特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

2023-04-30 03:46:25 | 日記

前のページで設定した条件を再確認しておきます。

時計Aは地上に置かれる(海抜0m=海面上)。

時計Bはμ粒子に付ける。

時計Cは地上6kmの上空に設置。この場所でμ粒子は生成される。そこがイベント①

イベント①にて時計Bと時計Cはリセットされる。

イベント②はμ粒子が6km走って海面に到達しそこで寿命が終わる場所。そうしてそこは又時計Aが置かれている所であり、その場所に時計Bが到達する時にμ粒子は崩壊するのである。

ちなみに時計Aと時計Cは地上から見て同期がとれている。したがって地上からは時計Cがリセットした時刻で時計Aをリセットできる。

そうしてμ粒子と地球の相対速度Vは約0.995Cである。



以上の条件で

イ、地球が静止している、とした場合のMN図

ロ、μ粒子が静止している、とした場合のMN図

を描けばよい、それが回答を与える事になります。



5、さてそれで、この条件でMN図を2枚描く事になります。

図1・地球が静止している、とした場合のMN図

y=0,x=0,y=-(20/6)x+20,x=6,y=20  プロット  -10<x<10, -2<y<22

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-%2820%2F6%29x%2B20%2Cx%3D6%2Cy%3D20%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-2%3Cy%3C22

横軸の単位はkm。

横軸上6kmの所がイベント①にあたります。

この場所で時計Bと時計Cはリセットされ、リスタートします。

そうしてこの場所でμ粒子は誕生し6km下の海面に向かって進みます。

そのμ粒子の運動の軌跡が黄色の右下から左上に向かう直線で表されています。

このμ粒子が海面に到達した場所がイベント②となります。

そうしてこの場所には時計Cと時刻合わせが済んでいる時計Aが置かれています。

この時計Aは時計Cがリスタートしたのと同時にリスタートしていますから、時計Aの表示が時計Bが(=μ粒子が)そこに到達するまでに時計Aの時間で何秒かかったかを表す事になります。

但しここで注意しなくてはならない事は「時計Cと同時にリスタートしている」と時計Aは主張しますが、それはあくまで地球座標系からみた場合の話である、という事です。

おっとそれでこのMN図の縦軸の目盛りはマイクロ秒であり、μ粒子が地球の上空6kmで生成され海面まで到着するのに時計A時間で約20マイクロ秒かかった事を示しています。

μ粒子は速度約0.995Cで走りますので、その寿命は地上から見ると10倍に伸びて20マイクロ秒となり、海面に到達した所で崩壊します。

そうしてもちろんμ粒子の固有時としての寿命は約2マイクロ秒ですから

TB@イベント②ーTB@イベント①=2マイクロ秒

となっています。

以上をまとめますと

表1

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=2マイクロ秒

TA@イベント②=20マイクロ秒

となります。



次にμ粒子が静止している、とした場合のMN図を描かねばなりません。

それは図1で示されたイベント①とイベント②の時空座標を速度がー0.995Cでローレンツ変換する事で(=速度が0.995Cで逆ローレンツ変換する事で)実行する事が出来ます。

その様にしますとμ粒子を静止させることになり、逆に地球をμ粒子に向かって走らせることになります。

その結果得られる事になるMN図が図2となります。

図2・μ粒子が静止している、とした場合のMN図

y=0,x=0,y=(200/60)x,x=60,y=200,y=198  プロット  -100<x<100, -20<y<220

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D%28200%2F60%29x%2Cx%3D60%2Cy%3D200%2Cy%3D198%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-100%3Cx%3C100%2C%E3%80%80-20%3Cy%3C220

横軸と縦軸の単位系は図1と同じです。

横軸60kmの所から垂直に立ち上がっている線がμ粒子の軌跡を表しています。

それに対して地球の軌跡は左下から右上に原点を通って走る直線で示されます。

イベント①はどこか、と言いますとμ粒子の軌跡を表す直線とY=198で表される直線の交点になります。

イベント②は地球の移動直線とμ粒子の軌跡を表す直線との交点でありY=200がその場所の縦軸の値となっています。



さてこのままではイベント①と②の状況がよく分かりませんので、そこを拡大表示します。

図3・図2の拡大表示

y=0,x=0,y=(200/60)x,x=60,y=200,y=198  プロット  58<x<62, 197<y<201

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D%28200%2F60%29x%2Cx%3D60%2Cy%3D200%2Cy%3D198%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%8058%3Cx%3C62%2C%E3%80%80197%3Cy%3C201

