したのやムラの物語
あたたかなお日様が今日ものぼってきました。
したのやムラの朝です。
石神井川には、さっそく2人の男の子たちの声がはじけています。
「もっと体の力を抜かなきゃだめだよ、じょう」
「なんで、かいみたいに上手くできないのかなあ・・・」
じょうがかいに泳ぎを教わっているのです。
「じょうのへたくそ!」
「もん!そんなこといっちゃだめだよ。じょうは一生懸命なんだから!」
もんが悪口をいいながら森の方に走って行きました。
いつもはそんな女の子じゃないんですけどね。
きっと、今日はじょうとかいがぎんと一緒にシカ狩りに行くのがつまらないんでしょう。
したのやムラでは、ある年齢になると、男女の仕事が決まります。
たとえば、女性は、狩りの神様がやきもちを焼くので、
狩猟には行けないのです。
もんは、本当は狩りが大好き。弓も上手です。
でも女の子なので連れていってもらえません。
きっと、これから森の奥にある大きな大きな古いトチの木おじさんに、
そんな不満をきいてもらいにいくのでしょう。
帰る頃には、笑顔のもんに戻って、たくさんのベリーを採って来るはずです・・・・。
したのやムラの仲間たち
「じょう」
したのやムラ生まれしたのやムラ育ちの男の子。
「ぎん」と「あん」一家の長男。「クマ族」
「しーた」「のーや」のお兄さんで「もん」の弟。
シカ笛を作ったり吹いたりするのが得意で優しい「じょう」は動物たちとも仲良し。
自然に動物たちが寄ってくる。
海に憧れており、海のムラ生まれの「かい」を本当のお兄さんのように慕っているが、
なぜか、泳ぎが不得意で、まだ、海のムラへの遠征隊に入れてもらえない。
石神井川で、魚を捕りながら、「カイ」に泳ぎを特訓してもらっている。
「もん」
したのやムラ生まれしたのやムラ育ちの女の子。
「ぎん」と「あん」一家の長女。「クマ族」。
「しーた」「のーや」「じょう」のお姉さん。
雲間の太陽のような女の子で、「もん」のまわりにはいつも笑顔があふれている。
木々や花々と話ができる才能があり、
「もん」のおばあさんで薬師の「たま」は、ひそかに後継者だと思って育てている。
布づくりも得意なのだが、本人は女の子らしい仕事が大嫌い。
弓矢の腕は実は「じょう」より達者で、男の子に生まれればよかったといつも思っている。
そんな風なので、年頃なのに男の子には興味がなく「あん」をやきもきさせている。
でも、実は、そんな所も、若い頃の「あん」にそっくりだなと「ぎん」は思っている。
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