事例紹介コラムです。
11日から日経新聞のスポーツ欄に「Jリーグ改革の道」シリーズがスタートしており、よく読んでいます。昨日の「②ビッグクラブ育てる」という記事は、注目すべき内容だったので、ここで抜粋して紹介。
Jリーグは40クラブ編成になり、更に加盟を目指すクラブが全国各地にある。そうしたクラブの受け皿を整備するため、「J3」の発足の準備に入っている。候補は準加盟クラブなど計16を数え、早ければ'14年から10~12クラブでスタートする考え。
「地域密着をうたってリーグを横に広げる戦略を優先してきた結果、強いローカルコンテンツであるJクラブが各地にできた。今後は横でなく、高く成長させる方策を練る必要がある」とJ1鹿島の鈴木事業部長のコメント。
Jリーグは運営組織を「J1」と「J2+J3」に分離する案の検討に入ろうとしている。1部リーグをプレミアリーグとして独立させて繁栄の糸口としたイングランドや、オランダを参考にしたこの分離案はJリーグのブランドの再構築を狙っているとか。リーグのブランド価値を高め、ローカルコンテンツだけでなく、ナショナルコンテンツとなるビッグクラブを育てなければ発展はないという考え方。
「リーグのブランド敢を出す戦略を徹底するには、J1を切り離した方がいい」とJリーグ中西統括本部長のコメント。
頭にはこんなプランがあるとしている。「スーパーリーグ」となるJ1の魅力でテレビ放送権やスポンサー権のセールスを進め、集金力の高い仕組みを築き直し、現在約2億円となっているJ1への配分金を増額させ、海外の有力選手を連れてきて、魅力あるチームを編成するビッグクラブが育つ。
Jリーグは落後者を出さずに進む事に力を入れてきた。けん引役となる大クラブの成長を促す施策をためらい、小クラブを守る施策をとりがちであった。リーグが一括してオフィシャルスポンサー(1社3億円で現在は7社)を集め、収入をクラブに配分する護送船団方式では未来は開けない。
「そろそろマーケティング権を開放して、自立を促してもいいのかもしれない。上位クラブにはその方が稼げるという声がある」とJリーグ大河統括本部長のコメント。2ステージ制とチャンピオンシップを復活させて、巨額の冠スポンサーを付ける案もあるとか。
秋春制へのシーズン移行もビジネスの観点から議論されているとか。秋春制を採用すると、クライマックスがプロ野球やプロ野球、フィギュアスケートの時期と重複しなくなり、TV中継で注目を浴びやすいとされる。
欧州とオフの時期が合うために国際移籍が円滑になり、経営が不安定になっているスペインやイタリア、ポルトガルのクラブには付け入るスキがあるとされています。また、ACLが秋春制になると、ACLの序盤戦とJリーグの終盤戦が重なるために、Jリーグは早ければ16~17年シーズンへの移行を模索しているとか。北国のクラブの抵抗はあるが、状況は待ったなしに追い込まれているとされている。欧州とシーズンの合致はヒトとカネの流れがスムーズになり激しくなるため、「開国」と言われている。移籍市場でも海外のクラブをしのぎを削れば、国際競争力の高いJクラブが自然に育つと締めくくっています。
このコラムに驚くべき内容が述べられている事に気づきました。当ブログで以前にいろいろと触れていた、Jリーグのプレミアリーグ化、J3リーグの創設です。前にJリーグから準加盟クラブを中心に「J3の創設」のニュースが流れて、J1からプレミアリーグを上に切り離す案は無くなり、下にJ3を創る流れになるのだと認識していましたが、プレミア・J1・J2の3段構造ではなく、J1・J2・J3の3段構造にしてJ1をプレミア化するのだと認識しました。そして驚くべきは運営組織を「J1」と「J2+J3」に分離する事。これにより、J2は大きく存在価値を下げます。今まではJ2もJリーグだというイメージでしたが、この案が実現すれば、J2クラブは準加盟クラブに存在が近づき、J1こそがJリーグというイメージになっていきます。
当ブログとしては、J1のプレミア化には反対です。同じ欧州でもドイツではなく、イングランドやスペインのような金満クラブ化する事は、地域密着や社会貢献性を強く打ち出してきた「Jリーグらしさ」が薄くなり、幅広いファン・サポーターから偏った層に狭まってしまう事になるからです。全国のあちこちから「我が街からJリーグを」という動きはなくなり、地域活性化の要素も消えていきます。どうしてプレミア化を考えるのか、Jリーグの考えに理解が持てません。傍士理事が唱えていた「Jリーグ百年構想」にも当てはまらない事になります。
あと、当ブログが前から指摘していたように、スカパー!との関係も浮かび上がってきます。「プレナスなでしこリーグ」を例えて、誰だったかスポンサー名を皮肉で付けて「リーグ名を『スカパー! Jリーグ』と変えたらいいんだよ」と言っていましたが、Jリーグ分配金に大きく関わるスカパー!の意向が大きく反映するため、更にJリーグの売上を増やすためにプレミア化を考えているのかと疑心暗鬼になります。(そういえば、イングランドのプレミアリーグは『バークレーズ プレミアリーグ』ですね)
J3については、J2とJFLとの入れ替え戦が始まり、町田さんのようにJFLに降格したクラブの救済色を出した策と聞けば納得いきますが、J1のプレミア化については、どうしても納得がいきません。今のままでいいではないですか。そんな地方のファン・サポーター目線に立たない事を考えるから、地域・社会貢献活動で汗を流そうとしない親企業のない企業クラブが出てくるし、選手を街に出さなくていいという価値観が跋扈するのではないかと個人的に思います。
J3リーグ構想関連:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121108
Jリーグプレミアリーグ構想関連:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120730
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