特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

特殊相対論での加速度の扱い

2022-07-31 03:28:51 | 日記

今までの議論の延長線上での話ですので「時間の遅れは基準慣性系に対する相対速度で決まる」が前提になります。

そうであれば円運動をしているアリスの時間は運動の接線方向にある速度ベクトルの大きさ V だけで決まり、進行方向の横方向に作用している向心力の影響は受けない、という事になります。(注1)

運動方向に対して直交する方向に作用する力は運動方向を変える事はできますが、速度ベクトルの大きさを変える事はありません。

そうしてこの事実はμ粒子に円運動を行わせて寿命を測定したセルンおよびブルックリンの実験によって確認されています。

それで、ここでテーマとして取り上げるのは「慣性系に対しての相対速度 V の大きさを変化させるような加速度について」という事になります。

そうであればここで扱う加速度はアリスの運動方向に沿った方向に作用する加速度、それによってアリスの基準慣性系にたいする相対速度の大きさは変化する事になります。

それでその様な時のアリスの時計の遅れはどうなるのか、というお話です。

以下「運動すると時間が遅れる件・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=3863#post_id27192 :を参照します。

『・・・相対速度 Vは光速Cで割って規格化しておきます。

つまり Vは0以上、1以下の数値になります。

それから時間の遅れ=時間軸方向の速度 Vtを導入します。

これは時間軸方向の速度を示すもので、基準慣性系=静止系では1となり、光の速度で動くとゼロになります。

その様に設定しますと時間の遅れのローレンツ変換は以下の様に書けます。

Vt=sqrt(1-V^2) ・・・①式』

V が一定の時はVtも一定であってしたがって基準慣性系での経過時間を T としますとアリスの経過時間 Ta は

Ta=T*Vt=T*sqrt(1-V^2) 

となります。

それでこの式は相対論電卓で時間の遅れを計算する時の式と同じになります。

さてそれで基準慣性系での固有時刻tに対してVはV(t)と書けるとします。これは「相対速度Vを基準慣性系の固有時tの関数として見る」という事です。

そうすると

V=V(t)=A*t

となります。ただしここでAは加速度を表し、今回Aは時間変化はないものとします。

そうしてVtが一定の時はTaはVtを0からTまで動かした時の積分と同等でした。(注2)

従ってVt=A*tの場合も同様にしてtを0からTまで積分すればTaが求まる事になります。

Vt=sqrt(1-V^2)=sqrt(1-(A*t)^2) ・・・②式

Taは②式をtをゼロからTまで積分すれば求まります。

そうして積分、といえばウルフラム君の出番です。

但しこの積分を行うにあたり、時刻Tでゼロからいったいどこまで速度Vを持ち上げるのか決めておく必要があります。

そうして最終到達速度V(T)は当然、光速C=1未満でなくてはなりません。

それが決まりますと具体的な数字がAに入ります。



例えば20日間の加速で0.8Cまで宇宙船を加速し、そこから慣性飛行にうつるとします。

そうなるとAは

A=0.8/20

となり、②式は

sqrt(1-(0.8/20*t)^2) ・・・③式

となります。

それでこの式を20日まで積分してやります。

sqrt(1-(0.8/20*t)^2)をtが0から20までの範囲で積分

上記文をウルフラムにいれてポチります。

https://ja.wolframalpha.com/

答えは17.5912日となります。(注3)

こうして一定加速度A=0.8C/20日で20日間加速して、最終速度が0.8Cに到達した時の宇宙船の中の時計の針の位置が分かるのでした。(注4)



注1:具体的には「荷電粒子の進行方向を変える粒子加速器のローレンツ力による向心力の影響は受けない」という事になります。

加えて「横Gは作用しても時間の遅れは発生しない」という「驚くべき内容」でもあります。

注2:0.8Cで飛行する宇宙船の中の経過時間は、たとえば20日間それで飛行したとしますと、0.8Cで飛行した時の時間のおくれ速度VtはVt=0.6でしたから

0.6をtが0から20までの範囲で積分

という事になります。

上記文をこののまウルフラムに入れますと

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=0.6%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%8920%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えが12日と求まります。

