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「蝉語の夏」と安保法案

2015年07月20日 | 足跡
7月16日、衆議院本会議で与党の賛成多数で可決され、衆院を通過したとマスコミは報道した。15日衆院特別委員会で、与党は安全保障関連法案を強行採決で可決した。この模様を「皆様のNHK」は中継しなかった。ネットでYouTubeはリアルタイムで報道した。締めくくり総括質疑でまともに応えられない総理、あげくに「残念ながら、まだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と認めつつ強行採決に臨み、さらに翌日の16日衆院本会議で野党欠席の中で衆院通過させた。

この状況で詩人小坂太郎氏の「蝉語の夏」を思い出した。「蝉語の夏」は「北の民話」民話伝承館 1998.11月刊に収められている。「蝉語の夏」の初出一覧は、冬の伝説1990.10月叢園148号とある。1998年5月から7月まで朝日新聞日曜版の連載された24編、北の大地から庶民の生きざまを鋭く描く詩編。

前回のブログでスモモの思い出に浸っていて、その延長上にあったのかもしれない。青いスモモと蝉の鳴く季節。7月15日頃からハルゼミとヒグラシが鳴き始めた。「蝉語の夏」が到来した。

蝉語の夏 詩集 北の民話 小坂太郎

蝉語の夏

青い李の実に 掌の塩をつけて
がりっと噛めば 酸っぱい海がふくらんでくる

腹いっぱいに陽の光を吸った
濃い葉群れのおしゃべり
季節が着物だった 少年時代

どこまでも道は走り その行きつく果ては
空につながっていた

日がな蝉語を聴いてたから
蝉語を話すことができた
なきたいときは木に登って
たっぷり蝉語でないた

(オナゴはみんな唖蝉だから、、、、)

黄土の風吹く大陸では
戦争がはじまっていて
蝉の脱殻のように
ぬけ出していったまま
還ってこない
タマシイのことなどをしらずに

7月15日衆院特別委員会「安全保障関連法案」審議から16日の衆院本会議まで皆様のNHKの報道にはあきれてしまった。国会周辺や全国でやむことのない「戦争法案反対」、「9条守れ」の多くの国民の声を無視した。16日は台風11号情報一色、17日は新国立競技場の建設計画を「国民の声に耳を傾けた結果、計画を白紙に戻しゼロベースで見直す」との報道。明らかに安保法案から国民の目をそらせる展開。バカげたとしか言いようのない「新国立競技場」建設計画ゼロベース見直し。混乱の責任は誰も取りそうもない。内閣の支持率の急減の中でとった目くらまし策。

60年安保以来といわれる学生の蜂起、高校生や中学生まで抗議の中で「私は全共闘世代」、「国民の命、国を守る責任は私」等にやけ顔。憲法学者の違憲を無視し「粛々」、「刹那的な世論」等傲慢な政権は極度になった。「新国立競技場」建設計画白紙を宣伝することで「安全保障関連法案」だけではなく、TPP,辺野古基地、原発再開から国民の目をそらそうとした政権の思惑は破綻寸前になってきた。

国会前に集まって反対の意思表示をしている若者、政治に無関心と云われた若者が立ち上がった。将来身に降りかかってくる可能性が大きいからデモに参加している。「刹那的な世論」等といわれたら叛骨のエネルギーが倍増する。傲慢な政権の安保法案を廃案まで追い込まねばならない。

金子兜太氏 2015.07.17 埼玉新聞 引用

金子 兜太(かねこ とうた、1919年(大正8年)9月23日 - )は、埼玉県出身の俳人。加藤楸邨に師事、「寒雷」所属を経て「海程」を創刊、主宰。2015年7月に全国で掲げられた「アベ政治を許さない」のプラカードの文を、澤地久枝氏の依頼を受けて揮毫。このプラカードを全国の若者が掲げて抗議する。95歳と若者とのコラボ。ネット社会では誰でも専用ホームページ登録でコンビニから手にすることが出来る。金子氏は朝日新聞(7.19)に『自分の文字が揺れるデモの光景をテレビで目にし、「反対」の声はじわじわ効いてくるくるはず』と感じているという。
、、、、、、、。

小坂太郎「蝉語の夏」が脳裏を横ぎっていた。前回の「夏の贈り物」の時代とクロスしたのかもしれない。小坂氏の想いとのズレがあるかもしれないが、安保法案審議と全国に燎原の火の如く広まった反対デモのあらしの中で、小坂太郎氏の「蝉語の夏」を引用させてもらった。

「蝉の脱殻のように ぬけ出していったまま 還ってこない」時代を繰り返さないために。

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