特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

閑話休題・宇宙では特殊相対論は通用しない(?)件

2024-07-19 01:32:50 | 日記

以下「宇宙では特殊相対論は通用しない件」についてのチャットGPToとの対話です。

まずは「地球に対して0.6Cで遠ざかっていく宇宙船の時間は地球の時間に対して0.8がけで遅くなる。この計算は正しいか?」と聞きます。

そうすると

はい、この計算は正しいです。以下にその理由を説明します。

・・・(いつもの時間遅れの計算)

つまり、宇宙船の時間は地球の時間の 0.8 倍で進行します。

したがって、宇宙船の時間が地球の時間に対して0.8倍遅くなるという計算は正しいです。

次に「地球に対して速度0.6Cで遠ざかっていく銀河の時間は地球の時間より0.8がけで遅くなる。これは正しいか?」と聞きます。

そうすると見事に罠にはまって

はい、この計算も正しいです。特殊相対性理論の時間の遅れを適用するためのプロセスは同じです。

・・・(いつもの時間遅れの計算)

つまり、銀河の時間は地球の時間の 0.8 倍で進行します。

したがって、銀河の時間が地球の時間に対して0.8倍遅くなるという計算は正しいです。

 

次にこんな風に聞きます。「天文学者たちは「地球に対して速度0.6Cで遠ざかっていく銀河の時間は地球の時間より0.8がけで遅くなる。」と考えているか?」

そうすると天文学者たちは「地球に対して速度 0.6c で遠ざかっていく銀河の時間が地球の時間より 
0.8 倍遅くなる」と考えています。これは特殊相対性理論に基づく正しい理解です。

特殊相対性理論によると、相対速度が高いと時間の遅れ(時間の伸び)現象が発生します。具体的には、地球の観測者から見た場合、銀河の時計は遅く進むように見えます。これはローレンツ因子(ガンマ因子)を用いて計算されます。

・・・(いつもの時間遅れの計算)

つまり、天文学者たちは特殊相対性理論の原理に従って、「地球に対して速度 0.6c で遠ざかっていく銀河の時間は地球の時間より 0.8 倍遅くなる」と考えるのが正しいと認識しています。この理解は、ローレンツ変換と時間の遅れの原理に基づいており、現代物理学の標準的な解釈です。

と「いつもの知ったかぶり」を発揮してくれます。

 

そこで次に「その理解で行くと地球から光速で遠ざかっていく銀河の時間は止まっていることになるがこれは正しいか?」と聞きますと

はい、あなたの理解は正しいです。特殊相対性理論によると、地球から光速で遠ざかっていく物体(銀河など)の時間は、地球の観測者から見ると完全に止まっているように見えます。

・・・(いつもの時間遅れの計算)

これは数学的には無限大(∞)を意味します。したがって、光速で移動する物体の時間は、地球上の観測者から見ると無限に遅くなる、つまり止まっていることになります。

この概念は光速で移動する物体に対してのみ適用されます。実際の物理学では、質量を持つ物体は光速に達することができないため、この状況は理論上のものであり、実際の物体に適用されることはありません。光速で移動するのは、質量を持たない光子などの粒子に限られます。

と「何やらおかしいな」とチャットGPToも思い始めますww

 

で、そこで追い打ちをかけます。

「何を言っているのだね。銀河は光速を超えて地球から遠ざかることも可能なのだよ。天文学者はそう言っている。」

答えはおっしゃる通り、宇宙の膨張により、ある銀河が地球から光速以上の速度で遠ざかることが可能です。これは特殊相対性理論の枠外で起こる現象であり、一般相対性理論の文脈で理解されるべきものです。

特殊相対性理論では、物体の相対速度が光速を超えることはできません。しかし、宇宙の膨張に関する一般相対性理論では、空間そのものが膨張しているため、遠く離れた銀河が地球から光速以上の速度で遠ざかることが可能です。この現象は、宇宙の膨張速度(ハッブル定数)に依存します。

この膨張は、銀河の間の空間が膨張することによって生じるものであり、銀河自体が空間を通過して移動するわけではありません。したがって、ローレンツ変換や時間の遅れの概念は直接適用されません。

具体的に言うと、銀河が地球から光速以上の速度で遠ざかる場合、その銀河の時間は「止まっている」とは言いません。

むしろ、その銀河は地球の観測者にとっては視界から消えてしまい、銀河からの光が地球に届かなくなります。

要点をまとめると:

1,特殊相対性理論では、物体は光速を超えられず、光速に近づくと時間の遅れが生じます。

2,一般相対性理論では、宇宙の膨張により、遠くの銀河が地球から光速以上で遠ざかることが可能です。これは空間自体の膨張によるものであり、銀河の速度が相対的に光速を超えるわけではありません。

3,銀河が光速以上の速度で遠ざかる場合、その銀河の時間が止まっているわけではなく、地球の観測者から見るとその銀河は観測範囲から外れることになります。

この理解が、天文学者たちの考え方と一致しています。

と回答を修正してきました。

 

そこで『「銀河が光速以上の速度で遠ざかる場合、その銀河の時間が止まっているわけではなく、地球の観測者から見るとその銀河は観測範囲から外れることになります。」<--観測できない銀河の時間に対して何故「その銀河の時間が止まっているわけではない」と言えるのかね?』

と聞きますと

ご指摘ありがとうございます。観測できない銀河の時間について議論する際には、観測の限界を超えての推測が含まれることを認識する必要があります。以下に、もう少し詳しく説明します。

1,宇宙膨張と観測範囲:

・遠くの銀河が光速以上の速度で地球から遠ざかるのは、空間の膨張によるものです。これは宇宙の膨張によって生じる相対的な速度であり、銀河自体が空間内で光速を超えて動いているわけではありません。

2,一般相対性理論の適用:

・一般相対性理論によると、遠くの銀河が光速以上の速度で遠ざかるとき、その銀河からの光は地球には届きません。これは視界の限界(地平線)を超えることを意味します。

3,時間の概念:

・特殊相対性理論における時間の遅れは、相対速度に依存しますが、一般相対性理論における宇宙膨張では異なるメカニズムが働いています。膨張によって遠ざかる銀河に関しては、地球の観測者から見るとその銀河からの情報(光)は届かなくなります。

・しかし、銀河自身の時間(その銀河の中での時間の進み方)は、その銀河の住人にとっては通常の速度で進行しています。これは、空間の膨張が銀河の内部の物理法則に直接影響を与えるわけではないためです。

4,観測可能性の限界:

