特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

論文・タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

2023-07-29 02:05:07 | 日記

『The Tachyonic Antitelephone』

G. A. BENFORD, D. L. BOOK, AND W. A. NEWCOXB
Lawrence Radiation Laboratory, University of California, Lioermore, California 94770
(Received 23 June 1969) 

『仮想的な光速を超える粒子(タキオン)は、最近、理論的におよび実験的に多くの注目を集めています。それにもかかわらず、光速を超える信号に関連する因果関係については難しい問題があります。これらが十分に解決されていないことを示すことを期待しています。特に、少なくとも現在の一部のタキオンの生成と検出の試みは、基本的な理由で失敗に終わる可能性があるように思われます。

1917年にトールマンは「トールマンの逆説」と呼ばれる論証を提示し、もし光速を超える信号が伝播できる場合、過去との通信が可能になることを示しました。つまり、それらは「逆電話」となります。最近、ビラニウク、デシュパンデ、スダーシャンらは「再解釈の原則」によってこの議論に答えようと試みました。


・アメリカ原子力委員会の支援のもとで行われた研究です。

1、M.P. Bilaniuk、V.K. Deshpande、およびE.C.G. Sudarshan、「Am. J. Phys. 30、718(1962)」。

2、 Feinberg、「Phys. Rev. 159、1089(1967)」。

3、M.P. BilaniukとE.C.G. Sudarshan、「Phys. Today 22、No. 5、43(1969)」。

4、Alvager、およびM.N. Kreisler、「Phys. Rev. 171、1357(1968)」。

5、 AlvagerとP. Erman、「1965 Annual Report of the Nobel Research Institute(未公開)」。詳細についてはRef. 3も参照してください。

6、 MagliéとR. Schliiter(BilaniukとSudarshanへの私信);詳細についてはRef. 3も参照してください。

*REC、Tolman、「The Theory of Relativity of Motion」(カリフォルニア大学出版局、バークレー、1917年)、pp. 5

彼らは、時間4で点1を出発し、より早い時刻¢に点2に到着する負のエネルギーを持つタキオンは、点2から点1に向かう正のエネルギーを持つタキオンとして再解釈できることに注意しました。したがって、2つのイベントのうち早い方は常に放射として見ることができ、遅い方は吸収として見ることができます。彼らは、タキオンの世界線の終端である「「早い」」方は観測者の参照系に依存することを指摘しました。つまり、タキオンの放出は別の観測者からは吸収と見なされるかもしれません。私たちが見るように、この主張だけではトールマンの逆説を反証するには十分ではありません。

トールマンの逆説は光速を超える通信に関連しており、信号システムとして使用されない場合のタキオンは排除しません。非変調のタキオンビームには逆説はありません。現在の理論は主に非相互作用のタキオンを扱っています。相互作用が導入されると、トールマンの逆説に直面する必要があります。すべての物理的要件を満たす相互作用が見つかるかどうかは合理的に問われるかもしれませんが、私たちはこの問題について判断を下しません。

さまざまな実験が行われてきましたが、いくつかの相互作用が存在するという仮定のもとで行われました。これまでの結果は一貫して否定的でした。それにもかかわらず、「改良された装置で」同じ方向でのさらなる実験が行われることが提案されています。仮定されるとおりに装置が機能すると仮定しましょう。これだけでパラドックスが生じます。

典型的な実験には以下の要素が含まれます。

(1) 振幅変調が可能なタキオン源。ある実験では、鉛ターゲットへのγ線照射によってこのような源が提供されることになっています。γ線の強度を変化させることで必要な変調が行えます。

(2) タキオン検出器。別の実験では、通常の半導体カウンターがこの目的で使用されました。

(3) モノエネルギーのビームを与える速度フィルター。この要素には、ダブルフォーカスの8型スペクトロメータが使用されました。このフィルターは必須ではありませんが、解析を簡略化するために導入されています。』

『このような実験での陽性結果は既に光速を超える通信システムを構成します。なぜなら、検出器の応答が源の変調とまったく相関しない場合、それは陽性結果とは見なされないからです。

信号対雑音比(S/N比)の問題については考慮しません。S/Nが小さすぎる場合、信号を増幅できると仮定します。もしNがS'に比例して必然的に増加する場合(Feinbergの議論によって可能性が示唆されるかもしれない)、それは前述の実験に対しても陰性結果を意味します。

問題を簡単にするために、空間時間図に基づく幾何学的な論証を使用します。図1では、EとLeの線は光錐を示しています。別のフレーム(x'、t')へのローレンツ変換を行うには、同じ図にx'とt'を描き、ZxまたはZzがOx'とOz'の(ユークリッド)角度の二等分線であるという性質を保持します。この角度は変換の不変な性質ではありませんが、ミンコフスキー空間を紙のユークリッド空間によって表現する結果として現れるものですが、視覚的な補助として有用です。

さて、(x,t)フレームで原点でのタキオンの放射を考えてみましょう。図2のようになります。タキオンは光速を超えて移動するため、その世界線は光錐の外側にあります。もしOx'がセクターL,0Pにある場合、タキオンの』

Fig, 2. A tachyon trajectory. 

