■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■6月月例ネット句会/入賞発表■

2020-06-14 22:49:33 | 日記

■2020年6月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年6月14日

【金賞】
★卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
卯の花は古くから日本の詩歌などに詠まれ、初夏の風物詩となっている。山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所に生育する。この句の卯の花は、谷水の湧くところに咲いている。白い花びらがほろほろと谷の水にこぼれ、谷の水がいっそうきれいに、柔らかく思われる。(高橋正子)

【銀賞】
★青ピーマン色濃く畑にみずみずし/高橋句美子
ピーマンはすっかり日本の野菜に馴染んで当たり前に店頭で見られる。この句のピーマンは畑に生っているもので、緑色が濃くて、しっかり太って、みずみずしい光を放っている。売られているピーマンとは違う本当のみずみずしさに驚いた気持ちを素直に句にした。(高橋正子)

★風五月ふうせんかづらの種をまく/川名ますみ
ふうせんかづらのふっくりと膨らんだ実を想像しながら種を播いたことだろう。五月の風がさわやかに吹く中で、ふせんかづらの種を播いたのだ。想像どおり、風に吹かれるふうせんかづらの実ができることだろう。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★豆ごはん幼いときは大家族/祝恵子
豆ごはんは、グリーンピースを白米と塩味で炊いた初夏のご飯。緑色が白い飯に爽やかで、お変わりをしたくなるご飯だ。戦後の幼いころは大家族で、みんなでこの季節の豆ごはんを食べた。戦後の貧しい中にも大家族のあたたかさがある時代だった。(高橋正子)

★放たれてしばらくは散る稚鮎かな/吉田晃
稚鮎を川に放流すると、しばらくは、水に驚いて、ちりぢりに散らばる。しばらくすると、落ち着いて、水を得た魚となって泳ぎ出す。稚鮎の放流は、教育の一環の役割もあって、園児たちに放流させたりするが、ほほえましい光景である。漁業組合などでは、稚鮎をタンクからホースを使って放流したりもするが、いずれもこの時期の風物詩である。(高橋正子)

★白鷺を水に映して田の明ける/柳原美知子
明け始めた田は、涼風が吹いて、すがすがしい。白鷺が田水に映るほどであるから、植田の景。身の回りの風景を美しく捉えている。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★豆ごはん幼いときは大家族/祝恵子
季節の空豆やえんどう豆を味付けし炊いたご飯に大家族全員が満足した昔の景も懐かしいに魅せられますね。素敵な景ですね。 (小口泰與)

★青ピーマン色濃く畑にみずみずし/高橋句美子
若く明るい一句。毎日の瑞々しい生活から生まれる一句だと思う。 (吉田晃)

★卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
水と花の白さが清らかで綺麗な句です。 (髙橋句美子)

★鍬を振る近くにヨシキリ聞きながら/古田敬二
★風五月ふうせんかづらの種をまく/川名ますみ
★花ズッキーニ皿に鮮やか今朝晴れて/柳原美知子
★白鷺を水に映して田の明ける/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
★紫陽花の向こうを列車は走り抜け/高橋秀之
梅雨空の下、静かに咲いている紫陽花の色彩の向こうに、列車の動きが一層鮮やかに感じられます。 (柳原美知子)

★豆ごはん幼いときは大家族/祝恵子
★放たれてしばらくは散る稚鮎かな/吉田晃
★青ピーマン色濃く畑にみずみずし/高橋句美子
★風五月ふうせんかづらの種をまく/川名ますみ
★卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
★白鷺を水に映して田の明ける/柳原美知子

【入選/12句】
★そら豆を剥くシューベルトを聞きながら/古田敬二
そろそろ夕餉の支度です。シューベルトのクラシック音楽を聴きながら、そら豆を剥いています。時折コロンとボールに豆の転がる不規則な音と、心地よいクラシック音楽の取り合わせが良い。 (桑本栄太郎)

