特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2-21・円運動で時間遅れが測定できる理由

2023-10-28 02:28:49 | 日記

円運動している時計は円運動の中心に置かれた時計よりも時間の進み方が遅くなる。

まあこれは確認された実験事実です。

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円運動は連続横ドップラー状態である、という所から始めましょう。

「その2-20・横ドップラーシフトの測定について」で指摘したように「運動方向と光が直交する条件で光を観測する事」が横ドップラーシフトの測定では必要になります。

そうしてこの条件は「円運動の中心と円運動しているもの、それが観測者であれ、光源であれ、いずれの場合も自動的に満たされている事」になっています。

もちろん光源が円運動している場合は、観測者は円運動の中心に立ち、いつも光源の方を見ている様に自転している必要があります。(これは通説の計算条件に相当します。)

他方で観測者が円運動している場合は、観測者は常に円運動の中心に置かれた点光源を見ている事が必要です。(これはアインシュタインの計算条件に相当します。)

さてそのように設定できるならば、それは横ドップラーシフトで考えられている2つの場合「光源が動いて、観測者が静止している場合=通説の条件」と「観測者が動いて、光源が静止している場合=アインシュタインの条件」を見事に再現している事になります。

 

但しそこで問題になる事は「直線運動と違って、円運動では円運動している対象物に常に横Gがかかっている」という事です。

そうしてその「発生している横Gが円運動している対象物の時間の遅れに影響を与えるのではないか?」という疑問があります。

というのもよく言われている様に「重力は時間の遅れを引き起こす」という一般相対論の結論があるからですね。

さてそうなると「横Gは時間の遅れを引き起こすのか?」という事を確認しておく事が必要になります。

もし「引き起こす」というのであれば「その効果を考慮しないと円運動での時間の遅れを正しく計算する事が出来ない」という事になります。

しかしながら幸運な事に「横Gの存在は時間の遅れを引き起こさない」という実験結果が出ています。(注1

さてそうであれば我々は安心して「円運動の周回速度Vを使って、あとは特殊相対論が主張している式sqrt(1-V^2)に従って円運動している対象物の時間の遅れを計算できる」のです。

 

さてしかしながらそうやって計算出来た時間の遅れをどうやって確認したらよいのか、というのが問題になります。

円運動している対象物からどうやって時間遅れの情報を引き出すのか、という話です。

そうしてその時間遅れの情報を引き出すのを光を使ってやると、それがまさに「横ドップラーシフトの測定」となるのです。

 

さてそれで「光源が円運動している場合」では「光源の物理プロセスが円運動の中心から見ますと時間が遅れて見える」のです。

その結果として「原子、あるいは原子核から出てくる光の周波数が落ちているのが観測される」のです。

さてその時に「どの時点で光の周波数が落ちているのか」といいますれば「原子、あるいは原子核から観測対象となる光子が分離した時点」となります。

あとはその光子が中心にある観測装置にむかって光速で移動して来るだけです。

そうであれば中心にある観測装置は周波数が落ちた光子を観測する、つまりは「赤方偏移した光子を見る」のです。

そうしてその赤方偏移の程度から「円運動している光源の時間の遅れが分かる」のです。

さてそうであればこの方法では「2つの時計の間で時刻合わせをする必要がない」つまりは「ランダウ・リフシッツの一般解のしばり」からは自由になっているのです。

 

また逆に「観測者が円運動している場合」では「観測装置の時間が遅れます」。

そうしてその観測装置の時間の遅れを、基準の周波数を保っている光の周波数を測定する事で、逆に観測装置の時間の遅れが分かる、と言う次第です。

つまりはこの場合は観測装置は「青方偏移を観測する」のです。

そうしてこれはアインシュタインが導出した横ドップラーの式に適合しています。

 

さてそうであれば同じ円周上をお互いが常に相手を見るようにして置かれた光源と観測装置では両方ともに同じように時間が遅れる為に、観測された光には赤方偏移も赤方偏移も観測されず、基準の周波数が観測される事になるのです。

さてしかしながらその時に光源が大きな円周上を動き、観測者が小さな円周上を動く、ただし両者の角速度ωが等しい場合は、大きな円周上を動く方の周回速度が大きいのでそちらの時間の遅れの方が小さな円周上を動く観測者の時間の遅れよりも大となります。

さてそれで、これがまさに静止衛星と地上に暮らす我々との間で常に起こっている「時間遅れの検証実験」になっている理由です。

あるいは「視線方向の相対速度がゼロであるのに、静止衛星の時間が遅れる理由」です。

それは「静止衛星と我々が赤方偏移を示す横ドップラーの状況になっているからである」と言えます。

 

さてそうであれば2つの慣性系にそれぞれおかれた光源が円運動する横ドップラー測定装置では2つの装置共に赤方偏移を観測するのですが、その値にはずれが生じる事になります。

