特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

円運動に対する「時間の遅れ」合成則

2022-09-30 02:39:21 | 日記

 ・「時間の遅れ」合成則:では基準慣性系に対して速度V1で移動している慣性系①に対して速度V2で移動している慣性系②を考えました。

その慣性系②は基準慣性系から見ると速度Vで移動している事になるのですが、

V=V1+V2 は成立せず

V=(V1+V2)/(1+V1*V2) ・・・③式 となる、速度の合成則が成立するのでした。

この時に慣性系②の時間の遅れは基準慣性系に対して

T(遅れ②)=sqrt(1-V^2) ・・・④式 となります。

それでこの式に③式を代入すると

T(遅れ②)=sqrt(1-V^2) 

=sqrt(1-( (V1+V2)/(1+V1*V2) )^2) となり、それを整理すると最終的に

=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)

となるのでした。

それでこの式の意味する所は

「基準慣性系から慣性系②をみた時の慣性系②の時計の遅れ」

=「基準慣性系から慣性系①をみた時の慣性系①の時計の遅れ」*「慣性系①から慣性系②をみた時の慣性系②の時計の遅れ」/(1+V1*V2)

という事になります。


それで今回、上記と同じように考えて 円運動に対する「時間の遅れ」合成則 を見てみるのですが、慣性系①は地球であり、地球は基準慣性系に対してドリフトしていると考えます。

そうしてその地球のうえで円運動しているのが慣性系②、具体的にはμ粒子(ミューオン)となります。

それで基準慣性系に対して地球上で円運動しているミューオンの時間の遅れを計算したのが

その2・ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ :でした。

円運動をX軸方向成分とY軸方向成分に分解し、地球が基準慣性系に対してドリフトしている方向をX軸方向として、円運動の各軸速度成分にドリフト速度を相対論的な加算則に従って足し合わせました。

そうやってドリフト速度を加算された円運動の速度をV(円運動)としますと、円運動の時間の遅れは

T(円運動)=sqrt(1-(V(円運動))^2)・・・⑤式 と書く事ができます。

そうやってミューオンが加速器の中を一周する間にどれだけ時間の遅れが発生したのかをパラメータXが0から2π(パイ)の間を⑤式を積分する事で求めました。


さてそれで、ここまでの話の中では 円運動に対する「時間の遅れ」合成則 が出てきません。

しかしながら合成則が出てくる、とするならばそれは⑤式の中に現れている事になります。

その事は④式に③式(相対論的な速度の加算式)を代入することでその場合の「時間の遅れ」合成則 が出てきた事と相似的であります。


さてそれで⑤式の具体的な形はこうなります。

sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))  ・・・⑥式

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%28%280.9994*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0.001%5E2%29*%28%280.9994*sin+x%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29

上記の様に⑥式をウルフラムに代入してウルフラムが解釈したものを見た方が分かりやすいですね。

それでウルフラムが⑥式を整理した、最終的な形が「別の形」の一番目にあります。

⑥式は相当に複雑な形をしているのですが、真面目に一つづつ展開して計算すると最後にはそうなる、というものです。

しかしそれは魔法が働いたかの様に「信じられない程に簡単な形」になります。


さてそれで、「別の形」の一番目に出てきている式からルートを取り払いますと

34.6566/(cos(x)+1000.6) ・・・⑦式 となります。この式の分子、分母を1000.6で割りますと

=0.0346358/(0.0009994*cos(x)+1)  ・・・⑧式 が出てきます。

それで

0.00346358=sqrt(0.0011996388)  であり

=sqrt(1-0.9994^2)*sqrt(1-0.001^2) と分解する事が出来ます。

そうなりますと

⑥式=sqrt(1-0.9994^2)*sqrt(1-0.001^2)/(1+0.001*0.9994cos(x)) ・・・⑨式

と書きなおすことが出来ます。(注1)

これを一般化しますと

「ドリフトがある場合の円運動の時間遅れ」

=「円の周回速度による時間遅れ」*「ドリフト速度による時間おくれ」/(1+ドリフト速度*円の周回速度*cos(x) )

という事になり、これが「円運動の時間遅れの合成則」となります。(注2)


こうして最終的に出てきた形は:「時間の遅れ」合成則:で導出した形

T(遅れ②)

