特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

8-5・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の4

2024-01-28 01:03:29 | 日記

さてそれで次はドリフト量を0.001から0.01に増やします。

さて今度は「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」で検出可能なほどの時間の遅れがでるでしょうか?

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x-0.01)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x-0.01)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x-0.01%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x-0.01%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

「表示桁数を増やす」での答えは

1.5001500168787510・・・*10^-12 <--ドリフト0.01

対して

1.5000015000035625・・・*10^-12 <--ドリフト0.001の場合

これを例によってnsに直します。

44.9*60*60*10^9*(1.5001500168787510*10^-12)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281.5001500168787510*10%5E-12%29

答えは

242.48424872828131164ns <--ドリフト0.01

対して

242.4602424605758425ns <--ドリフト0.001の場合

242.4600000003030375ns <--ドリフトなしの場合

ドリフト0.001に対する増加量は

≒0.024006ns

ドリフトなしに対する増加量は

≒0.0242487ns

ドリフト量0.01Cではまだ「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」では検出不可能の様です。

 

という事で次はドリフト量を0.1C(=光速の10%)まで増やします。

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x-0.1)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x-0.1)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x-0.1%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x-0.1%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

「表示桁数を増やす」での答えは

1.5151706457336524・・・*10^-12 <--ドリフト0.1

それに対して

1.5001500168787510・・・*10^-12 <--ドリフト0.01の場合

これを例によってnsに直します。

44.9*60*60*10^9*(1.5151706457336524*10^-12)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281.5151706457336524*10%5E-12%29

答えは

244.91218317638757393ns <--ドリフト0.1

対して

242.48424872828131164ns <--ドリフト0.01の場合

242.4602424605758425ns <--ドリフト0.001の場合

242.4600000003030375ns <--ドリフトなしの場合

ドリフトなしに対する増加量は

≒2.452183ns

増加量がようやく一けた台に乗りましたが、たぶんこれでは誤差にかくれて検出は不可能でしょう。

 

でまあ最後にドリフト量0.2Cの場合を計算しておきます。

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x-0.2)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x-0.2)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x-0.2%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x-0.2%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

「表示桁数を増やす」での答えは

1.5628254869342246・・・*10^-12 <--ドリフト0.2

に対して

1.5151706457336524・・・*10^-12 <--ドリフト0.1

これを例によってnsに直します。

44.9*60*60*10^9*(1.5628254869342246*10^-12)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281.5628254869342246*10%5E-12%29

答えは

252.61511170804806434ns <--ドリフト0.2C

対して

244.91218317638757393ns <--ドリフト0.1の場合

242.48424872828131164ns <--ドリフト0.01の場合

242.4602424605758425ns <--ドリフト0.001の場合

242.4600000003030375ns <--ドリフトなしの場合

ドリフトなしに対する増加量は

≒10.155112ns

増加量が二けた台に乗りました。

さてこの量を「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」で検出可能でしょうか?

ページを改めて検討したいと思います。

ちなみに「ドリフト量が0.2C」という事は「太陽系が属する銀河系全体が宇宙全体=CMBパターンに対して0.2Cで移動している状況」という事になります。

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/VVRTK

 


8-4・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の3

2024-01-24 04:38:39 | 日記

まずはドリフト量がゼロの場合を積分計算します。

但し「時間遅れの割合」を計算したいので予め被積分関数を2πで割っておきます。

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは

1.5*10^-12

但しこの数字は桁落ちしています。

で右上にある「桁数を増やす」ボタンを2回ポチります。

1.500000000001875・・・*10^-12

一応小数点以下15桁の精度で区切っておきます。(注1)

得られた数字を使って44.9時間の飛行時間での時間遅れがどれほどかns単位で計算します。

44.9*60*60*10^9*(1.500000000001875*10^-12)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281.500000000001875*10%5E-12%29

答えは

242.4600000003030375ns

はい、この数字は前のページで求めたものと確かに同じになっています。

つまり「積分は正常に行われた」のです。

 

さてそれで次は地球がX軸方向にドリフト速度Dで静止系に対してドリフトしていた、とする場合です。

そうすると最初に示した以下の式

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) ・・・(1)式

のX軸を表す部分が

(20*10^-7*cos 2x)から

(20*10^-7*cos 2x-D)というように変更になります。

したがって(1)式はドリフトした場合は

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x-D)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x-D)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi) ・・・(2)式

というように変わります。

 

で、前のページで示したようにD=0.001程度がCMBに対する地球のドリフト量となりますので積分対象の式は

(sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x-0.001)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x-0.001)^2+(10*10^-7*sin x)^2)))/(2pi)