なんとなればその2つの円運動横ドップラー測定装置は異なる固有速度を持つ2つの慣性系に置かれているからです。(注2

 

注1https://archive.md/i5aGs

『CERNミュオンストレージリングで、正のおよび負の相対論的な(γ = 29.33)ミューオンの寿命が測定され、結果は以下の通りです:τ+ = 64.419 (58) µs、τ- = 64.368 (29) µsです。

正のミューオンの値は特殊相対性理論および静止状態での測定寿命と一致しています。

アインシュタインの時間拡張因子は、95%信頼区間で2×10^-3の相対誤差で実験と一致しています。

特殊相対性理論を仮定すると、μ-の平均固有寿命はτ0- = 2.1948(10) µsとされ、これはこれまでに報告された中で最も正確な値です。

この値が以前のτ0+の測定値と一致することは、ミューオン崩壊における弱い相互作用におけるCPT不変性を確認しています。』

円運動の周回速度が(γ = 29.33)である場合のミューオンの寿命測定結果です。

光速の99.94%まで加速したミューオンの寿命は特殊相対論による時間遅れの計算結果と「95%信頼区間で2×10^-3の相対誤差で実験と一致している」という結果です。

つまり「ぐるぐるまわりによる横Gの発生はミューオンの寿命の延びには影響を与えていない」という事を示しています。

ういき: https://archive.md/UTWGG :の「時計仮説 - 加速の影響の欠如」の説明によれば上記結果は

『Bailey et al. (1977) 粒子は最大約 10^18 Gの横加速度を受けました。結果は同じであったので、加速度は時間の遅れに影響を与えないことが示された。』

と解釈されている様です。

注2:円運動による基準慣性系の検出については

円運動を使った基準慣性系の判定

その2・ 円運動を使った基準慣性系の判定

を参照願います。

円運動による時間の遅れの検出を光を使って行うと「横ドップラーの測定」となります。

 

追記:上記本文の主張は英語版ういき: https://archive.md/N21ga :の「一方の物体が他方の周囲を円運動する」と「ソースとレシーバーの両方が共通の中心の周りを円運動します」で説明されている内容の再確認、あるいは別解釈でもあります。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/RdlBE

 


その2-20・横ドップラーシフトの測定について

2023-10-24 08:02:28 | 日記

20、横ドップラーシフトの測定の本質について

それは2つの慣性系の間の時間の遅れの測定になっている様にみえるのです。

そうして2つの慣性系の間の時間の遅れの測定が簡単ではない事は今まで述べてきた事です。

たとえばランダウとリフシッツが指摘したやり方では2つの慣性系の時間の遅れを測定する為には慣性系Aに一つ、慣性系Bに2つの時計が必要とされます。(注1)

そうしておいて2つの慣性系をすれ違うように動かします。

しかしながらそこで問題になるのは「時刻合わせをした当の2つの時計は2度と出会う事は無い」ので「どちらの時計が遅れたのか、その2つの時計を横に並べて直接確認する手段はない」という所にあります。

 

それに対して横ドップラー効果の測定では「どちらの慣性系の時間が遅れていたのか、測定できている様に見える」のです。

さてこれは一体どうした訳でしょうか?

基本的にドップラー効果は「相手の出す波の周波数をこちらの時計で観測する」という行為です。

したがってそこには「時刻合わせ」という概念はありません。

観測対象からの周期的な信号があればOKなのです。

観測対象のもつ時計に従って発信される周期的な信号を観測する事がドップラーシフトの観測となります。

そうしてそれがドップラーシフトの観測の基本です。

そう言う訳でドップラーシフトでは「相手の慣性系に時計が一つ、そうして観測者に時計が一つ、合計2つの時計でよろしい」となっています。

 

さてこれは「時間遅れの測定には3つの時計が必要である」といったランダウとリフシッツの主張に反している様にみえます。

それでその矛盾を解く鍵は「横ドップラーシフトの測定は近似的な方法である」という所にあります。(注2)

思考実験上では「横ドップラーシフトの測定は観測者と光源が属する2つの慣性系の相対速度ベクトルと直交する方向に向かってくる光源からの光の周波数を、光線が速度ベクトルと直交するポイントにいる観測者が測定する行為である」と定義できます。(注3)

但しこの時に2つの慣性系のどちらかが静止系である事が必要です。(注4)

そうしてまた「直交する」と言う条件はその静止系から見た時に「直交している事」となります。

 

さて通常はこの時に2つの計算条件に場合が分かれます。

①、一つは「光源が属する慣性系が動いていて観測者の属する慣性系が静止系である」という条件。

これがいまでは普通となってしまった通説の計算手順です。

②、もう一つはその逆の「光源が属する慣性系が静止系で観測者の属する慣性系が動いている」という条件です。

これがアインシュタインが1905年の論文で示した式の条件です。

 

