ブログ「かわやん」

森羅万象気の向くままに。

不気味な時代の影 大阪府知事選でなぜ橋下徹さんは選ばれたのか

2008年01月28日 00時06分21秒 | Weblog
 大阪府知事選橋下徹さん当確は開票が始まって直後に出た。2位につける元大阪大大学院教授、熊谷貞俊さん(63)=民主、社民、国民新党推薦=とは開票率90パーセント段階(午後11時)でダブルスコアーに迫る勢いだ。この人気は何なのか。

 東京都知事に石原慎太郎さんが大量得票を取った時に、東京の友人に「大阪ではそうはいかんで」と投げかけると、「いや、 いや、同じや。大阪もそうなる」と冷静に分析した友人がいたが、いま彼の言葉を思い出している。右派で発言が過激で、だからこそ強烈なリーダーシップを求める有権者の声が集まるのか。「あと5ポイントの差だ」と熊谷陣営の友人は投票日前日語っていたが、ダブルスコアー(90パーセント開票現在)ではグーの音もでない。

 20世紀最大の政治学者の1人ハナン・アレントは「人間の条件」の中で「社会の画一主義はその社会に適合する行動を人々に求めて様々な規則を課す」「他者にぬきんでる傑出した成員、自発的活動は排除される」という趣旨のことを言っている。大阪だけ、あるいは奈良だけ流れが別だとはならない。

 安倍政権に「ノー」をつきつけた参議院選挙も考えれば1つの社会の画一主義の底流がある。しかしもっと大きな画一主義は、大阪、そして日本とも少々荒っぽかっても「強力なリーダーシップ」でブルトーザーのように荒蕪地をならしてくれる人のようだ。荒蕪地とは巨額赤字である。それに画一主義を推進するマスコミの寵児が候補者となれば、これは勝つ公算は極めて弱い。

 社会資本の充実を訴えた熊谷さんの主張はかき消された。当然社会資本の充実のために尽力する人は「冬の時代」を迎える。「巨額赤字を解消してくれ」「元気のない大阪を変えてくれ」。200万に迫る票の背後にその声を聞く。錦の御旗が「変わる大阪」「元気な大阪」だろう。ブルトーザーはもう明日から走るだろう。しかし、踏みつけられて黙っているわけにはゆかないだろう。少々の失言はかまわない、少々の犠牲はかまわないーでしか、大阪府の再建はないのか、元気の出る大阪はないのか。そんなことはないはずだ。新知事の舵取りにまずは注目したい。

コメント (1)
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