8 See Appendix B of Ref. 2.

『もしOx'がセクターL,0Pにある場合、(x',t')系の観測者にとってタキオンの速度はcと無限大の間になります。もしOx'がセクターPOLにある場合、プライム系の観測者は負の無限大から-cの間の速度を見ることになります(この観測者にとって、0とPの時間的な順序は逆転します)。タキオンビームは、適切に選ばれた参照系に対して、-cから+cまでの範囲外の任意の速度を取ることができます。

私たちは、標準速度V>c(Vエミッターと呼ばれる)のタキオンを放射するエミッターと、速度Vのタキオンの吸収を検出する検出器(Vディテクター)が組み合わされた要素(1)〜(3)を仮定します。これらのVエミッターとVディテクターが与えられた場合、私たちは別のタイプの送信機と受信機を構築します。

図3に示すように、エミッター(F1、Fo、...、En)をコンベアベルトに取り付けます。コンベアのホイールは、実験室テーブルに固定された軸に剛性ピンで固定されています。適切な速度でホイールを回転させることにより、原則としてエミッターには実験室系で測定された-cから+cまでの任意の速度を与えることができます。また、各エミッターの側面には、エミッターのタキオンビームの変調器に供給される所望のメッセージが事前にプログラムされた小さなコンピュータを取り付けます。これにより、実験室から移動するエミッターへのメッセージの伝送に関連する困難が排除されます。全体のシステムを実験室系で固定された新しい源とみなし、出力速度をV'とします。その後、V'は-cから-beまでの範囲外の任意の値を取ることができます。

同様に、コンベアベルト上のVエミッターをVディテクターに置き換えます。すると、全体のシステムはV'ディテクターとして機能し、V'は以前と同じ速度範囲をカバーします。入力メッセージは接続されたコンピュータによって読み取られ、実験者の利益のために記録され、コンベアベルトが停止した後に彼が読むことができます。』

『私たちの2人の実験者、AとBにはそれぞれV'エミッターとV'ディテクターが与えられます。単純化のために、彼らは有限の距離で分かれているものの、同じ参照系で静止しています。Aのコンピュータのプログラミング、コンベアベルトの起動、Bの停止、受信メッセージの読み出しには有限の遅延が関与します。しかし、これらはAとBの間の距離には依存しません。距離を十分に大きくすれば無視できるほどにすることができます。

図3. 変調されたタキオンビームを用いた信号の送信装置。エミッターAi、E2、...(それぞれに制御コンピュータが付属)は、適切な速度で回転するコンベアベルトに取り付けられています。対応する受信機は、エミッターを検出器D1などに置き換えて構築されます。

非常に大きな正のV'に対して、この配置では任意の高速な通信システムが可能になります。これがタキオンの概念を非常に特異なものにしています。さらに驚くべきことに、V'が負の場合、信号は時間を逆行します(図4を参照)。

ビラニウクとスダーシャンは、実験者がイベントをどのように見るかはこの方法ではないと示唆しています。Aにとって、点B;が点Aiよりも時間的に先行していることは明らかであり、したがって軌跡A1BiはBiで放射されAjで吸収されるタキオンを表しています。この再解釈によって、実験者が自分自身の過去に信号を送る可能性に関連する問題が排除されると主張されています。

ビラニウクとスダーシャンが考えていたのは、AとBが単一のタキオンを交換する状況でした。しかし、ここでは、メッセージの送信に使用される任意の長さの変調ビームを扱っています。例えば、Aがウィリアム・シェイクスピアであり、Bがフランシス・ベーコンであり、V'が負の場合、シェイクスピアがタキオン送信機でハムレットをタイプした場合、ベーコンは何らかの早い時点でその受信を受けます。しかし、再解釈をしてもベーコンをハムレットの著者にすることはできません。メッセージの内容を制御するのはベーコンではなく、シェイクスピアです。

任意のタキオン軌跡(任意の時空間的な間隔)において、終点の時間的な順序は参照系に対して相対的です。しかし、情報の伝達方向は必然的に相対論的に不変です。例えば、著者の署名は常に源の不変な指標となります。

この文脈では、事象の因果関係の順序付けは、時間的な順序付けとは独立に確立されます。なぜなら、一般に、タイミングに関係なく因果関係を区別する方法があります。実際、通常の状況では、時間間隔がほとんど感知できないほど短い場合でも、原因と結果を区別することができます。たとえば、ランプがスイッチで制御されていることを推測するためには特別な装置は必要ありません。ハムレットの例では、片方の参加者だけが制御的な立場にあるため、区別が可能です。』

図4. AとBはタキオンの逆電話を使用して時間を逆行して通信します。Aが3時に送信したメッセージ(A1)はBが2時に受信します(Bi)、など。

『時間逆行の通信のパラドックスはよく知られています。AとBが以下の合意に達すると仮定しましょう:Aは3時にメッセージを送信することになっており、それが1時にメッセージを受け取らない場合に限ります。Bは2時にAからのメッセージを受け取った直後にAに届くメッセージを1時に送ります。すると、メッセージの交換は行われるかどうかは、行われない場合に限ります。これは真のパラドックスであり、因果関係の矛盾です。

しかしこれこそが、上記で言及された実験によって可能になるタイプのパラドックスです。各ケースでは、使用される仮定のタキオン源を変調することができ、これらの変調が使用される検出器によって受信されます。もしこれらの実験でタキオンが源から放射されたものを検出した場合、ここで議論されたような要素的な修正が行われる可能性があります。"アンチテレフォン"を構築することができ、私たちはトールマンのパラドックスに直面することになります。このパラドックスに対して真に根本的な解決策が見つかるまで、このようなタキオンの実験は陰性結果しか生み出せないと結論せざるを得ません。』

 

図に関しては原論文を参照願います。

https://ia803106.us.archive.org/11/items/20210624_20210624_2321/The%20Tachyonic%20Antitelephone.pdf

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我々にとっては「必要以上に道具立てが複雑」で理解するのが難しくなっています。

それはこの論文に先立つ先行者の論文に対応する為であったかと思われます。

そうして又この論文によれば『1917年にトールマンは「トールマンの逆説」と呼ばれる論証を提示し、もし光速を超える信号が伝播できる場合、過去との通信が可能になることを示しました。』という事になっている様です。

しかしながら当方が直接トルーマンの文を読んだ限りではその様には読めませんでしたが、「そのように読む」のが普通の様です。

 

さて、この論文ではよく分からん、という方には以下の資料を読まれる事をお勧めします。

↓↓↓

2008年 ティプラー、ポールA。; Llewellyn、ラルフA.(2008)。現代物理学(第5版)。ニューヨーク州ニューヨーク:WH Freeman&Co。p。54. ISBN 978-0-7167-7550-8。...したがって、粒子の存在v > c ...タキオンと呼ばれる...相対性理論と深刻な...無限の創造エネルギーと因果関係のパラドックスの問題を提示します。

