■2018年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年2月11日
【金賞】
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
桜の芽が伸びている空は、もうすぐ桜が咲く予感に満ちて華やかな気配がある。その空へと続く坂があれば、登ってみたくなるものだ。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
春の草はようやく芽生えたもの、すっかり丈を伸ばしたものなど、生長に遅速がある。丈があるものは風に吹かれて一つ大きく育っている。(高橋正子)
★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
棚田にあたる日が谷間に残る春雪を溶かしている。「溶かせつつ」というのだらから、棚田の日は、十分に棚田を温める日でありながら、雪を溶かしてるのだ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★頂は春陽集いしところなり/多田有花
山の頂は、四方八方、真上から春陽を受けているのではないか。春の陽がにぎやかに頂に集まってあたたかな集いが始まっているいるようだ。(高橋正子)
★子らの居ぬブランコ風の触れてゆく/祝恵子
ブランコは子どもたちが大好きな遊具だ。(中国や、日本の平安のころは大人の乗るものであったようだが。)子どもが乗っていないブランコは風が触れて揺らしてゆく。風がブランコにのっているかのように。(高橋正子)
★春満月高く見上げて帰る道/高橋句美子
水に潤ったような春の満月。高く上る春の満月に帰る道が心楽しい道となった。(高橋正子)
【高橋信之特選/9句】
★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
萌え出た春の草、一つ一つの新たな生命に、吹く風がことに優しく感じられます。柔らかな草の動き、快い風の広がりに、みずみずしい春の訪れを思います。(藤田洋子)
★一月の法事に幼は手を合わす/祝恵子
1月の法事というと前の年の暮れに亡くなられた人の法事と思われる。幼子も見知ったる方なので、みんなと共に手を合わせる。故人を悼む気持ちが良く表現されている。 (廣田洋一)
★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
棚田全体に春日が当たり雪をかぶった所々を溶かし始めている。見ていて飽きない感じですね。(祝恵子)
★濡れているひじき買うなり海も買い/髙橋正子
春採取して乾燥し、油揚・大豆などと一緒に煮て食べるひじきをお店で買い、そのひじきから外海に面する波の激しい岩礁上に付着する素晴らしい海の匂いも一緒に買った嬉しさが素敵ですね。(小口泰與)
★合格の知らせを告げる着信音/高橋秀之
受験生のみならず、ご家族にとっても大変な受験期を乗り越え、待ちに待った「合格」の知らせ。感慨ひとしおの嬉しさが伝わる着信音に、春来る明るさ、喜びを感じます。 (藤田洋子)
★白梅のかげりてうすき緑なる/髙橋正子
咲いたばかりの瑞々しい白梅に春の日差しが柔らかく、うす緑にもかげる可憐で清々しい白梅と芳香に春の喜びを感じます (柳原美知子)。
★恵方巻思い出すのは母の味/高橋秀之
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
★春の階わが影しかと映されし/髙橋正子
【高橋正子特選/9句】
★子らの居ぬブランコ風の触れてゆく/祝恵子
立春が過ぎたとはいえ、まだ冷たい風が吹き、子供たちは乗っていないブランコ。公園に賑やかな声が響く日が待たれます。(柳原美知子)
★ミニカーを離さず寝る児日脚伸ぶ/藤田洋子
ミニカーを握りしめているのはまだ小さな子なんでしょう。きっと明るい時間が少しずつ伸び、そしてその分遊び疲れて寝ているのではないか、そんな春先のひとこまを感じます。(高橋秀之)
60.春浅き日の喜びに明るい空/髙橋信之