つまり基準慣性系では20日経過したが、宇宙船の中では12日経過したに過ぎない、となるのです。

注3:以下は実施例

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D%EF%BC%88%EF%BC%90%EF%BC%8E%EF%BC%98%2F%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%8A%EF%BD%94%EF%BC%89%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%EF%BC%90%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

注4:船の中の時計では加速期間は17.5912日。

それだけの加速期間で最終速度が0.8Cに到達した、ということは、「船にとってみれば平均加速度は0.8C/17.5912日」という事になりそうです。

船にとってこの加速度が船内時間経過によらない一定加速度であったかどうかは疑問が残りますが、等価原理によれば「一定加速度であった」という事になるのでしょうか?

ちなみにこの場合の縦G加速による縦Gの発生、そうしてそれによる船内時間の遅れはゼロである、が前提になっています。

それで「 縦Gは横G同様に時間の遅れは発生させない」が実験事実となります。

このあたり「等価原理では発生したGは重力と同等であり、重力場が持つポテンシャルによる時間の遅れ、あるいは進みがあるのでは?」と言う疑問については当方、現状は答えを持っておりませんのであしからず。

但し実験事実は「 縦Gは横G同様に時間の遅れは発生させない」です。

時間の遅れの実験的テスト
https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Experimental_testing_of_time_dilation?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc


『双子のパラドックスと移動する時計

ベイリー等(1977)CERNミューオンストレージリングのループの周りに送られた正と負のミューオンの寿命を測定しました。この実験は、時間の遅れと双子のパラドックスの両方を確認しました。
つまり、時計が送り出されて元の位置に戻るという時には、静止している時計よりも遅いという仮説です。[27] [28]
双子のパラドックスの他の測定には、重力時間の遅れも含まれます。

Hafele-Keating実験では、実際のセシウムビーム原子時計が世界を周回し、静止時計と比較して予想される違いが見つかりました。


時計の仮説-加速の効果の欠如

時計の仮説は、加速の程度は時間の遅れの値に影響を与えないと述べています。
上記の以前の実験のほとんどでは、崩壊する粒子は慣性系にありました。つまり、加速されていませんでした。
しかし、ベイリーらでは(1977)粒子は、最大10^18Gの横方向加速度を受けました。
結果は同じであったため、加速は時間の遅れに影響を与えないことが示されました。[27]

さらに、Roos 等では(1980)0.5と5.0×10^15Gの間の縦方向の加速を受けたシグマバリオンの崩壊を測定しました。
この場合も、通常の時間の遅れからの逸脱は測定されませんでした。[29]』<--「通常の時間の遅れ」=特殊相対論での計算による時間の遅れの事


参考文献[27]が「横Gは時間の遅れに影響を与えない」で
[29]が「縦Gは時間の遅れに影響を与えない」となります。


追伸
時間の遅れについてのローレンツ変換の式を素直にみますと「円の式になる」という事はすでに指摘しました。

そうしてY軸が時間軸、X軸が空間軸なのですが、それぞれがその方向への速度の大きさを示す図となり、半径が1の円となります。(但しC=1としています。)

それで基準慣性系で見た時に「静止状態」では時間軸方向に対象物は速度1で進んでいます。

これが空間軸方向に速度Vで運動すると、X軸成分としてV/CがX軸の値で、それを上に伸ばして円とぶつかった所のYの値が時間軸方向の速度Vtとなります。(そうなるとローレンツ変換は言っているのです。)

従って何のことはない、半径が1の円の半径部分がY軸から角度ΘでX軸方向に回転した、その時のX軸方向の速度成分はSinΘでY軸方向の速度成分がCosΘになる、と言っているだけの事であります。

そうであれば保存しているのは半径=1=Cという事になります。



PS:相対論の事など 記事一覧



https://archive.fo/BAuGW

https://archive.fo/qIFH1

 


運動すると時間が遅れる件

2022-07-28 04:17:50 | 日記

当方の前提では「基準慣性系に対する運動が時間の遅れを引き起こす」というものです。

これは従来の特殊相対論の解釈、「相対速度があれば、相手の時間は遅れる」というものとは一線を画すものです。(注1)

