特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

宇宙の膨張速度は光速を超えている件

2022-08-30 04:54:09 | 日記

宇宙図2018: https://www.mext.go.jp/stw/common/pdf/series/diagram/uchuzu2018-ja_A3.pdf
によれば「地球から見て半径148億光年あたりの場所」が光速で地球から遠ざかりつつあります。(宇宙図では水色の円:注1)

この場所から外側は確かに地球に対する相対速度が光速を超えているのです。
しかし図の説明では
『空間自体の膨張による相対速度が光速を超えても光速度不変の原理=宇宙の最高速度は光速である=特殊相対論の結論、とは矛盾しない』
と言い切っています。

さてそれで、この水色の線に至るまでの銀河から発せられる光は光速で地球に届きますが、ドップラーシフトで赤方偏移:https://archive.fo/XHghv :を示します。

つまり「空間が膨張して銀河が離れていく」のですが「物理的には相対速度が定義できる」のです。


さて、そうであればこの図の水色の円の右側にある銀河と左側にある銀河とは、地球から見れば相対速度がほぼ2Cで離れていく、とガリレイ変換では計算できます。

しかし相対論の速度加算式を使いますと、右側の銀河が左側の銀河をみた時には相対速度は1Cよりも小さな値になります。

しかしながら距離が148億光年離れると、空間の離れる速度が光速を超えますので、この「相対論の速度の加算式は宇宙では使えない」という事になります。

つまりこの場合はガリレイ変換の計算が正しい、という事になるのです。


さて同様に相対速度を使ってお目当ての銀河の時間の遅れを計算できるのか、といえばこれも出来ません。

どれだけ早い速度で地球から遠ざかっていても、その銀河の時間は遅れないのです。

相対速度が定義できるのに「何故、時間の遅れが計算できない=時間は遅れない」のでしょうか?

そのように問えば「空間の膨張による相対速度は特殊相対論の扱う相対速度ではない」というのが答えになりそうです。


さあそうなりますと「この宇宙には2つの相対速度がある」という事になります。

一つはもちろん「特殊相対論が扱う相対速度」であり、「時間が遅れ」「物が縮む」のです。

そうしてもう一つの相対速度では「時間は遅れず」「物も縮みません」。

それでこの場合は特殊相対論=ローレンツ変換では扱えず、ガリレイ変換が正解を与えます。

しかしながら「いずれの相対速度においてもドップラーシフトは同じように起こる」のです。


さて以上の事については、「大変に興味深い事である」とは思われませんか?


注1:ちなみに地球から見た時にこの水色の光速限界線の少し内側にCMBパターン(宇宙背景放射パターン)が見えている事になります。

そうしてそのCMBパターンの向う側はただ黒いだけの空間(?)が広がっているように見える、という事になります。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/IKDuA



その2・ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

2022-08-27 12:11:38 | 日記

さて扱う問題は「0.9994Cで円運動していて、ドリフト速度が0.001Cの場合」です。

数字を見て分かる様に0.9994C+0.001C=1.004C>Cで、光速を超えますのでこのままでは時間遅れの積分ができません。

それで相対論的な速度の合成が必要になります。(注1)

そうしてX軸方向に0.001Cでドリフトしている、としますので円運動のX軸成分は勿論Y軸成分に対しても相対論的な速度の合成が必要になります。

そのやり方については

X軸方向については「ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ・相対論」: https://archive.is/5nTue http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=3923#post_id27594 で

Y軸方向については「その2・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ・相対論」 : https://archive.is/fagNu http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27677 :で扱いました。

その扱いを今回は円運動に対して適用します。

そうすると積分は

sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%28%280.9994*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0.001%5E2%29*%28%280.9994*sin+x%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.217623

但し例によって桁落ちしています。・・・計算①

注3:うまく計算してくれない時は注3参照の事



それで積分対象関数を見てみますと

sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))  ・・・①式

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%28%280.9994*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0.001%5E2%29*%28%280.9994*sin+x%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29

マイナスの部分がなく全てプラスですので時間遅れの積分ができました。・・・計算②



ちなみにドリフトがない0.9994Cの円運動での時間の遅れはこうなります。

sqrt(1- 0.9994^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+0.9994%5E2%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.217623 でこの桁数の範囲ではドリフトありの場合と差が見えません。・・・計算③

ちなみにこの答えも桁落ちしていて桁落ち回避では

桁落ち回避結果:0.217623272870553・・・計算④

となります。(2π*sqrt(1- 0.9994^2)を計算した結果)