観測範囲を超えた銀河については、直接観測することはできませんが、一般相対性理論に基づく理解により、その銀河の内部で時間が通常の速度で進んでいると推測することができます。


したがって、「その銀河の時間が止まっているわけではない」と言えるのは、一般相対性理論に基づく理解により、銀河自体の内部の時間の進行は空間の膨張によって直接影響を受けないためです。この推測は、観測可能性の限界を超えた状況でも、一般相対性理論の枠内で理論的に成り立つものです。

 

でそれから2~3のやり取りを挟んでこんな風に聞きます「地球から見て0.6Cの速度で遠ざかる宇宙船の時間は0.8がけで遅くなる。しかしながら同じように地球から見て0.6Cで遠ざかる銀河の時間は遅くならない。君はそういっているのだが、その回答は矛盾していないかい?」と

回答はおっしゃる通り、私の以前の説明には混乱を招く部分がありました。宇宙船と銀河の時間の遅れを比較する際に、特殊相対性理論と宇宙の膨張という異なる概念が混在していたためです。以下でそれを整理します。

特殊相対性理論に基づく時間の遅れ:

地球から見て相対速度 0.6c で遠ざかる宇宙船に対して、ローレンツ因子を使用して時間の遅れを計算します。この場合、宇宙船の時間は地球の観測者から見て 0.8 倍遅くなります。

したがって、宇宙船の時間は 

・・・(いつもの時間遅れの計算)

 0.8t となります。

一般相対性理論と宇宙膨張に基づく遠ざかる銀河:

宇宙膨張の影響を受ける銀河の場合、その速度が光速 c に近づいたり超えたりしても、これは空間自体の膨張によるものであり、銀河の相対速度ではありません。

この状況では、遠ざかる銀河の時間の進行は銀河の住人にとっては通常の速度で進行しますが、地球からはその銀河の光が到達するまでに非常に長い時間がかかるため、観測できなくなることがあります。


まとめると:

宇宙船の場合: 特殊相対性理論に基づき、地球から見て相対速度 0.6c で遠ざかる宇宙船の時間は 0.8 倍遅くなる。

遠ざかる銀河の場合: 宇宙膨張の影響を受けており、銀河自体の時間の進行は通常通りだが、地球からの観測が困難になる。


ここでの混乱の原因は、銀河の場合において「速度 0.6c で遠ざかる」という表現が、特殊相対性理論に基づく相対速度と、宇宙膨張による見かけの速度を混同する可能性がある点です。遠くの銀河が光速を超えて遠ざかるのは、空間自体の膨張によるものであり、相対速度とは異なる概念です。

したがって、相対速度 0.6c で遠ざかる宇宙船の時間の遅れに関する説明と、宇宙膨張による銀河の時間の進行に関する説明は、それぞれ異なる理論(特殊相対性理論と一般相対性理論)に基づいているため、直接的な比較は適切ではありません。これにより、矛盾は解消されます。と答えます。

そうしてそのような理解が天文学者での現状の通説になっているものと思われます。

 

さてそれで以上の話のポイントは

遠くの銀河が光速を超えて遠ざかるのは、空間自体の膨張によるものであり、相対速度とは異なる概念です。にあります。

つまりは「宇宙には2種類の相対速度がある」のです。

一つは「空間そのものに対する相対速度」であってそれは特殊相対論の計算に従います。

もう一つは「空間そのものが膨張することによる相対速度」であってこれは特殊相対論の計算には従いません。

その結果、空間自体の膨張による「地球から見て遠ざかる銀河の時間の進行は銀河の住人にとっては通常の速度で進行する」のです。(注1

より正確に言うならば「光速に近い速度で遠ざかる銀河の時間であっても地球での時間の進行速度と同じ速さでその銀河の時間は進んでいる」のです。

つまりは「すべての銀河はその銀河に対応する固有の静止系を持つ」のであって、したがって「当該銀河が自分が持つ固有の静止系に対して静止しているならば銀河の時間に遅れは生じていない」のです。

したがって「見かけ上、地球から光速に近い速度で遠ざかる銀河の時間であっても地球での時間の進行速度と同じ速さでその銀河の時間は進むことが可能となる」のです。

 

他方で「地球から見て遠ざかる宇宙船の時間の進行速度は特殊相対論の計算に従って地球の時間の進行速度より遅れる」のです。

というのもその宇宙船は天の川銀河系に属していて、したがって天の川銀河系が持つ固有の静止系に対して運動していればその分宇宙船の時間は遅れる事になるのです。

 

注1:さてここで言っている「空間」という言葉を「CMBパターンに対して静止している慣性系」と言い換えることができます。

そうして「CMBパターンに対して静止している慣性系」こそが「客観的に存在する静止系」そのものの事なのです。

 

追伸:『地球から見て0.6Cで遠ざかっていく物体に対してその速度が「特殊相対性理論に基づく相対速度」なのか」あるいは「宇宙膨張による見かけの速度」なのか、どうやって見分けるのかね?』<--こんな風に聞きますと

こう答えます。良い質問です。地球から見て遠ざかっている物体の速度が「特殊相対性理論に基づく相対速度」なのか「宇宙膨張による見かけの速度」なのかを見分けるためには、以下のポイントを考慮する必要があります。

1,距離による違い:

・近距離の天体(例えば、太陽系内や銀河系内の天体)は主に特殊相対性理論の影響を受けます。これらの天体の速度は、宇宙膨張の影響を受けるほどの大きなスケールではないためです。

・非常に遠距離の天体(例えば、遠方の銀河)は宇宙膨張の影響を受けます。これらの銀河の速度は、宇宙の膨張によるものであり、相対速度として扱うことは適切ではありません。

2,赤方偏移(レッドシフト):

遠方の銀河の速度を測定する際には、赤方偏移(レッドシフト)が重要な指標となります。赤方偏移は、光が銀河から地球に届くまでに宇宙が膨張するために発生します。高い赤方偏移を持つ銀河は、宇宙の膨張による速度で遠ざかっていることを示します。・・・

3,ハッブルの法則:

ハッブルの法則は、遠方の銀河の速度と距離の関係を示します。この法則によれば、銀河の後退速度は距離に比例します。ハッブルの法則を使うと、遠方の銀河の速度が宇宙膨張によるものであるかを判断できます。

4,宇宙の大規模構造:

宇宙の大規模構造(銀河団、銀河フィラメントなど)を観測することで、宇宙膨張の影響を受けているかどうかを判断できます。これらの構造は、宇宙膨張によって引き伸ばされるため、その形状や配置に基づいて宇宙膨張の影響を判断できます。


