 詩です。協会に集う方は小説、詩、時調、戯曲、評論など8部門の方々で、『月刊文学』、季刊『季節文学』に発表されています。会員は12000人を数えます。

 ---2007年に理事長に就任されたときにと挨拶されていますね。
金年均さん 私たちの文協のアイデンティティは政治的理念を超越して純粋文学での指向と芸術至上主義をおき、こういう創立理念とアイデンティティに合う事業を継承、実践するためにいくつかの目標をもっていますとあいさつ文では書きました。和合して団結することを第1にあげました。『月刊文学』の品格を高めることもふれました。会員間の反目と葛藤が消えて作品が高く聳え立つ文学の時代こそ求められます。私たちの文壇の暖かくて甲斐がある新しい時代を開かねばなりませんし、純文学を指向する中で南北文学交流の道を徐々に開きたいとも申しました。

-- 2007年のあいさつ文では9000人の会員となっていましたが、いまは12000人ですね。大変な大所帯ですね。ところで主催される文学賞というのはどういうものがありますか。
金年均さん 今日、大阪での交流で来ていただいた在日韓国人作家金吉浩さんが受賞された海外韓国文学賞をはじめとして韓国文学賞、趙演鉉文学賞、尹東柱文学賞などあります。今回の訪日団で32人のうち5人がこれらの賞を受けた方々です。今後もこうした訪日の機会をもちたいし、日本の方々との交流を進めたいですね。
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億ではなく兆

2010年04月13日 21時45分47秒 | Weblog
どうも脳の老化がひどい。

 3月に会議である方から好意で預かったUSBのことを完全に記憶から消えてしまって、貸したその方から言われてびっくり。

 そういうことが時々おきているから、心配でもある。

 どこかにしまっているのかはたしかだが、家捜しが始まった。よけいなことは覚えているのに、なさけない。

 毎日脳細胞は何億個と消えていくらしい。私は億ではなく兆ではないかと思う。
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済州4・3の韓国化、世界化への道

2010年04月13日 21時44分49秒 | Weblog
<form mt:asset-id="596" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;">43写真.jpg</form>
 朝鮮半島の分断に反対する民衆の蜂起に国家権力が弾圧を加えて3万人が死亡したとされる済州島4・3事件の悲劇から62年を迎えた4月3日、私は済州島の慰霊祭の式場にいた。2年前の60周年の参列者とそう変わらない1万人という人の波だった。

昨晩までの雨はあがり、晴天で、空はどこまでも青かった。この10年に様々な法制度上の取り組みが実現した。その一番が被害者の名誉回復であり、歴史の真実の探求であった。『4・3事件真相調査報告書』も出された。しかし守旧勢力は次々と裁判に出て、憲法裁判所への訴訟のほか、行政訴訟2件、損害賠償請求訴訟6件と、2000年に出された「4・3特別法」の空洞化を目途としていることがわかる。

しかし日本でも韓国でもいえることだが、歴史の教訓から得ることは平和と共存の社会の招来である。いくら極右勢力が跋扈するようになろうとも、歴史の歯車を逆には戻すことはできない。式典での挨拶ではそうした同様の確信に近い発言が遺家族代表や慰霊祭実行組織の代表から出た。決して抽象的世界を表したのではないのだ。

式典終了後、会場の4・3平和公園入り口近くにある食堂で遺族会の方々と昼食をともしたが、ここでは「4・3特別法」に尽力した民主党国会議員が挨拶した。今後も法の充実のために尽力するとの言葉に拍手がおきた。法制定をライフワークとした姿に私は日本の八木一男(1911―1976)さんを思い出した。一本気とともにそこには兼ね備えた清潔さが支える両者の共通点があるように思えた。