そういうわけで例によって「桁落ち回避計算」をする必要があります。

単振動での桁落ち回避手順を見習って、ドリフトがない場合との差分を取る。まずはこれですね。やってみましょう。

sqrt(1-0.9994^2)-sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-0.9994%5E2%29-sqrt%281-+%28%28%280.9994*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0.001%5E2%29*%28%280.9994*sin+x%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えはゼロ

桁落ちした状況が改善されず

0.217623ー0.217623=0

とウルフラムは言います。



それで、こういう時はウルフラムに入れる式を前もって簡約しておくのが良いのです。

①式のsqrt(1-0.001^2)の部分、二乗がかかってますのでsqrtは外せます。

そのようにした式をウルフラムにいれます。

sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(1-0.001^2)*(((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%28%280.9994*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%281-0.001%5E2%29*%28%28%280.9994*sin+x%29%2F%28%281%2B0.9994*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29

その結果「xを実数と仮定した場合の別の形」に簡約された式が出てきます。・・・②式



この式を使ってドリフトなしの場合との差分を取ります。

sqrt(1-0.9994^2)-sqrt(2.27374*10^(-13)*cos(x)+1201.08)/(cos(x)+1000.6)をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-0.9994%5E2%29-sqrt%282.27374*10%5E%28-13%29*cos%28x%29%2B1201.08%29%2F%28cos%28x%29%2B1000.6%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは -1.08693*10^(-7)

=-0.000000108693

ドリフトしていない場合の方が積分値が小さい=時間の進み方がより遅い、という事になります。(注2)



それでドリフトしていない時の計算結果はこうでした。

桁落ち回避結果:0.217623272870553・・・

この数字に上記の差分の数字、マイナスをとったものを足しこめば求める数値=ドリフトがある場合の円運動での時間の遅れとなります。

従ってドリフトがある場合の円運動での時間の遅れは

桁落ち回避結果:0.217623381563・・・

有効数字12ケタありますので当面これでよさそうです。


注1:もちろん、足し合わせた速度が光速を超えていなくても合成速度が大きく、相対論的な合成則を適用するのが妥当な場合は合成則を使うべきでありましょう。

注2:そうしてこの結果は直感的な判断とは真逆のものになっています。

加えて前のページで計算した「相対論的な加算式を考慮しない場合の結果」とも異なっています。

前ページの結論では「ドリフトしたほうが時間がより遅れる」と言うものでした。

そうであれば今回の結論は「相対論的な加算式を考慮した事による結果である」と言えます。

注3:ウルフラムのトップページに移動
https://ja.wolframalpha.com/

入力欄に以下の文をコピペしてリターン([=]ボタンをポチる)

sqrt(1- (((0.9994*cos x+0.001)/((1+0.9994*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.9994*sin x)/((1+0.9994*(cos x)*0.001))))^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

一回でうまく行かなくても、何回か行う。

それでもダメなときはしばらく時間を空けるとうまく行く。


PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/Uzr98



ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

2022-08-24 01:41:30 | 日記

円運動する対象物の時間の遅れは円周の接線方向の速度 V で固有時間軸方向の速度 Vt を書く事ができるのでした。

Vt=sqrt(1-V^2)



さてそれで単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27477 :によれば

『例によって光速=C=1としますのでVの最大値は1、したがって

V=Cos(ω*t)

ω*tは単振動している対象物が実は円運動している、それを横から見ているから単振動に見える、そう解釈した時のx軸からの回転角Θになります。したがって

Θ=ω*t

これを改めてxとおき0から2π(2パイ)まで単位時間で動く、つまり「一周する」とします。

さてそうすると

V=Cos(x) ・・・③式

が単振動の速度を表す式、最大速度が±C=±1となっています。』でした。

③式がx軸方向から円運動をみた場合の速度Vyだとすると同じ円運動をY軸方向からみると

Vx=Sin(x)

となっていそうです。

そうであれば光速C=1で円運動している場合は

sqrt(Vx^2+Vy^2)=sqrt(Sin(X)^2+Cos(X)^2)=1

が接線方向の速度Vを与える式となります。

同様にして速度Vで円運動している時は

V=sqrt((V*Sin(X))^2+(V*Cos(X))^2)

となり、その時の時間の遅れは

sqrt(1- ((V*cos x)^2+(V*sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28V*cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28V*sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは 

2π*sqrt(1-V^2)

