新河鹿沢通信   

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8月田んぼに咲いた花

2015年08月31日 | 地域の山野草
8月19日「キツネノカミソリ」がやっと咲いた。5年も待った。2日前の17日の田圃の見回りで見つけた。まだつぼみだった。今日19日出向いてみると咲いていた。

「キツネノカミソリ」(狐の剃刀、学名:Lycoris sanguinea)はヒガンバナ科の多年生草本球根植物である。クロンキスト体系ではユリ科。 明るい林床や林縁などに自生する。早春のまだ他の草が生えていないうちに、狭長の葉を球根から直接出して球根を太らせ、多くの草が生い茂る夏頃には一旦葉を落とす。

盆(8月なかば)前後になると花茎を 30〜50cm ほど伸ばし、先端で枝分かれした先にいくつかの花を咲かせる。雌雄同花で花弁は橙色が 6枚。本種には、結実するものと、しないもの(三倍体、2n=32)がある。葉の形、花と葉を別々に出すところ、および有毒植物である点などではヒガンバナと共通するが、花の形、および葉と花を出す時季は異なる」。と解説にある。



この「キツネノカミソリ」は自家の黒森の畑に昔から自生していた。5年ほど前「あきたこまち」の黄金色と、「キツネノカミソリ」の橙色のコラボを想定し畦畔に10株ほど移植していた。春、狭長の葉は出てくるのだが花が咲くことはなかった。「畦畔は水分が多すぎるから咲かない」等指摘を受けてきた。5年にもなると10株植えたのが半分は春先にも芽も出なくなってしまった。この頃は想定した「黄金色と橙色」のコラボはすっかり諦めていた。

8月17日田圃の見回りで「キツネノカミソリ」の花のつぼみを見つけて驚いた。今日出向くと咲いていた。一か所が3本、もう一か所が2本の5本の「キツネノカミソリ」が咲いていた。そのまま居座ってほしいものだと思う。

田植後ほとんど雨がなかった中で「あきたこまち」は順調に育ち、田んぼは日増しにコガネ色に染まってきた。そんな中で8月26日夜半かなり強い雨が降った。田んぼに出かけてみると強い雨と風で一部に傾きかけのところがあったが、今日になって日が照ってくると元に戻りつつあった。日増しに実りが進み、又強い雨があると倒伏が心配される。日照り続きで稲は平年と比べて短いが、中には高温で肥料の効き目が促進され、出穂期から急に伸びた田んぼも見受けられる。



この時期の田んぼの花は見事だ。「ミゾカクシ」別名「アゼムシロ」とも云う。キキョウ科ミゾカクシ属。畦畔を覆うように咲き誇る花弁に特徴がある。花径は1センチほどで唇形花で上二弁と下三弁に分かれている。まだ1mほどの長さの畦だけ、せいぜい高さが10~15㎝だから稲の生育に邪魔にならない。



黄色の花は一瞬タンポポにも見えるが「オグルマ」と云う。ベニシジミが止まっていた。放射状にきれいに並んだ黄色の花を金の小車(牛車)に見たてたのが和名の由来と云う。多年草でわが家の田んぼの二か所にある。



「コウリンタンポポ」(紅輪蒲公英)が一株あった。田んぼでは初めて見つける。ヨーロッパ原産帰化植物で別名「エフデギク」。生態系に影響し、防除対策が必要として北海道ではブルーリストA2に指定されている。どこから迷い込んだのだろうか。近年庭に植えているところもある。田んぼに咲くと目立つ。



次にどうしても名のわからない花に出会った。一輪だけ咲いていた。他の花と違って茎がややつる性。花は一種あやしげな花弁、名は調べてもわからない。後に「雄勝野草の会」の佐々木さんから「アキノノゲシ」ではないかと云われている。



わが家の田んぼの畦畔、距離は合わせて約1200mほど。田んぼの見回りで季節ごと野草の花に出会う。稲刈り前、9月に入るとこれらの花の咲く畦畔の草は刈りとられてしまう。この地域では通常田植え前と稲刈りまで3回の計4回の草刈りが行われる。刈り取られるとそれからまた伸びて、季節を通り越して咲く。