まとめ
・近距離の天体: 特殊相対性理論に基づく速度が適用されます。

・遠距離の天体: 宇宙膨張による見かけの速度が適用されます。赤方偏移やハッブルの法則に基づいて判断されます。

したがって、地球から見て 0.6c で遠ざかる物体が特殊相対性理論に基づく相対速度か、宇宙膨張による見かけの速度かを見分けるためには、その物体の距離、赤方偏移、そして宇宙膨張の影響を考慮する必要があります。

 

このチャットGPToの回答は結局「遠くの物体の相対速度は空間の膨張によるものがほとんどを占めている」と言っているにすぎません。

しかしながら「遠くにある、ほとんど光速Cで遠ざかる銀河内においてももちろん特殊相対論による時間の遅れの計算は正確に成立している」のです。

そうであれば「遠距離であろうと近距離であろうと特殊相対論の計算は成立している」のであって、ただし遠距離の場合は「空間の膨張による相対速度の増加分が加算されるという事を考慮すればよい」のです。

 

追記:通常は宇宙空間が膨張するので赤方偏移が発生する、とされています。

上記のチャットGPToの回答でも『赤方偏移は、光が銀河から地球に届くまでに宇宙が膨張するために発生します。』と説明されています。

しかしながら「それぞれの銀河に固有の静止系を想定する事」で「赤方偏移を連続的に発生しているドップラーシフトの結果である」として理解できる事を説明した記事があります。: https://archive.md/oLFiG :

以上、ご参考までに。

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その3・棒の時間とローレンツ短縮の関係

2024-07-14 02:07:53 | 日記

さて静止系に対して0.6Cで右に動く長さが1Cの棒の話に戻ります。

この時にX軸方向に伸びた腕の長さはローレンツ短縮で本来の長さの80%に短くなるのでした。

それでこの時の状況をX軸を「ローレンツ短縮で短くなった腕の長さ」とし、Y軸を「ずれ時間差ΔT」としてプロットしますとその座標点は(0.8,0.6)となります。

但し腕の長さはC=1の単位系でY軸単位は秒です。

そうしますと

0.8^2+0.6^2=1

何のことはない、半径1の円周上にこの点はある事が分かります。(注1



つまり長さ1の棒が速度0.6Cで移動するとその長さは80%に短縮したように見えますが、実は時間軸方向に棒の先端が36.87度 後端を中心として回転しているのであって、腕の長さは本来の1のままなのです。(注2

この回転した棒のX軸への射影が0.8であり、現在時刻でしか棒を観察できない我々の目には「棒の長さが80%に短縮したように見える」という次第であります。


こうして実はローレンツ短縮した棒の長さΔLと棒の先端の時刻のずれ分ΔTが結びついている事が分かるのでありました。(注3

つまりは「静止系に対して運動している棒の状況」という「一つの出来事」を別々の2つの視点で表したものが「ローレンツ短縮」と「同時性の相対性」という事になっているのです。

 

注1:長さがLの棒が速度Vで動いている場合は

X軸の値はL*sqrt(1-V^2)・・・短縮した棒の長さ分

Y軸の値はL*V          ・・・棒の先端と後端の時間のずれ分

それぞれを2乗して足すと

(L*sqrt(1-V^2))^2+(L*v)^2

=L^2*(1-V^2)+L^2*V^2

=L^2ーL^2*V^2+L^2*V^2

=L^2

その座標は常に半径がLの円の円周上にある事がわかります。

注2:X=0.8、Y=0.6 従ってATN(0.6/0.8)を求めればよく、ウルフラムによれば答えは36.87度となります。

実行アドレス : https://ja.wolframalpha.com/input?i=atn%280.6%2F0.8%29 :

  
注3:腕の長さをLとしてC=1の単位系を使えばローレンツ短縮した腕の長さΔLと棒の先端の時刻のずれ分ΔT(秒)については

ΔL^2+ΔT^2=L^2 が常に成立している事になります。

それはつまり「棒の長さLは不変なのだが、棒が静止系に対して速度Vで運動する事により棒は時間軸方向に回転している」と見る事ができます。

この時に「棒の長さを静止系基準で計る」ならば棒の長さはL*sqrt(1-V^2)と観測されます。

と同時に棒の先端と後端では棒の時間で計ってL*Vという時間のずれが発生しているのです。

しかしながらこの時間のずれは棒の上に立つ観測者には見えない為に、棒の真ん中から両端に向けて発射された光は棒の両端に同時に到着する事を棒の上の観測者は報告します。

一方で静止系に立つ観測者には「光は棒の後端に最初に届いて、次に棒の先端に届いた」と報告します。

これが「同時性の相対性」と言われている内容になります。

そうであれば「ローレンツ短縮」と「同時性の相対性」という現象はいつも同時に発生している、という事が分かります。

そうしてこの二つの出来事を結び付けているのが「棒の時間」なのであります。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

https://archive.md/RZZcS

 


その2・棒の時間とローレンツ短縮の関係

2024-07-09 00:37:44 | 日記

さてそれで今度は「同時性の相対性」という事についてです。

現象として分かりやすいアニメーションがありました。: https://javalab.org/ja/relativity_of_simultaneity_ja/ : https://archive.md/WxWAH :(注1

どなたがつくったのかは知りませんが、本当によくできています。

ただ惜しむらくはタイプミスがあります。「光束」-->「光速」ですね。

まあそれはさておき左下のスライダーで車の移動速度が設定可能です。

で、それをゼロにして「車の外からみると?」をポチると車の真ん中から出た光が前と後ろに1秒後に同時に到着します。

その事から「この車の全長は2Cである」という事がわかります。

 

さてそれで次にスライダーを0.6Cにセットして「車の中からみると?」をポチります。

アニメーションでは車の外にいた観測者が車の中にテレポートして、その観測者視点での状況が示されています。

つまりは観測者は「車の真ん中から出た光が車の前と後ろに1秒後に同時に到着した」と見るのです。

で同じ状況を今度は「車の外からみると?」をポチって車の外から見ます。

車の外にいる観測者には「車の後ろには0.63秒後に、車の前には2.5秒後に光は届いた」と見えるのです。(注2

さてこれは一体どうした事でしょう?