さてそれで、いずれの場合でも速度ベクトルと光線が直交する点は1点しかありません。

そうして観測者、あるいは光源が動いているので、つまりは「その直交する一点にとどまっている事はできない」のです。

さてそうでありますので、ここで近似が入り込みます。

①の条件では光源はその直交条件に達する少し前に1パルス、直交点を通り越した後に1パルス、受光部に対して光を出す事になります。

そうであれば受光部は「本来は真上から来るはずの光」が少し手前と少し後ろから来ることになるのですが仕方がありません、来た2つの光の波の山と山の間隔を測定し「それが光の周期である」とするのです。

さてこれは実際は光源からの光は連続して受光部に届くのですが、それを説明の為に2分割しています。

それから「この理由の為に観測者と光源との距離は離れれば離れる程測定精度が高くなる」従ってアインシュタインは『光源と観測者の間の距離はほぼ無限が良い』と言ったのです。(注2)

 

次に②、光源が属する慣性系が静止系の場合です。

この時は光源はつねに直交点向けて光を出していればよい。

おっとこの時に光源から出てくる光は球面波です。(注5)

そうして注意をするのは観測者側です。

観測者は直交点に到達する少しまえに最初の光を受光し直交点を少し通り過ぎた後に次の光を受光し光の周期を出します。

こうして出された周期から換算された光の周波数がアインシュタインが1905年に提示した式で計算したものと一致するのです。

 

さてこうして多少の近似誤差は入るのですが直接2つの慣性系の時間の遅れの測定が横ドップラーシフトを使って行える事になるのです。

それでこの話のポイントは「直交点では縦ドップラー効果がゼロになる」という所にあります。

受光された光はいずれも2つの慣性系の相対速度ベクトル方向には速度を持たないからですね。

それからもうひとつ、最初の光の受光と2番目の光の受光時にその2つの光が通った光路の長さが等しくできる、という所にあります。

これが近似的にではありますが、「時刻合わせをした2つの時計がもう一度すれ違う」かの様な状況を作り出しています。(注6)

さてこうして「短い時間の間の測定」にはなりますが「それなりの精度で2つの慣性系の時間の遅れが測定できる」という事になったのでした。

 

さてそれでここで注意すべきは「なるほど、地球上での測定では観測者は地上に立ちそれを静止系である」として測定をおこない、それなりの結果を得ています。

しかしながら「実際は地球は完全な静止系ある」とはいえず「宇宙空間の中を動いている」のです。

そうであれば「精度のよい横ドップラー効果の測定」が行えた場合、それは理論計算値=地球が静止系であるとしたものとの間に誤差ではない差分を見出すことになります。

そうしてそれは「客観的な静止系が存在する」という事の実験的な検証行為になるのです。

 

注1:タキオンレーダーがあれば2つの慣性系にそれぞれ一つづつの時計を置いておいてそれをすれ違い時に時刻合わせをして、あとはお互いがタキオンレーダーを使って相手の時計の時刻を読み取ればそれで済み、ですがいまだ「速度無限大のタキオンレーダーは存在していません」ので、この方法は「思考実験どまり」という事になります。

注2:アインシュタインが述べたように「光源と観測者の間の距離が無限に遠い=点光源から発せられた光を平面波として扱える」ならば「横ドップラーシフトの測定は厳密に時間遅れの測定になる」のです。

しかしながら今まで行われてきた横ドップラーシフトの直接測定ではこの条件を満足出来てはいません。

したがって「原理的には横ドップラーで時間の遅れを測定可能」なのですが、実際問題としては「近似的な測定に留まってしまう」のが実情です。

注3:音のドップラーシフトではでてこない「慣性系」と言うのがここで現れます。

そうして又ここで言う相対速度ベクトルとは光源と観測者を結ぶ直線上で定義される相対速度ではない事に注意が必要です。

あるいは逆に「光源と観測者を結ぶ直線上で定義される相対速度がゼロになる点」を「横ドップラーが観測できる点である」としても同じ事になります。

なんとなれば「その位置では縦ドップラー成分がゼロになるから」ですね。

注4:この「2つの慣性系のどちらかが静止系である事が必要」という条件は「とりあえずの条件」であって、「そうではない条件設定も可能」ですが、ここではそのように宣言しておきます。