イベント①と②の場所が確認できます。

この図ではμ粒子は図1と同様にイベント①で生成されイベント②で崩壊します。

その間の時間は時計Bで計って2マイクロ秒です。

それでイベント①での時計Cのある場所はμ粒子の軌跡を表す直線とY=198で表される直線の交点の場所になります。

その場所に時計Cが来た時に、では時計Aはどこにあるのか、と言いますと地球の移動直線とY=198で表される直線の交点の場所になります。

そうしてその時に時計Aと時計Cとの距離は0.6km=600m程になっている事が図から読み取れます。

さてこれがμ粒子から見た時の状況であり、地球座標では6kmあった時計Aと時計Cとの距離は600mになってしまっています。

それでこの時に、時計Cがリスタートした時に、μ粒子が誕生した時に時計Aの時刻は何秒であったのか、という事になります。



図1で見たように相対速度0.995Cで走ると6kmは20マイクロ秒で到達します。

そうして図3にあります様に地球はμ粒子に到達するまでには、μ粒子から見ますと60km、走らなくてはならないのです。

と言いますのも時計Aがリスタートした地点は図1でも図2でもMN図の原点であり、その場所で時計Aはリスタートした事になっています。

それでこの状況をμ粒子からみますと「60km離れた場所で時計Aはリスタートした。それから地球は相対速度0.995Cで距離をつめて600mになった時に時計Cがリスタートし、同時にその場所でμ粒子が誕生した。」

「その後600m離れた場所にあった時計Aは相対速度0.995Cで距離をつめて時計B時間で2マイクロ秒後にμ粒子の位置に到達した。」と見ます。

さて時計Aはリスタートしてからイベント②、そこでμ粒子に出会うのですが、そこまでは20マイクロ秒必要となります。

これは図1において時計Aの固有時が20マイクロ秒である、と決定されているからです。

さてそうなりますと600mを0.995Cで走るには時計B時間で2マイクロ秒でよいのですから、時計Cがリスタートした時には時計Aの時刻は19.8マイクロ秒であった、と言う様にμ粒子は観測します。(注1)



この事はいままで検討してきた事と同様にして「移動する棒の先と後では、後ろ側が未来方向に時間がシフトしてしまう」という事を表しています。

そうしてこのμ粒子の例ではそれが19.8マイクロ秒である、と言う事です。(注2)

つまりは地球座標では時計Aと時計Cは同時にリスタートした事になっていますが、μ粒子座標では時計Aは時計Cよりも19.8マイクロ秒、早くスタートしている、と認識されるのです。

つまりはμ粒子にしてみれば「時計Aはフライングスタートしている」と言う事になります。(注3)



さてこれがローレンツ変換の与える答えでありますから、μ粒子からみれば「当方が2マイクロ秒経過している間に地球にある時計Aは0.2マイクロ秒経過した」となります。

つまり「相対速度0.995Cで走ってこちらに向かってくる地球の時間は遅れている」とμ粒子は観測する事になるのです。



そうしてその結果μ粒子観測系でも

表1

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=2マイクロ秒

TA@イベント②=20マイクロ秒

を再現する事になります。

但しμ粒子の結論は「遅れているのは地球の時間だ」となります。

さて、こうしてみますと今まで行ってきた時計A、B、Cについての議論がそのまま地球に降り注ぐμ粒子の時間の遅れ観測にそのままあてはまる事が分かるのです。

さて質問です。

μ粒子が動いているのですか、それとも地球が動いているのですか?

あるいは

遅れているのはどちらの時間ですか?



注1:時計Bで計って2マイクロ秒は相対速度0.995Cで走っている時計Aの時間では0.2マイクロ秒となります。

そうして0.2マイクロ秒後に時計Aは時計Bに到達し、その時の時計Aの時間は20マイクロ秒を指しています。

従って時計Cがリスタートした時点での時計Aの表示時刻は19.8マイクロ秒となります。

注2:棒の長さL*相対速度Vが時間のシフト量を表すのでした。

そうしてこの場合相対速度Vは3/10sqrt(11)≒0.995Cでした。

棒の長さは6kmですのでシフト量は

6/C*3/10sqrt(11)=19.8マイクロ秒となります。

但しここの所でのCの値は100*sqrt(11)/11=301151km/s に設定されています。

このCの値の設定が通常のCの値と異なっている理由は、ここでの議論の大筋を理解しやすくするために計算の初期条件設定で切りの良い数字を使った事によります。

注3:時計Aはフライングスタートしているのか?

μ粒子はそう主張し、地上に立つ我々は「いやそんな事は無い」と言います。

さてどちらが正しいのでしょうか?

