■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■8月月例ネット句会入賞発表■

2024-08-12 13:25:03 | 日記
■8月月例ネット句会/入賞発表■
2024年8月12日

【金賞】
21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
「朝影」は朝日の光のこと。朝日が田んぼに射すと、緑濃くなった田んぼに爽やかな風が吹き、立秋を知る。朝影のイメージと響きが美しく、季節の移り変わりを大切に思う心がみえてくる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
にわか雨の降り始めに、茄子の広げた葉に軽く音を立てて雨が落ち始めた。その時の様子が、リアルに伝わってくる。「軽い音」に茄子も雨も生き生きとしている様子がうかがえる。(髙橋正子)

31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏
大都会の東京でも雷光と雷鳴に夜空が真っ二つに割かれるような激しい雷があった。「夜」「真っ二つ」に力強さがあり、雷の力強さを示す句となった。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
白壁と朝顔の紺の対比が美しい句。また、「のぼりきる」に作者の決意ともいえるような強い内省的な意志が見えて、美しさに加えてのよさとなっている。(髙橋正子)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
赤とんぼが群れ飛んでいる。それぞれに陽があったって、それぞれの翅が向きむきで、どの赤とんぼの翅もきらめいている。赤とんぼの世界が別世界のように思える。(髙橋正子)

35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町/髙橋句美子
瀬戸内海の夏は、かつては塩田に象徴されたように、雨が少ない瀬戸内式気候と言われる特徴を持っている。晴れると夏の強烈な日差しが射すが、どこか細やかな陰影を見せる晴れ方である。その瀬戸内の田舎町は、古い町並みが夏陽に照らされ、特別な印象をもって、目に残るのだ。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
俄雨の中の茄子畑の様子を良く見ている。軽い音が良い。 (廣田洋一)

14.母がむく桃を頬張る帰省の子/高橋秀之
帰省した子に旬のおいしいものを食べさせたいと思う母心。童心にかえって母の気持ちに甘える子。成長した子に幼き日の面影を重ね、微笑ましく見守る作者です。 (柳原美知子)

21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
朝影の映る田の鮮やかな緑の葉がさやさやと風になびいている。初秋の爽やかな一日が始まる。(弓削和人)

22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
きっと白壁を這う朝顔が紺の花を咲かせているのでしょう。爽やかな朝の景色を感じます。(高橋秀之)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
夏から秋にかけて色々な種類の蜻蛉がみられます。特に赤とんぼうの初秋の強い日が翅に当たった姿は素晴らしいですね。(小口泰與)

31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏
東京の夜の激しい雷雨。ガラスの高層ビルの並びを雷光が照らし、雷鳴が轟きます。「真っ二つ」に雷の激しさが感じられます。(多田有花)
この夏は、東京にも、幾度か激しい雷雨が起きました。日頃は人工の灯が固まってきらきらと光る東京の夜景。大きな夜空に、天から地へ突き抜けるように電光が走った、その衝撃が伝わります。 (川名ますみ)

35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町/髙橋句美子
昨今、瀬戸内海沿岸の小さな町や小島が、古い伝統を残す町並みと素晴らしい景観で脚光を浴びています。夏晴れの瀬戸内海の光景を思い浮かべ、そのことを思い出しました。(高橋秀之)

【髙橋句美子特選/7句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
茄子の葉の柔らかさを感じる句です。(髙橋句美子)

04,かなかなや峡の村なる母のさと/桑本栄太郎
かなかなの少しさびしい声を聞くと郷愁を覚えます。山峡の村の母の里に繋がる様々な思い出が蘇るひとときです。 (柳原美知子)

22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
きっと白壁を這う朝顔が紺の花を咲かせているのでしょう。爽やかな朝の景色を感じます。(高橋秀之)

27.溝萩のすっくと立ちて風のなか/髙橋正子
風が吹いても決して倒れることなく直立している様子が「すっくと」と言う表現で目に浮かびます。(西村友宏)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
夏から秋にかけて色々な種類の蜻蛉がみられます。特に赤とんぼうの初秋の強い日が翅に当たった姿は素晴らしいですね。(小口泰與)

21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる/髙橋正子

【入選/12句】
01.鵜がもぐる蒼き水輪の海は秋/吉田 晃
鵜にはカワウとウミウがいますがこれはウミウなのです。もぐってさかんに魚をとっています。その海もしだいに秋めいてきています。(多田有花)

