そのO君に対してアリスはV1=0.8Cで離れていきます。
それと同時にボブがV=0.9Cで同じ方向に離れていきます。
この時相対論の計算によればO君はアリスの時計が0.6掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。(注1)
同様にしてO君はボブの時計が0.43589掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。(注2)
さてここでアリスからボブをみた時の相対速度V2を求める式 V2=(V-V1)/(1ーV1*V/C^2)の出番です。
このV2の値も計算しますとV2=0.35714C と概算できます。(注3)
このV2のでアリスからボブをみた時のボブの時計の遅れは0.934051となります。(注4)
さてここで通常の我々の常識では
O君はアリスの時計が0.6掛けでO君の時計より遅れているのを確認した、
続いてアリスからボブをみた時のボブの時計の遅れは0.934051であれば
O君からボブをみた時のボブの時計の遅れは
0.6*0.934051=0.56043・・・
となるはずです。
しかしながら実際にO君から直接ボブをみた時のボブの時計の遅れは
0.43589 なのでした。
以上が「三つ子のパラドックス」として当方が問題提起した内容です。
この問題、「速度」と「時間の遅れ」という「扱っている内容については違います」が「2つの値を合成して一つにする」という見方をすれば「テーマとしては似ている」と言えます。
さてそれでO君からボブをみた時のボブの時計の遅れは
sqrt(1-V^2)
でした。
そうして速度の合成則によれば
V=(V1+V2)/(1+V1*V2)
でした。
これを上の式に代入しますと
sqrt(1-((V1+V2)/(1+V1*V2))^2)
となります。
そうしてこれをそのままウルフラム: https://ja.wolframalpha.com/ に入れて整理します。
そうすると「別の形」に答えがでます。
sqrt((V1^2-1)*(V2^2-1)/(1+V1*V2)^2)
=sqrt((1-V1^2)*(1-V2^2)/(1+V1*V2)^2)
=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)
つまり
「O君からボブをみた時のボブの時計の遅れ」
=「O君からアリスをみた時のアリスの時計の遅れ」*「アリスからボブをみた時のボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)
という事になります。
さて、実際、そうなっているでしょうか?
「O君からボブをみた時のボブの時計の遅れ」=0.43589
他方で
0.6*0.934051/(1+0.8*0.35714)
=0.435891・・・
どうやら成立している模様です。
Q.E.D.
注1:sqrt(1-0.8^2)=0.6
但し速度の単位はC=1として規格化している。
注2:sqrt(1-0.9^2)=0.435889・・
注3:(0.9-0.8)/(1-0.9*0.8)=0.3571428・・・
注4:sqrt(1-0.35714^2)=0.9340508・・・
追伸
速度を規格化せずに戻した形では
sqrt(1-V^2/C^2)
=sqrt(1-V1^2/C^2)*sqrt(1-V2^2/C^2)/(1+V1*V2/C^2)
となります。
したがってこれは「ローレンツ因子の合成則」とも言えます。
追伸の2
相対論においては「速度については足し算は通用しない」、「時間の遅れについては掛け算が通用しない」、まあそれだけの事であります。