今週は論考を中心にみてみよう。上丸洋一『「諸君!」「正論」の研究』(岩波書店、2940円)ー毎日ーから。
上丸のこの書によれば当初は寛容性があったという。『諸君!』に日本の戦争に対する侵略戦争論が掲載され、『正論』には昭和天皇退位論が載ったという。とても信じられないが上丸はそこに多様性と柔軟性を見ているが、靖国神社のA級戦犯合祀問題をきっかけに右に傾く。というより「硬直化」する。
ただ私が思うのは「右」の論が硬直化する理由には2つあると考える。1つはそれだけ追い込まれているということと、もう1つは社会全体の硬直化である。社会全体に柔軟性が欠け出すことで「右」論陣も微妙に影響を受ける。保守のオピニオン誌の硬直化は簡単に見過ごすことはできないのである。『諸君!』は2009年に廃刊となった。「堕落の果て」と著者は手厳しいが、それだけで済ますわけにはゆかないだろう。
トーランド『秘儀なきキリスト教』(法政大学出版局、5040円)ー毎日ーは、理性によるキリスト教理解の本だ、いわゆる理神論を著者は論じる。秘儀なきキリスト教とは、理性理解が及ぶものだ。秘儀を合理的に説明するということなのだ。釈迦は神秘的な超常現象はかかわるなと言った。それは惑わされるなということであり、理性が及ぶ範囲で物事を考えよと言ったと私は解釈しているが、トーランドの理神論を縦横に論じたこの本ではどうキリスト教をみているのか。興味つきない。
上丸のこの書によれば当初は寛容性があったという。『諸君!』に日本の戦争に対する侵略戦争論が掲載され、『正論』には昭和天皇退位論が載ったという。とても信じられないが上丸はそこに多様性と柔軟性を見ているが、靖国神社のA級戦犯合祀問題をきっかけに右に傾く。というより「硬直化」する。
ただ私が思うのは「右」の論が硬直化する理由には2つあると考える。1つはそれだけ追い込まれているということと、もう1つは社会全体の硬直化である。社会全体に柔軟性が欠け出すことで「右」論陣も微妙に影響を受ける。保守のオピニオン誌の硬直化は簡単に見過ごすことはできないのである。『諸君!』は2009年に廃刊となった。「堕落の果て」と著者は手厳しいが、それだけで済ますわけにはゆかないだろう。
トーランド『秘儀なきキリスト教』(法政大学出版局、5040円)ー毎日ーは、理性によるキリスト教理解の本だ、いわゆる理神論を著者は論じる。秘儀なきキリスト教とは、理性理解が及ぶものだ。秘儀を合理的に説明するということなのだ。釈迦は神秘的な超常現象はかかわるなと言った。それは惑わされるなということであり、理性が及ぶ範囲で物事を考えよと言ったと私は解釈しているが、トーランドの理神論を縦横に論じたこの本ではどうキリスト教をみているのか。興味つきない。