前のページでは振動方向にドリフトしている例を扱いました。
それでこのページでは振動方向と直交する方向にドリフトしている例を扱います。
振動方向と直交する方向にドリフトしている場合の計算は
その2・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ :で行いました。
その結果を引用しながら、以下、前ページの議論に従って同じように記述します。
1、地球が静止慣性系だとしたらそこに据えられた時計を積分した値は2π(2パイ)になるという事は前述した通りです。それでこれが理論上の基準値となります。
それに対して単振動速度:0.9994C ドリフト速度:0.001C とした場合の以下の2つの計算結果は次のようになります。
2、基準慣性系で単振動した場合
桁落ち計算結果 : 4.0102
桁落ち回避結果 : 2.00509944359250・・・*2
=4.010198887185・・・
3、基準慣性系に対してドリフトしながら単振動した場合
ドリフトしながら単振動した場合の計算も終わっています。
桁落ち計算結果 : 4.0102
桁落ち回避結果:4.01019688208504・・・
4、「地球がドリフトしているとした場合の地上に設置された時計の積分」
桁落ち回避結果 : 6.2831821655861474・・・
以上で全ての場合の計算が終了した事になります。
結果をまとめます。
A:地球が基準慣性系だとしたら単振動による時間の遅れは
2番結果/1番結果(2パイ)=4.010198887185/2π
=0.638242975677110・・・
B:地球が基準慣性系に対してドリフトしていたとしたら単振動による時間の遅れは
3番結果/4番結果
=4.01019688208504/6.2831821655861474
=0.63824297567710827・・・
AとBを比較すると有効数字で14ケタ目に違いがみられます。
従って最低でも有効数字15ケタの測定精度が必要になります。
追伸:差分(ドリフトありーなし)<0 であって、ドリフト有の方が遅れの割合が大きい。それを計算します。
B-A=ー1.720705251・・・E-15
=ー0.00000000000000172070251・・・
=ー0.0000000000002%程の差があります。
そうしてこれが地球上での観測で検出可能な数値となります。
・・・しかしながら実際問題としては「測定においてこれほどの精度が出る、とはとても思えない」ので「振動方向に直交してドリフトしている場合は、単振動による時間の遅れ測定は基準慣性系の検出には使えない」が答えになりそうです。(注1)
追伸の2
振動方向にドリフトしていた場合の時間のおくれ
桁落ち回避結果 :4.010198223209・・・
振動方向と直交する方向にドリフトしていた場合の時間のおくれ
桁落ち回避結果 :4.01019688208504・・・
こうして比較してみると、振動方向と直交する方向にドリフトしていた場合の方が時間の遅れが0.0000013程大きい、という事が分かります。
(積分した値が小さい方が時間の遅れは大きい、という事に注意。)
さて、この事を使って地球が基準慣性系であるのかどうか、検証する事が可能となります。
つまりMMの干渉計にならって水銀のプールの上の石の定盤の上に振動する時計を一つ用意し、その振動する時計とプールの外にある時計の時間の遅れを測定するのです。
そうして一回目の測定が終了したら定盤を90度回してもう一度測定する。
そうやって測定した時に、1回目の測定と2回目の測定値がぴったりと同じであれば「地球は基準慣性系である」と言う事になります。
そうしてもしその測定値に0.000089%程の有効なずれが見られたならば、「地球は基準慣性系ではない」と言う事になります。
但しそのためには有効数字7~8ケタ精度の時間の遅れ測定を行う事が必要となります。
注1:この2つの数字はほとんど同じであり、従って数値計算での誤差である可能性があります。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/UJh1v