■2018年3月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年3月11日
【金賞】
47.青き踏む海へ海へと日の中を/柳原美知子
中7の「海へ海へと」がいい。口語表現がリアルで、意図的でないのがいいのだ。(髙橋信之)
【銀賞/2句】
33.森の道歩くは春日を踏むことに/高橋正子
春が来た作者の快い情感が読み手に伝わってくる。いい抒情だ。(髙橋信之)
38.パンジーで囲み色良し花時計/祝 恵子
読み手を快く喜ばしてくれる。読み手は素直になって、良い句だと思う。(髙橋信之)
【銅賞/3句】
20.大空に向かう木の枝新芽吹く/高橋秀之
一句の冒頭に置いた「大空」がいい。句が大きく、広々とした世界が広がる。(髙橋信之)
09.浅春や鵯訪ね来しミニ菜園/河野啓一
下五に置いた「ミニ菜園」は字余りだが、違和感が全くない。そこに作者の生活がある。(髙橋信之)
28.窓開けて囀りを聞く昼餉かな/廣田洋一
日々変わりのない生活だが、「窓開けて囀りを」聞けば一変する。生き生きとした世界が拡がり、喜びがあり、楽しみがある。(髙橋信之)
【高橋信之特選/9句】
21.畦一面兄への供花やイヌフグリ/古田敬二
誰もが幼少の頃を思い出す。懐かしい句だ。いい句だ。田園風景がありありと眼に浮かんでくる。下五置いた「イヌフグリ」が季題としての働きを充分に果たしている。(髙橋信之)
35.野の草の刈られ春日の大広場/高橋正子
一句の頭に置いた「野の草の刈られ」という作者の思いに、生活感があっていい。続く「春日の大広場」という広々とした風景に作者の内面の大きさを読む。(髙橋信之)
28.窓開けて囀りを聞く昼餉かな/廣田洋一
他愛ない句と思われるが、読み手の耳にも聞こえてくる。リアルな句だ。(髙橋信之)
13.西空の群青深き余寒かな/桑本栄太郎
西の空は太陽が沈む方向になります。その空が群青深きというところに春よりも冬の続きのような余寒の厳しさが感じられます。 (高橋秀之)
47.青き踏む海へ海へと日の中を/柳原美知子
青々とした草を踏みながら、春の日を浴び、海へと歩いていく元気な姿が浮かびます。(祝恵子)
海に向かって大股に歩く。足元には萌え出した小さな緑。心身とも元気が満ちている作者を想像した。 (古田敬二)
24.兄送る畔にあふれて土筆立つ/古田敬二
33.森の道歩くは春日を踏むことに/高橋正子
38.パンジーで囲み色良し花時計/祝 恵子
39.切り口を揃え菜の花地名入り/祝 恵子
【高橋正子特選/10句】
19.梅林を抜けたらそこは大阪城/高橋秀之
私は大阪生まれなので、「大阪」という文字を見つけては、意味もなく喜んでいる。(髙橋信之)
22.棺逝く春の出水の長良川/古田敬二
この度はご愁傷様です。長良川も春の雪解水でごうごうと流れるなか、川沿いを棺が長良川の景をゆっくりと亡き人に見てもらうように行き過ぎて行きます。(小口泰與)
09.浅春や鵯訪ね来しミニ菜園/河野啓一
20.大空に向かう木の枝新芽吹く/高橋秀之
21.畦一面兄への供花やイヌフグリ/古田敬二
25.芋植える旅に行く話など/古田敬二
28.窓開けて囀りを聞く昼餉かな/廣田洋一
44.花芽数多寺への桜大門を/髙橋信之
47.青き踏む海へ海へと日の中を/柳原美知子
51.山焼きの仙石原が真正面/髙橋句美子
【入選/10句】
02.白梅やかって庄屋の蔵と井戸/小口泰與
05.朧夜や金属音のライン鳴る/小口泰與
06.春嵐過ぎて芽生えを待つ大地/河野啓一
07.桃の節句わが娘(こ)も孫を持つ歳に/河野啓一
14.立子忌となれば土筆を探しけり/桑本栄太郎
18.春の夢幼き頃の子らの顔/高橋秀之
27.音立てて一筋落ちる春の水/ 廣田洋一
37.三椏や登る人皆立ちどまる/祝 恵子
48.春の海鴎一列光りこぼる/柳原美知子
55.シャボン玉七色高く高く飛ぶ/髙橋句美子
■選者詠/高橋信之
41.散策の静かな春の午後に居る
42.寺の裏に墓地あり春の静かな暮れ
43.山麓の墓地へ降る日がさんさん
44.花芽数多寺への桜大門を
45.墓地の春天ひろびろとわが頭上
■選者詠/高橋正子
2.目を凝らし一本の土筆すぐ二本/高橋正子
周りの草に紛れてすぐには見つけられない土筆。一本を見つけた時のうれしさ、摘む音も心地よく、すぐに二本目が見つかります。春の野の日差しの中で、童心が蘇ります。 (柳原美知子)
31.掃除の水たっぷり汲むやクロッカス
33.森の道歩くは春日を踏むことに
34.クロッカス白は祈りの手のふくらみ
35.野の草の刈られ春日の大広場
■互選高点句
●最高点(5点)
47.青き踏む海へ海へと日の中を/柳原美知子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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