07.朝涼や一湖と吾のほかになし/弓削和人
早朝の空を映すひろびろと澄んだ湖に一人佇み、朝風に吹かれる。この上ない朝涼の景です。(柳原美知子)

15.機上から青き山頂夏の富士/高橋秀之
富士山の上を飛ぶ飛行機の旅。冠雪時期は白い山頂ですが、夏場は青い山頂です。ここにも日本の夏があります。(多田有花)

16.山の日や湯煙高く露天風呂/廣田洋一
山に登って山の露天風呂を楽しむのは山登りの大きな楽しみのひとつです。麓に下りてそこの露天風呂から今登った山を仰ぐのもまたよし。(多田有花)

18.秋の蝉命の限り鳴き続け/廣田洋一
夏蝉に続いて秋を知らせてくれる蝉も七年もの土の中から地上に出てきて、ほんの短い期間を樹々を渡って命の限り鳴き声を聞かせてくれる。その最後の
声を心して聞きたいものです。 (柳原美知子)

24.新涼やけさ心地好き朝寝坊/川名ますみ
これ迄熱帯夜が続き、寝苦しかったもののここ数日、漸く朝方は涼しくなって参りました。涼しい朝方の心地よい睡眠に、朝寝坊を楽しむ作者が見えます。如何にも新涼の心地である。 (桑本栄太郎)

28.昼寝より覚めれば法師蝉の声/多田有花
昼寝はある意味至福のひととき。その昼寝から目覚めると聞こえてくるのは法師蝉。残暑厳しき中にも確実に秋が近づいてくることを感じさせてくれます。(高橋秀之)

09.大西日犬にホースの水しぶき/弓削和人
11.老鶯の声の整う沼の木木/小口泰與
19.草照らす手花火窓より愛猫も/柳原美知子
20.浄瑠璃の語りに凉し人形の所作/柳原美知子
33,ビル抜けて仕事終わりの盆の月/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
25.夕焼けの窓を連ねて東横線
渋谷から横浜へ向かう東横線の電車。西へ行く電車の全車両の窓に夏の西日が射している。夕焼けを窓満載に横浜へ向かうのである。東横線…大学生時代を思い浮かべる、懐かしい響きである。 (吉田晃)

26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる
勢いよく鳴いていたツクツクボウシでしょうか。だんだんと消え入るように鳴き止む様子が「螺子のゆるみて」によく表されていて面白くも儚くもあります。 (柳原美知子)

27.溝萩のすっくと立ちて風のなか
風が吹いても決して倒れることなく直立している様子が「すっくと」と言う表現で目に浮かびます。(西村友宏)

■選者詠/髙橋句美子
35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町
昨今、瀬戸内海沿岸の小さな町や小島が、古い伝統を残す町並みと素晴らしい景観で脚光を浴びています。夏晴れの瀬戸内海の光景を思い浮かべ、そのことを思い出しました。(高橋秀之)

34.色とりどり浴衣に埋まる河川敷
36.花火の輪枝垂れ落ちて輝き散る

●互選最高点句(6点/同点3句)
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
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8 コメント

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コメント (多田有花)
2024-08-12 18:10:39
01.鵜がもぐる蒼き水輪の海は秋/吉田 晃
鵜にはカワウとウミウがいますがこれはウミウなのです。
もぐってさかんに魚をとっています。
その海もしだいに秋めいてきています。

15.機上から青き山頂夏の富士/高橋秀之
富士山の上を飛ぶ飛行機の旅。
冠雪時期は白い山頂ですが、夏場は青い山頂です。
ここにも日本の夏があります。

16.山の日や湯煙高く露天風呂/廣田洋一
山に登って山の露天風呂を楽しむのは山登りの大きな楽しみのひとつです。
麓に下りてそこの露天風呂から今登った山を仰ぐのもまたよし。
返信する
コメント (高橋秀之)
2024-08-12 23:04:49
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる
きっと白壁を這う朝顔が紺の花を咲かせているのでしょう。爽やかな朝の景色を感じます。