注5:レーザーを使う場合はレーザー光のビーム幅を広げるか、受光部側の大きさ(長さ)を大きくしておく必要があります。

というのも「レーザー光は球面波ではなくて平面波であるから」ですね。

そうであれば「少なくとも受光部は1波長以上の長さの光を受光する必要があるから」ですね。

そうしないと「受光した光の周期が計算できないから」です。

注6:光源が動く場合は光源側に仮想的に2つの時計が置かれている事になります。

そうして観測者が動く場合は観測者側に2つの時計がある事になります。

そうであればここでも実は「ランダウ・リフシッツが指摘した事=時計は3つ必要である」が実現していることになるのです。

但しランダウ・リフシッツの条件と違う点は「動いている方に2つの時計を置いている」という所にあります。

そうしてもう一つの重要な相違点は「2つの慣性系におかれた時計の間で時刻合わせをする必要がない」という所にあります。

ただし「この2つの時計は同一の慣性系にあった場合は同じ速さで時を刻む=秒針の動く速さが同じである」という事は必要条件となります。

そうして実際の所、「時間遅れの測定」というのは「2つの時計の間の秒針の進む速さの比較」であって「それが分かるならば必ずしも時刻合わせをする必要は無い」のです。

はい、もちろん時刻合わせをしてもいいのですが、その方法では「時間遅れの測定はほとんど不可能に見える」のです。

その事は「LLの一般解」で示しました。

しかしながら「横ドップラーの測定」ではこの「LLの一般解の制約」をうまく逃れている事になります。

 

追記:「時間の遅れはお互い様」を主張する方々の「思考実験方法」は結局は「ランダウ・リフシッツが指摘したやり方の計算による確認」になっています。

そうしてそのやり方では「時刻合わせがマスト」なのです。

そうして「時刻合わせを必要とするやり方」では「実際問題として時間の遅れの測定は難しい」のです。

その事は「LLの一般解」が示している事ですが、それに対して今まで行われてきた時間の遅れ測定の実験は一つをのぞいて「時刻合わせを必要としない実験方法」となっています。

まあそれについては後述する事になりますが、「時刻合わせをした時間遅れの実験」とは「時刻合わせをした2つの原子時計を飛行機に載せて地球を右回りと左回りに一周させた実験」であって「これは確かに時刻合わせをして時間遅れを測定した」と言えるものです。

しかしながらこれは「円運動を使っている」と言う点で「等速直線運動している2つの慣性系の時間遅れの測定にはなってはいない」という事には注意が必要です。

 

追記の2:時刻合わせをする「ランダウ・リフシッツが指摘したやり方」は「時間が遅れている事の確認の為」には「計算とその計算結果の解釈が必要」でした。

そうして残念な事に「計算結果の解釈の仕方は一通りではなかった」と言うのが「LLの一般解が示した事」でした。

つまり「計算結果を見てもどちらの慣性系の時間が遅れているのか特定できない」のです。

しかしながら「横ドップラーでの確認」はそのような「計算と計算結果の解釈の余地はない」のです。

「光源の色が赤く見えるのか青く見えるのか」ただ単にそれだけを確認すれば「どちらの時間が遅れているのか分かるから」です。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/Pyzou

 


その2-19・アインシュタインがやったこと+光行差の式

2023-10-20 00:36:58 | 日記

2、アインシュタインがやったこと

アインシュタインが「光源を動かして観測者が静止している」と言う条件でどのようにアインシュタインの式と光行差の式を使って「赤方偏移の計算をした」のか、確認しておきます。

それでアインシュタインの式は従来通り

ν’=ν*(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2) ・・・(2)式

アインシュタインが出した光行差の式

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここで求めるべきは「観測者を静止させて光源を動かす」という実験を行った時のドップラー係数です。

それはつまり「観測者から見た時に光源からの光は真上から来る、従ってφ’はπ/2である」という事です。

従って光行差の式は

cosφ’=cos(φ’)=0

=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここで相対速度を0.5Cとしますと

0=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

=(cosφ-0.5)/(1-0.5*cosφ)

これをcosφをxに置き換えてウルフラムに入れます。

0=(x-0.5)/(1-0.5*x)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%EF%BC%90%3D%28x-0.5%29%2F%281-0.5*x%29

x=0.5=cosφ

従って

φ=invcos(0.5)=π/3

φがでましたので、これをアインシュタインの式に入れます。

(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2)

=(1-0.5*Cos(π/3))/sqrt(1-0.5^2)

=(1-0.5*0.5)/sqrt(1-0.5^2)

=0.866

こうしてアインシュタインは自分が導出した2つの式から「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値が計算出来た」のです。

そうしてその値は「赤方偏移を示していた」のであり、これが実験によって確かめられたのです。

 

ちなみにこの0.866という数字は通説の式で角度を90度とし、相対速度を0.5Cとした場合に一致しています。

一応グラフでその状況を確認しておきます。

y=0.866,y=sqrt(1-0.5^2)/(1+0.5*cos(x)),y=(1-0.5*cos(x))/sqrt(1-0.5^2),y=1000000*(x-pi/2),y=1000000*(x-pi/3),y=1 プロット  0<x