もちろん「フライングスタートしている」のと同時に「フライングスタートしていない」という状況は通常の感覚では不可能な事であります。

しかしながら「フライングスタートしている」と主張しているのはμ粒子の立場に立った特殊相対論そのもの(=ローレンツ変換の結果)でありますから、これを否定する、と言う事は特殊相対論を否定する、と言う事になります。

そうしてこのような「同時であるという事は同一の慣性系内でしか成立しない」と言ったのはアインシュタインでした。

 

追記:2023/7:「時間の遅れはお互い様には矛盾がない、特殊相対論の結論はそうなっている」と主張される多くの方々がおられます。

そうしてまたその方々は時間が遅れる例としてこの「宇宙線由来のミュー粒子の話」をされます。

そうしてこう言います。

「ほら、確かに動いているミュー粒子の時間は遅れる」と。

さて、しかしながらその時同時に「その時にミュー粒子から見ると地球の時間が遅れて観測される」という説明をしません。

そのような説明をしている例を見ないのです。

これは本当におかしなことです。

「時間の遅れはお互い様」であるならば「ほら、ミュー粒子からみると、地球の時間はおくれている」と説明しなくてはなりません。

そう説明してこそ「時間の遅れはお互い様なのだ」と主張できるというものであります。



PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/8O6pW

https://archive.md/9QZ9n

https://archive.md/zBGpA

 

 


μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

2023-04-27 08:53:32 | 日記

1、宇宙線由来のμ粒子の時間遅れの測定

さて今更ながらのテーマです。

そうして「動くものは時間が遅れる」という事の実例としてよく取り上げられる例でもあります。

それでここでは「なるほど、動くものは時間が遅れる」のだが、「時間が遅れるのはμ粒子なのか、それとも地球なのか」という話です。

というのも時計Bの主張を聞くまでは「そりゃμ粒子だろう」と思ってはいました。

しかしながらその判断は実に「主観物理学の判断=自分が静止しているととらえている判断である」と言う事を知ってしまいました。

そうであれば「本当に動いているものはμ粒子なのか?」と改めて問う必要があるのです。



まずはネット上にあげられている記事を参照しておきます。

16. なぜミュー粒子は地表までやってくるの? : https://archive.ph/Z15ge : 

『ここで、アインシュタインの相対性理論にかかわる話を紹介しましょう。13と14で、パイ中間子はミュー粒子に崩壊すると書きました。ミュー粒子も短命で、50万分の1秒という短い時間で死んでしまいます。こんな短い時間しかこの世に出現しないのです。ミュー粒子は大気の上層部、地上から約10km上空で作られます。光の速さで走っても、走れる距離は、およそ600mにしかなりません。これでは地上に達することはできませんね。

しかしアインシュタインは特殊相対性理論の中で、物体は光速に近づくほど、寿命が延びる、つまり時間がゆっくり流れると予言しました。彼の理論が正しければ、ミュー粒子の寿命は50万分の1秒ではなく、10倍ほど寿命が延びます。すると600mではなく10倍走ることができて、6000mの間は消滅せず走れるようになり、ミュー粒子は地表まで飛来できるというわけです。』

実に簡単、明瞭な説明であります。

静止しているμ粒子の寿命を約2マイクロ秒である、としても光速に近いスピードで地表に向かうので寿命が10倍に伸びて標高ゼロ=海面まで届く、という説明になっています。(注1)



2、さてそれで、上記の説明は地上に立つ観測者がμ粒子を観測した場合の記述になっています。

それで問題は「それじゃあμ粒子から見たらその状況はどう見えるのか?」という所にあります。

「Ⅳ.素粒子の寿命の伸びと相対性」: http://www.sp.u-tokai.ac.jp/~yasue/ffn/soutairon-4.pdf :

8P~9Pにかけてその事についての記述があります。

それによれば

『 海面が近づいて来る時、海面との距離が縮んで見えるということにより、海面衝突までの経過時間が短くなり、やはり、ミュー粒子の減り方が少なくなって、実験結果を再現する事が分かる。』 と結論付けられています。

この場合はμ粒子は静止しており、そのかわりに地球がμ粒子側に運動している、という前提での計算になっています。

特に(4・23)図で示されたμ粒子のコメントにも注意が必要です。

それによればμ粒子は「距離が縮むぞ」と主張しています。



同様の計算をした別の記事も揚げておきます。

(µ 粒子の寿命と走行距離 (1)) : http://rokamoto.sakura.ne.jp/education/physicsIIB/life1.pdf :

『2. 同様に、運動中の µ 粒子から見た地上までの距離は短くなるので、所要時間は~となり 、寿命よりも十分に短いので平均として地上に到達できる。
以上の結果より、同じ現象が二つの見方から整合的に記述されたことになる。』とまとめられています。