現代物理学(第5版)のpdfアドレスはこちら

http://web.pdx.edu/~pmoeck/books/Tipler_Llewellyn.pdf

P54を見ろ、と言ってますのでそこを見ます。
『Tachyons and Reversing History
Use tachyons and an appropriate spacetime diagram to show how the existence of such particles might be used to change history and, hence, alter the future, leading to a paradox.・・・』

タキオンと逆転の歴史
タキオンと適切な時空図を使用して、そのような粒子の存在が歴史を変え、したがって未来を変え、パラドックスにつながる可能性があることを示します。・・・

・・・という出だしに続いて

Figure 1-42
『A tachyon emitted at O in S, the laboratory frame, catches up with a spaceship moving at high speed at P. Its detection triggers the emission of a second tachyon at P back toward the laboratory at x = 0. The second tachyon arrives at the laboratory at ct < 0, i.e., before the emission of the first tachyon.』

実験室の座標系であるSの(原点)Oで放出されたタキオンは、点Pまで高速に移動し、そこで宇宙船に追いつきます。宇宙船はその検出により、点Pで2番目のタキオンをx=0(原点位置にある)実験室に向かって放出します。2番目のタキオンは実験室に到着します。 ct <0で、つまり最初のタキオンが放出される前に。

と説明している図1-42が出てきます。

この図をこの本(初版)が出た後での世の中の諸氏方が参照しているものではないのか、と思われます。(ネット上で確認できる図はたいていがこの図のコピー、あるいはそれを多少、修飾したものになっている模様。)

なお本文内容につきましては該当ページをコピーされグーグル翻訳などにてどうぞ。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/KNpfd

 


タキオン反電話の歴史(過去に情報を送れるタキオン通信の話)

2023-07-26 01:39:51 | 日記

以下、歴史的な記述については主にういき「タキオン反電話」: https://archive.md/u7rl1 :の記述に従っています。

 

1905年 アインシュタイン 特殊相対論 発表 

何と言っても「時間は遅れる」という話の起点はここです。

その意味では「時間を物理の対象として扱える様にしたアインシュタインの仕事」は独創的ですばらしいものであります。(注1)

 

それで光速をこえる速さの通信について最初に考えたのはアインシュタインの様です。

1907年 Einstein, Albert (1907). "Über das Relativitätsprinzip und die aus demselben gezogenen Folgerungen" [On the relativity principle and the conclusions drawn from it]:相対性原理とそれから導かれる結論について

第二巻 スイス時代 著作 THE RELATIVITY PRINCIPLE 1900~1909年 265P : https://archive.md/Qk7lu :

https://einsteinpapers-press-princeton-edu.translate.goog/vol2-trans/279?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

『速度vはcよりも小さい任意の値を取ることができます。したがって、私たちが仮定したようにW> cの場合、常にT<0となるようなvを選ぶことができます。この結果は、達成された効果が原因よりも先行する可能性のある転送メカニズムを考慮する必要があることを意味します。

純粋に論理的な観点からは、この結果には矛盾が含まれていないと思われますが、これはすべての経験の性質と相いれないほどのものであるため、仮定W> cの不可能性を証明する十分なものとなるように思われます』。

ここでのアインシュタインの結論は「ロジックでは間違いはないが、現実とは合わない」として「超光速通信は存在できない」としています。

 

1908年 ミンコフスキー 「空間と時間」

この中で「時間の遅れはお互い様」をMN図を使って説明している。

そうして「運動している観測者はY軸上にある相手の慣性系の過去の時計の時間を確認し、自分の時計の時間と比較して相手の慣性系の時間が遅れている事を見出す」と主張している。

それで実は上記の主張の中にすでに「速度無限大のタキオンを使うと過去の情報が確認できる」という内容が潜んでいる事に気が付くのです。

つまりミンコフスキーは言外に「タキオンは過去に走る」と言っている事になります。

 

1910年 アインシュタインとアーノルド・ゾンマーフェルト

アルバート アインシュタインの特殊相対性理論:出現 (1905 年) および初期解釈 (1905 ~ 1911 年)

「過去に電信する」手段として説明された。

↑↑↑

この資料については原典にまで到達できませんでした。

ちなみにアインシュタインとゾンマーフェルトは「仲良し」だった模様。

それは丁度ポアンカレとローレンツが仲良しだったことと相似的であります。

 

1917年 Tolman、「The Theory of Relativity of Motion」(カリフォルニア大学出版局、バークレー、1917年)、

『今、速度uとVの大きさに制限がなく、特に因果的な刺激が光速よりも大きい速度uでAからBに移動できると仮定しましょう。明らかに、速度uを十分に大きくとることで -(?) が1よりも大きくなり、Atは負になります。言い換えれば、系Sの観測者にとって、Bで起こる効果はAで起こる原因の時間よりも先になるでしょう。

このような状況は論理的には不可能ではないかもしれませんが、その非常識さから判断すると、因果関係の刺激は光速よりも大きな速度で移動することはないかもしれません。』

トルーマンの論文のテキストファイル

https://archive.org/stream/theoryrelativmot00tolmrich/theoryrelativmot00tolmrich_djvu.txt
Velocities Greater than that of Light 54 :54ページからこのテーマについての話が始まっています。

上記トルーマンの結論もアインシュタインの結論と同じです。

 

1962年 M.P. Bilaniuk、V.K. Deshpande、およびE.C.G. Sudarshan、「Am. J. Phys. 30、718(1962)」。

1965年  AlvagerとP. Erman、「1965 Annual Report of the Nobel Research Institute(未公開)」。詳細についてはRef. 3も参照してください。

1967年  Feinberg、「Phys. Rev. 159、1089(1967)」。

1968年 Alvager、およびM.N. Kreisler、「Phys. Rev. 171、1357(1968)」

1969年 M.P. BilaniukとE.C.G. Sudarshan、「Phys. Today 22、No. 5、43(1969)」。

196?年  MagliéとR. Schliiter(BilaniukとSudarshanへの私信);詳細についてはRef. 3も参照してください。

 