風はまだ冷たいながらも春の日差しの届く空は明るく青く晴れわたり、心も晴々と春の到来が実感されます。 (柳原美知子)
★春立てり夕陽に染まる白灯台/高橋秀之
春の海の青と白灯台を夕陽がやわらかく染めてゆく美しい情景が目に浮かびます。穏やかな海の夕暮れにも春の訪れが感じられます。 (柳原美知子)
★春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
★頂は春陽集いしところなり/多田有花
★棚田の日谷の春雪溶かせつつ/柳原美知子
★桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
★春満月高く見上げて帰る道/高橋句美子
【入選/15句】
★新幹線からの景色や雪の富士/高橋秀之
新幹線での上京は、天候の良い日であれば静岡辺りで富士山を仰ごうと思い、そわそわします。都合よく富士山を眺める事は、中々出来ない所を、圧倒されるほどの雪の富士山を眺め感動した作者である。 (桑本栄太郎)
★群青の宵空深し冬送る/桑本栄太郎
冬の時期の宵の空は、群青の色濃さがありますが、それも冬を送る時期の様子と思えば、感慨もひとしおであろうと思います。 (高橋秀之)
★春の日にきらめく海や波を待つ/廣田洋一
波も穏やかに煌めく春の海を眺め、その穏やかな波が寄せてくるのを待つ時間は、まったりとした穏やかなひとときを感じます。 (高橋秀之)
★春隣孫子の来る誕生日/河野啓一
お孫さん、お子さんに囲まれ祝われる誕生日。ほのぼのとした温もりのある情景に、まだ寒さの続く中にも春の到来が身近に感じられます。(藤田洋子)
★雪踏みて鳴る音一歩ずつ確かめ/高橋句美子
首都圏では厳しい寒波と積雪に見舞われた今年。踏みしめる雪の一歩一歩に、雪の感触、接する雪の音が伝わります。寒さの中にも都心の雪が新鮮に目に映ります。(藤田洋子)
★春来たるコナラの梢も柔らかく/古田敬二
見慣れている森のコナラの梢の様子にも春の訪れが感じられ、心も弾みます。心地よい口調にも惹かれます。 (柳原美知子)
★陽光の田面きらめき風光る/ 桑本栄太郎
★春の日や流れる雲を見ていたり/多田有花
★早春の風が揺らしていく梢/多田有花
★我が街の彼方伊吹の残雪嶺/古田敬二
★早春の風が水面に波立てる/高橋秀之
★パンくずを得開けあう小鳥鵯も来て(ママ)/河野啓一
※パンくずを分けあう小鳥鵯も来て
★白壁の道後蔵元椿咲く/藤田洋子
★雪残る囲いの中の緋の牡丹/柳原美知子
■選者詠/高橋信之
★立春の焼海苔ぱりっと音を立てる
音と香りから、春が来た喜びを想像させる巧みさ7962が思われます。(河野啓一)
今年の立春は厳しい寒さのなかでした。暖かい春はまだまだ先。それでも立春という言葉にうれしさがあります。食卓の焼き海苔がたてる音にさえ、その喜びが感じられます。 (多田有花)
★立春過ぎし天仰ぎ見る嬉しさよ
★立春を過ぎて散歩という楽しみ
★水仙咲く広き寺苑に吾も居る
★春浅き日の喜びに明るい空
■選者詠/高橋正子
★囀りは雲のどこかに弾けたる
小鳥の囀りをきいて、どこにいるのか探してみるも、雲に紛れて姿は見えないのに元気な声は弾けている様子が、春の訪れを感じさせてくれます。(高橋秀之)
★白梅のかげりてうすき緑なる
★止まれば紅梅匂う風来り
★濡れているひじき買うなり海も買い
★春の階わが影しかと映されし
■互選高点句
●最高点(4点/同点4句)
02.春の草丈あるものに風吹けり/小口泰與
41.雪残る囲いの中の緋の牡丹/柳原美知子
45.桜芽の伸びる空へと坂登る/柳原美知子
62.白梅のかげりてうすき緑なる/高橋正子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
冬の時期の宵の空は、群青の色濃さがありますが、それも冬を送る時期の様子と思えば、感慨もひとしおであろうと思います。
40.ミニカーを離さず寝る児日脚伸ぶ/藤田洋子
ミニカーを握りしめているのはまだ小さな子なんでしょう。きっと明るい時間が少しずつ伸び、そしてその分遊び疲れて寝ているのではないか、そんな春先のひとこまを感じます。