3、さてそれで、μ粒子の寿命が延びて地表に到達する事は分かった。

そうしてまた、μ粒子からすれば「地球がμ粒子側に動いてきた」と想定した場合は(相対論でありますから、μ粒子が動いても、地球が動いても同じ結果を与えなくてはなりません)地球が移動するべき距離がローレンツ短縮する事でμ粒子の寿命時間内で海面がμ粒子の位置にまで到達できる、という説明も了解しました。

これは地上に立つ観測者にとっては上空で生成されたμ粒子が本来はその寿命時間内には到達しえない海面まで何故か到達しているという観測事実を「静止μ粒子の立場から説明した」という事になっています。

そこまではいいのです。

それでですね、その時に言及されていない事は「その時に静止μ粒子は地球に置かれた時計が進んでいる、と観測したのか、それとも遅れている、と観測したのか、どちらなんだ?」という所にあります。



4、解かれなくなくてはいけない問題

状況がはっきりしてきましたのでまとめておきましょう。

静止μ粒子の寿命は2マイクロ秒。

地上6kmの上空で宇宙線により生成される。

光速に近い速度で地表に向かう。

その為に寿命が10倍に伸びる様に地上の観測者は観測する。

ちなみに寿命が10倍に伸びる速度Vは

10=1/sqrt(1-V^2)  を満たす。

従って

V=sqrt(1-0.1^2)=3/10*sqrt(11)≒0.995C

これによって本来は600mしか走れない、そこで寿命が尽きるはずのμ粒子が寿命が延びて6kmを走って海面まで到達する事が可能となる。



以上をいままで行ってきた時計A、B、Cについての議論と整合性が取れた表現にするならば

時計Aは地上に置かれる(海抜0m=海面上)。

時計Bはμ粒子に付ける。

時計Cは地上6kmの上空に設置。この場所でμ粒子は生成される。そこがイベント①

イベント①にて時計Bと時計Cはリセットされる。

イベント②はμ粒子が6km走って海面に到達しそこで寿命が終わる場所。そうしてそこは又時計Aに時計Bが到達する場所でもある。

ちなみに時計Aと時計Cは地上から見て同期がとれている。したがって地上からは時計Cがリセットした時刻で時計Aをリセットできる。

そうしてμ粒子と地球の相対速度Vは約0.995Cである。



以上の条件で

イ、地球が静止している、とした場合のMN図

ロ、μ粒子が静止している、とした場合のMN図

を描けばよい、それが回答を与える事になります。



注1:μ粒子の寿命の固有時

静止しているμ粒子の寿命が約2マイクロ秒である、と言う事は「μ粒子の寿命の固有時は2マイクロ秒である」と言っている事になります。

そうしてこれは固有時ですからどのような相対速度を持つ観測者が観測しても「μ粒子の寿命は2マイクロ秒」と観測されなくてはなりません。

もしそのように観測されない、としたならばその観測者がつかっている時計と物差しの目盛りがずれている、と言う事になります。



但しμ粒子の崩壊過程は量子力学的な確率過程である為に目の前にある一つのμ粒子について、その崩壊するタイミングを予測する事はできません。

しかしながら多くのμ粒子の寿命についてはその平均値を確定する事は可能となります。

従ってここでは目の前にある一つのμ粒子はそのようにして得られた平均値の寿命を持つ、と言う事を前提とした話となっています。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/LeUrC

https://archive.md/VCpd6

 


その4・ 時間の遅れを測定するのは難しい

2023-04-24 01:50:09 | 日記

さて前のページの一応の結論

『つまりは「上記の様な観測データからは慣性系αとβでどちらの時間が遅れていたのかは判断できない」という事です。』から続けましょう。

それではこの測定実験は無意味だったのでしょうか?

いやそんな事はありません。

ローレンツ変換が我々の宇宙では常に働いている、という事の確認実験になっています。

と言うのもガリレイ変換では前述の様な観測データを得る事は出来ないからであります。(追記参照)

とはいえ残念ながら「ランダウ、リフシッツの実験方法」では当初目的の「慣性系αとβのどちらの時間が遅れていたのかを識別する」という事はできないという結論には至りました。(注1)



さて時計Bの抗弁、説明から明らかになった事は時間遅れの実験を計画しその結果

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

と言う様な観測データを得られた。

「それでこれをMN図のあらわすと図1のようになる、従って時計Aが静止していて時計Bが移動していたのである」と言う判断は「我々が今まで陥っていた錯覚である」という事です。(注2)