1969年 G. A. BENFORD, D. L. BOOK, AND W. A. NEWCOXB:Phys. Rev.D PARTICLES AND FIELDS 1970
(Received 23 June 1969) タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

「タキオン反電話」と言い出したのは上記のベンフォードの様です。

この論文についてはページを改めて提示する事と致します。

まあしかしながら「書かれている内容は難解」です。

ちなみに上記の「関係する論文リスト」はこのベンフォードの論文からの引用になります。

 

2008年 ティプラー、ポールA。; Llewellyn、ラルフA.(2008)。現代物理学(第5版)。ニューヨーク州ニューヨーク:WH Freeman&Co。p。54. ISBN 978-0-7167-7550-8。...したがって、粒子の存在v > c ...タキオンと呼ばれる...相対性理論と深刻な...無限の創造エネルギーと因果関係のパラドックスの問題を提示します。

現代物理学(第5版)のpdfアドレスはこちら

http://web.pdx.edu/~pmoeck/books/Tipler_Llewellyn.pdf

P54を見ろ、と言ってますのでそこを見ます。
『Tachyons and Reversing History
Use tachyons and an appropriate spacetime diagram to show how the existence of such particles might be used to change history and, hence, alter the future, leading to a paradox.・・・』

タキオンと逆転の歴史
タキオンと適切な時空図を使用して、そのような粒子の存在が歴史を変え、したがって未来を変え、パラドックスにつながる可能性があることを示します。・・・

・・・という出だしに続いて

Figure 1-42
『A tachyon emitted at O in S, the laboratory frame, catches up with a spaceship moving at high speed at P. Its detection triggers the emission of a second tachyon at P back toward the laboratory at x = 0. The second tachyon arrives at the laboratory at ct < 0, i.e., before the emission of the first tachyon.』

実験室の座標系であるSの(原点)Oで放出されたタキオンは、点Pまで高速に移動し、そこで宇宙船に追いつきます。宇宙船はその検出により、点Pで2番目のタキオンをx=0(原点位置にある)実験室に向かって放出します。2番目のタキオンは実験室に到着します。 ct <0で、つまり最初のタキオンが放出される前に。

と説明している図1-42が出てきます。

この図をこの本(初版)が出た後での世の中の諸氏方が参照しているものではないのか、と思われます。(ネット上で確認できる図はたいていがこの図のコピー、あるいはそれを多少、修飾したものになっている模様。)

なお本文内容につきましては該当ページをコピーされグーグル翻訳などにてどうぞ。

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1969年のベンフォードの論文は難解でしたが「現代物理学(第5版)」の説明は分かりやすいものになっています。

そうして多分、ここでの説明でもベンフォードのタキオン反電話の本質を伝えていると思います。

ちなみにこれ以降「タキオンがあれば過去に情報が送れる」はういきの説明も含めて大方はここの記載のコピペになっている模様です。

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2021年9月26日 entangle1「その1・ タキオン反電話」: https://archive.md/zEk7d :にて『計算の途中で計算の主体を入れ替える事が原因で情報が過去に飛んだように見える事』をしめす。

つまり「タキオンが情報を過去に運ぶ」のではなくて「計算のやり方が情報が過去に飛ぶように見せているだけ」という事です。

ちなみに「何故計算の途中で計算の主体を入れ替えてよい」とされているか、といえば「アインシュタインの『全ての慣性系は平等である』という宣言による」という事になります。

 

2021年9月29日 entangle1「その2・ タキオン反電話」: https://archive.md/G5rZH :にて『ういきで提示されているタキオン反電話の計算手順をつかうと、普通の無線通信でも情報を過去に送れる設定がある事』を示す。

これもまた「計算手順があたかも情報を過去に送れるように見せているだけ」という主張を支持する結果になっています。

 

上記entangle1の主張は否定できないものであるにも関わらず、何故いままで多くの人が「タキオンを使うと情報を過去に送れる」と主張してきたのか、個人的には本当に不思議に思うのであります。

たぶんこれは「アインシュタインが言った事だからそこには間違いはないのだろう」という先入観が大いに影響している様に思われます。

それはつまりアインシュタインの「全ての慣性系は平等である」に基づいて「従って計算途中で計算の主体を入れ替えても問題ない」と解釈している所にこの間違いの基本的な原因があります。

 

2023年 7月20日 karel2 「6-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)」: https://archive.md/CieG2 :にてMN図とタキオンを使って「光速を超える通信が出来ても情報を過去には送れない事」を図形的に明示した。

 

注1:アインシュタインにして初めて「時間と言うものの本質に一歩迫れた」という事が出来ます。

 

追記:「タキオンがあれば過去に情報が送れる」を主張しているネット記事一覧

・英語版ういき:タキオン反電話: https://archive.md/u7rl1 :

・「超光速通信と因果律の破れ」: https://archive.md/SxbeP :

・タキオンがあれば過去に情報を送れる: https://archive.md/oHkcI :

・タキオンと因果律: https://archive.md/6U3w8 :

・超光速ニュートリノで因果律が破れるワケ: https://archive.md/L6E9K :

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/73DA4

 

 


6-0・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

2023-07-23 02:48:07 | 日記

以下、この後に続く説明の前書きの様なものです。

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この宇宙では光が一番早いとされています。

そうしてまた現時点ではそれをくつがえす現象はみつかっていません。

そうであればこの宇宙の制限速度は光速Cであるという事になっています。

但しエンタングルメントという現象は実在し、確認されています。

『量子力学は、遠く離れた系がもつれ合う可能性があるという意味で非局所的です。エンタングルメントにより、たとえ測定がほぼ同時に、遠く離れた点で行われたとしても、ランダムな測定に対して相関関係のある結果が得られます。』

これは距離がどれだけ離れていても片方に与えた影響がもう一方に瞬時に伝わる、という現象です。

しかしながらこれを使って通信手段を確立する事は(今の所は)できない模様です。: https://archive.md/oMmrd : 量子の非局所性  :参照のこと。