 1日おき、ソウルに入り、進歩的新聞と言われる『ハンギョレ』『京郷新聞』は4・3の慰霊祭を伝えていたが、一地方の出来事扱いだった。日本での広島、長崎の被爆に頭を垂れる8月の日々を知るだけに、4・3の中央との落差の現実にはショックを受けた。本当にこれは大変なことだ。4・3の韓国化、そして世界化。
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日曜新聞読書欄簡単レビュー

2010年04月11日 09時49分44秒 | Weblog
 玄田有史『人間に格はない 石川経夫と2000年代の労働市場(ミネルヴァ書房、3675円)ー朝日ーは、20世紀最後の10年代から21世紀の現在にかけての非正規労働市場、無業者に関する分析を書いたものだ。しかしこの分野での労働分析は基本データーがどれだけ信頼できるものかが最大のポイント。玄田の書は就業構造基本調査をベースにしている。そこで浮かび上がるのが、非正規労働者の動向である。非正規労働であっても就業経験が正規職化、年収増大のためにプラスになることや、境遇が改善せず無業者化してしまう人がいることを指摘していることだ。書評で紹介されているのは無業化の過去のケースは高所得世帯に多かったのだが、最近の経済低迷の中で低所得者が無業のままで改善できないままになるというケース。玄田は企業間移動の促進よりも一定期間同一企業への定着の支援を提言する。玄田の恩師石川経夫の9つのコラムが収録されており、ここに社会的弱者に対する共感と冷徹な分析をしている(評者植田和男)。

 山折哲雄『愛欲の精神史』全3巻(角川ソフィア文庫、740円~900円)ー毎日ーは、愛欲から存在を読み解く、あるいは文明を解読することにある。内容は浅くはない。人間の行動を支える分析では、深層心理に性を発見したのがフロイトであり、経済がマルクスだとか分類されたりするが、評者が述べているように「欲望の表徴、変奏を決定する精神性は何か」がテーマなのだ。行動の原理に性を見るのではない。性を支える精神性の求道なのだ。過剰なる性愛がいつのまにか、極限としての「男であることの無意味」「女であることの無意味」という宗教的世界にたどり着く。禁欲という世界の精神性は一方でガンディーの非暴力、『とはずがたり』の発見に至る。その最大のキーワードはインドなのだ。紹介されているマックス・ウェーバーのインドとの関係が興味をひく。評者は「インドに向ける眼差しは、他者批評を生み出すと同時に西洋世界の内面的な心象をさらけ出す」と解説している。著者のインドに寄せる思いはヒンズー教の理解の深さにあると見るのだが。さてどうか。逆説的な迫り方は、まさしく宗教学者山折の宗教的世界なのだ(評者張競)。

 現代思想に連載されてきた立岩真也、齋藤拓の「ベーシックインカム」論議が本になった、『ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性』(青土社、2310円)ー毎日ーだ。リバタリアンを自ら認ずるヴァン・バリース『ベーシックインカムの哲学』を素材に論じたものだ。ネオリベラリズムの思想の源から、現代の個人が競争原理を内面化した事態まで視野に収めたのが佐藤嘉幸『新自由主義と権力』(人文書院、2520円)ー毎日ーだ。新自由主義の議論の源をミシェル・フーコーの講義録『安全・領土・人口』としながら展開する。ドゥールズ=ガタリの理論までも対象となる。理論書としては比較的読み安いと評者は紹介している。

 ミシェル・フーコーが出たところでさらに進めると、彼の思想を批判的に継承したイタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンの最新の研究書、邦訳を日経新聞が簡単に紹介している。金森修『〈生政治〉の哲学』(ミネルヴァ書房)ではアガンベンの問題構制を構築するのが時代的課題と解く。用語の系譜を丹念に整理している。小松美彦ら編『メタバイオシックスの構築へ』(NTT出版)は、生政治の思想から生命倫理学を根底から問い直す。出生前診断や安楽死などの問題に挑む。アガンベンの主著「ホモ・サケル」シリーズの一冊『王国と栄光』(青土社)が原著刊行から3年で翻訳された。入門書ではエファ・ゴイレン『アガンベン入門』(岩波書店)がある。
   文中敬称略
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コラム「風」政権内部の不協和音