=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)

と同じものになっている事が分かります。

またその様な「時間の遅れ」合成則が成立しているゆえに複雑な形をした⑥式が非常に簡単な形、⑦式に簡約できたのだ、とも言えます。

同時にまた⑥式の導出が相対論的に妥当なものであった、という傍証にもなっていると思われます。


注1:最終的に到達する⑥式の形が分かっていますと、複雑な形の⑥式を注意深く手計算で展開して整理してゆく事が可能になります。

そうして、そうやって手計算でトレースしていきますと、確かに最後は⑨式に到達するのでした。


注2:ここで
・「ドリフトがある場合の円運動の時間遅れ」はもちろん「基準慣性系から見た時のドリフトしながら円運動している場合」=「基準慣性系に立っている観測者が地球上の加速器の中で円運動しているミューオンを観測した場合」です。

・「円の周回速度による時間遅れ」は「地球が基準慣性系にたいしてドリフトしている」のではあるが、地上に立つ我々からはそのドリフト状態を知る事はなく、従って目の前の加速器の中で周回運動しているミューオンは「単に円運動している」と我々の目には映るのです。

したがってこの場合、地上に立つ測定者たちは「ミューオンは円の周回速度で寿命が延びている」と判断しその様に計算する事になります。

・「ドリフト速度による時間おくれ」は基準慣性系に立つ観測者からは地球そのものが基準慣性系に対して運動している、ドリフトしている為に地球上のすべての時計が遅れているのが観測される、という事です。

ちなみにこの「時間遅れの合成則」は「運動すると時間が遅れる」+「相対論的速度の加算則」から出てきたものです。

つまり「時間遅れの合成則」は「特殊相対論のロジックの中に含まれている法則である」という事になります。

 

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その2・「時間の遅れ」合成則

2022-09-27 02:22:44 | 日記

「時間の遅れ」合成則・相対論: https://archive.md/uxxkb :http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27124 :の最後の文章が
『相対論においては「速度については足し算は通用しない」、「時間の遅れについては掛け算が通用しない」、まあそれだけの事であります。』
で終わっています。

そうしてこの宇宙はどうやらその様にできている、つまり
A:「速度には加算則が通用しない」。

そうしてその事の影響が時間の遅れに反映されて
B:「時間については乗算則が通用しない」
と、そういう事になっている様です。

ちなみにこの
B:「時間については乗算則が通用しない」
については、いままで誰も指摘していないように見えます。


さて数学の論理から言えば「掛け算は足し算の繰り返し」と見ることが出来、だあれもその事に疑いをもちません。

それがあたりまえ、常識である、と教えられてきたからです。

しかしながら実際の宇宙では速度については足し算は通用しません。

そうなると時間については掛け算が通用しなくなる。

なるほど、数学の論理としては「これはこれで成立している」様に見えます。


ちなみに「時間について掛け算が成立しなくなる」というのは、ある系が基準慣性系に対して相対速度をもつ事によってその系①の時計=時間は遅れる。

その遅れた時計で系①の中で運動している時計②の時間を観察すると、その時間は系①の中で静止している時計に対して遅れる。

そのとき通常の我々の常識では
基準慣性系から時計②を見た時は
「基準慣性系から見た時計②の時間の遅れ」
=「系①の時間の遅れ」*「系①から見た時計②の時間の遅れ」
が答えである、となるはずです。

つまり
「ある時計で所定の現象の時間を測定した。」

でもその時に使った時計が実は遅れていた事が判明した。

そうであれば正しい測定値は測定に使った「遅れていた時計の遅れ分」を掛け算で補正してやればよろしい、
と通常はそうやります。


しかしながら「相対速度をもつ事による時間の遅れ」の場合はそれが答えにはならず、そのような修正計算ではずれが生じてしまう。

つまり「時間については乗算則が成立していない」のであって、そのかわりにこの場合は「時間の遅れ合成則が成立している」という事になります。


さてそれで、以上の事はこの宇宙での時間の在り方の秘密について何かを語っている様に当方には見えるのでありました。

PS:相対論の事など 記事一覧


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その2・アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う件