 

まあ現状はそうなんですが「何故宇宙の最高速度がCなのか?」という問いが設定できます。

そうしてその問いに答えているのが「特殊相対論からの結論である」という事になっています。

その「特殊相対論からの結論」というものが「光速をこえる通信が可能となると因果律違反が発生するからだめ」と説明されています。

たとえばういき「超光速通信」: https://archive.md/gpJui :の:超光速通信の問題:では次のようにかかれてあります。

『さらに言えば、超光速通信がもしあれば過去への通信が可能となり、結果的に因果律が崩壊する。』

ここで言及されている因果律崩壊のメカニズムは特殊相対論からの結論であると一般的には理解されています。(注1)

その具体的な内容の説明はこの後に続く「6-2」で説明されています。(注2)

そうしてその説明で登場するのが「光速をこえて走るタキオン」という存在です。

このタキオンについては最初に示した引用資料にも記載がありますので参照願います。

 

さてそれで、この前書きに続く以下のページにて従来通説として言われてきた事「光を超えた速度で通信が可能であると因果律が崩壊する」という事について検討していく事になります。

そうしてこの事を最初に検討したのは勿論アインシュタインでした。

そのあとタキオンのアイデアが登場し、タキオン反電話と言う形で因果律崩壊のメカニズムの説明がされる様になりました。

 

さてそれで、それが何故「静止系が客観的な存在だと何が困るのか?」というテーマと関係してくるのか、といいますと「因果律崩壊のメカニズムの説明の中で静止系は主観的に決めてよい」が使われているからです。

この「静止系を主観的に決めてよい」が成立しなくなり、「静止系は客観的な存在だ」となりますと「光を超えた速度で通信が可能であっても因果律は崩壊しなくなる」のです。

 

ちなみに「因果律の崩壊」というのは具体的には「所定の慣性系内の過去に対してその慣性系内の現時点から情報を送る事で生じる」のです。

そのような事が可能になりますと「原因のまえに結果が存在する」ということになり、ひいては「歴史の書き換えが可能」となります。

そうであれば「過去に情報を送る手段は存在しないであろう」と常識的には判断される事になります。

さてそのような判断に基づいて、なおかつ「静止系は観測者が主観的に決めてよい」、そうして「全ての慣性系は平等である」という前提に立ちますと「光速を超える通信が存在すると情報を過去に送れる」という結論が特殊相対論から出てきます。

その事をもって逆に「従って光速Cをこえて情報を運ぶ手段はない」=「宇宙の最高速度は光速Cである」と通説ではなっているのです。

 

注1:ういき:タキオン: https://archive.md/BlJ8F :にも以下の様な記述があります。

『ほとんどの物理学者は、光よりも速い粒子は既知の物理法則と一致しないため存在しないと考えている[2][3]。仮にそのような粒子が存在し、光よりも速い信号を送ることができたとすると、相対性理論によれば因果律に反することになり、親殺しのパラドックスのようなタイプの論理的パラドックスが生じることになる[3]。』

ここで言及されている「因果律に反すること」というのは「過去に情報を送る事」を指しており「親殺しのパラドックスのようなタイプの論理的パラドックス」というのは「歴史改変の事」を指しています。

注2:「光速を超える通信が情報を過去におくる話」としては次のような資料もあります。

「超光速通信と因果律の破れ」: https://archive.md/SxbeP :ご参考までに。

 

追記:ここまでの話の展開

「時間の遅れはお互い様」が通説でした。

しかしながらどうやら「時間の遅れは一方的」である様です。

この結論はとても常識的なものなので受け入れやすいものです。

他方で「時間の遅れはお互い様」はそれなりに「非常識でした」。

さてそうなりますと「静止系は観測者が主観的に決めてよい」が成立しなくなります。

替わって「静止系は客観的に存在している」が登場してきます。

そうしてこの「『静止系は客観的に存在している』が成立している」としますともっとも大きな影響がでるのがここで話している「宇宙の最高速度は光速Cである」という事になるのです。

それはつまり「特殊相対論は宇宙の制限速度を光速Cに限定してはいない」という事になるのです。

しかしながら、エンタングルメントという現象を除いて「いまだに光速Cを超えて空間を移動する素粒子は見つかってはいない」というのも事実であります。(注1)

そのような事もあり、「『宇宙の最高速度は光速Cである』は特殊相対論の代表的な結論である」とされてきました。

そうであれば「特殊相対論は宇宙の制限速度を光速Cに限定してはいない」という結論は従来から言われている事=「宇宙の最高速度は光速Cである」を否定することになりますので「なかなか、『時間の遅れは一方的』という主張とはちがって心理的な抵抗が大きいだろうなあ」とは個人的な感想であります。

 

注1:アインシュタインが「宇宙の最高速度は光速Cである」に基づいて「量子力学は完全ではない」=「光より早く伝わる現象が量子力学にはある」として今ではエンタングルメントという現象として知られている内容を初めて指摘した事は有名な話であります。

そうしてアインシュタインは「光より早く伝わるものは無い」に従って「エンタングルメントという現象は存在しない」としたのですが今ではその現象の存在が実験的に確認されています。

関連して以下の様な記事もあります。

・2022年ノーベル物理学賞 アスぺの実験: https://archive.md/vVakG :

追記の2:「特殊相対論が実は光速を超える情報伝達を排除していない」という認識はエンタングルメントに対する理解の仕方や波動関数の収縮、いわゆる量子力学の観測問題に対する新たな見方が出来る事を示している様にも見えます。

従来は「情報伝達の速度規制は光速Cである」が邪魔をしていた部分が取り払われた事になると理論構築の幅がかなり広まりそうです。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/ObmCU

 


6-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

2023-07-20 02:20:40 | 日記

前のページからの続きです。

参照の為に図1と図2を示しておきます。

図1:時計AがY軸で、つまりは静止系で時計Bが相対速度0.8Cで時計Aから離れていきます。

y=0,x=0,y=1.25x,x=4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D1.25x%2Cx%3D4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