田んぼの区画が整備されてから約40年になる。当時はブルトーザーで耕土が地中深く埋めれ一部瓦礫だらけ、湧水が噴き出す欠陥田だったが年月の経過でたんぼの野草も増えてきている。しかし、この国の政策の大型化では多くの田んぼの野草は花を咲かせることはできなくなった。大型化は省力栽培。畦畔に除草剤散布で常に田圃の畦畔は焼けただれた無残な姿。先日の映画「フード・インク」のミニ版の様相、赤茶けた畦畔や土手に出会うと、かつてのベトナム戦争でアメリカの枯葉作戦を連想してしまう。今の所私の地域では目立たないが今後は増えそうだ。そうなれば田んぼの野草はいずれ絶滅の運命になってしまうのかもしれない。

ドキュメンタリー映画「フード・インク」

2015年08月29日 | 地域
7月22日から友人からのすすめでFacebookに参加している。一年程前から検討していたが今回正式に参入した。すべて独学なので一ケ月経過したがまだ使い方をマスター出来てはいない。交流の幅と広範なニュースに日々出会えるのでたのしみが増えた。増えた分ブログの更新が遅れ気味になっている。
以下はFacebookに書いた記事に書き足したものです。

8月23日(日曜日)秋田市で「食の安全とくらし、TPPを考える県民会議」が主催した映画「フ2ード・インク」の上映会に行ってきた。この映画は2008年のアメリカ映画。2012.5に「食農市民ネット」がロバート・ケナー監督を招聘し記念シンポを開く等各地の反響は大きかった。
ある程度アメリカの食の現状を知っていたつもりだったが、強欲資本主義の現状に映画を観ると衝撃が走る。遺伝子組み替えしたトウモロコシと大豆の生産は、政府の莫大な補助金によって安価な価格で世界市場に出回っている。

さらに、巨大企業が牛耳る大量畜産工場は大量に生産するために、牛や豚や鶏は日本の畜産の現状からは想像できない環境で飼育されている。本来草を食べる牛は大量生産のコーンが主体となり、牛は内臓に負担がかかる。その防止のために抗生物質の投与、結果としてO-157等の大腸菌が生まれ食中毒が蔓延している。

ハンバーガーを食べ息子を大腸菌O-157で亡くした母の「食の安全」を呼びかける運動に邁進している姿が痛々しい。

映画では大量飼育で、身動き出来ずにをただ待つだけの家畜。短期間に太らせるためにホルモン剤を抽入、精肉加工工場では杜撰で不衛生のまま加工され、不当に扱われる移民の工場労働者、厳しい立場にある下請け農家等実態を描き出している。ファーストフードによるアメリカ人の肥満問題と貧困。堤未夏著「ルポ・貧困大国アメリカ」(岩波新書)の世界が映像で紹介されている。

 秋田市明徳館 8.23 

「フード」は食べ物、食品。「インク」とは会社組織の、法人のという意味で「フード・インク」は「食品株式会社」ということになる。アメリカ社会の「工業食品」の現場をこれでもかと描き出す。遺伝子組み換えコーンを開発した大企業「モンサント」に、アメリカ政府は莫大な助成金をつけて大量生産、販売を推進し世界市場の独占に向かっている。その結果輸出先の国内農業は壊滅してゆく。企業による食糧支配が現実のことになる。支配するためにはなんでもする。「農家の種子の自家採取の禁止」等打ち出している。当然「農家直売所」等はできなくなる。

遺伝子組み換え種子を知ったのは昭和50年ころ、当時酪農家は飼料自給のためにサイレージは欠かせなかった。そのころ種苗会社から提供されるコーンはF1種ばかりになっていた。F1一代限りの品種、一時的に収量が増大し「緑の革命」とまで言われたが持続しなかった。作物の増収は多くの肥料が必要、それに農薬の三点セット。その結果土壌汚染、農家の多額の負債、貧富の格差が広がった。これの背景は種苗会社、農薬、肥料会社の支配の下で食糧生産が続けられていることをこの映画「フード・インク」は描いている。

「フード・インク」に出てくる「モンサント」とは、除草剤「ラウンドアップ」を開発した企業。日本では日産化学工業会社が「ラウンドアップ マックスロード」の名前でホームセンターやJAで販売され、かなりの量が除草剤として散布されている。モンサントの支配構造はすでに始まっている。アメリカで栽培されているコーンの85%、大豆の91%は遺伝子組み換えと云われている。フランスのドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べ物」がある。
公式サイトは「http://www.uplink.co.jp/monsanto/」、ヨーロッパ各国のGMO(遺伝子組み換え作物)政策に大きな影響を与えた話題作。「食」は「いのち」なのだ。

