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イチヨウランとユウレイソウ

2013年06月30日 | 地域の山野草
秋田県の貴重な絶滅危惧種に指定されている「イチヨウラン」、「オノエラン」、「ギンラン」と「ギンリョウソウ」(銀竜草)別名「ユウレイソウ」の群生にであった。
2013.雄勝野草の会の研修は06.21~22に湯沢市皆瀬~東成瀬村須川湖~宮城県栗駒市のイワカガミ平、世界谷地、文字集落、国道398号線沿いの田代沼を回る一泊2日の日程で開かれた。

今回の主役は「イチヨウラン」だった。

写真は「イチヨウラン」雄勝野草の会副会長鈴木房之助氏撮影

鈴木氏は数年前の毎日新聞秋田版「ふるさと花の彩り」133に、「イチヨウラン」を次のように紹介している。
「これは、深山の林下に生えている野生ランの一種です。葉の根元に葉が一枚だけなので、その特徴をとらえて一葉蘭の名前となりました。当地では生育個所が少なくて、確認されている場所は2カ所だけです」

新聞の写真は過去のものを使用だったが上記の写真は今回のものだ。鈴木先生から頂いて、素晴らしい「イチヨウラン」の写真だったのでブログで紹介。

さらに記事では「花の大きさは4センチぐらいで、上の方開いているがく片と、斜め下の方に下がっている側花弁の5枚が大の字を表すように開いてシュンランの花とよく似ています。花の中央には白色の唇弁と呼ばれる部分が下方に垂れています。唇弁の上部には大きな丸い黒紫色の斑点があるので、唇弁全体は大きな愛くるしい目玉を付けた牛の顔ににていませんか。このイチヨウランは秋田県の絶滅危惧種に指定されている貴重種です」

葉が一枚の山野草はそれほど多くはない
「イチヨウラン」は「シュンラン」に似た花と、葉柄をもつ葉は1枚が地表近くに展開し,やや多肉で長さ3~5cm,幅3~4cmの卵形が特徴。他に一枚葉の蘭に「サイハイラン」があるが「イチヨウラン」の葉とはまるで趣は別だ。「サイハイラン」の葉は長さ15-35cm、幅3-5cmで先端は尖っている。
その他、良く目にするカタクリは発芽1年目の個体は細い糸状の葉を、2年目から7-8年程度までは卵状楕円形の1枚の葉だけで過ごし、鱗茎が大きくなり、2枚目の葉が出てから花をつける。発芽から開花までには7-8年を要する。

今回「雄勝野草の会」の研修後、翌日さらにもう一度「イチヨウラン」観察に出かけた。愛用のニコンで撮影の臨んだがとても鈴木氏の写真には及ばなかった。その足で散策した田代沼、栗駒山賽の河原でギンランとオノエランにも遭遇した。道路端の「ギンラン」も少し弱々しく見えたが、倒木の陰で必死に立ち上がろうとしていた。「オノエラン」は下記の写真の2株と少し離れてもう1株、「イチヨウラン」とは違う複数の白い花は気品があった。

「ギンラン」〈銀蘭〉 ラン科 ギンラン属
生育地 : 山 地 花 期 : 5~6月 準絶滅危惧種  
山地の林下に生える多年草。 草丈:20~40cm
茎は円柱形で直立する。葉にははっきりとした葉脈があり、細長い楕円形。苞白い花が5~10個付く。唇弁の基部は短い距となり、上部で3裂する。花序の基部にある苞は花序より低いのが特徴。 苞や葉は無毛。似たのではササバギンランより小型。苞は花序より高くなる。

「オノエラン」〈尾上蘭〉 ラン科 ハクサンチドリ属
生育地 : 山 地 花 期 : 7~9月 (絶滅危惧種 I B類)
高山帯の岩場や草地に生える日本特産の多年草。草丈:10~15cm
茎の基部には、光沢のある長楕円形の葉が2枚を対生状付く。葉の基部は鞘となって茎を抱く。茎の先端に3~6個の白い花を総状に付ける。 唇弁の基部に「W」の形の黄色い斑紋がある。
山の上に咲くの蘭の意。

 栗駒山 賽の河原 06.23

今回、「イチヨウラン」、「ギンラン」、「オノエラン」と同じ日にであったことは貴重な体験だった。

「ギンリョウソウ」〈銀竜草〉別名「ユウレイソウ」は蘭とは違う。一般的な植物とは異なる。姿から別名の「ユウレイソウ」の方がふさわしい名にも思える。

ギンリョウソウ〈銀竜草〉イチヤクソウ科 ギンリョウソウ属
生育地 : 山 地 花 期 : 5~8月
山地の林内の湿った薄暗いところに生える腐生植。草丈:20cm
全体が白色で葉緑体をもたない。茎は直立した円柱状で、葉はすべて鱗片になり、10~20個互生する。茎の頂部に筒状鐘形の花を1個だけ下向きにつける。萼片は1~3枚で鱗片状。花弁は3~5枚で肉質。果実は卵球形の液果。
和名は釣り鐘型の花と鱗片葉に包まれた姿を竜に見立てたもの。


宮城県栗駒市 世界谷地への散策路(06.22) 写真(携帯)

世界谷地へ向う散策路で「ギンリョウソウ」の群生に遭遇する。「ギンリョウソウ」にはこの時期毎年のように出会う。しかし、世界谷地に向う散策路の「ギンリョウソウ」はすごいとしか表現できない。長さが約1mにすじ条におびただしい数の群生。少し離れた所のものは3~40本の塊。そして、翌日の国道398号線沿いの田代沼から、樹齢800年と言われるている3本杉までの旧小安街道にも無数の「ギンリョウソウ」があった。葉も無く白い鱗片はキノコのようにも見える。これほど多くの群生に出会うと、不思議な感覚にもなる。どこかに「グリム童話」の世界に迷い込んだような錯覚にもなる。集団の「ギンリョウソウ」が、一斉に何かを語りかけるようにも見えた。

「ギンリョウソウ」は周囲の樹木と外菌根を形成して共生するベニタケ属の菌類とモノトロポイド菌根を形成し、そこから栄養を得て生活すると言われる。この大量発生は今年の天候の影響だろうか。

田代沼周辺は先日「ネマガリタケ」のセシウムが110ベクレル/㎏検出された場所だが、まさかそれとは関係はないとは思う、、、が。




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