となります。

それでおもむろにこの式をゼロから2πまで積分すれば時間遅れの差分が計算できる、話の上ではそうなっています。

で、

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x-0.001%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x-0.001%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86+

桁落ち答えではゼロ

それで「表示桁数を増やす」をポチります。

答えは

1.5000015000035625・・・*10^-12 <--ドリフト0.001

それに対して

1.500000000001875・・・*10^-12 <--ドリフトなしの場合

上記表示では小数点以下6~7位で数字がアップしているのがわかります。

さてこれを例によってnsに直します。

44.9*60*60*10^9*(1.5000015000035625*10^-12)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281.5000015000035625*10%5E-12%29

答えは

242.4602424605758425ns <--ドリフト0.001

それに対して

242.4600000003030375ns <--ドリフトなしの場合

「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」では東回りの飛行機に積まれた原子時計の時間の遅れ量はドリフト量が0.001ありますと、確かに増加しています。

しかしながらその増加量は

≒0.00024ns

であって、これは「ハーフェレ・キーティングの実験の測定精度を超えている」という事がわかります。

 

つまりは「ハーフェレ・キーティングは北極上空に地球と同じ公転軌道を持っている静止系を設定」し「それがたかだか2日間の間」であれば「円運動している慣性系」ではなく「等速直線運動している慣性系=静止系であるとみなせる」として時間遅れの計算をしました。

それでその場合は「『設定した慣性系=静止系』と地球は同じ動きをしています」ので「静止系に対する地球のドリフト量はゼロ」でした。

それに対して上記の計算は「実は静止系に対して地球は0.001Cの相対速度を持っている」として計算した事になります。

 

その時に注意すべきは「その場合の計算は地球が静止系に対してどの方向にドリフトしているのか?」という事には関係なくただ単に「ドリフトの大きさだけで計算ができる」と言う点にあります。

なんとなれば「静止系に対して円運動している地球の一周分で積分しているから」です。

さてそのようにして積分して時間遅れ量をだしたのですが、0.001Cのドリフト速度ではドリフトゼロの場合に対してわずかに0.00024nsしか「飛行機の時間と地上の時間の差分」は増加していないのでした。

つまりは「ハーフェレ・キーティングの実験精度」では「ドリフトなしの場合」と「ドリフト速度0.001C」の状況を分離できない、という事になります。

もちろん実験精度をハーフェレ・キーティングの実験の100000倍程に上げる事ができれば「ドリフト速度0.001C」の状況であっても有意差は検出できる事にはなりますが、実際はその精度向上もなかなか難しいかと思われます。

 

ちなみに誤解してはいけない事は「0.001Cのドリフト速度で生じている時間の遅れ量はかなり大きい」という事です。

しかしながらその効果は地上に置かれた時計と飛行機に積まれた時計の両方に作用する為に「両者の差分をとる事しかできない我々」にとっては0.00024nsの増加分しか認識できないのです。

つまりは「静止系に置かれた時計」に対しては「0.001Cのドリフト速度で生じている時間の遅れ量はそれなりの値になっている」のですが「その値を我々は認識する事が出来ない」のです。

 

さてコトバでの説明は以上ですが、上の主張を計算で確かめておきます。

地上に置かれた時計に対して0.001Cのドリフト速度が与える時間の遅れ量を計算します。

それは上記で積分した式の後半部分に相当します。

(1-(sqrt(1-((10*10^-7*cos x-0.001)^2+(10*10^-7*sin x)^2))))/(2pi) をxが0から2πまでの範囲で積分 

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%281-%28sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x-0.001%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29%29%29%2F%282pi%29+%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86+

桁落ち回避した答えは

5.000006250005625007・・・*10^-7

nsに直します。

44.9*60*60*10^9*(5.000006250005625007*10^-7)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%285.000006250005625007*10%5E-7%29

答えは

8.08201010250909・・・*10^7ns

=80820101.03ns <--ドリフト0.001C(注2)

対してドリフト量がゼロの場合は前ページより

80.82ns <--ドリフトなしの場合

これだけの時間の遅れがドリフト0.001Cによって発生してはいるのですが、これは静止系に置かれた時計に対してであって、この時間の遅れを我々は認識する事はできないのです。

 

以上の事より分かります事は「地上で暮らす我々にとっては静止系に対して0.001Cで地球がドリフトしていてもそれを検出する事は相当に難しい」という事になります。

そのことは逆にいいますと「それゆえ我々は今までは地上に固定された実験室系を静止系として設定して実験を行って、そうしてまたその様にして解析を行っても不都合は見つからなかった」のでした。