そうしてこの基準慣性系は宇宙のどの場所に於いてもユニークに決定されているのです。

それでその基準慣性系が相対論で言う「静止系」にあたります。

ちなみに地球がその基準慣性系=静止系になっているのかどうかは、今の所はまだはっきりしません。

たぶん違っているとは思うのですが、基準慣性系からのずれ量が光速Cに比べて小さいために目立たなくなっていると思われます。


まあそれはさておき、そのように世界を設定しますと、時間の遅れと基準慣性系に対する運動=相対速度 Vとの間の関係が単純に表せます。

それで相対速度 Vは光速Cで割って規格化しておきます。

つまり Vは0以上、1以下の数値になります。

それから時間の遅れ=時間軸方向の速度 Vtを導入します。

これは時間軸方向の速度を示すもので、基準慣性系=静止系では1となり、光の速度で動くとゼロになります。

その様に設定しますと時間の遅れのローレンツ変換は以下の様に書けます。

Vt=sqrt(1-V^2)

さてこの式はこうも書けます。

Vt^2+V^2=1

これは半径が1の円の式です。

VtをY軸にとり、VをX軸にとれば原点を中心とした半径1の円です。

そうして、運動していない時=静止している時は時間軸方向にのみ速度Vt=1で固有時間が進むのです。

しかしながら、空間方向に運動し始めますとその運動速度Vの分だけ時間軸方向の速度が半径1の円に沿って落ちます。

こうして「時間についてのローレンツ変換=時間の遅れは単に以上の様な事を言っているにすぎない」という事になるのです。

ちなみにこの場合X軸、Y軸ともに速度を表していますので、通常のミンコフスキー時空図ではない、という事にご注意願います。


追伸
上記の様に世界を設定しますと「保存量は速度ベクルの大きさ=1=C」であって、その値が通常のミンコフスキー時空の中で保存されている、という事になります。(その様に解釈できます)


追伸の2
基準慣性系に対して止まっている時、我々は時間軸方向に光速で移動しています。

他方で光は常に空間方向に光速で移動する存在であり、それ以外の運動方式をとりえません。

光は時間軸方向には速度を持たないのです。

しかしながら我々は時間軸と空間軸が作る世界の中を移動する事が可能なのです。

・・・この辺りの理解の仕方が通常のミンコフスキー時空図の理解の仕方とは少し違ってきています。


注1:すべての慣性系は平等であって、特別な慣性系はない=基準慣性系はない、というのが通常の特殊相対論の立場です。

しかしながら、その様に宣言する、という事は「すべての慣性系は自分を静止系として相手が運動している慣性系である」と見る事を可能にします。

そうしてこの見方が「双子のパラドックス(加速度運動なし)」=「お互いが相手の時計が遅れている、と主張する事」を生み出す原因となっているのです。

現実の世界では「2つの時計は同時刻を示すか、一方の時計が他方の時計より遅れるか進むか、その3つの場合があるだけ」であり「お互いの時計が他方の時計より遅れる」などという状況は起り得ません。

そうしてそんな事が起こっている、としたらそれは「因果律の破壊」と同程度にひどい「論理(ロジック)の破壊」=「世界は物理法則ではなくファンタジーの世界の法則に支配されている」という事になります。

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/jUsxA




 


時計の不思議

2022-07-25 01:37:35 | 日記

唐突ですが、特殊相対論で絶対のものが2つあります。

一つは光速で、これはいつもCです。

もう一つは「静止と言う状態」でこれはどの慣性系でも特別です。

なぜかといいますと、その慣性系の中では唯一ローレンツ変換の影響を受けないからです。



まあそれはさておき、時計と言うものは不思議なものです。

と言いますのも「動いていると時間が遅れるように見え、実際に時間は遅れる」模様です。

それでこの状態は「動いているものの内部時間は延びる」でいいと思います。

何をいいたいのか、と言いますと「動いているものの長さは縮む」と対応させたいのでこう言います。

それで疑問なのは、「時間の進む速さが遅れる」と相対論はいうのですが、「それは宇宙船に積んだメトロノームの動きを静止系から、外からみればわかる事」です。



同様にして「長さが縮む」のも、静止系から見た時の話で、しかしながら実は「動いているものの長さを計る」という事は少々難しい事で「例の同時性」とやらが絡んできて話が厄介なのです。