V=1=C の時は ゼロとなり、つまり「光速で回ると時間は止まる」

V=0の時はVt=1であって、それを0から2πまでの範囲で積分すれば2πになる

という訳です。



まあここまでは復習みたいなもの、問題はここからです。

この円運動している中心が一定速度Bで一定方向に動いていたら、つまり「ドリフトしていたら」=「慣性運動していたらどうなるか?」と言うのが今回のテーマですね。

この場合を式で書くとこんな感じ

sqrt(1- ((V*cos x-B)^2+(V*sin x)^2))

ウルフラムに入れて積分すると

sqrt(1- ((V*cos x-B)^2+(V*sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28V*cos+x-B%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28V*sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

・・・ハイ、見事に積分してくれませんでした。



例題の1:それで速度Bで光速円運動がドリフトするとどんな風な軌跡になるか、というのはこれ。

(cos t-0.02t, sin t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%28cos+t-0.02t%2C+sin+t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

速度B=0.02C=0.02 でx軸マイナス方向にドリフト、2.5周分の表示です。

その場合の軌跡の長さは15.74953・・・と計算されています。

円運動の場合ですと 円周(2π)*2.5=15.70796・・・ですのでこの円運動+ドリフトの場合は軌跡の長さが円運動の1.0026462倍の長さになっている事が分かります。



さてそれでは、ということで上記B=0.02の時の時間の遅れはどうなるか、計算しましょう。

sqrt(1- ((cos x-0.02)^2+(sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28cos+x-0.02%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

・・・時間切れ・・・だそうです。



何故かと言いますと積分対象の関数のルートの中がマイナスに落ちるからですね。

(1- ((cos x-0.02)^2+(sin x)^2))   をウルフラムに入れますと

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%28cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%28sin+x%29%5E2%29%29

見事にマイナスに落ちている部分があり、その部分が積分不可になっています。

これは、実際の場面で言いますと「光速で円運動している状況で円運動の中心を速度0.02Cで移動させると光速を超えてしまう部分が出てくる」という事に相当しています。

そうであれば相対論はその部分を許容しないのです。

したがって「そのような状況では時間の遅れは計算できない」という事になります。



さてそうであれば円運動の速度を落としてやればよい、という事になります。それで速度を光速Cから0.8Cにまで落としますと

(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%29

はい、これであればルートの中はマイナスに落ちません。

それでは積分しましょう。

sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76595・・

注3:但しうまく計算してくれない時は注3参照の事


ドリフトしていない時は

sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76991 (注2)

今回0.8Cでの円運動の場合は、0.02Cのドリフト成分があると時間は0.9989496・・≒0.11%遅れる、という計算結果になりました。

ちなみにこの計算例では「相対論が言う所の『速度の加法則』は考慮されていない」という事に注意が必要です。(注1)



次は例題の2:0.9994Cで円運動していて、ドリフト速度が0.0006Cの場合をみます。

(0.9994cos t-0.0006t, 0.9994sin t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%280.9994cos+t-0.0006t%2C+0.9994sin+t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

ドリフト量が少ないので軌跡が重なって見えます。

ルート内の積分対象関数の状況をみます。

(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2+(0.9994sin x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29

値の最小値がゼロであり、マイナスに落ち込んでいないので積分可能です。

時間の遅れを計算します。

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2+(0.9994sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.1959

ドリフトがない場合を計算します。

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0000)^2+(0.9994sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%280.9994cos+x-0.0000%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.217623

静止している場合の時間の経過は2π≒6.28319ですのでそれに対して円運動だけですと3.46358%まで時間が遅れます。

方やドリフト0.0006Cが加算されると3.11785%まで時間が遅れ、増加した時間の遅れ分は0.34573%となりました。

円運動の速度が0.9994Cでドリフト速度が0.0006Cでしたのでドリフト増加分は0.06%、その増加分で0.34573%の時間の遅れ増加分が発生した事になります。

ただしこの場合でも相対論的速度加算則は考慮されていません。(注1)


注1:円運動する対象、たとえば加速器の中を回転しているミュー粒子ですがそこにドリフトの速度が加算、あるいは減算される事になります。

それでその場合ですが、もちろん加算・減算計算は相対論的速度の合成則による必要があります。

ちなみにこれは何を計算しているのか、と言いますれば「基準慣性系に対して地球が移動していた=実は地球は基準慣性系ではなかった、としたならば、地球上での円形粒子加速器を用いた素粒子の寿命測定実験は地球の基準慣性系に対する運動の影響を受けるだろう」という話の内容の具体的な検討という事になります。

そのような見方をした場合、かつてはマイケルソンーモーリーさん達がやった実験は、実は今では粒子加速器を用いてやられている、という事になります。

マイケルソン・モーリーの実験: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93


注2:
sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))
=sqrt(1- (0.8^2))
ですので
sqrt(1- (0.8^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%280.8%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76991・・・・