それでこの錯覚にランダウ、リフシッツも陥っていましたから

『・・・2つの基準系の時計を比較する為には、一方の基準系では数個の時計、他方の基準系では一個の時計を必要とする事が分かる。

従ってこの操作は両方の系について対称ではない。遅れると判断される時計は常に同一で、それが他の系の異なったいくつかの時計と比べられるのである。・・・』

と言う様に「この方法で2つの基準系のどちらが遅れているのか判断できる」と主張する事になります。(注3)



しかしながらこの様に判断する事は通常の我々の生活体験では普通のことであり、常識的である、と言えます。

つまり「慣性系βが、時計Bの時間が遅れていたのであれば次のような観測結果が得られるはずだ、という予測は常識的である」という事です。

表1:慣性系βの時間が、時計Bの時間が遅れていた場合に得られると予測される結果

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

この様な観測結果が得られれば「なるほど、時計Bの時間は遅れていた」と。



「そうしてもし慣性系αの時間が、時計Aの時間が遅れていたならば次の様なデータが得られる事になる。」と普通は考えます。

表2:慣性系αの時間が、時計Aの時間が遅れていた場合に得られると予測される結果

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=5秒

TA@イベント②=3秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』



以上の様な事前の、常識的な判断がありますから表1で示される様な観測結果が得られれば「慣性系βの時間が、時計Bの時間が遅れていた」と判断する事になります。

つまり「動いていたのは慣性系βで静止していたのは慣性系αだ」とそう結論を出す事になるのです。



しかしながら「そのような判断は間違いである」という事が時計Bの説明によって明らかになってしまったのでした。

ちなみに「時間の遅れを測定するのは難しい」というこのタイトルは実にこの状況を指していたのでした。



注1:「ランダウ、リフシッツの実験方法」と言っていますが、時間遅れの測定についてはまじめに考えてみるならば大抵はこれと同じ実験方法を考えると思われます。

現に当方も「ランダウ、リフシッツの提案」を知る前にこの方法については、考えが到達していました。

注2:図1につきましては内容詳細は「時計Aからみた時のミンコフスキー図」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29864 :にてご確認願います。

注3:「ランダウ、リフシッツ パラドックス」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29541 :に引用したランダウ、リフシッツのより詳細な記述がありますので、そちらをご確認願います。



追記:ローレンツ変換でなくガリレイ変換が我々の暮らす宇宙を支配していたら、この観測実験の測定結果は以下のようになります。

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=5秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

さてこの結果は表1の測定結果とは異なりますので、こうして我々は自分が暮らす宇宙の変換則は「慣性系α、βのどちらが静止系にあるのかは巧妙に隠しますが(=時計Aが運動しているのかそれとも時計Bが運動しているのかを観測データからでは判断できないようにして隠します)、いずれにしても運動は時間の遅れを引き起こす」と言う事を知るのです。


追伸の2
時計Aが「静止しているのは時計Aだ」と主張し、そうして又時計Bが「静止しているのは時計Bだ」とそれぞれが主張するような状況の時に、「両方とも正しい」とするのが「主観物理学」です。

つまり「それぞれの観測者が静止系を決める事が出来る」という立場ですね。

それに対して「同時に2つの静止系は存在できない」がゆえに「どちらかが客観的な静止系である」とする立場が「客観物理学」です。

そうしてローレンツ変換自体は「主観物理学が正しい」とも「客観物理学が正しい」とも主張しません。

どちらであってもローレンツ変換が成立し、それによって説明が可能であるからです。

さてそうであれば「主観物理学」と「客観物理学」のこのせめぎ合いの白黒をつけるのは相当に難しい、と言う事になります。

ちなみに「同時に2つの静止系は存在できない」がゆえに「どちらかが客観的な静止系である」とする立場をとる「客観物理学」を認めると、その客観的な静止系は「唯一の特別な慣性系=宇宙の中で一番早く時間が進む慣性系」となり「全ての慣性系は平等である」という「特殊相対論の教義にそむく」と言う事になります。


追伸の3
以上の事から分かります様に「MN図のY軸は観察者の視点=観察者が自分が静止していると認識している」と言う事を表しているだけであって、その観察者が客観的に存在する静止系=基準慣性系に立っている事を保証するものではない、と言う事になります。

そうしてその観察者の視点を切り替える=MN図を描き変えるのがローレンツ変換の役目である、と言う事が分かるのです。

しかしながらもちろん、観測者が偶然に基準慣性系に立っていた場合でも、それまでと同じように違和感なくMN図はその状態を表す事になります。

したがって、MN図からは基準慣性系がどこにあるのかは判別する事ができない、と言う結論に至るのです。

そうであればこそ、ローレンツ変換によって視点を切り替えられてしまった観測者は目の前に展開している状況=描き変えられたMN図が示す状況こそが唯一の事実である、と主張する事になるのです。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/yvqi5

https://archive.md/oMXvO

 