車の中の観測者には「光は前と後ろに同時に届いた」と見えるのに、その同じ状況を車の外からみると「同時ではない」とみえるのです。

さあそうなると「同時とは一体何?」という事になります。

 

・・・と言うのがアインシュタインが悩んだ、そうして特殊相対論の構築につながるアイデアをそこから得たといわれる「同時性の相対性」というものですね。

車の中の観測者には「同時に見えた」まさにその同じ現象が「車の外の観測者には同時には見えない」のです。

で、アインシュタインは「車の中の時計の時刻を操作してやればよい」という事に気が付いたのです。(注3

 

以下はそのアインシュタインの回答です。(以下の記述は「ローレンツ変換を適用するという事は結局こういう事ですよね」というものになっています。)

さて車の全長はローレンツ短縮をおこして2Cが1.6Cになっています。

sqrt(1-0.6^2)=0.8 です。

で光は片道0.8Cを車の後端に向けて速度1Cで、車の後端は左から右に速度0.6Cで動きます。

そうするとこの2つが出会うΔt秒後は

Δt*(1C+0.6C)=0.8C と表せます。

従って

Δt=0.8/1.6=0.5秒後(静止系基準)

車の中の時計は静止系の時間の経過速度より0.8掛けで遅れます。

従って車の中では光は

0.5*0.8=0.4秒後(車の中の時間)

で真ん中から車の後端に届いた事になります。

しかしながらその時にその光が車の後端にいる観測者にとっては「車の真ん中から光が出た後1秒でここまで来た」と見えるのです。(これが実験事実です。

そうしてこのあたりの状況は上記のアニメーションにある通りです。

 

しかしながら実はその時に「車の後端にいる観測者」は光が自分の所に届いた時に自分が持っていた時計の針の位置を記録する事が出来るだけなのです。

そうしてこの観測者が持っていた時計はもちろん車の真ん中にある時計と同期がとれていました。

それは観測者が車の真ん中で時計を合わせたのですから、間違いがありません。

そうしてまた真ん中の時計で計って「針が0時00秒の時に車の前と後ろに光を出す」と決めていたので、車の後端にいる観測者は自分が持っている時計が0時01秒の時に光が届いたのを確認すれば「光は1秒で車の真ん中からここまで届いた」と結論を出すことが出来るのです。

そうして実際に観測者の時計で光は0時01秒の時に届きました。

さてそのような状況であれば「車の後端にいる観測者は光は車の真ん中から後端に1秒で到達した」と見るのです。

 

さて実験事実がそうであればその観測者の証言をむげに否定する事はできません。

で、アインシュタインは考えました。

「ふむ、そうであれば車の後端にある時計を0.6秒、車の真ん中にある時計に対して進めておけばよい」とアインシュタインは気が付いたのです。

さてこの0.6秒はまえのページで説明した様に光速Cで規格化したVとLを使って

V*L=0.6*1=0.6秒 と計算できます。

ここでVは車の移動速度、Lはローレンツ短縮する前の長さです。

この0.6秒のずれがあれば、光が実際は0.4秒で車の後端にとどいても車の後端にいる観測者の時計の表示は

0.4+0.6=1.0(秒) となっているのです。

さてそうであれば車の後端にいる観測者は「光が後端に届くのに必要な時間は1.0秒である」と報告する事になります。

しかしながらこの時に車の外から見ている観測者には「光は車の真ん中から出て0.5秒後に後端に届いた」と見ているのです。

 

次に車の先端に話を変えます。

車の先端までの距離はローレンツ短縮をおこしていますから0.8Cである、と車の外からは見えます。

この距離を光は1Cで追いかけ、先端は0.6Cで逃げます。

従って光が先端に届くまでの時間Δtは

Δt=0.8/ (1.0-0.6)=0.8/0.4=2秒後(静止系基準)

車の中の時計は静止系の時間より0.8掛けで遅れます。

従って車の中では光は

2.0*0.8=1.6秒後(車の中時間)

で真ん中から車の先端に届いた事になります。

 

しかしながらまたここで車の先端にいる観測者は「光は1秒後に届いた」と主張する事になります。(これが実験事実です。

「ほう、そうですか」とアインシュタインはいいます。

「それならば君の時計を0.6秒、後ろにずらしておけばよい」と言うのです。

さてまた同じ0.6秒が出てきました。

しかしながら今度は観測者のもっている時計の針は後ろに0.6秒ずらすのです。

そうであれば1.6-0.6=1.0(秒) となります。

 

ちなみにこの時に車の外からの観測では光は車の先端まで届くのに2秒かかっているのは上記の計算が示している通りです。

さてそうであれば車の外からみれば真ん中から出た光が

車の後端に届くのは0.5秒後

車の先端に届くのは2.0秒後

となっています。

しかしながら車の中の観測者にとっては先端にも後端にも真ん中から1秒後に光は届く事を観測します。(これが実験事実=観測結果です。

 

さてこうしてアインシュタインは「車の中では同時と観測する光の到達」が車の外からは「同時ではない」と観測されるナゾを解いたのでした。

めでたしめでたし。

 

注1:アニメーションのページがリンク切れの時はご容赦を。

そのときはこちらでご確認の程を。: https://archive.md/7SrQu :

注2:光が左側に進むときは距離1Cを光は右から左に1Cで、車の後端は左から右に0.6Cで動きます。

そうであればこの2つが出会うまでの時間Δtは

Δt*(1C+0.6C)=1C

を解けばよい、という事になります。

答えは1割る1.6=0.625≒0.63

同様にして光が右に進むときは光は右に1Cで走ります。

しかしながら車の先端はまた右に0.6Cで逃げます。

でΔt秒後に光は先端に追いつきました。

であれば

Δt=1C割る(1C-0.6C)=2.5秒

となります。

はい、この計算通りにアニメは動いています。

ただしこの計算手順はローレンツ短縮を考慮していない簡略版であって、正確な計算については上記本文を参照願います。

注3:実はその事に最初に気が付いたのはローレンツでした。

そうしてローレンツは「そうやってつじつまが合う様に都合よく操作できる時間のこと」を「局所時間Local Time)」と呼びました。

でローレンツはその考えを発展させてローレンツ変換を編み出したのです。

ちなみにポアンカレは「ローレンツの局所時間(Local Time)」のアイデアに対して「それは素晴らしい発明だ」と称賛しています。

さてそれでここでローレンツが成し遂げた仕事はそれまでは暗黙の了解であった時間の流れについてニュートンが明確に定義して以来の大変革でした。

ローレンツが指摘するまではだれも「あそこで流れている時間の流れとここで流れている時間の流れは同じだ」と考えていました。

しかしローレンツは「いや、そうではない。あそことここで流れている時間は異なっている」と指摘したのです。

 

