「その4・ 双子のパラドックス・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26731 :で取り扱った3番目の例で考えます。
アリスとボブが480光日離れた場所で時計をリスタートさせ、相対速度0.8Cで接近し、ついには出会う事になります。
その時にアリスとボブの時計がいくつを指していたか、という話が「双子のパラドックス(加速度運動なし)」の設問でした。
3、の計算ではアリスとボブ両方が基準慣性系に対して同等の相対速度0.5002Cをもって接近している、としています。この場合両者の速度を相対論的に加算すると0.8Cとなります。
基準慣性系 アリスが申告する日数(アリスタイムで) ボブが申告する日数(ボブタイムにて)
3、アリスとボブの中間 415.37日 415.37日
アリスが左から、ボブが右から両者の中間にある(?)基準慣性系目指して接近してきます。
それで両機が出会う場所はもちろん「両機の真ん中」となります。
3、では両船ともに距離240光日を速度0.5002Cで走りますから240÷0.5002=479.81(日)。その時点で両船は出会う事になります。
そうしてこれを「走っている船の内部時間に換算する」と479.81*300/346.54=415.37(日)となります。
係数300/346.54については http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26690 :にて確認願います。
さてそれでボブもアリスも基準慣性系の時計に対して0.8657(=300/346.54)で時間が遅れています。それにもかかわらず基準慣性系に対する相対速度0.5002Cで走って415.37日で距離240光日を走り切ります。
それは例えばアリスにしてみれば0.5002C×415.37日=207.768光日しか走っていない事になるのですが、それで240光日を実際には走っています。
それはまるでアリスにとってはボブと出会う事になる真ん中までの距離が207.768/240=0.8657という割合で縮んだかのようであります。
そうしてそれを「空間がローレンツ短縮したのだ」と説明しているういきや教科書があります。(μ粒子がその短い寿命の間に地上に到達できるのは、μ粒子の視点に立てば「空間が縮んだのだと解釈できる」という説明は説得力があります。:注1)
まあその事の真偽(この空間距離の短縮をローレンツ短縮と呼べるのかどうか)はべつとして、「空間が縮んだかのようにみえる」と言うのはアリスやボブにとっては「事実であろう」と思われます。
以上のような説明を受け入れたとしますと、ボブとアリスの間の距離は二人にとっては207.768光日×2=415.536光日に見える、という事になります。
その距離を両側から0.5002Cで近づきますから415.37日後に両船は出会う事になります。
次にその状況をアリス号からボブ号を見た時にはどう見えるのか、を考えます。
アリス号にとってはボブ号がこちらに向かって動いてきています。そうして当初距離415.536光日を415.37日で走り切る様に見えます。
そうするとアリス号にとってボブ号の相対速度は415.536(光日)/415.37(日)=1.0004Cという事になります。
あれれ、おかしいですよねえ。光速Cを相対速度が超えてしまいました。
そうして当初設定したはずの「ボブとアリスの相対速度は0.8C」とも違う値です。
この件につきましてはまだはっきりとしたことは言えませんが「ここには矛盾がある」「パラドックスがある」という事は言えそうであります。
注1:(µ 粒子の寿命と走行距離 (1)) : http://rokamoto.sakura.ne.jp/education/physicsIIB/life1.pdf :を参照願います。
追記:以上の内容について、どこかに考え落しがある様でしたらご指摘いただけると助かります。
追記の2:上記の計算例ではあまりはっきりと光速を越えた、という実感がありませんでした。
それでボブとアリスの基準慣性系に対する相対速度を0.5002Cから0.8Cにアップさせた計算例を以下に示します。
基準慣性系 アリスが申告する日数(アリスタイムで) ボブが申告する日数(ボブタイムにて)
4、アリスとボブの中間 180日 180日
アリスが左から、ボブが右から中間にある(?)基準慣性系目指して接近してきます。
出会う場所はもちろん「両機の真ん中」となります。
4、では両船ともに距離240光日を速度0.8Cで走りますから240÷0.8=300(日)。その時点で両船は出会う事になります。
そうしてこれを「走っている船の内部時間に換算する」と300*0.6=180(日)となります。
係数0.6については http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26518 :にて確認願います。
さてそれでボブもアリスも基準慣性系の時計に対して0.6で時間が遅れています。それにもかかわらず基準慣性系に対する相対速度0.8Cで走って180日で距離240光日を走り切ります。
それは例えばアリスにしてみれば0.8C×180日=144光日しか走っていない事になるのですが、それで240光日を実際には走っています。
それはまるでアリスにとってはボブと出会う事になる真ん中までの距離が144/240=0.6という割合で縮んだかのようであります。
それで「空間が縮んだかのようにみえる」と言うのはアリスやボブにとっては「事実であろう」と思われます。
以上のような事を受け入れたとしますと、ボブとアリスの間の距離は二人にとっては144光日×2=288光日に見える、という事になります。
その距離を両側から0.8Cで近づきますから180日後に両船は出会う事になります。
次にその状況をアリス号からボブ号を見た時にはどう見えるのか、を考えます。
アリス号にとってはボブ号がこちらに向かって動いてきています。そうして彼らにとってはそのように見えるであろう当初距離288光日を180日で走り切る様に見えます。
そうするとアリス号にとってボブ号の相対速度は288(光日)/180(日)=1.6Cという事になります。
もちろん立場を入れ替えてボブ号にとってはアリス号が1.6Cで近づいてきている事になります。
さて、以上が「相対速度は光速を超える(事もある)」という事例となります。
ちなみに現状、世の中ではアインシュタインのおかげで「光よりはやく進むものはない」と言うのがほぼ常識の様に受け入れられています。
従いまして「アリス号とボブ号の相対速度は1.6Cである」などというと「袋叩きに遭う」という事にもなりかねません。
しかしながら、当方と致しましては「上記の計算においてミスはない」と言う認識なのであります。
「いやおかしいだろう、それでは相対論電卓の計算結果と合わない」という件につきましては次回に回したいと思います。
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