しかし「外から見て縮む」のですから「外の時計で同時に計れば多分いいのでしょう。」

それでも「動いていない、静止している物差しを動いているものに当てて計る」のですから厄介な話です。



さてそれで、静止系として宇宙ステーションを取ります。

そこからアリスが旅に出て0.9Cに到達したらそこから引き返してきます。

で、皆さんが言うのは「もどってきたアリスの時計が遅れているのが確認できる」ということで、どうやら実際そうなる模様です。

しかしながら「宇宙船がローレンツ短縮した」のは「戻ってきた宇宙船を見ても確認できない」のです。



ふむ、時計と言うのは「記憶機能を持つ」模様で、どこそこでの時間遅れが発生するとそれをメモリーできる模様です。

しかし宇宙船の長さはそのような記憶機能は持っていない、という事になります。

そうであれば宇宙船が宇宙ステーションに戻った後では「宇宙船が実際に縮んでいた、と言う証拠はない」のです。

しかしながら時間に関しては「確かに宇宙船の内部時間は延びていた、と言う証拠がある」のです。



相対論が言う「宇宙船の時間の遅れ」はメトロノームを外から見ればわかる。

同様にして「宇宙船の縮み」は宇宙船を外から見ればわかる。

ここまでは時間の伸びと長さの縮みは相同的です。



しかしながら、「宇宙船の縮みを宇宙船内部で記録できるような存在はない」のです。

それに対して「時計は宇宙船内部にありながら時間の伸びを記録できる」のです。

ちなみに「メトロノームでは記録は出来ません」。

そうであればみなさん、「時計と言うものは不思議なものだ」とは思いませんか??


追記
動くと時間が遅れる(小さくなる)、と言うのは「遅れるのは時間が経過する速さ」であって、通常我々がt(時間)で表すものは「時間間隔」あるいは「時刻」ですね。

このあたりミンコフスキー空間(図)においても混乱して使われている様に見受けます。

特にローレンツ変換をミンコフスキー空間(図)に表したものがその様に見えます。


追伸の2
動くと長さが縮む、と言います。

だが「動くと距離が縮む」とはいいません。

長さと言うのは言ってみれば「距離間隔」ですね。

そうして所定の距離間隔をどれだけの時間で移動したのか、と言うのが「速度」どなります。

さて同様にして「所定の時刻間隔をどれだけの速さで移動したのか」が「固有時の経過速度」となります。

速度を時間で積分すると距離になります。

同様に「固有時の経過速度」を時間で積分すると「固有時の経過距離」=「固有時の経過時間」=「時間」となります。

ういきの「特殊相対論」の中の「時間(時刻の隔たり)の伸び」の中での説明はそのように言っています。

https://archive.fo/8ggjL

そうして「延びるのは動いている対象物の時刻間隔」であり従ってその事は「時刻の経過速度が遅い」=「時間が遅れる」という事になります。

以上の事から分かります様に「時計が刻む時刻は固有時刻である」という事になります。


ちなみにういきの「時間の遅れ」の記述ではこうなっています。

https://archive.fo/5YPwu

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/yw3jl

 

 


双子のパラドックスでの業界の認識間違いの件

2022-07-23 05:02:59 | 日記

以下、英文のういき「双子のパラドックス」を参照します。

https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Twin_paradox?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=nui,sc#Specific_example

・同時性の相対性(あるいは同時刻性?) の所にある「双子のパラドックスのミンコフスキー図」をみますと、地球からはなれていくアリスが旅の真ん中で地球に近づく宇宙船にテレポートする絵が描いてあります。

地球から離れていく時に地球時間と宇宙船内部での時間(時計の示す値)が同じ数値になった場所を青い線で結んでいます。そうしてこの線が「同時である事を示している」と主張しています。

これは「地球におかれた時計と宇宙船の中の時計が示す針の位置が同じ位置にあったから」という理由でそう呼んでいます。

そうしてアリスの旅の真ん中でアリスは今度は地球に接近する宇宙船に、アリスがもつ特別な能力「テレポーテーション」によって2隻の船がすれ違う時に移動します。

そうしてアリスが地球の時計をみると、なんと飛び移ったその時に地球の時計はジャンプを起こし、時間が素早く経過するのだ、とういきは説明しています。

そうしてまたこれがこの業界での一般的な認識となっている模様です。

その宇宙船を乗り継いだアリスが描いた「同時刻線」が「ミンコフスキー図」に今度は赤色で書かれいます。

それをみますと確かにアリスが宇宙船を乗り換える為にジャンプした時に地球時間もまた未来方向に向かって大幅にジャンプしています!