追記の1:上記計算例では「Lは車の長さ」でしたがこれを「棒の長さL」と読み替える事が出来ます。

そうして「車の先端と後端に置かれた時計」はもちろん「棒の先端と後端に置かれた時計」と同義であります。

ちなみにこの「先端と後端に置かれた時計に発生している時間のずれ」については「棒の世界にいる観測者にはそのずれ量は観測が出来ない」のです。

しかしながら「棒の外に立っている観測者にはその時間のずれ」は見えるのです。

と同時に「棒の全長が短縮して見える」のです。

そうであればこの2つの現象はそこで起きている一つの物理的な状況を2つの違う側面からとらえたものにすぎない、と言うことになるのです。

従ってこの棒が移動速度Vからゼロに速度を落とせば、棒の先端と後端に置かれた時計の間の時間のずれはなくなり、同一の時刻を刻む2つの時計がそこにあるだけとなるのです。

つまりは「この2つの時計は最初から同期が取れていた」にもかかわらず「動き出すと静止系からみるならば棒の先端と後端の時間はずれる」のです。

しかしながらこの時間のずれは棒の上に立つ観測者には決して観測する事ができないずれなのです。

そうであればこそ「棒の上に立つ観測者には自分が立っている棒がローレンツ短縮を起こしている事が分からない」のです。

 

追記の2:上記の説明の一般化をしておきます。

全長が2Lの車が速度Vで動きます。(長さLと速度Vは光速Cで規格化する。)

この時車の全長はローレンツ短縮をおこして2Lが

sqrt(1-V^2) ですから

2L*sqrt(1-V^2)になっています。

で光は片道L*sqrt(1-V^2)を車の後端に向けて速度1Cで、車の後端は左から右に速度Vで動きます。

そうするとこの2つが出会うΔt秒後は

Δt*(1C+V)=L*sqrt(1-V^2) と表せます。

従って

Δt=L*sqrt(1-V^2)/(1+V) 秒後(静止系基準)

車の中の時計は静止系の時間の経過速度よりsqrt(1-V^2)掛けで遅れます。

従って車の中では光は

L*sqrt(1-V^2)/(1+V)*sqrt(1-V^2)

=L*(1-V^2)/(1+V) 秒後(車の中の時間)

で真ん中から車の後端に届いた事になります。

しかしながらその時にその光が車の後端にいる観測者にとっては「車の真ん中から光が出た後L秒でここまで来た」と見るのです。(これが実験事実です。)(注4

 

ここで車の後端の時計の時刻をずらす量をΔt2とします。

そうすると

L=L*(1-V^2)/(1+V)+Δt2

と表せます。

そうであれば

Δt2=L-L*(1-V^2)/(1+V)

=L*(1-(1-V^2)/(1+V))

ここで上記の(1-V^2)/(1+V)の部分を簡約します。

(1-V^2)/(1+V)=(1-V)*(1+V)/(1+V)=(1-V)

従って

Δt2=L*(1-(1-V^2)/(1+V))

=L*(1-(1ーV))

=L*V

はい、証明おわりです。

 

注4:「Lは棒の長さであって時間ではない」という声が聞こえます。

まあそうなんですが、Lの数値は棒の長さを光速Cで割った値になっています。

そうであればLは棒の長さを表すのと同時にその棒の距離を光が走った時に必要となる時間もまた表しているのです。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

https://archive.md/ON8ER

 


ダークマター・相対論の事など 記事一覧

2024-07-07 03:20:06 | 日記

§1 特殊相対論

・ 双子のパラドックス 

 ・双子のパラドックス

 ・その2・ 双子のパラドックス

 ・その3・ 双子のパラドックス

  ・「閑話休題」シュタインズ・ゲートの電話レンジ(仮)の件

・タキオン通信

 ・その1・タキオン通信

 ・その2・ タキオン通信

 ・その3・ タキオン通信・参考資料

  ・「閑話休題」動いている者同士の時刻合わせの件

 ・その1・ タキオン反電話

 ・その2・ タキオン反電話

 ・宇宙船通信パラドックス

  ・その1・ 宇宙船通信パラドックス

  ・相対論で時間が遅れる件

   ・その1・相対論で時間が遅れる件

   ・その2・相対論で時間が遅れる件

  ・その2・ 宇宙船通信パラドックス

  ・その3・ 宇宙船通信パラドックス

・ 双子のパラドックス 

 ・その4・ 双子のパラドックス

・中間まとめ

 ・ここまでの状況のまとめ・計算ルールなど

 ・その2・ここまでの状況のまとめ・計算ルールなど

・光速の測定と光速を使った測定

 ・光速の測定と光速を使った測定

 ・その2・ 光速の測定と光速を使った測定

 ・その3・ 光速の測定と光速を使った測定

 ・その4・ アリスが左から0.8Cでボブが右からー0.8Cで近づく時の相対速度

・相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その2・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その3・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その4・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その5・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その6・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

 ・その7・ 再び双子のパラドックス

・完全非弾性衝突

 ・完全非弾性衝突

 ・その2・ 完全非弾性衝突

・三つ子のパラドックス

 ・三つ子のパラドックス

 ・その2・時間の遅れについての理論内部の不整合の件

 ・ 相対論的加算式のベクトル合成による理解の件

  ・相対論的加算式のベクトル合成による理解の件

  ・その2・ 相対論的加算式のベクトル合成による理解の件

・横ドップラー効果の件

 ・横ドップラー効果の件

 ・その2・ 横ドップラー効果の件

 ・その3・ 横ドップラー効果の件

 ・アインシュタイン パラドックス

  ・アインシュタイン パラドックス

 ・人工衛星の時間の遅れと横ドップラー効果

  ・人工衛星の時間の遅れと横ドップラー効果

  ・その2・ 人工衛星の時間の遅れと横ドップラー効果

・素人が正しいのか、玄人が正しいのか

 ・素人が正しいのか、玄人が正しいのか

・双子のパラドックス(加速度運動あり)についてのういきの説明の件

 ・双子のパラドックス(加速度運動あり)についてのういきの説明の件

 ・地球が大体は基準慣性系として機能している件

 ・双子のパラドックスでの業界の認識間違いの件 (横Gおよび縦Gについて:->時計の不思議)

・時計の不思議

 ・時計の不思議

 ・運動すると時間が遅れる件

 ・特殊相対論での加速度の扱い

 ・単振動での時間の遅れ

 ・時間についての考察

 ・その2・ 時間についての考察

・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

 ・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

 ・その2・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

・単振動を使った基準慣性系の判定

 ・単振動を使った基準慣性系の判定

 ・その2・ 単振動を使った基準慣性系の判定

・ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

 ・ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

 ・その2・ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

・円運動を使った基準慣性系の判定

 ・円運動を使った基準慣性系の判定

 ・その2・ 円運動を使った基準慣性系の判定

・宇宙の膨張速度は光速を超えている件

 ・宇宙の膨張速度は光速を超えている件

 ・銀河の後退速度の件

 ・宇宙の膨張(空間の膨張)による赤方偏移の件

・「時間の遅れ」合成則

 ・「時間の遅れ」合成則

 ・地球は基準慣性系なのか?