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0.866%2Cy%3Dsqrt%281-0.5%5E2%29%2F%281%2B0.5*cos%28x%29%29%2Cy%3D%281-0.5*cos%28x%29%29%2Fsqrt%281-0.5%5E2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F3%29%2Cy%3D1%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++0%3Cx%3Cpi+%2C-0.1%3Cy%3C2

紫の縦棒が角度π/3の位置を示します。

その縦棒とアインシュタインの式である緑のカーブとの交点が解ですが、それは通説が示す式のコトブキ色のカーブの角度がπ/2の値と一致しています。(注1)

 

こうしてアインシュタインは通説の式を使う事なく「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値が計算出来た」のでした。

アインシュタインが「全ての運動は相対的なものである」=「絶対運動はない」という立場をとっていたと想定する事は自然な事であります。

そうであれば「光源が静止していて観測者が動いている」という前提で導出したドップラーシフトの式を「光源が動いていて観測者が静止している」と読み替えたと想定する事も自然な事でしょう。

但しその読み替えの時に「観測者にとっては光源からの光は上方から90度の角度で観測者に届いた」という条件を付け加える事が必要でした。(注2)

これが「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値を計算する為の条件」でした。

そうしてそれはこれもまた自分が導出した光行差の式を使う事で可能となったのでした。

 

2-2、アインシュタインが出した光行差の式の別導出方法

通説の式は

『ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1-V*Cos(Θ)) ・・・(1)式

但し静止している観測者に対して光源が動く場合: Θ  : 観測者から見た光源の動く方向(Θ  =0 :観測者に向かってくる場合)』

それでアインシュタインの式は

『ν’=ν*(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2) ・・・(2)式

但し静止している光源に対して観測者が動く場合: Θ  :光源から見た観測者の動く方向(Θ  =π :光源に向かってくる場合)』

 

ここで(1)式のドップラー係数の部分を

sqrt(1-V^2)/(1+V*Cos(Θ))=sqrt(1-V^2)/(1+V*x)

x=cos(φ’)

(2)式のドップラー係数の部分を

(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2)=(1-V*b)/sqrt(1-V^2)

b=cos(φ)

とします。

ウルフラムを呼んで

sqrt(1-V^2)/(1-V*x)=(1-V*b)/sqrt(1-V^2) の根

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-V%5E2%29%2F%281-V*x%29%EF%BC%9D%281-V*b%29%2Fsqrt%281-V%5E2%29%E3%80%80%E3%81%AE%E6%A0%B9

答えは

x=(b-V)/(bV-1)

変数名をもどして

cos(φ’)=(cos(φ)-V)/(V*cos(φ)-1)

光行差の式の形に合わせると

cos(φ’)=-(cos(φ)-V)/(1-V*cos(φ))

もともとのアインシュタインが出した光行差の式は

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここでドップラー係数の部分の通説の式とアインシュタインの式は角度の取り方が逆になっている事に注意します。

その部分を加味しますとウルフラムで出した式のφ’はπ-φ’の事であり従ってアインシュタインが出した光行差の式のφ’に合わせますと

cos(φ’)=(cos(φ)-V)/(1-V*cos(φ))

となり、めでたくアインシュタインが出した光行差の式と一致する事になります。

 

さてこれは皆さんがやっておられる「アインシュタインのドップラーシフトの式をアインシュタインの光行差の式を使って通説の式に変換する」という事を逆にやってみたのです。

そうであれば「こうなる事は見えていた事」です。

 

しかしながら「光源を止めて観測者が動いている」として導出されたアインシュタインの式と、それとは真逆の「光源を動かして観測者を止めている」として導出した通説の式をイコールで結ぶと何故か「アインシュタインが出した光行差の式が出てくる」というのは不思議な事の様にみえます。

というのも2つのドップラーシフトの式を導出する際には光行差の事は考えていない、考慮していないからです。(注3)

にもかかわらずこの2つの式をイコールで結ぶとアインシュタインが出した光行差の式が出てくるのです。

このあたり、もう一つ光行差の式の秘密が隠れいる様に思われます。

 

注1:プロットされたカーブが説明と異なる場合は再トライしてみてください。

ウルフラムは時々違うカーブを出す事があります。

注2:「観測者が静止していて光源が動く場合」に対応した通説の式では、この条件は幾何学的に設定できます。

しかしながら「観測者が動いていて光源が静止している条件で出されたアインシュタインの式」では「光源側から見た時の90度条件は簡単に設定できますが、その光を観測者がどのように認識しているのか」は幾何学的には解析できません。