★支柱遣るトマト静かに香りけり/古田敬二
トマト苗がよく育ち支柱が要るようになった。香りの広がる畑での作業も楽しく、青い実が日々色づくのがうれしいですね。(柳原美知子)

★叱られて散り散りの子の手に黒穂/吉田晃
子供ごごろに麦の黒穂は印象的で、思わず抜き取ってしまいます、今はあまり見かけなくなった懐かしくほほえましい光景ですね。 (柳原美知子)

★荒梅雨や洗濯籠に猫眠る/西村友宏
荒梅雨となり、猫も外にでられなくなり、家でごろごろしています。洗濯籠はひんやりしていて、恰好の寝場所ですね。 (柳原美知子)

★青年のいのちまぶしき栗の花/桑本栄太郎
★山を背に仁王立ちたる雲の峰/小口泰與
★増えてゆく朝の楽しみメダカの子/祝恵子
★せせらぎに波長合わせる蛍かな/西村友宏
★居残りの千本ノック夏の月/西村友宏
★夏あざみ雨ふる中に点々と/高橋句美子
★新緑の夢見ヶ崎の果てに富士/川名ますみ
★紫陽花の濃くなりさうな曇り空/廣田洋一

■選者詠/高橋信之
★五月雨も今日あることの楽しみに
何事も前向きの生き方ですね。五月雨を歩くのも、楽しみの一つとか。 (祝恵子)

★五月雨の中を楽しむ妻と散歩
★塀沿いの散歩に紫陽花いろいろと

■選者詠/高橋正子
★中空に鳥声弾け梅雨入
梅雨の気配を鳥はいちはやく感じるのか、これまでより低い空に鳥の声が弾けるようです。 (柳原美知子)

★笹まんじゅう食べればどこか濡れている
★風が立ち赤がはっきり金魚草

■互選高点句
●最高点(5点)
★.卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
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6月月例ネット句会/清記

2020-06-14 17:07:22 | 日記

■6月月例ネット句会清記■
2020年6月14日
13名(39句)

01.青年のいのちまぶしき栗の花
02.若竹の天を占めたる枝の影
03.きらきらと窓の若葉の入日かな
04.人魂か蛍か闇を遊泳す
05.山を背に仁王立ちたる雲の峰
06.紫陽花や利根の瀬尻の波響(とよ)む
07.支柱遣るトマト静かに香りけり
08.そら豆を剥くシューベルト聞きながら
09.鍬を振る近くにヨシキリ聞きながら
10.豆ごはん幼いときは大家族

11.増えてゆく朝の楽しみメダカの子
12.夏の畑役割終えしポットの列
13.紫陽花の向こうを列車は走り抜け
14.緑濃き六甲山の近くなり
15.夏の海はるか遠くに陽が昇る
16.放たれてしばらくは散る稚鮎かな
17.叱られて散り散りの子の手に黒穂
18.夏蝶の放物線を追って蝶
19.せせらぎに波長合わせる蛍かな
20.荒梅雨や洗濯籠に猫眠る

21.居残りの千本ノック夏の月
22.青ピーマン色濃く畑にみずみずし
23.夏あざみ雨ふる中に点々と
24.紫陽花に雨滴りて褪せる花
25.花も葉も梅花空木の丸きこと
26.風五月ふうせんかづらの種をまく
27.新緑の夢見ヶ崎の果てに富士
28.五月雨の中を楽しむ妻と散歩
29.五月雨も今日あることの楽しみに
30.塀沿いの散歩に紫陽花いろいろと

31.中空に鳥声弾け梅雨入
32.笹まんじゅう食べればどこか濡れている
33.風が立ち赤がはっきり金魚草
34.卯の花の白こぼれ咲く谷の水
35.花ズッキーニ皿に鮮やか今朝晴れて
36.白鷺を水に映して田の明ける
37.紫陽花の濃くなりさうな曇り空
38.富士山を横に見ながら虹二重
39.橋消えて脚だけ残る昼の虹

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
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