その3・ 時間の遅れを測定するのは難しい

2023-04-21 07:24:31 | 日記

5、時計Bの説明をMN図をつかって確かめておきます。

それで時計Aが静止系であった場合のMN図は図1でした。(注1)

図1のプロット

y=x,y=-x,y=0,x=0,y=-1.25x+5,x=4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

図1の実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3Dx%2Cy%3D-x%2Cy%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-1.25x%2B5%2Cx%3D4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

この図1で示した以下のイベントの座標を速度V=-0.8Cでローレンツ変換(=速度0.8Cで逆ローレンツ変換)すると図1では速度0.8Cでマイナス方向に運動していた時計Bを止める事(=時計Bの慣性系からみたらどうみえるか)ができます。

イベント①座標(0、4)

イベント②座標(5,0)

イベントではありませんが、時計Aのリセットポイントとしての原点

原点座標(0,0)   (注2)

この計算についてはすでに

『ローレンツ変換は「時間の遅れはお互い様」を支持しない件』: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29929 :で行っており、その結果は図3として表してあります。

図3のプロット

y=0,x=0,y=1.25x,x=6+2/3,y=8+1/3,y=5+1/3 プロット  -10<x<10, -10<y<10

図3の実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D1.25x%2Cx%3D6%2B2%2F3%2Cy%3D8%2B1%2F3%2Cy%3D5%2B1%2F3%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

計算内容そのものは上記記事を参照願います。

それでこのMN図が時計Bが「自分こそは静止系で動いてくるのが時計Aだ」と主張する時に時計Bが見る事になるもの、あるいはそのように主張する事になる根拠となるものです。



さてそれで時計Bの座標系ではイベント①の時刻(=座標時)は

Y=16/3=5.3333・・・となっています。

そうしてこのY軸の値が16/3でX軸に平行に引かれた線が時計Bでの時刻0の同時刻平面を表します。

そうであれば、時計Bからみれば時計Aは時計Bの時間で計って16/3秒前にすでにリセットされた、そうしてイベント①の時点(=時計Cと時計Bがすれ違うタイミング=時計Bが時刻をリセットするタイミング)ではすでに時計Aは16/3秒間、時計Bに向かって移動してきている、と時計Bは見ます。

しかしながらこの16/3秒は時計Bの時刻読み(=今ここでは時計Bは静止系の扱い)ですので、これを「時計Aは速度0.8Cで移動してきている」と主張している時計Bの言い分を認めて「移動するもの(=時計A)は時間が遅れる」を適用します。

そうすると時計Bでの時刻読み16/3秒は時計Aでは

16/3*sqrt(1-0.8^2)=3.2

つまり時計Aは時計Cが時計Bとすれ違う時にすでに3.2秒を指していた、と言う様に時計Bには映るのです。

これが前の記事では「長さ4Cの速度0.8Cで移動する棒の後ろ側は未来方向に4*0.8=3.2秒ずれてしまう」という事のローレンツ変換による説明になります。



そうして時計Bが時計Cとすれ違う時に見る長さ4Cの棒の長さが2.4Cに短縮してみえる(=ローレンツ収縮)は時計Bをリセットした時(=座標時で16/3秒)の時計Bから時計Aまでの距離に現れています。

時計Bの座標系では時計Aが時刻をリセットした場所は時計Bから距離で20/3(C)離れていました。

それがイベント②の位置を頂点とする大きい方の三角形の底辺になります。

この三角形の高さは25/3(秒)になっています。

次に小さい方の三角形、これは頂点はイベント②で同じですが底辺の位置がイベント①になりますから高さが3(秒)です。

さてこの小さい方の三角形の底辺の長さが今、問題にしている「時計Bをリセットした時の時計Bから時計Aまでの距離」となります。

そうであればその距離は次のように計算できます。

20/3*3/(25/3)=2.4

そうしてこれは長さ4Cの棒が2.4Cにローレンツ短縮する、ということのローレンツ変換による説明になっています。



さてこの距離2.4Cを速度0.8Cで右側に移動する時計Aは3秒で時計Bに、時計Bの時間では到達します。

さてそれでこの3秒を時計Aの時間に変換しますと

3*sqrt(1-0.8^2)=1.8

1.8秒となります。

こうして時計Aは時計Cと慣性系αの中の視点では時計Cが時計Bとすれ違う時に同時にリセットされる事になっていますが、その後(慣性系βにある)時計Bとすれ違うまでに

3.2+1.8=5秒(=時計Aの固有時になる)