しかしながら今後、実験精度をあげますと「困った状況が見えてくる」=「理論計算値と実測値が合わなくなる」という状況が現れる事になります。(注3)

 

注1:以下、数値で再確認しておきます。

ドリフトなしでの時間遅れ差分は三角関数展開しない場合は次の様になっています。

sqrt(1-(20*10^-7)^2)-sqrt(1-(10*10^-7)^2)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-%2820*10%5E-7%29%5E2%29-sqrt%281-%2810*10%5E-7%29%5E2%29

答えは以下の定数になっています。

(254sqrt(15500031)-3sqrt(111111111111))/1000000

小数点表示にしたいのでもう一度ウルフラムに入れます。

https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry/?eid=f09495ecdc51c40a54aef779fca87002&sc=c2VhcmNoX3R5cGU9MCZsaW1pdD0xMDAmc29ydD1kZXNjJmNhdGVnb3J5X2lkPSZ5bWQ9JnA9MQ==

答えは

1.500000000001875・・・*10^-12

はい、一番最初に行った積分の値と同じになりました。

注2:80820101.03nsは0.0808sec

ストップウオッチで計測可能な量ですね。

注3:あるいは「すでに合わなくなってきている、という状況が発生している」のです。

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/XAU1y

 


8-3・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の2

2024-01-20 02:24:42 | 日記

さて何故こんなめんどくさい再検討・第2の地球モデルを作ったのか、と言えば

1、「ハーフェレ・キーティングの実験」の内容の再確認の為

と、それともう一つは

2、作り上げた「第2の地球モデルを使った静止系の検討の為」

という2つの狙いがあったのです。

そうして1番目の狙いは前のページで実行できました。

ハーフェレ・キーティングが特殊相対論の計算部分をどうやったのか、ほぼトレースできたと見てよいでしょう。

そのポイントはハーフェレ・キーティングが言っている様に

『この理論の要点を簡単に説明することが適切です、特にこのような実験が意味のある結果を生み出す能力についてのいくつかの混乱があるため(5)。特殊相対性理論は、動く標準時計が、慣性基準空間で静止している(実際または仮想の)座標時計と比較して、記録する時間が少なくなることを予測しています。低い座標速度(u^2 << c^2)の場合、移動座標時計と基準座標時計によって記録された時間の比率は、(1 - u^2/2c^2)に簡約されます。ここで、cは光速です。

地球が回転しているため、地表に静止して配置された標準時計は、非回転の(慣性の)空間の座標時計の候補としてこの場合には適していません。それにもかかわらず、地球上の時計の相対的な時刻の振る舞いは、基礎となる非回転(慣性)空間の仮想的な座標時計を参照することによって評価できます(6)。

この目的のために、北極点から遠く離れた場所から見下ろす非回転(慣性)空間の観察者が地球(回転している)を見た場合を考えてみましょう。赤道上の地表に固定された時計は、非回転空間に対して速度RΩを持ち、したがってこの空間の仮想的な座標時計に対して1 - R^2*Ω^2/2c^2の比率で遅れています。一方、赤道面近くで地球を周回する飛行時計は、地上速度vを持ち、したがって対応する時間比率1 - (RΩ + v)^2/2c^2で遅れています。

したがって、τとτ0は完全な周回中に飛行時計と地上基準時計によって記録された対応する時刻であり、それらの時間の差は、一次の近似では次のように表されます。

τ - τ0 = (2RΩv + v^2) τ0 / 2c^2 ・・・(1)

したがって、地球の回転方向(東向き、v > 0)での周回は時間の損失を生じ、地球の回転方向に逆らって(西向き、v < 0)の周回は飛行時計に時間の利益をもたらすべきです(|v| ~ RΩ)。』

にありました。

 

そうしてハーフェレ・キーティングが言っていることに沿った形で「第2の地球モデル」がそれなりに完成しました。

しかしながら出来上がったモデルでは

「地球の自転の答えは9.50*10^-7

飛行機の対地速度が8.26*10^-7でしたので、それよりは地球の自転は少し早いのです。」

となっていました。

つまりこれは「地球が一回転する間に飛行機は静止系に対してほぼ2回転する」という状況になっている事を示しています。

 