そこは「アインシュタインが出した光行差の式を使う」以外には方法はないのです。

注3:アインシュタインがドップラーシフトの式を導出した手順は: http://fnorio.com/0160special_theory_of_relativity/special_theory_of_relativity.html#2-B-3 :「2.ドップラー効果」をご確認願います。

通説の条件でのドップラーシフトの式を導出する手順は、たとえば: https://archive.md/krajI :あるいは: https://archive.md/cbVVE :の様になります。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/G3wzj

 


その2-18・再び:通説の式とアインシュタインの式

2023-10-16 02:35:34 | 日記

以下、通説の式とアインシュタインの式の再確認となります。

これは多くの方々がやっている「アインシュタインの式を変形させて通説の式に統合しているやり方」への批判になります。

そうして又「その2-5」の続きでもあります。

 

「その2-5」では相対速度の符号の取り方を通説の式に合わせました。

というのも通説の式とアインシュタインの式は符号の取り方が真逆になっているからです。

そうしてこの2つの式を1つのグラフとして表す為にはその様な工夫が必要でした。

それでこのページでは相対速度の符号の取り方をアインシュタインの式に合わせます。

そうすると通説の式は

『ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1-V*Cos(Θ)) ・・・(1)式

但し静止している観測者に対して光源が動く場合: Θ  : 観測者から見た光源の動く方向(Θ  =0 :観測者に向かってくる場合)』

から

『ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1+V*Cos(Θ)) ・・・(1)式

但し静止している観測者に対して光源が動く場合: Θ  : 観測者から見た光源の動く方向(Θ  =π :観測者に向かってくる場合)』

と直すことになります。

それでアインシュタインの式は従来通り

『ν’=ν*(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2) ・・・(2)式

但し静止している光源に対して観測者が動く場合: Θ  :光源から見た観測者の動く方向(Θ  =π :光源に向かってくる場合)』

です。

 

このように修正してまずはグラフをプロットします。

おっと相対速度Vは従来通り0.5Cです。

y=sqrt(1-0.5^2)/(1+0.5*cos(x)),y=(1-0.5*cos(x))/sqrt(1-0.5^2),y=1000000*(x-pi/2),y=1 プロット  0<x

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3Dsqrt%281-0.5%5E2%29%2F%281%2B0.5*cos%28x%29%29%2Cy%3D%281-0.5*cos%28x%29%29%2Fsqrt%281-0.5%5E2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F2%29%2Cy%3D1%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88+%C2%A00%3Cx%3Cpi+%2C-0.1%3Cy%3C2

表示はΘが0からπまで、上のカーブがアインシュタインの式、下のカーブが通説の式になっています。(注1)

横線はいわゆるドップラー係数が1、つまり周波数が変化しない位置をしめしており、それより上は青方偏移を下は赤方偏移する事を示しています。

そうして横ドップラーの起きる場所はΘ=π/2≒1.57であり、その位置は縦棒が示していますがアインシュタイン条件、つまりは光源が静止していて観測者が動いている場合と通説の条件=観測者が静止していて光源が動いている場合のそれぞれのドップラー係数が読み取れます。

さてそうしますと横ドップラーシフトの観測ではアインシュタイン条件では青方偏移を観測し、通説条件では赤方偏移を観測する事になるのが確認できます。

ここでΘ=π/2の時のそれぞれの式の形を確認しておきます。

(1)式(π/2)=ν*sqrt(1-V^2)

(2)式(π/2)=ν/sqrt(1-V^2)

V=0.5を代入すると

(1)式(π/2,0.5)=ν*sqrt(1-V^2)≒0.866ν

(2)式(π/2,0.5)=ν/sqrt(1-V^2)≒1.155ν

 

さてそれで、皆さん方がおやりの方法はここで相対論的な光行差の式を持ち出してアインシュタインの式にそれを代入し、「ほらみてごらん、アインシュタインの式は通説の式になった」というのです。

従って「アインシュタインの式は不要で通説の式がドップラーシフトを表す一般式である」と主張するのです。

 

ちなみにアインシュタインの原論文ではその光行差の式は

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

となっています。

ここでφ'は光源を静止させ観測者を動かした時に光源から観測者に向かう光が観測者の速度ベクトルとなす角度をφとしたときに、観測者自身がその光線をどの様な角度で観測者に届いたのかを認識する角度になります。

 

例えば静止している光源が上方から下方で動いている観測者に光を出します。

等速直線運動している観測者の速度ベクトルと光源からの光が直交する時が横ドップラーを測定できるタイミングです。

それで光行差の式は「静止している光源から見ればπ/2、つまりは90度の直交条件で相対速度が0.5Cで動いている観測者に光を届けたとしても観測者はそれを真上から光が届いた、とは認識しない」という事を示しています。

光行差の式より

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

=(cos(π/2)-0.5)/(1-0.5*cos(π/2))

