近年農地価格が暴落傾向にある。住宅地内の畑、かつての樹園地は伐採され耕作放棄。家庭菜園以外、たばこ、枝豆、アスパラや野菜直売所向けの栽培も限定的で多くの畑地に作物は栽培されていない。
2020春、衝撃的なニュースが入ってきた。近くの集落で十数代続く旧家が集落を離れ、近くの町に引っ越すという。近年若い世代の生活様式が変わり通勤、通学の便利な場所に引っ越すという家が出てきている。山間地の集落の過疎化は至るところで見受けられる。「農地すべてを手放しての離農」を予定したが農地の引き受け手がいない」ということだ。
典型的な挙家離村型。すべて処分ということで集落を覆う山の杉、雑木の伐採等チェンソーのエンジン音が鳴り響いた。田んぼや畑がその後どうなったのかはわからない。
家族農業を主としない農業政策は「規模拡大策」中心。規模拡大農家にも陰りが見えてきた。旧稲川町の大規模経営農家が規模を縮小しているニュースが流れてきたのは2、3年前からだ。規模80haから一気に1/3も減らし、この秋には半分の40ha以下になりまだ縮小傾向という話だ。米の値段が低下し規模拡大農家を直撃している。耕起、田植え、収穫作業の機械以作業以外の管理労働が限界になってきたことが大きな要因と言われている。
規模拡大志向の「S農場」は今から25年ほど前まで大型コンバインをトラックに積み、8月の末頃から約一ケ月新潟県へ稲刈り作業を繰り返していた。当時は効率的な大型機械の活用とされてきた。
昭和50年ごろから規模拡大一辺倒の国の農業政策は、昭和60年代には「農地の流動化促進政策」を推進。当時稲川町で離農農家の農地は急激に発展していた「仏壇業者」等に集積していた。「S農場」は「仏壇業者」の農地の請負耕作で急激に規模が大きくなった。
近年「S農場」も世代交代期になり、さらに米価下落傾向の近年規模拡大のメリットは下がる一方との情報だ。米価急落のこの秋、情報ではさらに縮小し最盛期の半分以下をを目指しているという。
私の住む川連集落(麓、川連、上野)の水田面積は約90ha。この内麓集落は32ha。今年(2021)春、集落の「N」君が「約6反歩の農地」を買ったと噂になった。この土地は30数年前に集落を離れた「K」の田圃25a、「G」の田圃37aの2ヶ所計62a。
この田圃は2ヶ所は約30年数前に「仏壇業者」に渡っていた。当時負債を抱えていた農家は駆け込み寺のごとく、稲川地域で隆盛を誇っていた「仏壇業者」に農地が集まっていた。その面積は一説によると20~30haもあったといわれていた。近年の米価の暴落で農地所有のメリットは無くなっていたので農地転売の始めたのは2、3年前からだ。
今回の取得価格は10a当たり40万円との噂がある。米価安の現況では農地価格の暴落は収まらず一説に10aあたり15~25万との話もある。今回の農地の移動は集落内の土地だったことにある。
この土地は約30数年前、仏壇業者に渡っていた当時の10a価格は150~250万だった。現在の価格は当時の約1/5前後に暴落している。トラクター、田植え機、コンバイン等農機具を完備していても近年の米価安の現状では採算が合わない。まして主要な農機具がなく、作業委託するようだと完全な赤字となる。状況調査で最盛期の1/5~1/10以下まで農地価格が下落している。
ネットに「農地価格ドットコム」があり、農地の売買価格相場を全国平均と都道府県別に分けて紹介している。それによれば、
「湯沢市の水田・畑の取引は平成19年から令和2年まで534件、取引されております。最新のデータは令和2年10~12月分となります。 尚、住宅売却の取引は個人・法人間の取引のだけではなく、不動産業者の査定よる買取、調停・競売等の取引も含まれその為、必ずしも土地の相場に見合った、適正な価格で取引されてるとは限りません。取引の行われた状況・条件などにより、価格が異りますので参考値としてご利用下さい」とある。
その中で、「湯沢市川連町の農地(水田・畑)取引価格、水田・畑の取引は全部で約6件が売却、又は購入されております」との記述があった。
年 | 住 所 | 面 積 | 1反/合 |
2020 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 3.1畝 | 44万円 |
約3.1畝14万円 | 310㎡ | 14万円 | |
2017 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 3.6反 | 35万円 |
約3.6反が130万円 | 3600㎡ | 130万円 | |
2011 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 2.3畝 | 29万円 |
約.3畝が6万円 | 230㎡ | 6万円 | |
2009 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 9.2畝 | 64万円 |
約9.2畝が60万円 | 60万円 | ||
2009 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 5反以上 | |
約5反以上が800万円 | 5000㎡ | 800万円 | |
2008 | 秋田県湯沢市川連町水田・畑 | 8.3畝 | 59万円 |
約8.3畝が50万円 | 830㎡ | 50万円 |
この欄で2009年の水田・畑は5反(5000㎡)以上800万が特筆される。実際の面積は10反(10000㎡)以上との説もある。推定になるが10a価格が80万とも聞こえてきた。比較的面積の少ない土地は田んぼなのか畑地なのかはわからない。
「土地の価格はバブル期以降下がり続け、近年は横ばいから僅かに上昇傾向の地域も見られるところ、農地の売買価格は下がり続けています。 その主な理由は、農地の買い手が少ないことや担い手不足、米を始めとする農産物の価格が下がっていることに起因しますが、買うよりも借りたほうがコスト的には安いことも、売買の需要が増えない原因だと思われます。 この記事では、農地の売買価格相場を全国平均と都道府県別に分けて紹介しており、全国平均の対象は、純農業地域と都市的農業地域にある農用地区域内の農地です。 都道府県別ではもう少し詳細に、区域ごとの売買価格相場を掲載しています。 都市計画法による線引きがされていない市町村の中で、農用地区域内の農地です。 都市から離れた農村部をイメージしましょう」。 (引用)
さらに「日本不動産研究所調査」には次の記述がある。「農地価格の下落に歯止めがかからない。不動産に関する調査などを手掛ける日本不動産研究所によると、2020年3月末現在の10アール当たりの価格は、田が68万9080円で前年比1.8%安、畑が42万4921円で1.2%安。ともに30年近く下がり続けている。担い手不足で農地の買い手が見つからないことが価格下落の背景にあるとみられる」。
「田の価格は1993年から28年連続の下落。ピークだった92年の約119万円から42%も安い。畑の価格も同様に92年から29年続けて下がり、ピークだった87年の約68万円からは38%下がった。どちらも1976年の水準まで下落した」、農地の賃借料も同様に下落傾向で、田は10アール当たり8791円と前年比1.4%安、畑は5014円で同0.8%安だった」。
同研究所が市町村などに田の価格が下落した理由を尋ねたところ、「農業後継者の減少」(21.6%)が最多で、「高齢化」(20.7%)が続いた。畑も同様だった。ここ数年安定していた米価が20年産で下落傾向に転じたことから、同研究所は「農地価格は今後さらに下がる可能性が高い」と見通す。(引用)