そうして業界では「それでいいのだ」としているのです。



それで今度は「双子の時空経路の違いによる経過時間の違い」の章をみます。

そこにも「ミンコフスキー図」が描かれてあり、「同時刻線」が細い赤の線で示されています。

今度の旅ではアリスにはテレポーテーションは要求されず、宇宙船が「慣性飛行~方向転換~逆噴射による減速~続けて地球に向かって再加速」の手順で旅を行います。

しかしながらその場合でも宇宙船が方向転換して地球に向かう時(ターンアラウンドの時)に地球の時間が宇宙船の時間に対して大幅に進む、としています。

そうしてその状況はそこに描かれた「ミンコフスキー図」をみれば一目瞭然でありましょう。

そうして又、上記の「宇宙船を乗り換える図」はこの「逆噴射~減速~再加速」を一瞬で行った場合である、方向転換にかかった時間をゼロに持って行った極限の図である、という様に理解している様です。



さて、しかしながら「特殊相対論での加速度の扱い・相対論」: https://archive.md/BAuGW : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27439 :で示しましたように「加速度運動によって発生する横Gおよび縦Gは時間の遅れに影響しない」のでした。

それで上記の例では宇宙船に縦Gが発生しますがその影響は時間の遅れには影響せず、ただ加速度が加わる事で宇宙船のそのときどきの地球慣性系に対する相対速度Vが変化し、それによる時間の遅れが発生し、そうしてその時は厳密にローレンツ変換に従う、あるいは相対論電卓の計算に従うのですが、その様にして発生している時間の遅れが積み重なるのでした。

従って加速度運動中の時間の遅れはその部分を積分すれば求まる、というのは「特殊相対論での加速度の扱い・相対論」で示した通りです。

それでウルフラムでの積分計算と同時に示される「積分の視覚的表現」をみれば分かるのですが、宇宙船の時間は加速度運動中は地球時間に対して同等の速度で進むか(この時は宇宙船は地球慣性系に対して相対速度Vがぜろ、つまり地球に対して止まっている場合)、あるいは相対速度Vに応じた時間の遅れが宇宙船側に発生している、但しそれは慣性飛行中に発生していた時間の遅れを最大値としてそこまでである、という事が分かります。

つまり「ういきが主張している様な」あるいは「双子のパラドックスを説明している業界の主張にみられる様な」、「ターンアラウンド時に発生する地球時間の未来方向への大幅な進み、あるいはその極限としての不連続な時間のジャンプ」などという事は起らない、という事が分かるのです。



追伸 : 地球の時間が進む、あるいは未来に向かってジャンプする、という事はコトバを変えれば「その時に宇宙船の内部時間はそれまでの遅れとは違って大幅に遅れる」、あるいは「宇宙船の中の時間が止まっている、それでその間に地球の時間が進んだ」という事になります。

しかしながら実際はそのいずれの状況も宇宙船では起こらない、と言えます。

特に「加速~減速~再加速」という旅では、宇宙船の中の時間の遅れが一番大きくなるのは慣性飛行中であって、加速度運動中では時間の遅れは慣性飛行中以下にしかならないのは「特殊相対論での加速度の扱い・相対論」で行った積分計算とウルフラムで計算と同時に示される「積分の視覚的表現」をみれば分かる事でありましょう。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D%EF%BC%88%EF%BC%90%EF%BC%8E%EF%BC%98%2F%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%8A%EF%BD%94%EF%BC%89%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%EF%BC%90%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

慣性飛行中はこれ

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=0.6%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%8920%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86


これらの積分計算の内容詳細についてはこちら

「特殊相対論での加速度の扱い・相対論」: https://archive.md/BAuGW :
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27439