という時間を経過した、と時計Bは説明したのでした。

そうしてそれが時計Aの固有時になります。



次に時計B自身はまずは時計Cとすれ違う時に時刻をリセットし次に時計Aとすれ違います。

その時までの経過時間はイベント②と①の座標時の差分として簡単に計算出来て

TBイベント②-TBイベント①=25/3-16/3=9/3=3

3秒である、と図3は(=ローレンツ逆変換は)示しているのです。

これが時計Bの固有時になります。



以上より分かります様に、前の記事の説明の仕方はローレンツ変換による変換結果を順を追って分解しながら説明したものになっています。

そうしてローレンツ変換自体はこのような説明をすることなしで変換結果をただ単に示すだけですから、その変換結果を我々人間が理解するには上記の様に順次、プロセスを分解して認識していく必要があるのです。



そうしてここまでの例で申し上げるならば

『時間おくれ実験での時計の観測データ

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

を説明する場合に「時計Aが静止系である、としても、時計Bが静止系である、としても良い、どちらでも整合的にこの観測データを説明できる」という結論にいたりました。

従ってこのような実験で時計Bの読み値が時計Aよりも小さいので時計Bの時間が遅れている(=慣性系βの時間が遅れている)と言うように結論を出す事はできない、と言う事になります。

つまりは「上記の様な観測データからは慣性系αとβでどちらの時間が遅れていたのかは判断できない」という事です。

それはまた「時間遅れ実験結果についての従来の判断の仕方は間違いである」と言う事でもあります。(注3)



そうしてまた「時計Aが静止系である、と同時に、時計Bが静止系である」と言う事は不可能な事です。

そうであれば「どちらか一方が静止系であった、という事が現実に起きていたのである」とするのが妥当な判断かと思われます。

それは又「時間の遅れはお互い様という様な状況は上記の様な解釈を認めた場合でも成立していない」という理解でもあります。





注1:「時計Aからみた時のミンコフスキー図」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29864 :で行い、その結果図1を得ました。

内容詳細につきましては上記記事にてご確認願います。

注2:原点はローレンツ変換しても原点に写像されます。

つまり「原点はローレンツ不変」であり、不動点となっています。

そうしてまたローレンツ変換(含むローレンツ逆変換)は原点をイベントの一つとして認識する模様です。

それゆえに上記の様な観測結果の解釈においては時計Aも固有時を示す、とローレンツ変換は主張します。

注3:この点につきましてはランダウ・リフシッツも判断を間違っています。

「ランダウ、リフシッツ パラドックス」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29541 :で引用したランダウ、リフシッツでは

『・・・2つの基準系の時計を比較する為には、一方の基準系では数個の時計、他方の基準系では一個の時計を必要とする事が分かる。

従ってこの操作は両方の系について対称ではない。遅れると判断される時計は常に同一で、それが他の系の異なったいくつかの時計と比べられるのである。・・・』

と言う様に「この方法で2つの基準系のどちらが遅れているのか判断できる」と主張していますが「このランダウ、リフシッツの認識は誤りである」という事になります。

そうしてそれは又「業界で認められている時間遅れ実験の結果についての判断、認識の仕方は誤りである」という事でもあります。


追伸
「ローレンツ変換の存在を認める」という事は「ローレンツ変換がこの宇宙の時空を支配しているという事を認める事」であります。

そうしてその事はそのまま特殊相対論を認める、ということでもあります。

さてそうなると「特殊相対論を認めながら時計Bの主張は認めない」と言う事はできないのであります。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧


https://archive.md/1HCqC

https://archive.md/lejCu

 


その2・ 時間の遅れを測定するのは難しい

2023-04-18 03:22:50 | 日記

「ほら、ランダウ、リフシッツが言う様にすれば、時計Bの時間が遅れていて時計Aは遅れていない、物事は明確ではないか。」と言う、多くの声が聞こえます。

そうしてこの様に状況を設定した場合のほとんどの論者の説明方法は前のページで述べた筋道に従っています。

しかしながらここで問題になるのは「なぜ時計Aが、慣性系αが静止系である、と言い切れるのか」という所にあります。

運動は全て相対的なものである、と言うのが相対論の建前、前提でした。

そうであれば時計Aが「止まっているのは自分だ」と主張するのと同じ権利を時計Bにも与えなくてはなりません。

そういうわけで、今度は時計Bの主張を聞く事になります。



3、時計Bは「いや、移動しているのは時計Aだ」と言います。

もう一度測定状況を確認しておきます。

慣性系αでは時計Cを先頭に時計Aがそのうしろから距離4Cで右に移動しています。

慣性系α内では時計Cと時計Aは時刻合わせが済んでいます。

慣性系βでは時計Bが左に移動しています。

慣性系αとβとの相対速度Vは0.8Cです。

時計Cと時計Bがすれ違う時にお互いの時計の時刻を観測しあうイベントがイベント①です。

同様に時計Aが時計Bとすれ違う時にお互いの時計の時刻を観測しあうイベントがイベント②です。

以上の状況で得られた観測データは次のようになります。

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。

以上のデータについては時計Bもすでに同意しているものですから、これにいちゃもんをつける事は出来ません。

さてこのデータからどうやって時計Bは「いや、移動しているのは時計Aだ」という主張を展開するのでしょうか?