2010年04月09日 23時59分39秒 | Weblog
 政権内部の不一致とか民主党の普天間基地問題で言われるが、時の政権ではよくあることだ。韓国哨戒艦「天安」が突然真っ二つに裂けて沈没した事件(3月26日夜発生)をめぐる青瓦台(大統領府)内部の見解も分かれた。

 当初、金泰栄国防相は「北韓(朝鮮民主主義人民共和国)からの攻撃も否定できない」と言うと思えば、李明博大統領はこれを否定、見解がわかれた。また沈没した哨戒艦の破損部分は国民に見せないとの発表に国民のブーイングはすさまじく、結局、公開されることになった。104人の乗組員のうち58人が救出されたが、1人の遺体発見以外は、あと45人は行方不明なのだ。安否を気遣う家族の披露はピークに達している。

 6日に救出された乗組員が記者会見をしたが、その証言は外部からの衝撃を語った。内部からの爆発ではないということだ。パジャマ姿の痛々しい限りの乗組員の姿が韓国全土に一斉に流れた。今後の検証はイギリスなど海外諸国立会いでの検証に大きく舵をとったが、原因追求が今後どう進むかの一定の方向は見えてきた。国際社会の監視をえての検証という方向だ。

 普天間基地問題は政権内部の不協和音から抜け出たのは、一部報道で伝えられた鳩山首相の徳之島への一部移転案だ。徳之島案で政権は一致するのか。なおも不協和音を出し続けるのか。もし方向性が決まったなら、その背景なり理由を国民の前に明らかにしていただきたい。

 辺野古沖案だけは消えたのは、環境問題とともに住民の強い反対があったからだ。徳之島住民の反対運動は既に住民集会を開いている。同じことになることは目に見えているのではないか。結局、安全保障問題の日本の発言力がどれだけアメリカを説得できるかにかかるのと、米軍基地沖縄押し付け政策をどれだけ克服する意志をもつのかが、政権交代で誕生して8ヶ月になる民主党連立政権の分水嶺ともいえる。
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普天間基地問題の底流にあるもの

2010年04月09日 18時53分01秒 | Weblog
 沖縄の普天間基地問題解決は結局沖縄でのたらい回しでしか進まないのか。その前にどうして沖縄がアメリカの防衛構想の中心にあるのか。朝鮮半島との関係から見て沖縄の米軍基地が必要であるとは思えない。「北」の核はたしかに不安定材料だが、朝鮮戦争当時とは客観情勢が異なる。

では中国ににらみをきかすためなのか。米中の関係は経済的側面から見ると悪化して対立激化など考えられない。「担保」しているものは何なのか。アメリカが見据えているのはアフガン、イラクである。アフガンに電撃訪問したオバマ大統領がその証拠だ。中東に翼を向けていることは明白だ。

周辺事態法の周辺の定義はいい加減だ。米軍が戦争行為に入った地域が「同盟」である日本が「周辺」に相当するとして、憲法9条に「違反」しない範囲で支援するというものだ。アメリカが極東最大の基地、嘉手納基地を軸においている。そうした中で普天間基地では海兵隊員がグアムに移転する。そこで不思議なのは、なぜ基地機能がグアムに移転しないのか。よくわからない。

31日の党首討論で鳩山首相は「腹案がある」と谷垣総裁に答えた。それも閣僚が合意していることだという。民主党になったから沖縄密約も暴露されたし、辺野古の基地建設もなくなった。政権交代は威力がある。間違った選択だとは思わない。鳩山首相が言う「腹案」はグアムではないだろう。沖縄本島から離れた離島なのか。鹿児島の離島なのか。いずれも新基地では話しが出る場所だ。