2022-09-24 04:55:54 | 日記

どこぞの相対論の本には「時計を合わせて逆方向にそれぞれ0.8Cで飛び去った双子の兄弟はお互いの時計が遅れているのを確認するが、その二人は二度と会うことは無いのでパラドックスは生じない」とかなんとか書かれてある、とか。

当方にとってはこのような説明は説明になっておらず、単なる言葉遊びとしか見えません。

まあそれはさておき、このあたりでまた状況を整理しておきましょう。



ちなみに双子のパラドックスを検討する業界内の常識では「逆方向にすれ違う宇宙船同士はすれ違う時に情報交換が出来る」という事は認めている様です。

つまり「すれ違う時に相手の船の時刻は確認できる」、そうしてまたそれ故に「時刻合わせもできる」という事になります。



さてそれで、通常の双子のパラドックスでは「宇宙旅行に出た方が途中で方向転換をして地球に戻る」という設定でした。

それで「地球を出発する前に合わせた時計が旅行から帰ってきたときにどうなっているのか」というのがお題でした。

その場合、旅行に出た方は方向転換をせざるを得ず、従ってその時に加速度の変化を受ける、これが時間の遅れを生む一つの要因になっている、と説明されています。

それに対して当方の、そうしてまた多くの方々が疑問に思っている事は「その様な加速度変化がない時にはどうなるのか?」というお題です。

しかしながら、その事について正面から取り組んで解析した例を寡聞にして知りません。

まあそういう事もあって「それでは方向転換なしでの双子のパラドックスを考えてみようではないか」という事で始まった話です。



さてそれで、「お互いが最終的にすれ違う状況を作る為」には、「逆方向に飛び去る」のではなく「お互いが接近する」という状況を作る必要があります。

そうしないと時計の答え合わせが出来ませんから。

それでその場合、2隻の船の時計合わせはお互いが接近しつつある状況で行う事が必要になります。

その為にはアリスとボブという2つの慣性系のほかにもう一つのO君という慣性系を導入する必要が生まれます。

そうしてO君慣性系を「仮の基準慣性系」として認め、O君の時計に対してアリスとボブは時刻合わせをするのでした。

このあたりの詳細については「その2・ 双子のパラドックス・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26437  :の内容でご確認ください。



さてそのようにして時刻合わせが出来たアリスとボブは最終的にO君の位置ですれ違い、その時に時計の答え合わせが出来ます。

それで、特殊相対論のロジックでは「アリスとボブはそれぞれがお互いの時計は遅れているとO君に報告する事になるがそれで問題はない」という事になります。

しかしながら、ミュー粒子の時間の遅れという「実際のこの宇宙で起きている事」を参照するまでもなく、上記の様な相対論の主張は論破できます。

その方法は、といいますれば「アリスとボブはO君に対して全く対称的に運動している」という事実をつかうものです。

そうしてこの対称性というものは相対論がいう「お互いがあいての時計が遅れているとみる事に問題はない」という主張よりも「物理的にはより基本的な主張である」と見なす事が出来ます。

したがってこの「対称性の要請」から、「アリスとボブの時計は同じ時刻を示している」という結論が導かれる事になります。

そうであれば特殊相対論のロジックが言う「アリスとボブはそれぞれがお互いの時計は遅れているとO君に報告する事になるがそれで問題はない」という主張は間違っているという事になります。

そうしてまた「アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う」という事になります。

ちなみに相対論が要請している「運動する事による時間の遅れ」はアリスとボブの時計がO君の時計に対しては遅れる、という所に現れてきています。


追記
上記内容は「特殊相対論の時間の遅れについての結論は物理法則が満たすべき対称性の要求を満足していない」と言いかえる事が出来そうです。

その事はまた特殊相対論の中では成立している様に見える「時間の遅れ」合成則ではありますが、それは実際の場面では成立していない、「アリスからボブを見た時の時間の遅れを正しく計算できていない」という事になります。

それで、「この状況は本当に奇妙なもの」です。

と言いますのも「アリスから見たボブの相対速度にはリアリティーがある」、「速度の加算式を使って計算した値」であって、そうして実際に測定すればその値になる、にもかかわらずその相対速度を使って計算した「アリスから見たボブの時間の遅れ」にはリアリティーがない、現実には存在しない時間の遅れを特殊相対論は見ている、という事になりますから。