 ・アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う件

 ・その2・アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う件

 ・その2・「時間の遅れ」合成則

・円運動に対する「時間の遅れ」合成則

 ・円運動に対する「時間の遅れ」合成則

・「時間遅れの合成則」が語っている事

 ・「時間遅れの合成則」が語っている事

 ・その2・「時間遅れの合成則」が語っている事

・マイケルソン・モーリーの実験とローレンツ短縮

 ・マイケルソン・モーリーの実験とローレンツ短縮

 ・その2・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

 ・その3・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

 ・その4・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

 ・その5・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

・光速がいつもCとして観測されるカラクリ

 ・光速がいつもCとして観測されるカラクリ

 ・その2・ 光速がいつもCとして観測されるカラクリ

 ・その3・ 光速がいつもCとして観測されるカラクリ

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  ・その5・ 光速がいつもCとして観測されるカラクリ

・マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)

 ・マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)

 ・その2・ マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)

・ミンコフスキー図に現れるMMの楕円

 ・ミンコフスキー図に現れるMMの楕円

 ・その2・ ミンコフスキー図に現れるMMの楕円

 ・その3・ ミンコフスキー図に現れるMMの楕円

・ミンコフスキー パラドックス

 ・ミンコフスキー パラドックス

 ・その2・ ミンコフスキー パラドックス

 ・その3・ ミンコフスキー パラドックス

 ・その4・ ミンコフスキー パラドックス

 ・「MN図の唯一性定理」

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・ローレンツ変換を調べてみた

 ・ローレンツ変換を調べてみた

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・MMの楕円の3Dプロット

 ・MMの楕円の3Dプロット

 ・その2・ MMの楕円の3Dプロット

 ・その3・ MMの楕円の3Dプロット

 ・その4・ MMの楕円の3Dプロット

 ・ローレンツ変換とローレンツ逆変換

・ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

 ・ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

 ・その2・ ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

 ・その3・ ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

・光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その2・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その3・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・2023年1月28日 サイエンス フォーラム アドレス エラー 

 ・その4・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その5・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その6・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その7・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

・素人が正しいのか、玄人が正しいのか

 ・素人が正しいのか、玄人が正しいのか

 ・「時間の遅れはお互い様」を主張するネット記事一覧

 ・その2・「時間の遅れはお互い様」を主張するネット記事一覧

・ランダウ、リフシッツ パラドックス

 ・ランダウ、リフシッツ パラドックス

 ・その2・ランダウ、リフシッツ パラドックス

 ・その3・ランダウ、リフシッツ パラドックス

 ・その4・ランダウ、リフシッツ パラドックス

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・相対論 四方山話 <--ここから接続要注意

 ・相対論 四方山話

・参考文献と参考資料

 ・参考文献と参考資料

 ・その2・ 参考文献と参考資料

・固有時パラドックス

 ・固有時パラドックス

 ・その2・ 固有時パラドックス

 ・時計Aからみた時のミンコフスキー図

 ・時計Bからみた時のMN図

 ・ローレンツ変換は「時間の遅れはお互い様」を支持しない件

・もう一つの固有時パラドックス

 ・もう一つの固有時パラドックス

 ・静止系を決めるのは観測者の主観ではなく客観的な観測データ

・実験結果からのローレンツ変換の導出

 ・実験結果からのローレンツ変換の導出

・時計の仮説

 ・時計の仮説

ーー以下、時計Bによるパラダイムシフト発生「LLメソッドの限界」ーー

・時間の遅れを測定するのは難しい

 ・時間の遅れを測定するのは難しい

 ・その2・ 時間の遅れを測定するのは難しい

 ・その3・ 時間の遅れを測定するのは難しい

 ・その4・ 時間の遅れを測定するのは難しい

・μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

 ・μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

 ・その2・μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

 ・その3・μ粒子が動いているのか、地球が動いているのか?

・時計Bの主張は従来の常識を変えるか?

 ・時計Bの主張は従来の常識を変えるか?

・「時間の遅れを測定するのは難しい」の一般化

 ・「時間の遅れを測定するのは難しい」の一般化

 ・その2・「時間の遅れを測定するのは難しい」の一般解の導出

・「LL(ランダウ・リフシッツ)の一般解」の検証

 ・「LL(ランダウ・リフシッツ)の一般解」の検証

 ・その2・「LLの一般解」の検証

 ・「LLの一般解」のさらなる一般化

 ・ランダウ・リフシッツが間違えた事

・「時間の遅れはお互い様」は成立するのか?

 ・「時間の遅れはお互い様」は成立するのか?

 ・「時間の遅れはお互い様」成立の歴史的経緯

 ・「MN図の唯一性定理」と「時間の遅れはお互い様」の関係

 ・特殊相対論は主観物理学か?

・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?

 ・前書き・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?

 ・前書きその2・客観的に存在している静止系は何故隠れるのか?

 ・その1・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(速度の加法則の確認)

 ・その2・訂正版・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(W横ドップラーテスト)

  ・閑話休題・「横ドップラー効果」は大学教授でも間違える?

  ・閑話休題・「横ドップラー効果」は大学教授でも間違える?

  ・通説による「時間の遅れはお互い様」の証明は正しいか?

  ・光時計は「時間の遅れはお互い様」を支持しない?

 ・2-2・横ドップラーシフトは青方偏移する(場合もある)の1

 ・2-3・横ドップラーシフトは青方偏移する(場合もある)の2

 ・2-4・誤解されている「Ives と Stilwellの実験内容」の1

 ・2-5・通説の式とアインシュタインの式

 ・2-6・誤解されている「Ives と Stilwellの実験内容」の2

 ・2-7・ドップラーシフトの一般解の導出の1

 ・2-8・ドップラーシフトの一般式の導出の2

 ・2-9・ドップラーシフトの一般式の導出の3

 ・2-10・ドップラーシフトの一般式の導出の4

  ・閑話休題・横ドップラーシフトの静止系は誰が決めるのか?