それでこの「第二の地球モデル」を使う事によって「地球が静止系に対してどれほどの速度までならドリフトしていることが可能になっているのか」を検討したいのです。

それはつまり「ハーフェレ・キーティングは地球は静止系に対してドリフトしていない」として理論計算しました。

その結果は「実験値と理論計算がそれなりの精度で一致していた」=「ハーフェレ・キーティングの主張=相対論の検証がこの実験でできた」になっていました。

しかしながら実験と理論計算にはそれなりの誤差が発生しており、その誤差範囲に地球が静止系に対してドリフトしていた量が入っていた場合はハーフェレ・キーティングの実験ではそのドリフト量が検出される事はなく従って「地球は静止系に対してドリフトしていない」となってしまっている可能性があります。

つまりは「アインシュタインの主張=北極上空に静止系がある」を認めた事になります。(注1

しかしながらじつは「地球は静止系に対して検出量以下のドリフト量をもってドリフトしていた」のです。(・・・と当方は従来より主張しています。)

さてそうであれば「ハーフェレ・キーティングの実験で検出されない地球の静止系に対する限界のドリフト量はどれぐらいになっているのか?」という質問ができます。

従ってここではその質問に対して「計算を行って答えを確認する事」が目的となります。

 

さてそれでそのためには「地球が一回転する間に飛行機は静止系に対して正確に2回転する」という条件が計算を行う上で必要になります。

なおかつウルフラムでの積分計算をうまく行うために地球の自転速度9.50*10^-7を少しくりあげて10.0*10^-7とします。

そうしてここでは「地球の自転速度10.0*10^-7」を優先させて「飛行機の対地飛行速度も10.0*10^-7」とします。

こうすることで「地球が静止系に対して一回転する」間に「飛行機は静止系に対して2回転する」という事になります。

 

さてそれで

地球の自転速度uを10.0*10^-7とした時に44.9時間の飛行時間で生じる基準時計(=赤道上の時計)の時間おくれΔT2は

ΔT2=44.9(h)*(1-sqrt(1-u^2))

=44.9*(1-sqrt(1-(10*10^-7)^2))

単位をnsにしたいので時間(h)をnsに換算すると上記は

44.9*60*60*10^9*(1-sqrt(1-(10*10^-7)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281-sqrt%281-%2810*10%5E-7%29%5E2%29%29

答えは

80.82ns

 

地球が自転している場合の東回り飛行に生じる時間遅れΔTは

ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(地球の自転速度u+飛行機の対地速度)^2))

=44.9(h)*(1-sqrt(1-(2*10.0*10^-7)^2))

単位をnsにしたいので時間(h)をnsに換算すると上記は

44.9*60*60*10^9*(1-sqrt(1-(2*10*10^-7)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281-sqrt%281-%282*10*10%5E-7%29%5E2%29%29

答えは

323.28ns

したがって

ΔTーΔT2=242.46ns

「ハーフェレ・キーティングの実験」ではこの数字は182(ns)でしたが飛行機の対地飛行速度が増加した分etcで時間遅れ量が増えています。

 

さてそれでこの計算では地球は客観的に存在する静止系に対してドリフト速度がゼロである、としています。

しかしながら実際は地球は客観的に存在する静止系に対してドリフト速度を持っています。(・・・というのが当方の主張です。)

その値は: その2・ 円運動を使った基準慣性系の判定 :によれば0.001程度と想定できます。

さてまずはこの0.001というドリフト速度を「ハーフェレ・キーティングの実験」で検出可能かどうかを確認しましょう。

諸式運用は: ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ :に従いますので、そちらを参照ねがいます。(注2)

 

まずはドリフトしていない時の計算をします。

しかしながら「ドリフトする場合の計算も行う」ので被積分関数はこういう形になります。

sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))

最初のsqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))の項が「飛行機の時間遅れ」を示しています。

2番目のsqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))の項が「赤道上の時計の時間遅れ」を示しています。

それでこのまま積分してもいいのですが、上記の被積分関数を簡約しておきます。

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29

 

答えは定数になっています。(実際の値はウルフラム表示を参照のこと)

実は上の被積分関数は

sqrt(1-(20*10^-7)^2)-sqrt(1-(10*10^-7)^2)

をsinとcosで展開したものなのです。

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-%2820*10%5E-7%29%5E2%29-sqrt%281-%2810*10%5E-7%29%5E2%29

答えは定数になっています。(実際の値はウルフラム表示を参照のこと)

見比べると分かるのですが、定数の値は同じになっています。

 

実際ウルフラムに

sqrt(1-(20*10^-7)^2)-sqrt(1-(10*10^-7)^2)=sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))