=(-0.5)/(1)=-0.5

従って

φ’=invcos(-0.5)=2/3*π

となります。

さてそれでこの値を今度は通説の式に代入する事になります。

なんとなれば「観測者から見た時に上記の状況はどのように認識されているのか」を計算したら、φ’=2/3*π、つまりは「光線は真上からは来ていない」となったからですね。

観測者からみると「光源がこちらに向かって0.5Cで動いてきていて、それが直交条件になる前に光を出してそれを観測した」となっているのです。

そうであれば「観測者が静止していて光源が動いている場合のドップラーシフトを表す式」を使う事になります。

つまり「通説の式を使う=(1)式を使う」のです。

 

ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1+V*Cos(Θ)) ・・・(1)式より

ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1+V*Cos(Θ))

=ν*sqrt(1-0.5^2)/(1+0.5*Cos(2/3*π))

=ν*1.1547005・・・

≒1.155ν

はい、これはアインシュタインの式で計算した横ドップラーの時の値そのものになっています。

その状況をグラフで確認します。

y=sqrt(1-0.5^2)/(1+0.5*cos(x)),y=(1-0.5*cos(x))/sqrt(1-0.5^2),y=1000000*(x-pi/2),y=1000000*(x-2*pi/3),y=1.155,y=1 プロット  0<x

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3Dsqrt%281-0.5%5E2%29%2F%281%2B0.5*cos%28x%29%29%2Cy%3D%281-0.5*cos%28x%29%29%2Fsqrt%281-0.5%5E2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F2%29%2Cy%3D1000000*%28x-2*pi%2F3%29%2Cy%3D1.155%2Cy%3D1%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++0%3Cx%3Cpi+%2C-0.1%3Cy%3C2

緑色の縦棒が角度が90度の直交条件を示します。(注1)

そうしてオレンジ色の縦棒が角度が2/3*πの位置を示します。

話のスタートが「光源が静止していて観測者が動く」でしたからアインシュタインの式、つまり上のコトブキ色のカーブを使います。

その時に角度90度の横ドップラーでは紫色の横線が示すように「青方偏移を観測」します。

さてそれで今度はその状況を観測者側の立場から見たのでした。

そうすると光行差の式より「観測者は光はφ’=2/3*πで来ている」つまり「光源がこちらに向かって0.5Cで動いてきていて、それが直交条件になる前に光を出してそれを観測した」となっているのです。

そうしてその角度、「観測者が光源を見ている角度がφ’=2/3*πである」となっているのです。

そうであればこれは「観測者が静止していて光源が動いている場合を計算できる式=通説の式を使う=(1)式を使う」のです。

その(1)式は青色のカーブで示されています。

そうしてその青色のカーブと角度が2/3*πの位置を示すオレンジ色の縦棒との交点が(1)式をつかった場合の回答を示しています。

そうしてその回答は紫色の横棒と一致しています。

つまり「光源が動いている」とした場合でも「青方偏移を観測する」のです。

 

この結果は「当然と言えば当然の事」であります。

物理的な状況は一つ。

「光源が静止していて観測者が動いている」が前提で横ドップラーを観測したら「青方偏移していた」のです。

それを今度は観測者主体でみたら「赤方偏移していた」となったとすれば「それは本当におかしな事」となります。

一つの物理的な状況に対しては横ドップラーは一つに決まるのです。

そのあたりまえのことが光行差の式を使う事で確認できた」という事になります。(注2

 

さてこの状況の時に多くの方々がやっている事は「ここで相対論的な光行差の式を持ち出してアインシュタインの式にそれを代入し」、「ほらみてごらん、アインシュタインの式は通説の式になった」というのです。

「それは何をやっているのか」と言いますれば「光行差の式を使ってコトブキ色のカーブを青色カーブに変換した」のです。

そうしておいて今度は角度90度の所の青色カーブの値を見て「赤方偏移している」としているのです。

そうして「なぜφ’=2/3*πの時の角度を使わないのか?」と聞けば「横ドップラーを測定するのは角度が90度だから」と答えるのです。

さてこれは「光行差の式の乱用」「誤った使い方と解釈」であります。

そうしてそのような「光行差の式の乱用」「誤った使い方と解釈」から「横ドップラーは常に赤方偏移する」が出てくるのであります。

 