 ・2-11・ドップラーシフトの一般式の検証の1

 ・2-11-2・ドップラーシフトの一般式の検証の1:追補

 ・2-12・ドップラーシフトの一般式の検証の2

 ・2-13・ドップラーシフトの一般式の検証の3

 ・2-14・ドップラーシフトの一般式の検証の4(+ういきの間違いの件)

  ・「特殊相対性原理」あるいは「時間の遅れはお互い様」について

 ・2-15・ドップラーシフトの一般式の検証の5

 ・2-16・ドップラーシフトの一般式の検証の6

 ・2-17・アインシュタインの相対性原理と通説の相対性原理

 ・2-18・再び:通説の式とアインシュタインの式

 ・2-19・アインシュタインがやったこと+光行差の式

 ・2-20・横ドップラーシフトの測定について

 ・2-21・円運動で時間遅れが測定できる理由

 ・2-22・時間遅れの測定:ハーフェレ・キーティングの実験の1

 ・2-23・時間遅れの測定:ハーフェレ・キーティングの実験の2

 ・2-24・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の1

 ・2-25・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の2

 ・2-26・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の3

 ・2-27・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の4

 ・2-28・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の5

 ・2-29・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の6

  ・「時間反転した横ドップラー効果の測定」についての考察

 ・2-30・時間遅れの測定:光学原子時計を使った実験の7

 

 ・その3・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(sqrt(1-V^2) の正体)

 ・その4・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(時間遅れの合成則)

  ・パラドックス関連(含むパラドックス一覧)

  ・「通説の時間遅れの計算が持つもう一つのパラドックス」について

  ・「通説の時間遅れの計算が持つパラドックス一覧」

  ・.アインシュタインの静止系は成立していない

 ・4-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(@時間の遅れ合成則)

 ・4-3・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(@時間の遅れ合成則)

 ・その5・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(固有速度の導出)

 ・6-0・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

 ・6-1・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

 ・6-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

  ・タキオン反電話の歴史(過去に情報を送れるタキオン通信の話)

  ・論文・タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

 ・6-3・因果律違反とは何か?(順序が逆転して見えただけでは因果律違反にはならない件)

  ・再考・時間の遅れはお互い様とタキオン反電話

 ・6-4・因果律違反とは何か?(順序が逆転して見えただけでは因果律違反にはならない件)

 ・7-1・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(静止系に対して運動している時計が遅れる話)

 ・7-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(静止系に対して運動している時計が遅れる話)

 ・7-3・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(静止系に対して運動している時計が遅れる話)

 ・7-4・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(時間遅れの測定方法)

 ・7-5・「時間の遅れはお互い様」は実験的に確認可能なのか?

  ・閑話休題・「時間の遅れはお互い様」論者が回答不能に陥る件

 ・8-1・再検証:ハーフェレ・キーティングの実験

 ・8-2・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の1

 ・8-3・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の2

 ・8-4・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の3

 ・8-5・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の4

 ・8-6・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の5

 ・8-7・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の6

 ・8-8・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の7

 ・8-9・ハーフェレ・キーティングの実験と2つの特殊相対論

 

・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-1・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-2・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-3・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-4・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-5・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-6・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-7・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-8・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-9・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-10・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-11・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-12・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-13・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-14・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-15・ミュオン異常磁気モーメント測定

 ・9-16・追補:ミュオン異常磁気モーメント測定

 

 ・正のミューオン寿命の精密測定の歴史的経緯

  ・その1・正のミューオン寿命の精密測定の歴史的経緯

  ・その2・正のミューオン寿命の精密測定の歴史的経緯

  ・その3・正のミューオン寿命の精密測定の歴史的経緯:追補資料

・電子の異常磁気モーメントの精密測定

 ・その1・電子の異常磁気モーメントの精密測定

 ・その2・電子の異常磁気モーメントの精密測定

・速度の加法則と時間遅れの合成則

 ・閑話休題・ういきの特殊相対論の説明が無駄に分かりにくい件

 ・速度の加法則と時間遅れの合成則のMN図による表現と確認

 ・速度の加法則と時間遅れの合成則の関係

 ・もう一つの時間遅れの合成則

 ・「ローレンツ因子の合成則」あるいは「ローレンツ因子の掛け算則」

・ローレンツ短縮

 ・10-1・誤解されているローレンツ収縮

 ・10-2・誤解されているローレンツ収縮

 ・10-3・ローレンツ短縮の合成則

 ・棒の時間

  ・その1・棒の時間とローレンツ短縮の関係

  ・その2・棒の時間とローレンツ短縮の関係

  ・その3・棒の時間とローレンツ短縮の関係

 

 

 ・ローレンツ、ポアンカレそうしてアインシュタイン

 

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

 

 


その1・棒の時間とローレンツ短縮の関係

2024-07-04 02:37:50 | 日記

アインシュタインが「同時と言う概念は同じ慣性系の中でしか通用しない」と気が付いたのが特殊相対論の始まりでした。

それは今では「同時性の相対性」というコトバで言われています。(注1

さてこの時にアインシュタインが見つけたのが「棒の時間」でした。(注2

しかしながらアインシュタインはそれに名前を付ける事はしませんでした。

その必要がアインシュタインにはなかった様です。

 

さてその「棒の時間」ですがそれはローレンツ短縮と関係をもっています。

というよりも実はこの「同時性の相対性」=「棒の時間」という話と「ローレンツ短縮の話」は「関連がある」というよりは「起きている状況は一つでありそれを2つの別々のコトバで表現にしたにすぎない」のです。

つまり「その二つの事はいつも同時に起きている事」なのです。

しかしながらその事を直接的に言及した記事はういきの記述を含めてネット上には見当たりません。

そうであればその事は当方にとっては「不思議な事」なのであります。

ちなみにここで言うローレンツ短縮は「静止系に対して運動している棒の長さは静止系から観察すると縮んで見える」という「本来の意味でのローレンツ短縮」を指しています。

 

まあ余談はさておいて本論に入りましょう。

まずは少し前に投稿したローレンツ短縮の説明を振り返ります。

・本来のローレンツ収縮に対する理解の仕方

その有様はそこに示されたイラスト: https://archive.md/32DeU :でよく確認できます。

黒座標が静止系であってそこに対して速度Vで右方向に移動している慣性系が青座標で示されています。

この青座標での時刻0の時に長さLの棒が左端を原点に位置する様に置かれています。(青座標は動いている座標ですから実は青座標と黒座標の原点が重なった時にその状況を写した写真という事が出来ます。)