追記の2
上記で取り上げたケースの具体的な例がありました。

何のことは無い、この地球に降り注いでいるミュー粒子を考えてみればそれでOKです。

ただし地球を真ん中にして、例えば日本辺りに降り注いでいるミュー粒子と、地理的に日本の正反対にあたる地点、それは多分、南米あたりにある場所でしょうけれど、その場所に降り注いでいるミュー粒子を考えます。

その2つの場所に降り注ぐミュー粒子は確かに地球に対しては時間が遅れますが、そこで地上に走ってくる、地球を挟んだ形の2つのミュー粒子を見た時には、その2つのミュー粒子の間には時間の遅れは観察されません。

しかしながらその2つのミュー粒子の間の相対速度はほぼ光速なのです。

さてこの場合の状況を確認すれば、特殊相対論が言う所の「お互いに相手の時計は遅れていると主張でき、それは正しい」という言い分は明らかに間違いである事が、誰の目にも明らかになります。

そうしてこの事はつまりは「アリスの慣性系からではローレンツ変換の計算が成立しない」=「特殊相対論のロジックが破たんしている」という事を示している様です。


追記の3
以上の話のポイントは「実際に地球に降り注ぐミュー粒子の時間の遅れは対称的である」という事は勿論だが、その前に「物理学が要求する対称性と、特殊相対論の主張とは相いれない」という所にあり、これは「実験をして確認をする」という事の以前の問題であって、「特殊相対論が持つ理論上のアノマリーである」という所にあります。

加えて申し添えれば、多くの業界人はこのアノマリーに対して無視を決め込んでいる様に見える、という事です。

そうして「クッキングブックのレシピ」よろしく「相対論電卓で当面の計算が出来ればそれで良い、とする態度を取っている様に見える」という事にもなります。


ちなみに「仮に地球がアリスの慣性系の位置にあった」としても「速度の合成則」=「光の速度一定の法則」が働くため、光速の測定からはこのアノマリーを検出する事は出来ない、という事になります。


追記の4
「相対論」という名前が示すように「相対性」=「私があなたを見るように、あなたも私を見る」=「全ての慣性系は平等である」という主張は基本的には「対称性」とは相いれない主張の様に思われます。

「対称性」というのは右手と左手の関係であってそれは「あなたと私は同じ」という主張ではないのですから、、、。


追記の2に対する追伸
『・・・その2つの場所に降り注ぐミュー粒子は確かに地球に対しては時間が遅れますが、そこで地上に走ってくる、地球を挟んだ形の2つのミュー粒子を見た時には、その2つのミュー粒子の間には時間の遅れは観察されません。

しかしながらその2つのミュー粒子の間の相対速度はほぼ光速なのです。

さてこの場合の状況を確認すれば、特殊相対論が言う所の「お互いに相手の時計は遅れていると主張でき、それは正しい」という言い分は明らかに間違いである事が、誰の目にも明らかになります。・・・』


この状況は特殊相対論が主張している「時間の遅れ合成則」が成立していない事を示しています。

何となれば「アリスからボブを見た時の時間の遅れ」は観察できない、アリスと同期している慣性系から見ても、「アリスと言う名前のミュー粒子が崩壊するのと同時にボブと言う名前のミュー粒子が地球の反対側で崩壊するのを確認できるからです。」

しかし「時間の遅れ合成則」では「ボブと言う名前のミュー粒子はアリスと言う名前のミュー粒子よりも後で崩壊する」としているからです。

そうしてそれが「特殊相対論のロジック」なのであります。
 

追記の2に対する追伸の2
地球のこちら側とその反対側に飛んでくるミュー粒子を使った「双子のパラドックスの実験」では時刻を合わせる必要がありませんでした。

この場合は単に「ミュー粒子の寿命の延びを確認する」という事で良かったのです。

そうであれば「双子のパラドックスの確認方法は2つある」という事になります。

一つは「2つの時計を合わせておいて、後でそのずれを見る」というもの。

もう一つは「第三者、ここでは地球に対する双子の時計の時間の遅れを確認する」という方法です。

そうしてその二つの時間の遅れの状態を比較すればよいのです。

それでミュー粒子を使ったものは勿論後者の方法という事になります。

そうしてその場合使うのは時計では無くてメトロノームで良い、という事になります。

但しここで使うメトロノームのテンポは正確に同じでなくてはなりません。

それで「メトロノーム=ミュー粒子の寿命」とした場合はその条件は「全てのミュー粒子は双子である」という事によって保障されています。

PS:相対論の事など 記事一覧

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アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う件