時計A時間で5日経過した所で時計Bの時刻を確認すると3日経過しています。

3=5*sqrt(1-0.8^2) です。

 

図2に時計Aと時計Bの立場を入れ替えた状況を示します。

y=0,x=0,y=-1.25x,x=-4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-1.25x%2Cx%3D-4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

今度はY軸が時計Bを示し、左上に上がっていくコトブキ色の線が時計Aを示します。

あとの議論は上記とまったく同じでただ時計Aの立場と時計Bの立場が入れ替わっただけです。

 

そうして前のページの結論はこうでした。

『そうしてこの場合は時計Aの主張と時計Bの主張は独立していて、お互いにそれを否定する事はできません。

そういう関係に時計Aと時計Bはなっています。』

 

さてここで「タキオン反電話の登場」となるのです。

この装置は「タキオンを通信に使う事で過去に情報を送れる」と言うものがうたい文句です。

そうして通説の理解では「タキオンが存在すると過去に情報を送れるために因果律違反が発生する」となっています。

したがって「タキオンは存在しない」、あるいは「存在しても我々の宇宙とは相互作用しない」と想定されています。

さらには「従って光速をこえる通信、情報伝達はできない、というものが特殊相対論の結論である」と広く信じられています。

さてこの結論は本当でしょうか?

タキオンを使った「タキオン反電話」は本当に過去に情報を送れるのでしょうか?(注1)

「時間の遅れを直列接続する」と「情報は過去に戻る」のでしょうか?(注2)

 

さてそういう訳でまずは「タキオンが存在すると過去に情報が送れる」と主張する通説の説明を見ていきます。

前提は時計Aと時計Bが登場し0.8Cの相対速度で時計Bが離れていく、と想定します。

その状況は図1で示した通りのものです。

それで「時間の遅れはお互い様」では「タキオンレーダーで時計Aが時計Bの時刻表示を読みとった」のですがここでは時計Bが時計Aからのタキオン通信を受け取る、という設定になります。

時計Aからのメッセージは次のようなものです。

「当方の今の時刻は時計Bすれ違い後5日経過した」

その時に時計Bの時刻は3日経過でした。

しかしながら時計Bにしてみれば「移動しているのは時計Aだ」となります。

この主張はアインシュタインの教義その1「全ての慣性系は平等である」に基づいています。

さてそうであれば時計Bにしてみれば状況は図2に示すようなものになっています。

 

但しここで注意が必要なのは「図2そのままではなくて図3になっている」という所にあります。

図3:時計B時刻で3日経過した時に時計Aからのタキオン通信が届いた事を示す図

y=0,x=0,y=-1.25x,x=-2.4,y=3  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-1.25x%2Cx%3D-2.4%2Cy%3D3%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

Y軸に時計Bがいて左上に離れていくのが時計Aの軌跡。

時計Aからのタキオン通信は時計B時刻で3日後に届いたのだからY軸の値が3の紫色の横線が時計Aからのタキオン通信波を示す。(と時計Bは解釈するのです。何故なら「タキオンは水平に飛ぶからである」と言うのが時計Bの主張となります。)

 

さてそれで時計Bは時計Aからのメールに対して以下の様に返信をだすのです。

「当方、時計Aとのすれ違い後3日けいかした。

>当方の今の時刻は時計Bすれ違い後5日経過した。」

まあこれが大抵のメールの返信の仕方であります。

 

さてこれを即座に時計Aに返信しますが、そのタキオン波を示すものは上記と同じ紫色の横線となります。(ここでは時計Bはディレイタイムゼロで返信できるとしています。)

さてそれでこの時に時計Bから時計Aへのタキオン到着時刻を計算しますと

1.8=3*sqrt(1-0.8^2) となります。

つまりは時計Bしてみれば「時計Aはすれ違い後1.8日しか経っていないのに『すれ違い後5日経過した』などといういいかげんな情報を送ってきた」となるのです。(注3)

さてこの時計Bの見方が正しいとするのが通説の主張する「タキオン反電話の説明」となります。

 

通説ではまずは「時計Aが静止系だ」として「時計Bにタキオン波が届く時刻を計算します」。

そうすると時間遅れの計算に従って「時計Bは3日経過」となります。

次にここで計算の主体を(つまりは静止系を)時計Aから時計Bに「恣意的に入れ替えて」、「タキオン波が届いた時に時計Bからみれば時計Aの経過時間は1.8日だ」と計算するのです。

そうであれば時計Aは時計Bとのすれ違い後5日で出したメールの返信をすれ違い後1.8日に受けとる、つまりは「こうしてタキオン反電話は情報を過去に送れるのだ」と主張するのです。

 

この主張が本当であれば時計Aは時計Bに『当方の今の時刻は時計Bすれ違い後5日経過した。』というメッセージを出す前にタキオン通信機から

『当方、時計Aとのすれ違い後3日けいかした。

>当方の今の時刻は時計Bすれ違い後5日経過した。』

というメッセージを時計Aタイムで時計Bとの擦れ違い後1.8日で受け取る事になるのです。

 

そうしてアインシュタインもトルーマンも「そんなバカな話はありえない」、「それは原因の前に結果が来ている」=「因果律違反だ」として「光の速度を超える通信はありえない」としたのでした。

 

さて、ところで以上の話を再度時計Aの立場から振り返りますと図4の様になります。

図4:

y=0,x=0,y=1.25x,x=4,y=5,y=1.8,y=0.8x+1.8  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D1.25x%2Cx%3D4%2Cy%3D5%2Cy%3D1.8%2Cy%3D0.8x%2B1.8%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

図4は図1の表示に時計Bから時計Aに届いたタキオンを左下に向かうコトブキ色の線で示しています。

そうしてこれが時計Bの主張する「時計Bからのタキオンは時計Aタイムで1.8日に届く」というものを示しています。

さてそれで問題になるのは「時計Aから時計Bに出したタキオンはY軸の値が5である紫色の横線」で表されています。

このタキオンは無限大の速度を持ちますから「水平線で表すのは妥当」という事になります。

他方で図4では時計Bからのタキオンは時計Bを起点として左下に向かう線で表されY軸とは1.8で交差しています。

そうしてこのタキオンを指して通説では「光速を超えるタキオンは過去に向かって走る」と表現しているのです。

 