と問いかけますと

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-%2820*10%5E-7%29%5E2%29-sqrt%281-%2810*10%5E-7%29%5E2%29%EF%BC%9Dsqrt%281-%28%2820*10%5E-7*cos+2x%29%5E2%EF%BC%8B%2820*10%5E-7*sin+2x%29%5E2%29%29-sqrt%281-%28%2810*10%5E-7*cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%2810*10%5E-7*sin+x%29%5E2%29%29

答えは「真」、つまり「恒等式になっている」となります。

 

やりたいことはドリフトを表現した被積分関数をゼロから2πまで積分してそれを2πで割ることで「時間遅れの割合を出す事」になります。

そうして上記で確認できたことは「ドリフトなしの場合、sinとcosで展開した被積分関数式は展開する前の式と同じ内容を示す式になっている」ということでした。

そうであれば「準備したsinとcosで展開した被積分関数式は正しい」という事が確認できましたので後はこのsinとcosで展開した式にドリフト量を加えて積分すれば答えが分かる事になります。

さてそれでいよいよ次のページ以降ではこのsinとcosで展開した式にドリフト量を加えて計算を行っていく事になります。

ちなみに上記の主張は「地球とその周りを飛んでいる原子時計を使ったハーフェレ・キーティングの実験」というのは実は「地球をプローブ(=検出器)として用いた客観的に存在している静止系に対する検出実験になっている」というものでもあります。

 

注1:アインシュタインの言うように、あるいは「ハーフェレ・キーティングが行った計算の様に」「北極上空に静止系がある」としたならばその静止系は地球と一緒に太陽の周りを公転している事になります。

さてそうなりますとその静止系は確かに「北極に対しては静止している」のですが太陽に対しては静止していない事になります。

あるいは「天の川銀河系の中心に対しては静止していない」という事になります。

つまり「そうやって設定された静止系はいかにも人為的に計算の為に都合よく設定されたものである」という事になるのです。

さあそうなりますと問題は「何故その様な人為的に設定された静止系を使った計算がハーフェレ・キーティングが行った実験結果を説明できているのか?」という事になるのです。

ちなみに『地球は太陽の周りを秒速29.8kmで公転し、太陽は天の川銀河の周りを秒速230kmで周回しているが、CMBと比較したときの太陽系が動く速さは秒速370kmとなる。さらに、天の川銀河がCMBを突き抜けて進む速さは秒速600kmとなる。』との事。

詳細は: https://archive.md/PEGI6 :を参照されたい。

加えてGPT3.5によれば『天の川銀河系に対する宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の相対速度は、おおよそ約552 ± 6 キロメートル毎秒です。』。

注2:ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ :から以下、引用。

『それで円運動速度を光速Cから0.8Cにまで落としますと

(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%29

はい、これであればルートの中はマイナスに落ちません。

それでは積分しましょう。

sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76595・・

 

ドリフトしていない時は

sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76991 

今回0.8Cでの円運動の場合は、0.02Cのドリフト成分があると時間は0.9989496・・≒0.11%遅れる、という計算結果になりました。

ちなみにこの計算例では「相対論が言う所の『速度の加法則』は考慮されていない」という事に注意が必要です。』

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/2TkBG

 


8-2・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の1

2024-01-16 01:12:01 | 日記

以下「ハーフェレ・キーティングの実験」を再確認、再検証します。

『東回りの飛行は1971年10月4日に19時30分 U.T.で開始し、65.4時間続き、そのうち41.2時間が飛行時間でした。

西回りの飛行は翌週の10月13日に19時40分 U.T.で開始し、続いて80.3時間かかり、そのうち飛行時間は48.6時間でした。』

以上の「世界一周旅行」は「赤道上空を飛行したもの」と解釈し直します。

そうしてまた飛行時間についても「東回り」と「西回り」の飛行時間は同じであった、とします。

つまり「対地飛行速度は同じだった」とするのです。

さてその場合飛行時間ΔTは

ΔT=(41.2+48.6)/2

=44.9時間

となります。

さてこの時この飛行機は地表すれすれ、高度1mmで飛行しました。

で、地球の半径は6378.1km

従って一周では40074.8kmです。

従って飛行速度は892.5km/h です。

それで赤道上に設置された基準時計を基準にした場合に

   ナノ秒の獲得、予測           実測  差分σ

   重力      運動学的な  予測合計 測定値 
  (一般相対性理論) (特殊相対性理論)
東回り  +144±14   −184±18    −40±23  −59±10  0.76σ
西回り  +179±18   +96±10    +275±21  +273±7  0.09σ

単位 ナノ秒 (マイナスが時間の遅れをしめす。プラスは時間の進み。)