追伸の2
宇宙船が方向転換する際に地球の時間が異常に進む=宇宙船の中の時間の遅れがそれまでより大きくなる、というういきの説明が間違っているのは
「単振動での時間の遅れ・相対論」 : https://archive.md/FJO5M : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27477
に紹介されている実験レポートおよび単振動での時間の遅れの状況の計算結果をみれば明白な事であります。

地球と折り返し点の間を単振動の挙動で飛行している宇宙船の時間の遅れの状況はウルフラムで計算と同時に示される「積分の視覚的表現」をみれば明らかなように「異常なジャンプや極端に違う遅れ」などは発生していません。

ちなみにこの「積分の視覚的表現」の横軸は地球での固有時となっていますので、もし地球時間に異常なジャンプがあればその影響ははっきりと「積分の視覚的表現」に現れる事になります。


追伸の3
地球の時刻と宇宙船の時刻が同じところを線で結んで「同時である」と言う様に表現するのには違和感があります。

進行する宇宙船のトップとボトムとの間で同時性を議論するならば分かりますが、つまり「同一の慣性系の中の2点間の関係として同時性を話す」なら分かりますが、異なる2つの慣性系の間で「時刻が同じだから=時計の針が同じ場所を指していたから同時である」と言う主張は違うと思われます。

それは「同時」ではなく「時間合わせをしたところから計って同じだけの量の固有時間が経過した」という事に過ぎないからです。


PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/3T07Y


地球が大体は基準慣性系として機能している件

2022-07-21 01:23:50 | 日記

横ドップラー効果の件・相対論 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=3885#post_id27364 :でも見た様に「運動している対象物の時計の遅れは観測者に対する相対速度にはよらない」のでした。

そうではなくて「観測者が立っている慣性系に対する相対速度で決まる」のです。(注1)


しかもこの観測者が立つ慣性系は自由には選べず地球が大まかにいってその立場に立てる、という事になります。

つまりは地球から宇宙に飛び立ったアリスやボブは「相手の時間や地球の時間は観測出来るやもしれませんが、それは地球の慣性系に対する運動状態で決まってしまっている相手の時計の針の位置を確認するだけ」という事になります。

それで、ここのところが従来の特殊相対論の理解の仕方とは異なってくるポイントになります。

従来の理解の仕方は「相手との相対速度が相手の時間の遅れを決める」というものでした。


さて横ドップラー効果についても同様に「地球の慣性系に対する運動が対象物=運動している光源の時間の遅れを規定している」為に「観測者=観測装置に対する相対速度はゼロであってもドップラーシフトが観測される」のです。


その様な実例の一つとして加速器の中で円周運動しているμ粒子の寿命測定実験を上げる事が出来ます。

円運動している粒子の円の中心に観測の為の慣性系の原点をとるのがいいでしょう。

その観測点に対しては円周上をぐるぐるとまわっているμ粒子は相対速度を持ちません。

半径が一定で回りますからそうなります。

しかしながらレポートによれば、「円周上を回る速度に応じた特殊相対論の計算に従う時間の遅れ=寿命の延びが確認できる」のでした。

それはμ粒子は円運動の中心に対しては相対速度を持ちませんが「地球と言う慣性系には相対速度を持つから」です。


そうでありますから、地球上の実験室系を一応は基準慣性系として認めて、その慣性系に対する相対速度をもつ場合に時間の遅れが生じる、という理解が必要になります。

そうして、その理解を前提にしますと「宇宙に飛び立った光速に近い速度で地球から離れていく宇宙船にタキオンで情報を送れた」としても「宇宙船から戻ってきたタキオン返信は地球からタキオン通信を行った時点よりも前には戻る事はない」という事になります。

従いまして「タキオン通信は過去に情報を送れるために因果律を破壊する」と言う理解は間違いである、という事になります。

あるいはそのように「ミンコフスキー時空図で記述された光速を超える事象に対する認識をする事」=「理解をする事」は間違っている、という事にもなります。


注1:慣性系に対する相対速度ですから、対象物がその慣性系の中で直線運動をしていても曲線運動をしていても、その時々の運動方向に従った接線速度が定義できます。

それで、ここでいう「慣性系に対する相対速度」というのはこの接線速度=速度ベクトルの大きさの事になります。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/pyLka