あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

半蔵門国立劇場で「通し狂言増補双級巴」千穐楽をみて 

2018-12-27 13:20:19 | Weblog


蝶人物見遊山記第299回


三世瀬川如皐作の御存じ石川五右衛門の物語です。
五右衛門に扮するのは中村吉右衛門。此下藤吉郎に扮した「下町ロケット」の尾上菊之助と丁々発止と渡り合うところは素晴らしい見ものでした。

が、もっと凄かったのは74歳にして空中の葛籠から飛び出す吉右衛門の葛籠抜けの宙乗り。
きっと両目を見開き、大空を両手でかき分けながら悠然と進みゆく雄姿を見ながら、鳴呼! およそ半世紀も前に文学部に向かうスロープで優雅に佇んでいたあの青年が、と、しばし涙が止まりませんでした。

3幕目の第3場で、天下を騒がせる五右衛門の波乱万丈の大活躍は、ぬあんと「夢のまた夢」だったという恍けたアンチクライマックスとなり、大詰では旧友藤吉郎の縛につくのですが、まあこれは無くもがなの2場でしたね。

   あんれまあ世界中で出てきたよ「オラが国サ」の大統領が 蝶人

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