2022-09-20 07:00:53 | 日記

さて「その7・ 再び双子のパラドックス・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26986 :で取り上げた例に戻りましょう。

この時の計算では真ん中にいたO君は基準慣性系にいました。

そうしてアリスとボブはそのO君に対してそれぞれ相対速度0.8Cとー0.8Cで近づくのでした。

そうであればアリスとボブの時計は0.6掛けでO君の時計に対して遅れます。

加えてアリスから見たボブのこちらに向かってくる相対速度は0.97560975Cと計算されます。

「さてそうであれば」と特殊相対論は言います。

「ボブの時計はアリスの時計に対して遅れている」と。

「その程度は

sqrt(1-0.97560975^2)

=0.219512222  である」と。



そうして又この値は「時間の遅れ」合成則をみたすものでもあります。

「時間の遅れ」合成則は言います。

「ボブの時計はアリスの時計に対して遅れている」その程度は

=「O君の時計に対するアリスの時計の遅れ」*「O君の時計に対するボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)

=0.6*0.6/(1+0.8*0.8)

=0.219512195  (注1)



さてそうなりますと本当にボブ君の時計はアリスの時計に対して遅れているのでしょうか?



と、そこでいたづらもののファインマンが登場します。

「おっとO君の位置に大きな鏡を置いたのを忘れていた」と。

ほほう、そうしますとアリスがこちらにボブ君が0.97560975Cで近づいてきている、と見たものは実は自分の影、虚像であった、という事になりますね。

そうであれば「自分の虚像の時計が自分の時計に対して遅れる」などという事はおこりえません。

つまり「ボブの時計はアリスの時計と同じ時刻を常に示す」という事になります。

そうしてこの結論は「その7・ 再び双子のパラドックス・相対論」で示したものと同じになります。



ふむ、そうなると「特殊相対論は間違っている」と??



地球に飛来するミュー粒子の寿命が何時も伸びる、ミュー粒子の時計は何時も遅れる、という事実は「現実の宇宙で起きている事は特殊相対論の内部ロジックを超えている」という事を示していると思われます。



注1:アリスとボブが真ん中のO君に到達しその後はそこから離れていきます。

アリスは左から右に0.8Cでボブは右から左にー0.8Cで飛行します。

そうなった時にO君からボブとアリスに速度ベクトルVとV1を割り当てます。

この時にアリスからボブへの速度ベクトルはV2です。

そうしてベクトル計算では
V1+V2=V と書けます。

速度の加算式では
V2=(V-V1)/(1-V*V1)
です。
従って
V2=(0.8+0.8)/(1+0.8*0.8)
=0.975609756
です。

さてここでアリスからボブへの速度ベクトルを改めてVとし、O君からボブとアリスに向かう速度ベクトルをV1とV2と名前を付けます。

そうやってみますと
(0.8+0.8)/(1+0.8*0.8)式の内容は
V1+V2を相対論的に加算してVを求めている、と読み替える事が出来ます。

それで「時間の遅れ」合成則を使って
「アリスからボブを見た時の時間の遅れ」
=sqrt(1-V^2)
=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)
=「O君の時計に対するアリスの時計の遅れ」*「O君の時計に対するボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)
となる事が分かります。

 

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地球は基準慣性系なのか?

2022-09-17 01:55:57 | 日記

1、さて特殊相対論のシンプルなまとめなら

特殊相対論の要点―相対論的力学を中心として― :http://www.mns.kyutech.ac.jp/~okamoto/education/physicsIIB/relativisticsummary031112a.pdf :と別のページで示しておきました。

それでそこには最初にこう書いてあります。

『1.二つの原理
光速度一定の原理:ふたつの慣性座標系においては(真空中の)光速は等しい。
特殊相対性原理:ふたつの慣性座標系においては、物理法則は同形である。』