という結果を得ました。

それでここでは「特殊相対論での検討」ですから

東回り -184ns

西回り +96ns

という事になります。

さて以上の結果よりここでは「地球の自転速度を求める」という事になります。

「いや、それは24時間で一周だろう?」ですって。

はい、実際はそうなんですが「飛行機の飛行を簡略化・理想化」し、また「基準時計の位置も赤道上にした」のでそのつけが「地球の自転速度に回る」という事になります。

つまり「そのようにハーフェレ・キーティングの実験」を「第2の地球で行った」とするのです。(注1

地球の赤道上に置かれた時計の「北極の上空に設定された静止系から見た時の回転速度」をuとしましょう。

ちなみに「例によって」速度は光速Cで規格化します。

それで「第2の地球」も西から東に向かって自転しています。

その為に赤道上に置かれた時計はsqrt(1-u^2)の割合で時間が遅れます。

さてそれで飛行機の対地飛行速度は892.5km/hでした。

で、それを秒速に戻すと

247.9m/秒

光速Cで規格化すると

u=8.26*10^-7

となります。

飛行時間ΔTは44.9時間でした。

そうすると「地球が自転していない」とすると飛行機に発生した時間遅れΔTは

ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(8.26*10^-7)^2))

=1.53*10^-11(h)

=5.51*10^-8(sec)

=55.1(ns)

 

しかしながら実際は東回りの飛行機ではこの時に-184nsの「基準時計基準での時間の遅れ」が発生していたのでした。

地球の自転速度をuとした時に44.9時間の飛行機の飛行時間で生じる基準時計(=赤道上の時計)の時間おくれΔT2は

ΔT2=44.9(h)*(1-sqrt(1-u^2))

地球が自転している場合の東回り飛行に生じる時間遅れΔTは

ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))

ΔTーΔT2=182(ns)

となっています。

182(ns)=5.06*10^-11(h)

ですから

5.06*10^-11=44.9*(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))-44.9*(1-sqrt(1-u^2))

従って

1.126*10^-12=(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))

はい、これを解けば地球の自転速度が出ます。

ウルフラムに入れて

https://ja.wolframalpha.com/input?i=1.126*10%5E-12%3D%281-sqrt%281-%28u%2B8.26*10%5E-7%29%5E2%29%29-%281-sqrt%281-u%5E2%29%29

答えは9.50*10^-7

飛行機の対地速度が8.26*10^-7でしたので、それよりは地球の自転は少し早いのです。

 

西回りも確認しておきましょう。

西回りで生じる飛行機の時間の遅れΔT3は飛行機が地球の自転方向とは逆に飛ぶことを考慮して(=飛行機は静止系に対して地球の自転速度より遅い速度で移動する事になる)

ΔT3/44.9=(1-sqrt(1-(u-8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))

u=9.50*10^-7

を代入すれば求まります。

従って

(1-sqrt(1-(u-8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))にu=9.50*10^-7を代入

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%281-sqrt%281-%28u-8.26*10%5E-7%29%5E2%29%29-%281-sqrt%281-u%5E2%29%29%E3%81%ABu%3D9.50*10%5E-7%E3%82%92%E4%BB%A3%E5%85%A5

答えはー4.436*10^-13=ΔT3/44.9(h)

単位をnsに変換すると

ΔT3=ー4.436*10^-13*44.9*60*60*10^9

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%E3%83%BC%EF%BC%94%EF%BC%8E%EF%BC%94%EF%BC%93%EF%BC%96%EF%BC%8A%EF%BC%91%EF%BC%90%5E%EF%BC%8D%EF%BC%91%EF%BC%93*44.9*60*60*10%5E9

答えはー71.7

時間遅れがマイナスですので時間が進んでいます。

従ってハーフェレ・キーティングの実験の表現に直すと

+71.7(ns)

実際の「第一地球でのハーフェレ・キーティングの実験」では西回りは

西回り +96ns

まあ「当たらずといえども遠からず」ですね。

東周りの数値を「第一地球でのハーフェレ・キーティングの実験」に合わせましたから、そのしわ寄せが西回りに出ていますが、「桁違いにはなってはいない」様です。

こうして「ハーフェレ・キーティングの実験」の「第2地球版モデル」がそれなりに完成したのでした。

 

注1:ただしこの「第2の地球の公転軌道」は「地球の公転軌道と同じ」なのですが、「公転位置が太陽をはさんでちょうど反対側にある」為、「いまだにその存在は確認できてはいない」のです。

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/s8kiC

 