28.昼寝より覚めれば法師蝉の声
昼寝はある意味至福のひととき。その昼寝から目覚めると聞こえてくるのは法師蝉。
残暑厳しき中にも確実に秋が近づいてくることを感じさせてくれます。
返信する
お礼 (川名ますみ)
2024-08-13 20:34:47
正子先生、厳しい残暑の中、8月月例ネット句会を開催くださり、ありがとうございます。
皆さまのご投句に季節の移ろいを感じ、また、入賞発表にあらためて勉強させていただきました。
この度は、「白壁を朝顔の紺のぼりきる」の句に銅賞、正子先生と久美子先生の特選を賜りまして、嬉しく存じます。同句へ、美知子さま、晃さま、友宏さまに選を、秀之さまにはコメントを頂き、感謝いたします。
「新涼やけさ心地好き朝寝坊」の句には、栄太郎さまの選とコメント、泰與さまの選を頂戴し、ありがとうございました。
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お礼 (多田有花)
2024-08-14 11:05:30
正子先生、句美先生
8月月例句会を開催いただきありがとうございます。

「30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ」を
銅賞、両先生の特選7句にお選びいただきありがとうざいます。
小口泰與さまには選とコメントを、西村友宏さまには選をいただき
誠にありがとうございました。
窓から外を見たとき、赤とんぼが群れを成して飛んできてくれました。
翅に日差しが当たりきらきらと光ってとてもきれいでした。

「28.昼寝より覚めれば法師蝉の声」を
入選句にお選びいただきありがとうございます。
桑本栄太郎さま、 吉田晃さま、選をいただきありがとうございます。
高橋秀之さま、コメントをいただきありがとうございます。
暑い時期の昼寝は至福のときです。
昼寝から覚めたらツクツクボーシと鳴く声。
子どもの頃の夏休みを思い出しました。
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コメント (柳原美知子)
2024-08-14 18:13:10
14.母がむく桃を頬張る帰省の子/高橋秀之
帰省した子に旬のおいしいものを食べさせたいと思う母心。童心にかえって母の気持ちに甘える子。成長した子に幼き日の面影を重ね、微笑ましく見守る作者です。

04,かなかなや峡の村なる母のさと/桑本栄太郎
かなかなの少しさびしい声を聞くと郷愁を覚えます。山峡の村の母の里に繋がる様々な思い出が蘇る
ひとときです。

26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる/髙橋正子
勢いよく鳴いていたツクツクボウシでしょうか。
だんだんと消え入るように鳴き止む様子が「螺子の
ゆるみて」によく表されていて面白くも儚くもあります。

18.秋の蝉命の限り鳴き続け/廣田洋一
夏蝉に続いて秋を知らせてくれる蝉も七年もの土の中から地上に出てきて、ほんの短い期間を樹々を渡って命の限り鳴き声を聞かせてくれる。その最後の
声を心して聞きたいものです。
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お礼 (柳原美知子)
2024-08-15 00:11:41
正子先生、お盆前のお忙しい中、8月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
句美子様、友宏様、お世話いただき、ありがとうございました。
暑さの中にも、季節の移ろいが感じられる朝夕となり、皆様の地域の多彩な晩夏、初秋の様子を感じさせていただきました。
「朝影の田に濃きみどり秋立てり」に正子先生、句美子様の特選、金賞を賜り、正子先生の丁寧なご句評をいただき、大変嬉しく感謝申しあげます。
「手花火」「凉し」の句も入選句にお加えいただき、お礼申しあげます。
和人様には「秋立てり」に選と温かいコメントを、有花様には選をいただき、ありがとうございました。
晃様には「手花火」に、洋一様には「凉し」に選を
いただき、ありがとうございました。
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お詫び (多田有花)
2024-08-15 10:48:40
先日投稿しましたコメントで「句美子先生」と記すべきところ、「句美先生」と書いてしまいました。
大変失礼なことをいたしました。
お詫び申し上げます。
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お礼 (高橋秀之)
2024-08-17 20:55:09
高橋正子先生
8月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。

4月以降、久しぶりの繁忙職場で仕事に追いまくられていますが、選句をしていてみなさまの句に季節と地域を感じ、ほっととしたひとときを過ごしておりました。

正子先生には「母がむく桃を頬張る帰省の子」を特選7句に、また、同句に選をいただいた桑本栄太郎さま、弓削和人さま、コメントをいただいた柳原美知子さま、
機上から青き山頂夏の富士の句に選をいただいた吉田晃さま、コメントをいただいた多田有花さま、ありがとうございました。
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