したのやムラ便りG

東京の片隅に眠る下野谷遺跡。「したのやムラ」と呼ばれる縄文のムラがありました… (non official site)

揺らぎと間。今年も伊勢型紙教室開催しました!

2013年12月08日 08時30分58秒 | 郷土資料室の日々

おはようございます。

12月もあっという間に1週間が過ぎてしましました。

ほんとうに、師走・・・。

「忙」しさに「心亡」くさないように・・・。

                                                       

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さて、そんな時には心落ち着く手仕事を!

今年も、伊勢型紙教室の開催です。

                                                       

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本来は、小紋などの柄を染めるための型紙である「伊勢型紙」。

伊勢地方などに職人が多くいたのでこう呼ばれています。

和紙に柿渋を塗った紙を、鋭い小刀で彫っていきます。

小さな〇や花弁等が連続する精緻な模様が彫りだされます。

                                                       

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西東京市郷土資料室では、その技を応用して、

ここ数年、年賀状の型紙づくりの教室を行っています。

                                                                  

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今年は午年。

先生が彫ってきてくださった、デザインの型紙。

ちょっと薄い色の紙は、工場で作られた柿渋紙代わりの製品。

最近は、こちらの方が多く出回っていますが、

先生のご厚意で、教室では、昔ながらの柿渋紙を使わせていただきました。

                                                                

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講師は、西東京市内在住の、南部俊彦さん。

今では本当に数少ない型紙彫り職人さんのお一人です。

型紙を補修したり、細かな模様を補正したりするのに必要な、

漆で紗と言われる絹糸を貼り込む技もお持ちです。

そういった技をもつ職人さんは、

今では本場伊勢でも1、2人しかいらっしゃらないとか。

                                                             

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お持ちいただいた小刀の数々。

彫り込む模様によって様々手作りしたもの。

                                                        

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刃先に挟んだ小さな小さな柿渋紙。

この厚さで、彫り込む線の幅を微妙に調整しています。

「道具を作れなければ、刃を砥ぎ治せなければ、職人はできません」

でも、今では、そういった技もなくなってしまいそうだとか・・・。

                                                                

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素人の私たちは、デザインカッターで、

好きな絵柄を先生に墨で写してもらって彫りぬきます。

細かな仕事に集中すると、頭も心もまっさらになるよう。

慌ただしすぎる日常から、ちょっと離れるこの時間。

必要なのかもしれません。

                                                                

もちろん、仕事として型紙を彫る職人さんたちは、

そんなのんびりしたものではありません。

1日10時間以上も、小さな机の前に座り、

ひたすら細かな作業を続けることもざらだったそう。

しかし今では、パソコンなどで型紙が切りだされ、安価にできるため、

仕事は本当に少なく、

また、後継者もいないそう。

「仕事をしていく中で技を覚え、技も磨かれるもの。その仕事がないのでは・・」

保存会などが伝統の保持に努めていますが、

それでは、本来の技の継承にはならないのかも・・・。

                                                              

コンピューターが切りぬく線はどこまでもまっすぐで揺るぎない

人が彫る線は、どんなに精緻でも、どこかに揺るぎや間ができる。

そんな揺るぎや間のない日常に、私たちはどこか疲れてしまって、

本当はそんな揺るぎや間をもとめているのではないでしょうか。

けれど・・・。

                                                             

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さて、完成した型紙に水彩絵の具で色つけすれば、

ほら!

こんな素敵な年賀状の完成です。

左は、小学生の女の子の作品。かわいいでしょ?

                                                             

柿渋紙は、本来染物の型紙。

水洗いすれば何度でも使えます。

一枚の型紙で、いろいろな色のバリエーションも楽しめます

                                                             

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教室が終わって外に出れば、

田無タワーに三日月・金星のランデブー。

伝統技術の継承の難しさを考えさえられながらも、

心がちょっと安らいだ素敵な1日でした。

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