8-1・再検証:ハーフェレ・キーティングの実験

2024-01-12 06:37:44 | 日記

アインシュタインいわく

『・・・この定理から次の事が推論されよう。

地球の赤道上に固定され、自転する地球に伴って、動いている平衡輪式時計(注1)は地球の南北いずれかの極点に置かれた全く同じ構造や性能を持つ時計(置かれた場所の違いを別にすれば、これら二つの時計は全く同じ条件の元にあるとする)に比べて、非常にわずかではあるが、遅いテンポて時を刻むということである。』と言っている

「アインシュタインの特殊相対性理論(1905年)」: https://archive.md/hjDby#2-6-2 : (6)原論文§4の「2.時間の遅れ」からの引用

さてこの文章の前半にある部分を参考にするならば「極点に置かれた時計は静止系に置かれた時計である」とみなされ「赤道に置かれた時計はその静止系に対して運動している時計である」とされている。

アインシュタインはまずは慣性系を一つ選択しそこに観測者を立てます。

そうしてその観測者が立った慣性系を「これが静止系である」と宣言するのです。

次にその観測者の足のしたに地球の北極を持ってきて地球を自転させるのです。

そうすると北極に置かれた時計は静止系に対して運動していません(=くるくると回転する、「自転運動はしています」が観測者の足の下から移動しない)のでその時計は観測者が持っている時計と同じテンポて時を刻みます。

つまりは「北極にある時計は静止系にある時計と同じテンポで時を刻む」とアインシュタインは言っているのです。

他方で「赤道に置かれた時計」は静止系に対して速度vで円運動する事になります。

さてそうであれば「極点に対して速度vで運動している赤道に置かれた時計はsqrt(1-v^2)の割合で極点に置かれた時計に対してテンポが遅れる」とアインシュタインは主張しているのです。

 

さてこのアインシュタインの主張はまさに「客観的な静止系は存在する」と主張している様に当方には聞こえるのですが、さて皆さんにはどのように聞こえたのでしょうか?

さてそれで、このような主張をするアインシュタイン自身は「客観的に存在する静止系は認めていない」のです。

ただし「特殊相対論には静止系と運動系がある」という事は認めています。(というよりはそれは特殊相対論の大前提です。)

そうして「静止系については観測者が立っている慣性系を静止系として良い」としているのです。

そうして又「極点に設置された時計は自転していますが、その事を除けば静止系に設置されているのと同じだ」としているのです。

それはつまり「自転していても時間の遅れは発生しない」と主張している事になります。

そうしてまたその事は「我々の暮らす宇宙では自転運動は絶対運動である」という事もアインシュタインは認めている様に見えます。(注2

 

さてそれで「ハーフェレ・キーティング」のこの辺りの取り扱いはこうなっています。

『地球が回転しているため、地表に静止して配置された標準時計は、非回転の(慣性の)空間の座標時計の候補としてこの場合には適していません。それにもかかわらず、地球上の時計の相対的な時刻の振る舞いは、基礎となる非回転(慣性)空間の仮想的な座標時計を参照することによって評価できます(6)。

この目的のために、北極点から遠く離れた場所から見下ろす非回転(慣性)空間の観察者が地球(回転している)を見た場合を考えてみましょう。赤道上の地表に固定された時計は、非回転空間に対して速度RΩを持ち、したがってこの空間の仮想的な座標時計に対して1 - R^2*Ω^2/2c^2の比率で遅れています。一方、赤道面近くで地球を周回する飛行時計は、地上速度vを持ち、したがって対応する時間比率1 - (RΩ +v)^2/2c^2で遅れています。』

まあ大筋は上で述べたアインシュタインの主張と同じです。

 

さてそれでここでは「時間の遅れはお互い様」というミンコフスキーの主張がこの「ハーフェレ・キーティングの実験結果」に対応しているかどうかを考えてみます。

「時間の遅れはお互い様」論者によれば『私』である観測者が飛行機に同乗した場合は地球に固定された時計の方が遅れる、という事になっています。

なんとなれば「『私』は静止していて地球が回転していると見てよい」と言うのが「時間の遅れはお互い様」論者のいう所の「相対論的なものの見方」でありますから。

そうすると「地球にある時計は常に『私と一緒に飛行機に乗っている時計』よりも遅れる」という事になります。

さてそれで事実はどうでしょうか?