しかしながら時計Aから出たタキオンも時計Bから出たタキオンも「同じタキオン」であります。

そのタキオンが一方は水平に走り、また一方が過去に向かって走る、などという事は起り得ません。

どちらのタキオンも「Y軸に正しく静止系を設定したNM図では同じように水平に走る」のです。(注4)

 

従ってこの場合「時計Bからでたタキオンは図4に示された、左下に向かうコトブキ色の線上を走る」のではなくて「図1に示された紫色の水平線上を走る」のです。

つまりは時計Aは時計Bにメールを出したその瞬間に時計Bからの返信を受け取る、ごく当たり前の状況がそこにあるだけであります。(注5)

 

さてそうであれば「タキオン反電話があっても因果律違反は起らない」=「特殊相対論は光速を超える通信を排除していない」となります。

ちなみにこの様な状況にある場合には時計Aは「客観的に存在する静止系にいた」ということであり、そうして又アインシュタインの主張にも関わらず「客観的に存在する静止系は光速をこえる通信を排除しない」という事でもあります。

しかしながら特に注意して頂きたい事は「以上の内容をもってタキオンは実在する」などとは主張していない点です。

そうではなくて「手段は不明ですが、光速をこえる情報伝達があっても問題は起こらない(=因果律違反は生じない)」と主張しているのです。

 

注1:ちなみにこの装置の動作はまるで元祖「電話レンジ(仮)@シュタインズ・ゲート」の様であります

注2:「時間の遅れはお互い様」を言い出したのはミンコフスキーでした。

それに対してアインシュタイン自体は「時間の遅れはお互い様」とは主張せず、少し違う事を主張しました。

しかしながら「光速を超える通信が存在すれば情報を過去に送れる」と言う話はアインシュタインとゾンマーフェルトの論文で初めて登場している様です。

従ってアインシュタインは「光速を超える通信が情報を過去に送れる」という事については「最初の提案者である」としてよいかと思います。

しかしながら「情報を過去に送れる」というアインシュタイン提案の手順についての具体的な情報については残念ながら現時点では確認できておりません。

ただしアインシュタインは「光速を超える情報伝達は因果律違反を引き起こす」という認識には到達していた模様です。

注3:ここでのポイントは「時計Bは単に計算で時計Aの経過時間を算出しているだけである」という点にあります。

時計Bが時計Aからのタキオン通信を受けとった、まさにその瞬間に時計Bがタキオンレーダーで時計Aの時計が示す時刻を読み取っていたならば時計Aの時刻は「5日経過」となっていたでしょう。

そうであれば「時計Aはすれ違い後1.8日しか経っていないのに『すれ違い後5日経過した』などといういいかげんな情報を送ってきた」などと時計Aを非難する事はなかったと思われます。

注4:あるいは次のように言いかえる事も出来ます。

時計Aが出したタキオンレーダー波は時計Bの時計が指し示す時刻を読み取り即座に時計Aに向かって反射し戻っていきます。

その時の時計B反射のタキオン波は水平に飛びます。

さてその時同時に出された時計B発の返信メールを伝えるタキオン波が水平に飛ばずに過去に向かって飛ぶ、などという事は無いでしょう。

「どちらのタキオンも時計B発」なのですから「同じ軌跡を描いて飛ぶ」と言うのは常識的な判断となります。

 

さてそのように考えますと通説の主張はとても面白い内容を含んでいる事が分かります。

宇宙船の外に設置された時計Bの時刻表示部からの反射タキオン波は水平に飛ぶ、但し宇宙船の中の時計Bの横に立っている観測者が時計Aの経過時間を計算した場合は時計Bからのタキオン通信波は過去に向かって飛ぶ、という事になります。

つまり「タキオンは時計Bを積んだ宇宙船の観測者の主観が作用しない場合は水平に飛び(時計Aからのタキオンレーダー波の反射の場合)、主観が作用すると過去に向かって飛ぶ(時計Bの観測者が時計Aの時間が遅れていると判断した場合)」という事になります。

そうであれば通説は「タキオンは『私』という存在を感知し、それに応じて飛び方を変える」と主張しているのです。

さてこれは本当に奇妙に見える主張ですが「特殊相対論は主観物理学である=『私』の認識に従う物理学である」とされる方々にとっては「それは当然そうなるのであって、そこには何の問題もない」としています。

注5:ローレンツ変換は「客観的に存在する静止系が対象」であっても「それ以外の慣性系が対象」であっても同じように座標変換します。

ローレンツ変換はその2つのタイプの慣性系を区別しないのです。

その2つのタイプの慣性系を区別できるのはローレンツ変換を行う人間だけであります。

そうであれば「ローレンツ変換を行う人間」はそこの所を意識している必要があります。

コトバを変えますれば「得られたMN図においてタキオンがどう走るのか常に意識している必要がある」という事になります。

 

追記:因果律違反が引き起こすパラドックスについて

上記の例で時計Bからのメール返信をすれ違い後1.8日に受けた時計Aが「そうか、すでに時計Bは当方からのメールを受け取っているのだな」としてそこから3.2日経過した時点で「本来はその時点で時計Bに出すべきメールを出さなかったとしたら一体何がおきるのか?」、いや「起きたのか?」という事になります。

それはつまり「出さなかったメールの返信が来た」ということになり、その状態を指して「因果律違反が発生した」と認定するのです。

つまりは「そこで歴史が変わってしまった」のです。

そうして通常は「そのような歴史改変はありえない」とするのが、まあ「一般常識というもの」でしょうか。

あるいは「そのような歴史改変はしてはいけない」のかどうかは「そこは意見が分かれる所であります。」

まあしかしながら「客観的に存在する静止系」は「情報を過去に送る事を不可能にしています」ので残念ながら(?)「歴史改変は起こらない」のです。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/CieG2