となります。

 

注3:ウルフラムのトップページに移動
https://ja.wolframalpha.com/

入力欄に以下の文をコピペしてリターン([=]ボタンをポチる)

sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分


一回でうまく行かなくても、何回か行う。

それでもダメなときはしばらく時間を空けるとうまく行く。

 


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/t1o1v



その2・ 単振動を使った基準慣性系の判定

2022-08-21 05:41:07 | 日記

前のページでは振動方向にドリフトしている例を扱いました。

それでこのページでは振動方向と直交する方向にドリフトしている例を扱います。

振動方向と直交する方向にドリフトしている場合の計算は 

その2・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ :で行いました。

その結果を引用しながら、以下、前ページの議論に従って同じように記述します。



1、地球が静止慣性系だとしたらそこに据えられた時計を積分した値は2π(2パイ)になるという事は前述した通りです。それでこれが理論上の基準値となります。

それに対して単振動速度:0.9994C ドリフト速度:0.001C とした場合の以下の2つの計算結果は次のようになります。

2、基準慣性系で単振動した場合

桁落ち計算結果 : 4.0102

桁落ち回避結果 : 2.00509944359250・・・*2

=4.010198887185・・・


3、基準慣性系に対してドリフトしながら単振動した場合

ドリフトしながら単振動した場合の計算も終わっています。

桁落ち計算結果 : 4.0102

桁落ち回避結果:4.01019688208504・・・



4、「地球がドリフトしているとした場合の地上に設置された時計の積分」

桁落ち回避結果 : 6.2831821655861474・・・



以上で全ての場合の計算が終了した事になります。

結果をまとめます。

A:地球が基準慣性系だとしたら単振動による時間の遅れは

2番結果/1番結果(2パイ)=4.010198887185/2π

=0.638242975677110・・・


B:地球が基準慣性系に対してドリフトしていたとしたら単振動による時間の遅れは

3番結果/4番結果

=4.01019688208504/6.2831821655861474

=0.63824297567710827・・・

AとBを比較すると有効数字で14ケタ目に違いがみられます。

従って最低でも有効数字15ケタの測定精度が必要になります。



追伸:差分(ドリフトありーなし)<0 であって、ドリフト有の方が遅れの割合が大きい。それを計算します。

B-A=ー1.720705251・・・E-15

=ー0.00000000000000172070251・・・

=ー0.0000000000002%程の差があります。

そうしてこれが地球上での観測で検出可能な数値となります。

・・・しかしながら実際問題としては「測定においてこれほどの精度が出る、とはとても思えない」ので「振動方向に直交してドリフトしている場合は、単振動による時間の遅れ測定は基準慣性系の検出には使えない」が答えになりそうです。(注1)

追伸の2

振動方向にドリフトしていた場合の時間のおくれ

桁落ち回避結果 :4.010198223209・・・

振動方向と直交する方向にドリフトしていた場合の時間のおくれ

桁落ち回避結果 :4.01019688208504・・・

こうして比較してみると、振動方向と直交する方向にドリフトしていた場合の方が時間の遅れが0.0000013程大きい、という事が分かります。
(積分した値が小さい方が時間の遅れは大きい、という事に注意。)

さて、この事を使って地球が基準慣性系であるのかどうか、検証する事が可能となります。

つまりMMの干渉計にならって水銀のプールの上の石の定盤の上に振動する時計を一つ用意し、その振動する時計とプールの外にある時計の時間の遅れを測定するのです。

そうして一回目の測定が終了したら定盤を90度回してもう一度測定する。

そうやって測定した時に、1回目の測定と2回目の測定値がぴったりと同じであれば「地球は基準慣性系である」と言う事になります。

そうしてもしその測定値に0.000089%程の有効なずれが見られたならば、「地球は基準慣性系ではない」と言う事になります。

但しそのためには有効数字7~8ケタ精度の時間の遅れ測定を行う事が必要となります。



注1:この2つの数字はほとんど同じであり、従って数値計算での誤差である可能性があります。

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単振動を使った基準慣性系の判定

2022-08-18 06:30:09 | 日記

ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ :で示した様に「単振動での時間の遅れの精密測定」を使えば「地球が基準慣性系であるのかどうか判断できる」という事でした。