TPP加入でその構造引き込まれる。日本の甘利担当大臣はかつて、「TPP断固反対 農業をまもるぞ」と言って政権奪取したのを忘れたかのように今では交渉の推進役を担っている。

TPP加入は「フード・インク」の世界にもろとも直撃する。前のめり感の日本政府はどこに向かうおだろうか。「TPPに反対する人々の運動」の共同代表 山下惣一氏は「当たり前に生きたいムラでもマチでも」に「百姓とTPP 日本の農政はすでにTPPを前提に《きれ目なく》進めているとの発言している。詳細はhttp://antitpp.at.webry.info/201508/article_5.html

映画「フード・インキ」公式サイト、(http://www.cinemacafe.net/official/foodinc/)この映画のあらすじがわかる。多くの人が観てほしい。DVDも販売されている。

「あきたこまち」出穂

2015年08月12日 | 農業
この時期になると「あきたこまち」の出穂の状況を記録してきた。50年来の米つくりの中で今年のような天候は初めてになる。5月の田植の時は好天で気温30度を超える中での田植作業。その後は梅雨になってもほとんど雨はない。連日30度超える状況で「あきたこまち」は出穂した。各地で水不足が心配されてきているが川連は今のところ心配はない。

7月22日からFacebookを始めた。始めたばかりでまだよく仕組みがのみこめていない。初めての人や友人からの紹介等、友達リクエストも多い。対応にとまどっている。Facebook書いた近況、近日のものをここに再録してして置く。

8月6日

今日の「あきたこまち」、あまりにも暑すぎるので田圃に水を入れる。出穂率100%圧倒される黄金の海、この時期が一番うれしい姿。草丈も95㎝程で大きな台風がなければ倒伏などあり得ない。

田圃のついでに雑木林に出向く。「キンミズヒキ」が目当てだ。真夏のこの時期鮮やかな金色のこの野草にひきこまれる。この花の金色がビロードにも見える。稲の出穂とコラボするようにも思える。高温のためかアブの発生は遅れているが約10日ほど遅れでツナギは出て来た。刺されると痛い。軽トラの中と周りには10数匹飛び回る。ツナギにからまれ、慌てた構図とシャターはピンボケの写真。今日の記録のためにそのまま公開。「トチバニンジン」の赤は日増しに濃くなってきている。

キンミズヒキ 坪漆 8月6日
キンミズヒキ(ボケなし)

夜、また昨日のコオロギが来た。調べてみたら「ツツレサセコオロギ」の鳴き声とピッタリ。玄関のわずかな網戸の隙間から入り込み鳴き声が凄い。久しぶりのナイター「楽天対西武戦」。楽天への応援だろうか。デジカメにやっと一枚納まった。

 玄関のツツレサセコオロギ 8月6日

このコロロギのけたたましい鳴き声は、18畳の部屋に鳴り響く。3日間訪ねてきた。外では暦の上で立秋過ぎたら虫の声が一段と大きくなってきた。

8月9日

今朝いつもの田圃の見回りに行ったらアカトンボが帰ってきていた。この地域では一般的に7月に羽化して、夏の間は涼しい山へ移動し平地の温度が30度をきってくる初秋のころ、集団で山から移動してくるといわれている。今年は連日30度を超す暑さなのだが第一陣が生まれた水田に帰ってきていた。

アカトンボというトンボ一般的な呼び名で、「アキアカネ」か「ウスバキトンボ」かもしれない。アカトンボ必ずしもすべてが赤いトンボだけではない。トンボにそれほど詳しくはないが。現実から逃げているわけではないが、稲の穂が出てアカトンボが舞う田圃は落ち着く。

昨年の「あきたこまち」の出穂の時期は台風が迫っていたが、今年は今のところ順調な生育。雨が少なく各地で旱魃の報が聞こえてきているが当地方は今のところ大丈夫なようだ。毎朝田圃を見回りはか返せない。

 傾き出した稲穂にアカトンボ 8月8日

朝露の中でジットしていたが、近づいたら飛び上がった。少し待つとまた戻ったのでデジカメに納まった。8月5日頃出揃ったが早い穂は少し傾いてきた。アカトンボはこの傾いた穂がお気に入りらしい。朝日が出てきたがまだ露が見える。トンボの羽も少し濡れているように見える。この稲穂とアカトンボがお気に入りで今日からノートパソコンの壁紙にした。

 出揃った稲穂 川連町清水屋敷から駒形町方面 8月9日

稲穂の目線から出穂の状況を見ると何か不思議な感覚になる。