注1:プロットされたカーブが説明と異なる場合はもう一度プロットさせてみてください。

注2:上記で展開した話は「ドップラーシフトはローレンツ不変である事」を証明したものになっています。

その見方を以下に示します。

「まずは光源が静止していて観測者が動いている」と言う条件で横ドップラーを観測すると青方偏移していた」のでした。

それで今度は観測者を静止させなくてはいけないので、「観測者と同じ方向に同じ速度で移動する観測者②」を登場させます。

この観測者②にとってはドップラー効果を観測した観測者は静止していて光源がこちら側に近づいてくるように見えます。

それはつまり「動いていたドップラーシフトの観測者の動きを止める様にローレンツ変換をした」という事に相当します。

それでその時に観測者②がドップラーシフトの観測結果を見ても「青方偏移していた」のでした。

従って「ドップラーシフトの観測結果はローレンツ不変である」という事になるのです。

ちなみにこのことは「固有時がローレンツ不変である」という状況によく似ています。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/X3WT5

 


その2-17・アインシュタインの相対性原理と通説の相対性原理

2023-10-13 01:41:08 | 日記

1、アインシュタインの式と通説の式から同じ縦ドップラーの式が導出される理由

見かけ上はこの2つの式は全く別の形、逆の形をしています。

そうであれば「光源と観測者の間の相対速度がV」という「相対性原理からすれば同じ状況である」にもかかわらずこの2つの式は一方は何時も赤方偏移を示すのに他方は常に青方偏移を示すのでした。

さて「このような状況はまずい」ので、従って多くの方々は「アインシュタインの式を変形させて通説の式に一本化する」ということで「ドップラーシフトの一般式は通説の式でよい」としてきました。

つまりは「横ドップラーでは常に赤方偏移する」としたのです。

はい、それは「横ドップラーでは青方偏移を観測する事はありえない」という宣言でもありました。(注1

 

しかしながら本当のドップラーシフトの一般式は(1)式でした。(注2

この式からはアインシュタインの式も通説の式も出てきます。

以前に指摘した様にアインシュタインの式も通説の式も(1)式が表すドップラー係数の集合の一断面を表すものでしかないからです。

そうしてこの(1)式を縦ドップラーの条件で解きますと sqrt(1+V)/sqrt(1-V) という式が出てきます。

そうであれば(1)式の一断面を表すものでしかないアインシュタインの式も通説の式も、縦ドップラーの条件でそれを計算すれば sqrt(1+V)/sqrt(1-V) という式が出てくるのは当然という事になります。

なんとなればアインシュタインの式も通説の式も「見かけは異なりますが、もともとは同じ一つの(1)式から出てきたものであるから」です。(注2)

 

2、(1)式は相対性原理に反しているのか?

特殊相対論導出の前提となったアインシュタインの相対性原理は次のように宣言されています。

「全ての慣性系において物理法則は同じ式で表される」

それに対してそれを拡大解釈した通説の相対性原理は次のようになります。

「全ての慣性系は平等である=優先される慣性系はない=客観的に存在する静止系はない」

 

さてそれで「通説の相対性原理」からは「時間の遅れはお互い様」が出てきます。

その様に最初に宣言したのはミンコフスキーでした。

それに対してアインシュタインは「ぐるっと一回り、そのあたりを運動してきた時計は元の位置にそのままいた時計よりも時間が遅れる」といいました。

さて、ここでのポイントは「アインシュタインは時間の遅れはお互い様とは言ってはいない」という所にあります。

 

さてそれでドップラーシフトの一般式が(1)式ですと「時間の遅れは一方的」であり「客観的な静止系は存在する」という事になります。

つまりは「(1)式は通説の相対性原理には反する」のです。

 

さあそれで(1)式はアインシュタインの相対性原理には反していますか?

当方の見る所では「(1)式はアインシュタインの相対性原理には適合している」となります。

なんとなれば(1)式は「任意の慣性系において行われたどのような種類のドップラーシフトの実験であっても、その実験結果を説明する事ができるから」であります。

そうであれば「(1)式はアインシュタインの相対性原理には適合している」事になります。

なんとなれば「どの慣性系においても同じ(1)式が成立しているから」です。

 

注1:従って「横ドップラーの実験で青色偏移が観測されると通説の式は一般式ではない」という事が証明されるのです。

そうして逆に「青色偏移が観測された実験結果」は自動的に「ドップラーシフトの一般式は(1)式である」という証明になるのです。

注2:ドップラー効果を表す一般式

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2) ・・・(1)式

ここでVrは静止系に対する観測者の相対速度(=固有速度)、Vsは静止系に対する光源の相対速度(=固有速度)を示します。

但しVr、Vsの方向はお互いが近づく方向をプラスに取ります。

f1は観測される周波数、f0は光源の周波数です。

角度についてはこれまでと同様の取り方になります。

Θ1=π、Θ2=0がお互いが近づく方向、Θ1=0、Θ2=πがお互いが離れる方向です。

但しこの時 Θ2=abs(Θ1-π) の関係が成立しています。それで

(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2)) の項が古典的なドップラー効果を表す部分で

sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2) の項が相対論的な効果(=時間遅れの効果)を表します。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/kaFTA