46.春の日にきらめく海や波を待つ/廣田洋一
波も穏やかに煌めく春の海を眺め、その穏やかな波が寄せてくるのを待つ時間は、まったりとした穏やかなひとときを感じます。
受験生のみならず、ご家族にとっても大変な受験期を乗り越え、待ちに待った「合格」の知らせ。感慨ひとしおの嬉しさが伝わる着信音に、春来る明るさ、喜びを感じます。
31.春隣孫子の来る誕生日/河野啓一
お孫さん、お子さんに囲まれ祝われる誕生日。ほのぼのとした温もりのある情景に、まだ寒さの続く中にも春の到来が身近に感じられます。
53.雪踏みて鳴る音一歩ずつ確かめ/高橋句美子
首都圏では厳しい寒波と積雪に見舞われた今年。踏みしめる雪の一歩一歩に、雪の感触、接する雪の音が伝わります。寒さの中にも都心の雪が新鮮に目に映ります。
咲いたばかりの瑞々しい白梅に春の日差しが柔らかく、うす緑にもかげる可憐で清々しい白梅と芳香に春の喜びを感じます。
60.春浅き日の喜びに明るい空/髙橋信之
風はまだ冷たいながらも春の日差しの届く空は明るく青く晴れわたり、心も晴々と春の到来が実感されます。
25.春立てり夕陽に染まる白灯台/高橋秀之
春の海の青と白灯台を夕陽がやわらかく染めてゆく美しい情景が目に浮かびます。穏やかな海の夕暮れにも春の訪れが感じられます。
16.春来たるコナラの梢も柔らかく/古田敬二
見慣れている森のコナラの梢の様子にも春の訪れが感じられ、心も弾みます。心地よい口調にも惹かれます。
2月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。
「頂は春陽集いしところなり」を銅賞に
「春の日や流れる雲を見ていたり」「早春の風が揺らしていく梢」を
入選句にお選びいただきありがとうございます。
小口泰與さま、 廣田洋一さまには「春の日や」に選を、
祝恵子さまには「早春の」に選をそれぞれいただきありがとうございます。
思いがけず、「桜芽」の句に金賞、「棚田の日」の句に銀賞を賜り、正子先生の丁寧なご句評をいただき、大変嬉しく感謝申し上げます。「雪残る」の句も入選句に加えていただきありがとうございました。リハビり仲間と棚田米で知られる東温市井内のどぶろくを作り、冬牡丹を咲かせている古民家「牡丹茶屋」を訪れた時の句
でよい記念になりました。
祝恵子様には、「雪残る」の句に選、「棚田の日」の句に選と温かいコメントを、高橋秀之様、多田有花様には「桜芽」の句に、廣田洋一様、河野啓一様、藤田洋子様には「雪残る」の句に、小口泰與様には「湯たんぽ」の句に、桑本栄太郎様には「日脚伸ぶ」の句に選をいただき、ありがとうございました。
信之先生の特選に「一月」、正子先生に「ブランコ」特選に、その上に銅賞「ブランコ」に句評を頂きましてありがとうございます。
廣田洋一様、「一月」に選とコメントを頂き感謝です。ありがとうございます。
柳原美知子様、「ブランコ」にコメントを添えていただきましてありがとうございます。
正子先生の特選に、「日脚伸ぶ」の句を選んでいただきありがとうございました。また、「椿咲く」の句を入選に選んでいただきありがとうございました。道後も少しずつ春の気配です。
高橋秀之様、「日脚伸ぶ」に、選句と温かなコメントを寄せていただきありがとうございました。
小口泰與様、「椿咲く」の句に、祝恵子様、「春初め」の句に、柳原美知子様、「たんぽぽ」の句に、桑本栄太郎様、「日脚伸ぶ」の句に選句をいただきありがとうございました。
2月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。
「合格の知らせを告げる着信音」「恵方巻思い出すのは母の味」の句を信之先生特選句に、
「春立てり夕陽に染まる白灯台」の句を正子先生特選句にお選びいただきありがとうございました。
また、「新幹線からの景色や雪の富士」「早春の風が水面に波立てる」の句を入選いただきありがとうございました。
それぞれの句に選をいただき、またコメントをいただいた藤田洋子さま、柳原美知子さま、桑本栄太郎さま、ありがとうございました。