さて本当にそれができるのか、以下、具体的に検討してみましょう。

まずは状況を整理します。



地球が基準慣性系に対してドリフトしているかどうかは不明、でした。

したがって地上に据えられた時計、これは地球に対しては静止していますが、基準慣性系に対しては静止しているかどうかは不明です。

しかしながら、単振動した場合の時間の遅れを比較、検討出来るのはこの「地球に対しては静止している時計」以外にはないのです。


1、それで、地球が静止慣性系だとしたらそこに据えられた時計を積分した値は2π(2パイ)になるという事は前述した通りです。それでこれが理論上の基準値となります。



それに対して単振動速度:0.9994C ドリフト速度:0.001C とした場合の以下の2つの計算は上記で示した「ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ・相対論」ですでに終わっています。

2、基準慣性系で単振動した場合

桁落ち計算結果 : 4.0102

桁落ち回避結果 : 2.00509944359250・・・*2

=4.010198887185・・・(注1)


3、基準慣性系に対してドリフトしながら単振動した場合

ドリフトしながら単振動した場合の計算も終わっています。

桁落ち計算結果 : 4.0102

しかしながらこれでは精度が足りませんので2番から3番を引き算したものを積分しました。

桁落ち回避結果 :6.63976*10^-7=0.000000663976・・・・

これが引き算の答えですから、従って3番の答えは2番-差分の計算結果となります。

従って3番の桁落ち回避結果は

桁落ち回避結果 :4.010198223209・・・


4、そうしてまだ計算が終わっていないのが「地球がドリフトしているとした場合の地上に設置された時計の積分」です。

この場合は地球の基準慣性系に対する相対速度はV=0.001Cですので

sqrt(1-0.001^2)を積分する事になります。

sqrt(1-(0.001^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D%EF%BC%88%EF%BC%90%EF%BC%8E%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%91%5E2%EF%BC%89%EF%BC%89%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは6.28318

残念ですが、これでは桁数が足りません。

sqrt(1-(0.001^2))=0.99999949999987・・・

これを0から2πまでの範囲で積分しますから

2π*sqrt(1-(0.001^2))

=6.2831821655861474・・・

桁落ち回避結果 : 6.2831821655861474・・・



以上で全ての場合の計算が終了した事になります。

結果をまとめます。

A:地球が基準慣性系だとしたら単振動による時間の遅れは

2番結果/1番結果(2パイ)=4.010198887185/2π

=0.638242975677110・・・


B:地球が基準慣性系に対してドリフトしていたとしたら単振動による時間の遅れは

3番結果/4番結果

=4.010198223209/6.2831821655861474

=0.638243189123722・・・


地球上で単振動速度:0.9994Cで単振動させた時計の時間の遅れは地球に対して静止している時計に対してどれだけの割合で遅れたのか。

それを精密測定して割合を計算する。

その値がAであれば「地球は基準慣性系である」となり

Bであれば「地球は基準慣性系ではない」となります。

但し測定精度は少なくとも有効数字7ケタ以上が必要である事が分かります。


注1:「桁落ち回避」は以下の文のウルフラムへの入力によります。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29

計算結果を下に見ていきますと「定積分」の項があり、そこで0~π(パイ)まで積分した値が表示されています。


追伸:差分(ドリフトありーなし)>0 であって、ドリフト有の方が遅れの割合がすくない。それを計算します。

B-A=2.13446611E-7

=0.00000021344661

=0.00002%程の差があります。

そうしてこれが地球上での観測で検出可能な数値となります。

しかしながら、この差分の小ささが「当面、地球基準で物理実験を行っても、それほどおかしな結果が生じてこなかった事の説明になっている」とも言えそうです。


追伸の2:宇宙マイクロ波背景放射(CMBR)
https://math-ucr-edu.translate.goog/home/baez/physics/Relativity/SR/experiments.html?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc#CMBR

『CMBRは拡散性でほぼ等方性のマイクロ波放射であり、明らかにすべての空間を満たします。
それは一般的にビッグバンの遺物であると考えられています。
SRのテストではありませんが、一部の読者はCMBR測定に関心があるかもしれません。
地球の近くには、双極子モーメントがゼロである独特の局所慣性系があります。
このフレームは、太陽に対して約370 km / sの速度で移動します。』


以上の議論においてCMBに対する地球の移動速度を約300 km / sと近似しています。
従って前提は「基準慣性系に対するドリフト速度は0.001C」となります。


追伸の3
地球が基準慣性系に対してドリフトしていた、とすると、この新しく登場した「静止時計と単振動する時計の組み合わせによる地球スピードメーター」は宇宙空間にある星座を見ることなく地球のドリフト速度を検出できる、という「優れもの」であります。

 

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/tlT3x