さて多くの物理屋さんたちはこの 光速度一定の原理と特殊相対性原理 を以下のように解釈している様です。

A,絶対静止系はない したがって

B、全ての慣性系は同等である したがって

C、双子のパラドックス(加速度運動なし)はそのまま認める(つまり、相対速度をもった二つの慣性系はお互いが相手の時計を見た時には、相手の時計が遅れている事を確認するが、そこに矛盾はない、と。)

D,しかしながら、ミュー粒子は静止系である地球に対して運動しているので、その寿命は延びる。つまり「ミュー粒子の慣性系の時間は遅れる」と。そうして、そう解釈しても何もそこには問題はない、と。

E,しかしながらD,の解釈は暗黙のうちに「地球は静止系である」=「地球は特別な慣性系である」と認めているのと同じ事である。



上記のA~Dまでの認識がこの業界の一般的な認識である様です。

しかしながら当方に言わせれば「その立場はE,である事を認めているのと同じ」という事になります。



さてそれで前のページにおいて「特殊相対論においては時間の遅れ合成則(あるいはローレンツ因子の合成則)が成立している」という事を示しました。

それでこの「時間の遅れ合成則」によれば、「Dを認める」という事は「地球はO君の位置にある」と認める事とイコールである事になります。

そうしてボブ君(ミュー粒子)の時計を見て「お前の時計は遅れている」としているのでした。



さあこの認識は合っているのでしょうか?

本当に地球はO君の位置にあるのでしょうか?

そうして「なぜ地球はアリスの位置にあるのではない」と言い切れるのでしょうか??



そこで特殊相対論は言うのです。

「その事はボブの時計を測定してみればわかる」と。

ボブの時計の遅れが「0.43589・・」であれば「地球はO君の位置にあります。」

しかしながら

ボブの時計の遅れが「0.934051・・」であれば「地球はO君の位置にある」のではなく「地球はアリスの位置にある」という事になります。

そうしてそれは「ボブ君の時計(あるいはミュー粒子の寿命)を測定すればわかる事」なのであります。



しかしながら上記の数値の例は「アリスが0.8Cで基準慣性系に対して運動している場合」に相当します。

そうして当方の見る所「地球は基準慣性系に対して毎秒、最大で600kmで運動している」にすぎません。

そうであれば「ボブ君の時計(あるいはミュー粒子の寿命)の測定を行う必要精度と言うものは相当に厳しいものになるであろう」というのが「当方の主張する所」となります。


2、相対速度の対称性と時間の遅れの非対称性

相対速度というものは2つの慣性系の間で測定され、定義できるものである。

そうしてそれは「どちらの慣性系が測定しても同じ値になる。」

しかしながら「時間の遅れ」については相対速度に見られたような対称性はない。

大抵は「どちらか一方の時計が遅れている」と言うのが事実として観測されるのである。

その事は「宇宙から降り注ぐミュー粒子の寿命測定」が示している事である。



特殊相対論が「2つの慣性系」として「地球とミュー粒子」を見た時に、その立場は同等であるはずなのだが、何故かいつも「ミュー粒子の時計が遅れて観測される。」

これはつまり「相対論に言わせれば」「何かに対してミュー粒子は運動している」、一方で「地球はそれに対して止まっている」という事になる。

そうして今の所この「何か」については「不明なのである」。



しかしながら特殊相対論は地球とミュー粒子とを区別しない。

区別できないのである。

そうであれば「地球からみればミュー粒子の時計は遅れている」と回答し、そうしてまた「ミュー粒子からみれば地球の時計は遅れている」と回答するのである。

しかしながら「現実のこの宇宙では、いつもミュー粒子の時計が遅れていると観測される」のである。



さてこの状況は代数方程式の実根と虚根の関係に似ている。

方程式の解としてはなるほど実根も虚根もその方程式を成立させはするが、数値としてのリアリティーがあるのは実根だけである。

人間にとっては実根だけがリアリティーがあるのである。

しかし方程式はそれを区別しない。

それを区別するのは現実の宇宙の中で生活している人間である。



同様にして、特殊相対論は「双子のパラドックス(加速度なし)」では、「お互いが相手の時計を遅れていると観測する」と回答する。

しかしながら現実の宇宙では「お互いが相手の時計を遅れていると観測する」という事象は起こりえないのである。

起こっている事象は「いつもミュー粒子の時計が遅れていると観測される」というものである。

 

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