 


6-1・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

2023-07-17 02:01:08 | 日記

7、タキオン反電話あるいは因果律違反について=>時間まわりのもう一つの大きな話

この話は「光速をこえる通信が存在すると情報を過去に送れる」という「通説による誤解の話」でもあります。

 

それでまずは「時間の遅れはお互い様」の復習からです。

図1:時計AがY軸で、つまりは静止系で時計Bが相対速度0.8Cで時計Aから離れていきます。

y=0,x=0,y=1.25x,x=4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D1.25x%2Cx%3D4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

時計A時間で5日経過した所で時計Bの時刻を確認すると3日経過しています。

3=5*sqrt(1-0.8^2) です。

さて、しかしながらその時には時計Aと時計Bの距離は図1でみて分かる様に4光日離れています。

そうであれば時計Aからは時計Bは見えないのです。

でも通説の説明ではその事にはお構いなく「時計Aは時計Bの時刻をいつでも瞬時に知ることが出来る」としています。

さてではそれは具体的にどうするのか、といいますと「時計Aから無限大の速度をもつタキオン波を時計Bに飛ばし、時計Bの時刻を読み取ったタキオン波はそこで反射してまた時計Aに戻る」と想定するのです。

つまりは「タキオンレーダーを使う」のですね。

そうすれば時計Aと時計Bがどれだけ離れていても時計Aは瞬時に、同時に時計Bの時刻を知り得るのです。

さてそのタキオン波の行って帰ってくる状況は図1ではY軸の値が5で示された紫色の横線で示されています。

こうして無事に時計Aは特殊相対論の予想通りの結果を確認できた、という事になります。

 

さてしかしながら特殊相対論の教義によれば「全ての慣性系は平等である」との事。

そうであれば時計Bは主張します。

「いや、私が静止系で時計Aが相対速度0.8Cで私から離れていったのだよ」と。

はい、これがいつもの「時間の遅れはお互い様」の始まりですね。

図2にその状況を示します。

y=0,x=0,y=-1.25x,x=-4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-1.25x%2Cx%3D-4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

今度はY軸が時計Bを示し、左上に上がっていくコトブキ色の線が時計Aを示します。

あとの議論は上記とまったく同じでただ時計Aの立場と時計Bの立場が入れ替わっただけです。

そうであれば時計Bは主張するのです。

「時間が遅れているのは時計Aの方だ」と。

 

以上が「時間の遅れはお互いさま」の発生状況の説明となります。

そうしてこの場合は時計Aの主張と時計Bの主張は独立していて、お互いにそれを否定する事はできません。

そういう関係に時計Aと時計Bはなっています。

 

ちなみに何故「時間の遅れはお互い様」の復習から始まったのか、といいますれば「超光速通信が情報を過去に送れる」という話は「時間の遅れはお互い様」と親戚関係にあるからなのです。

そうして「時間の遅れはお互い様」が「時間の遅れについてのパラレル接続の誤解である」とするならば「超光速通信は情報を過去に送れる」という話は「時間の遅れについてのシリーズ接続の誤解である」となります。

もちろんパラレル接続とは並列接続でありシリーズ接続とは直列接続であり、この並列接続と直列接続については乾電池の例で小学校で習った事を思い出すべきでしょう。

 

さてそれで、ここで「タキオン反電話の登場」となるのです。

この装置はアインシュタイン、そうしてトルーマンによって予想され、1969年のベンフォードの論文でその姿を表しました。(注1)

その論文は難解なものでしたが、今ではそれを分かりやすく解説したものが出回っています。(注2)

・・・やっぱり話が長くなりました。

それでこの話の続きはページを改める事と致します。

 

注1:1969年 G. A. BENFORD, D. L. BOOK, AND W. A. NEWCOXB:Phys. Rev.D PARTICLES AND FIELDS 1970
(Received 23 June 1969) タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

注2:2008年 ティプラー、ポールA。; Llewellyn、ラルフA.(2008)。現代物理学(第5版)。ニューヨーク州ニューヨーク:WH Freeman&Co。p。54. ISBN 978-0-7167-7550-8。...したがって、粒子の存在v > c ...タキオンと呼ばれる...相対性理論と深刻な...無限の創造エネルギーと因果関係のパラドックスの問題を提示します。

現代物理学(第5版)のpdfアドレスはこちら

http://web.pdx.edu/~pmoeck/books/Tipler_Llewellyn.pdf

P54を見ろ、と言ってますのでそこを見ます。
『Tachyons and Reversing History
Use tachyons and an appropriate spacetime diagram to show how the existence of such particles might be used to change history and, hence, alter the future, leading to a paradox.・・・』

タキオンと逆転の歴史
タキオンと適切な時空図を使用して、そのような粒子の存在が歴史を変え、したがって未来を変え、パラドックスにつながる可能性があることを示します。・・・

・・・という出だしに続いて

Figure 1-42
『A tachyon emitted at O in S, the laboratory frame, catches up with a spaceship moving at high speed at P. Its detection triggers the emission of a second tachyon at P back toward the laboratory at x = 0. The second tachyon arrives at the laboratory at ct < 0, i.e., before the emission of the first tachyon.』

実験室の座標系であるSの(原点)Oで放出されたタキオンは、点Pまで高速に移動し、そこで宇宙船に追いつきます。宇宙船はその検出により、点Pで2番目のタキオンをx=0(原点位置にある)実験室に向かって放出します。2番目のタキオンは実験室に到着します。 ct <0で、つまり最初のタキオンが放出される前に。

と説明している図1-42が出てきます。

この図をこの本(初版)が出た後での世の中の諸氏方が参照しているものではないのか、と思われます。(ネット上で確認できる図はたいていがこの図のコピー、あるいはそれを多少、修飾したものになっている模様。)

なお本文内容につきましては該当ページをコピーされグーグル翻訳などにてどうぞ。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/fASzW