それでもちろんこの時の長さLは青座標で計った時の棒の長さです。

でその棒は青座標の上ではもちろん静止していますから単に青座標の時間経過にしたがって青座標の上を青座標+Y方向に移動する様に表されます。

その時にその棒がMN図上に作る軌跡が薄青色の右上方向に延びるバンドとしてイラストでは示されています。

さてこのバンドの幅が棒の長さを示すのですが、イラストにあるように青座標読みでは常に長さはLとなります。

しかしながら静止系である黒座標から計りますと「その長さはsqrt(1-V^2)の割合で縮んで観測される」のです。

というのもMN図上で黒座標での同一時刻線は水平であるのに対して、青座標の同一時刻線は右上方向に傾いているからです。

しかしながら黒座標上の観測者にはその傾きは観測されず、観測されるのは「棒がもともとの長さに対して縮んでいる」という内容です。

 

イラストでは青座標のX’ 軸上に置かれた長さLの棒が黒座標のX軸を横切る時にそこに射影される長さがsqrt(1-v^2)の割合で短く観測される様子が描かれています。

ここでVは青座標が静止系に対して持っている相対速度(但し光速Cで規格化)を示します。

さてそれでこのイラストにある様に「まずは棒の先端が黒座標のX軸を斜め左下から右上方向に横切る」のです。

そうして最後に棒の終端がX軸を横切ります。

でこの棒の終端がX軸を横切ったその時にそこの点を青座標と黒座標の原点とするのです。

そうしてまたそこで青座標と黒座標の時間をゼロリセットします。

そういう状況をそのイラストは示しています。

でその時には当然棒の終端に設置された時計は原点位置にありますから「t=0」となっています。

そうしてその時には当然青座標のX’ 軸上に置かれた長さLの棒のどの位置に置かれた時計の針も「t=0」となっています。

そのことは「青座標のX’ 軸というのは青座標にとっては同時刻ラインである」という事を言い換えたに過ぎないのですから「自明である」と言えます。

さてそれで問題なのは「棒の先端が黒座標のX軸を横切った時にそこに置かれた時計の針は何時を指していたか?」という事です。

これはそこに描かれているMN図を正確に描くならば分かる事なのですが、答えは

t=0-V*L

になっていたのです。(注3

ここでt=0はもちろんそのMN図が表している状況の時の時刻です。

でその時刻よりV*L秒だけ前に棒の先端が黒座標のX軸に到達していたのです。

さて黒座標上の観測者にはX軸に到達した棒しか観測できません。

イラストでは黒座標上の観測者はt=0のときに棒の長さが

L*sqrt(1-v^2) になっていた事を観測します。

と同時にその時に棒の先端と終端に置かれた時計の針の位置を黒座標上の観測者は記録する事が出来るのです。(これがこの観測者にとっては棒の長さが本来の長さよりも縮んで見える理由でもあります。)

そうすると

棒の先端ではt=-V*L

棒の終端ではt=0

と記録する事になります。

これは黒座標の観測者にとってみれば「棒の終端から先端に向かうに従って棒の時間が前に戻っていくように見える」という事を示しています。

 

というのも最初に棒の先端が黒座標のX軸上に現れて、あとから棒の終端が現れる、しかし黒座標上の観測者には「棒の先端と終端が同時に現れた」と見えるのです。(注4

「t=0の時に黒座標上の観測者が棒の長さを計る」という事はそういう事なのです。

あるいは「静止系の観測者にとっては『移動している棒を観測する』ということはそういう事である」とも言えます。

そうして「この訳のわからない、摩訶不思議な状況」が「棒が縮んでいる=ローレンツ短縮が発生している」という状況なのです。

 

注1:「同時性の相対性」についてはポアンカレがアインシュタインと同時かあるいはアインシュタインよりも前に理解し公表していた模様です。

注2:キーポイントの「棒の時間」はローレンツ変換の導入にともなってローレンツが初めて「局所時間(Local time)」として業界に導入した概念でした。

これらのポアンカレとローレンツが特殊相対論成立に対して行ってきた仕事・貢献については後日、改めて触れる事とします。

注3:棒の時間軸方向への回転について: https://archive.md/7tQaB :

このイラストは静止系に対して0.6Cで移動している棒の様子をそれなりに正確に表現したMN図になっています。

本来の棒の長さは目盛り読みで5目盛り、ローレンツ因子は

sqrt(1-0.6^2)=0.8

従ってローレンツ短縮によって

5目盛り*0.8=4目盛り が静止系で観測される棒の長さになるのですが、イラストでは確かにそうなっています。

で、注目すべきはその時の棒の先端と終端の時間の差です。

A’ が棒の終端で動いている方の慣性系の時間軸読みでt=0

B’ が棒の先端で動いている方の慣性系の時間軸読みでt=3

「B’ の時刻の動いている方の慣性系の時間軸読み」は「B’ を通って静止系X軸と平行に引いた線が動いている方の慣性系の時間軸ct’ と交わる点のct’ 軸の目盛りの値」です。

そうしてその値は

V*L=0.6*5=3(秒)

となっているのです。但しこの時にVもLも光速Cで規格化した値です。

そうであれば棒の先端は棒の終端が静止系のX軸に到達する3秒前に(この3秒というのは棒の時間で3秒前である事に注意)静止系のX軸に到達していたのです。

この棒の先端の時刻(3秒前)は黒座標のt=0の時の観測者には見えています。

従って観測者は「棒の先端の時刻tは3秒前である」と記録する事になります。

でその時には棒の終端は先端と同じ時刻(3秒前)を示していましたが、その時の棒の終端の時刻(3秒前)は静止系からは観測されず、棒の時間で0秒になってようやく棒の終端が静止系のX軸に到達して、そこで静止系の観測者の観測にかかったのです。

そうであれば静止系の観測者は「棒の終端の時刻tは0秒である」と記録する事になります。

注4:「現れた」と言う表現はおかしいのですが、上記イラストにあるようなMN図を使った説明ではその様に表現する事になります。

しかしながら実際の状況を考えるならば黒座標上の観測者は左から事らに近づいてくる棒については横に並ぶ前からすでに見えていました。

そうであればこの棒は観測者の前に突然現れた訳ではないのです。

実状はそうなのではありますがMN図を使った説明となると、しかも棒の時間と黒座標上の観測者の時間がずれていますので、「静止系時刻t=0で棒が観測者の前に現れた」という様な「おかしな表現をする事」になってしまうのです。

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https://archive.md/qhIgd