混迷の解決にはいつも犠牲にされるところが出てくる。過去の轍を踏まないとするなら、「腹案」は自ずと決まってくる。怖いのは、日本が軍事力をもち、米軍を必要としないことだ。かなり飛躍があるようだが、この流れが普天間基地移転問題の底流にあるように思える。


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健忘症

2010年04月05日 15時12分31秒 | Weblog
 昨晩行った店がどこかわからず相当歩き回りやっと見つけた。健忘症もきわまれりか。

 ただ、自分が客人をお連れした店でない点が救われる。人任せだと記憶は飛ぶからだ。

 なぜ昨晩の店を再度行くことになったのは、忘れ物をしたからで、その店そのものも忘れたのでは、救いようがない。思い出そうとして何を思い出そうとしているかを忘れることとよく似ている。

 ところで、肝心の忘れ物はあったから、一安心。こういう事態がなぜ起きるかを考えると、人の善意だけに頼っているからか。しかし、人の善意のおかげで助かったとはまことに皮肉なことだ。皮肉とは物事の根強い証明である。たとえ物事が裏返っても事実が証明されるからだ。楽観主義者の哲学は単純な生活哲学にほかならない。
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画家金大吉氏を悼むー在日の原風景を描き続けた

2010年04月02日 09時58分21秒 | Weblog
友人の画家金大吉さんが急逝した。在日コリアンの画家で、彼の作品はずっと観てきたが、近作の「夕日のハルラ山」は傑作だ。チェジュ島に訪れ描いた作品は道頓堀のギャライーで2年前披露されたものだが、これまでの作風から脱皮して彼がもつ絵の魂が爆発した記念碑的作品ともいえる。それだけに今後の作品を期待していただけに本人も無論のことだが、私も寂寞感に加え無念さをいまなをぬぐうことができない。

 おそらく日本人で一番親しかったのが私ではなかったかと自認しているが、梅田近くの自宅には何度かお邪魔してコヒーをご馳走になったし、J-NETの事務所にも顔を出してくれた。書き手以外で訪れた人は知人のジャーナリスト以外に彼を除いていないだろう。

 自宅では「あの赤いハルラ山がいい」と何度も言った。私は彼がこれまで追及してきた大台ケ原の原風景はあまり評価していなかったからだ。しかし「夕日のハルラ山」の出現で彼の画家としての原風景をはっきりとわかった気がした。まさしく在日の原風景なのだ、と。ふるさとに初めて訪れて書きはじめたハルラ山は、岩肌に縁取られた輪郭で出現したハルラ山であり、そこにゴツゴツした力感あふれる彼の画家としてのエネルギーを見た。それはおそらく大阪で醸成してきたハルラ山のイメージでもあったと思う。

 枯れ木が折り重なる大台ケ原の風景は、もう一つの在日の風景だったのかもしれない。しかしそれは大台ケ原という極限で現れた自然の叫びであり、沈黙であった。在日の叫びであったかもしれない。大地に折り重なり倒れた木々、小枝、むき出しの岩々。そこから震撼した叫びを聞いたのではないか。それがハルラ山に結びつく。
 
 しかし、ハルラ山は緑のハルラ山ではななく、太陽の残滓を浴びるハルラ山でなければならない。大台ケ原とまったく様相を変え、色調を一新させた。

 「川瀬さん、体に気いつけや。家族に迷惑かけたらあかんで」が口癖で、黒酢を飲んでるとか、サウナが健康法とか聞いた。何もせず漫然と生きている私には、体格のいい彼がそこまでするかと敬服もしたが、まさかの急逝であった。私より2歳年下で、葬式は彼の60歳の誕生日とは。

 なんとも悔しいし、やっとめぐり合えたハルラ山、チェジュ島の風景、そして在日の原風景を描いてほしかった。訃報を聞いたのが葬式を終えた夜だったことに、ただただ恥じ入るばかりだ。
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