特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

宇宙の膨張(空間の膨張)による赤方偏移の件

2022-09-05 02:01:10 | 日記

宇宙の膨張(空間の膨張)による赤方偏移についてはEMANの物理学で詳細に検討されていました。

宇宙論的赤方偏移 : https://archive.fo/46MBB

『宇宙が膨張すると赤方偏移が起こる。』としてその説明を『重力赤方偏移の説明をなぞって進もう』でおこなっておられます。

そこでの議論は「なるほど」となる部分と「まてよ」という部分が混在している様に見えます。

それで、いつもお世話になっているEMAN物理であればあまり批判的な事は言わないのだが、以下、一応言及しておきます。

『・・・宇宙論的赤方偏移は,遠方の銀河が我々から遠ざかる速度を持つことで起きるのだという説明が行われるわけだが,このように,一般相対論的な道具を使った議論でも同じ結果が出てくるところが面白い.

いや,待てよ?!今回の結果は分かりやすいものだが,言われてみれば,遠方の銀河の後退速度との関係がまだよく分からない.その関係は光のドップラー効果による赤方偏移と一致しているなどと言えるのだろうか?それとも全く異なる振る舞いを見せるのだろうか?その辺りを確かめてみよう.』

という事で次の章『光のドップラー効果との比較』になります。

そうして、そこでの結論として
『これは先ほどの光のドップラー効果の場合と同じ形である!つまり,銀河の後退速度が光速よりずっと遅い場合,そして,あまり遠方でないという条件では,どちらの解釈をしても同じ結果になると言えるのである.』
とまとめておられるのは、少しばかり残念なのであります。

ちなみにその前の章で『以前にやった「重力赤方偏移」の説明では,時刻wの刻む間隔が「その場所で体感する時刻」とは違っている可能性を考えたのだった.
しかしロバートソン・ウォーカー計量では宇宙全体に共通で一定間隔で流れる時刻を採用しているのでその必要はない.』と指摘されている点は「なるほど」と勉強になりました。(注1)


追伸
「宇宙論的赤方偏移」で行っている「波長が伸びる証明の仕方」よりも次のページ「膨張宇宙では粒子は減速する」での説明の方が個人的には分かりやすいものです。

『膨張宇宙では粒子は減速する』 : https://archive.fo/LTFw8

『結論は,「粒子の四元速度の空間成分は,宇宙のスケールが増加するのに反比例して小さくなってゆく」ということだ.』とされます。(注2)

したがって光も粒子でありますからその速度は落ちる、、、事はできないので代わりに波長が伸びて結果的に光の運動量がへる。

こうしてフェルミオンの場合は「膨張に従って速度が落ちる=運動量がへる」のですが、光の場合は「運動量が減る=波長が伸びる」として理解する事が可能となります。


注1:「宇宙にある全ての銀河の時間経過の速度は同じであると主張している」と解釈しました。

そうしてその主張には当方も同意するのでした。


注2:億光年の距離を旅する自由粒子(含む光子)にとって「宇宙が膨張している」という事は「その分運動量が削られる」という事であります。

そうしてその事は「宇宙がそのように出来上がっている」という事でもあります。

その事はまた次のようにも言えます。

当該の自由粒子が宇宙空間を走り出した起点を中心として宇宙は膨張している様に、常に見える、そのように考える事が出来る、という事になります。

そうしてその事が宇宙膨張の本質でありますから、自由粒子が走れば走るほど、走り出した起点が存在した場所の基準慣性系から見た現在の粒子がいる場所の基準慣性系は起点が存在した場所の基準慣性系に対してより早い速度で遠ざかっている事になります。

これを逆に自由粒子が今いる場所の基準慣性系の立場から見れば「お前の速度は起点での速度より遅くなっている、運動量が少なくなっている」と見る事が出来ます。

そういうわけでこれが自由粒子が運動量を削り取られていくメカニズムであろう、と推察しているのです。(要するに単純な事なのですよ、状況は。)

それゆえに地球から出た光(電磁波)は走れば走る程赤方偏移する事になります。

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/WW8l3