 

   ナノ秒の獲得、予測           実測  差分σ

   重力      運動学的な  予測合計 測定値 
  (一般相対性理論) (特殊相対性理論)
東回り  +144±14   −184±18    −40±23  −59±10  0.76σ
西回り  +179±18   +96±10    +275±21  +273±7  0.09σ

単位 ナノ秒 (マイナスが時間の遅れをしめす。プラスは時間の進み。)

 

飛行機が西回りに飛んだ場合は確かに飛行機の時計は進みました。(+96ns

つまりは「飛行機の時計から見れば地上の時計は遅れた」のです。

しかしながら飛行機が東回りに飛びますと今度は飛行機の時計が遅れました。(−184ns

つまりは「飛行機の時計から見れば地上の時計は進んだ」のです。

 

さてこれは「時間の遅れはお互い様」という主張からみると「おかしな事」です。

「時間の遅れはお互い様」では常に『私=観測者』が静止系をきめる権限を持つのでしたから、その『に対して運動している地球上の時計は遅れなくてはならないのです。

しかしながら「事実はそうはなってはいない」のです。

という事は「飛行機に乗っている私=観測者以外の誰かが、あるいは何かが静止系を決めている」という事になるのです。

 

さてそうであれば「新幹線で東に向かう時」には「新幹線の時計は駅の時計よりも遅れる」という事になります。

そうしてまた「帰りの西に向かう新幹線では列車内の時計は駅の時計よりも進む」のであります。

さてそうであればこの地球では「動くものは時間が遅れる」のではなくて「遅れる場合もあるし進む場合もある」が正解となっているのです。(注3

 

注1:「平衡輪式時計」とは「テンプ式機械時計の事」です。それは「機械式腕時計で使われているメカニズムです。」: https://archive.md/Amz0n : https://archive.md/iuQ0X :

注2:がちがちの相対運動論論者の場合は「地球が自転している」のではなくて「宇宙全体が地球の周りに回転している」と主張する事でしょう。

そうなりますと「静止しているのは地球で回転しているのが宇宙だ」となります。

これはまさに「天動説」ではありますがマッハは「そう考える事も出来る」と主張しました。

しかしながらさすがにアインシュタインはそこまでは主張していません。

「宇宙が静止していて地球が自転している」と認めているのであります。

さてそうだとすると「アインシュタインはマッハよりも弱い意味での相対運動主義者」という事になりそうです。

というのも「マッハは自転運動でさえ相対運動だ」と主張する者であるからです。

その点ミンコフスキーは「自転運動などはどうでも良かった」様です。

あるいは「自転運動を考慮外に置いた相対運動主義者」となります。

というのも「自転運動、あるいは回転運動での時間遅れをどのように扱うのか」というのが「静止系が客観的な存在であるのかどうか」ということと密接に関係してくるからであります。

そうであればミンコフスキーにとっては「静止系が客観的な存在であるのかどうか」という「問いそのものが始めから存在していない」という事になりそうです。

注3:この結論は「地球が宇宙=静止系に対して自転している」と認めた所から出てきています。

つまり「地球が自転している」と認めると「地上での時間の遅れはお互い様ではなくなる」=「時間の遅れは一方的になる」のです。

 

追記:このページのポイントは「ハーフェレ・キーティングのやり方では北極点上空に設定された慣性系が優先慣性系になっている」という事です。

つまりは「優先する慣性系がある事を認めている」のです。

それ以外の「その他大勢の慣性系の選択」では「ハーフェレ・キーティング」の結果を説明できない様にみえます。(注4

つまりは「この実験は任意の慣性系に立つ観測者が静止系を決める事が不可能である事」を示しているかの様です。

そうしてそれは「アインシュタインの前提の崩壊」を意味しています。

つまり「任意の慣性系に立つ観測者は『自分こそが静止系に立っている』と主張してよい」が成立していない事をしめしている様に見えます。

注4:さてそうであれば後日、この事を数値計算によって確認する事となります。

追記の2:冒頭に述べたアインシュタインの主張によれば「赤道上の時計が遅れる」のです。

そうして「この状況は観測者が北極に立とうが赤道に立とうが変わる事は無い」とアインシュタインは言っているのです。

そうであれば「この場合は時間の遅れはお互い様ではない」のです。

この点でアインシュタインは「時間の遅れはお互い様」と主張しているミンコフスキーとは違っている、という事が出来ます。

追記の3:冒頭に述べたアインシュタインの主張は「北極は(あるいは南極は)静止系として認めてよいが、赤道は静止系ではない」と言っている事になります。

そうすると「北極で行われた相対論的な物理実験結果」は「赤道上で行われた同一の相対論的な物理実験結果」とは「一致しない」という事になります。

なんとなればアインシュタインの指摘によれば「赤道上は静止系ではないから」であります。

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/h2rIy