ちなみにこの時の時計Bのロジックの組み立ては本邦初公開ではないかと自負するものであります。



4、時計Bの反論、「移動しているのは時計Aだ」という説明。

時計Bの視点に立てばなるほど静止しているのは時計Bで動いてくるのは時計Cと時計Aです。

そこまでは何の問題もなく全員が了解するでしょう。

しかしながら得られた観測データは上記で示したものでOKだと時計Bはすでに認めています。

さてではこの観測データからどうやって「静止系は時計Aだ」という主張に反論するのでしょうか?

時計Aが主張している以外のこの観測データの説明方法があるのでしょうか?



時計Bは言います。

「時計Cは長さ4Cの棒の先端に取り付けられていて、時計Aはその棒の終端に取り付けられている」と。

まあそうなります。

時計Cと時計Aの間隔は4Cでしたから。

「その棒が速度0.8Cでこちらに向かって来ます。

従ってその棒の長さはローレンツ短縮をおこして4Cではなく0.6*4Cになっています。」

sqrt(1-0.8^2)=0.6 ですから棒の長さが2.4Cになる、という主張は正当なものですね。

「そうしてまた0.8Cでこちらに向かってくる長さ4Cの棒の先端と終端におかれた時計が示す時刻は同時刻ではなく4C*0.8=3.2秒の差が生じています。

この差分は棒の先端を基準とした場合は終端は+3.2秒だけ未来にシフトしています。(注1)」

さて、アインシュタインを信用するならば、この時計Bの主張も認めざるを得ません。

そうして時計Bは続けます。

「長さが2.4Cの棒の先端とすれ違う時に時計Bと時計Cはリセットしました。

そうであれば

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

は当然です。」

「次に長さが2.4Cの棒が時計Bの横を速度0.8Cで通り過ぎるのには3秒必要です。

従って時計Aと時計Bがすれ違う時の時計Bの示す時刻は3秒です。

これがTB@イベント②=3秒の説明です。」

まあこの説明もごもっともな事です。

「さてこの時に時計Aの時刻は時計Bで計って時計Cがリセットされた時点から3秒経過しています。」

「しかしながら時計Aは相対速度0.8Cで移動していますのでその時間は遅れて3秒*0.6=1.8秒の経過となっています。

sqrt(1-0.8^2)=0.6 ですから、時計Aの時間が0.6の割合で時計Bに対しては進まない、というのはアインシュタインの主張でした。

そうであればここでもまた時計Bの言う事を認めざるをえません。

そうして時計Bは言います。

「さて次に、もともと時計Aは時計Cに対して未来方向に+3.2秒、ずれ込んでいました。

そうして、それに加えて時計Cが時計Bとすれ違ってから時計Aが時計Bとすれ違うまでの経過時間1.8秒を足しこみますときっちり5秒となり、これが時計Aが時計Bとすれ違う時に時計Aが示す事になった時刻です。

これがTA@イベント②=5秒の説明です。」

「以上で時計Bからの抗弁と致します。」

会場はシーンとして静まり返っていましたとさ。



注1:この時刻の差分が生じる現象は相対論でアインシュタインが初めて言い出した「同時刻のミステリー」でした。

ういき(英文):「特殊相対論」: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Special_relativity?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc  :トーマス回転(Thomas rotation)より引用

『・・・棒の左端と右端にある 2 つの時計が棒のフレームで同期していると想像すると、同時性の相対性により、ロケット フレーム内の観測者は棒の右端の時計を観察 (見えない) します。によって時間的に進んでいるように Lv/c^2 それに応じて棒が傾いて観察されます。・・・』

長さLの棒の切端と終端では時間差ΔT=L*V/C^2が、相対速度Vで移動してくる棒では発生している、という説明になっています。

そうして今はC=1の単位系ですので時間差ΔT=L*V、つまり長さ4Cで相対速度V=0.8CだとΔT=4*0.8=3.2秒となります。



PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/9WKOy

https://archive.md/JWwap

https://archive.md/pIZjI