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集団のスズメ達

2016年03月23日 | 地域
過去スズメの事を3回ほど記事にした。2013.12.21「野鳥もスズメも消えた庭」、2014.7.29「帰ってきたスズメとサンチェクアリもどき」、2015.1.8「雪の足跡とスズメ」と続いた。

2013年12月は11年、12年と3年続きの豪雪、毎日のように容赦なく降り続く雪の合間に部屋の外の庭木にたった一羽姿を見せたスズメはほとんど見ることはなかった。農業情報研究所06.4.21「ヨーロッパからスズメが消える?人間は何を失いつつあるのだろうか?」の記事を保管していたので2013.12.21「野鳥もスズメも消えた庭」に引用させてもらった。

一部は「イギリスからイエスズメの姿が消えつつあることは早くから知られていたが、フランスの鳥類学者の研究でパリやその他のフランスの都市でもその数が急減していることが分かった。さらに、ドイツ、チェコ、ベルギー、オランダ、イタリア、フィンランドの都市ではもっと急速な減少が見られるという。しかし、原因は分からない。英国のインディペンデント紙が伝えた」。詳細は2013.12.21「野鳥もスズメも消えた庭」。

3月15日FBに
「2年程前、自宅周辺から消えたスズメに違和感を覚え、米の消費拡大?も考慮して餌箱を設置した。朝除雪のために外に出ると集団でスズメが待っている。昨年より倍近くスズメが増えてきた量も多く「あきたこまち」特Bを毎日与えている。小さな餌箱が狭いので順番待ちで交代しながら啄んでいる」。を紹介した。これはその記事に加筆したものだ。

朝除雪の終わりを待っているスズメ

平成14年以降、朝家を出ると餌箱にクズ米を与える習慣になった。毎日続けていると数羽のスズメが近くの電線に止まり待っているようになった。平成16年の冬はいつもより羽数が多くなってきた。多いときのスズメは数えてみたら70羽もいた。餌箱は小さいのでどう見ても一度にクズ米にありつけるのは10~15羽ほどだ。

順番待ち状態

集団で来るのでスズメは順番待ちをする。餌箱の近くの屋根、庇とスズメが並んで順番を待っている。ある種のルールが確立されているようだ。見ていると絶えず餌箱から入れ替わる。



いつも植木囲いの杭の上で一羽、監視役だろうか。スズメの集団は短時間でどこかへ飛び立っていく。数羽が残ってクズ米を漁るなどとはしない。特にこの頃はいつも年より雪消えが進みエサ場が増えたのか間隔が長くなってきた。餌箱に来るのは決まって集団で来る。この冬はスズメの数が増えてきたので以前よりクズ米の与える量は多くなった。一日の量は約500グラムほど。夕方まで数回の集団で来てほとんど食べつくしてしまう。

彼岸の中日(3月20日)、びっくりする光景を目にした。100~150羽程のスズメの集団が賑やかに屋根越しに飛んでいく。それも次々と3集団、さらに1集団は隣家の槻の木にいた。どう見ても総数は5、600羽も通過したことになる。残念なことに素早い通過でカメラに収めることはできなかったが槻の木の集団の一部は撮れた。



スズメが急激に増えたのはどうしてだろう。2013年の冬はほとんど目にすることはなかった。
牛を飼っていた10年ほど前は良くスズメ達は牛舎に来ていた。牛飼いを止め、牛舎を解体したころからスズメを目にしなくなった。そのころ農業情報研究所の記事(06.4.21)「ヨーロッパからスズメが消える?人間は何を失いつつあるのだろうか?」を出会い記事を保存していた。その後の調で日本でのスズメの個体数は1960年代の10分の1、1800万羽と環境省の発表(2010.4)を知る。

これらの記事に出会ってから餌箱設置を試みてきた。この冬いつもの年の数倍になったスズメ。一昨日の5、600羽程の集団飛行は一体何だったろうか。このまま定着するのか今の処わからない。もしかしたらスズメではなく、冬鳥として秋にシベリア方面からきた渡リ鳥の「アトリ」だったかもしれない。良く考えてみれば急に5.600羽も増えることなどはあり得ない。あの日かぎりの一日の出来事、偶然通過した渡り鳥の集団飛行をスズメと間違えたことになる。
結果渡り鳥「アトリ」を知ることになった。

註 2013.12.21「野鳥もスズメも消えた庭」から「英国のインディペンデント紙」の記事全文

「イギリスからイエスズメの姿が消えつつあることは早くから知られていたが、フランスの鳥類学者の研究でパリやその他のフランスの都市でもその数が急減していることが分かった。さらに、ドイツ、チェコ、ベルギー、オランダ、イタリア、フィンランドの都市ではもっと急速な減少が見られるという。しかし、原因は分からない。英国のインディペンデント紙が伝えた。 First they disappeared from Britain. Now Europe's house sparrows have vanished,Independent,4.19
 http://news.independent.co.uk/environment/article358584.ece

イギリスのイエスズメの数はこの15年で90%減ったと信じられている。その理由については、多くの説があるがはっきりしていない。この17年で20万ー多分、10分の1ーのイエスズメが消えたパリの謎は特に深い。ここでは、様々なエキゾチックな鳥が増えているという。

自然史博物館の研究者は、何らかの病気のためなのか、生息地が減ったためなのかなどと答えを探している。 鳥類学者は、他の鳥の数と種の増加が営巣の場所と餌を食べる機会を減らし、また建築規制の強化が巣作りに利用する割れ目を閉じてしまったのではないかと言う。さらに、パリにおける猫が増加しており、その餌食になる鳥が増えている可能性もある、また移動電話からの電波とか、車による汚染のせいではないかと言う人もいる。しかし、それでは何故スズメだけが影響を受け、他の鳥に影響がないのか説明できない。

同様なパターンはヨーロッパ全体でも見られ、ハンブルグでは過去30年に50%のイエスズメが消えた、プラハでは60%も減ったという。
イギリスでは、他の鳥による駆逐、農薬、気候変動、家屋の改善など、原因をめぐる多くの説がある。デュ・モンフォート大学の研究は、昆虫の減少がスズメの飢えにつながっていることを示唆している。この影響はパリやヨーロッパ中で見られるという。

いずれにせよ、人々の住居近くで長年にわたり人間と共存してきたスズメのこのような減少は、我々の住居環境に馴染みのない、あるいは不気味な雰囲気をもたらす。数年前にフランスの山間地を訪れたとき、鳥の姿が滅多に見えず(目立つのは教会広場の鳩ばかり)、その囀りも ほとんど聞こえない(気づいたのは非常に辺鄙な山奥の1ヵ所=コンクにおいてだけだった)のに異様な感じを覚えた。こころなしか、東京郊外のわが家の周辺のスズメも大きく減っているように思われる。大樹の葉陰のスズメの大集団のうるさいほどの大合唱も、近頃聞いたことがない。

フランスの鳥類保護団体会長は、スズメ(moineau)が英国のスズメ(sparrow)と同じ運命を辿るのではないかと恐れている。「すべてのシグナルは赤だ。イエスズメは1万年ものあいだ人間と共生してきた大変に象徴的な鳥だ。アオガラのように魅力的ではないが、生物多様性のために生き残る権利がある」と言う。しかし、スズメの減少が持つ意味はこれだけでは説明できそうにない。人間とスズメの共生にはどんな意味があったのだろうか。原因は分からないが、人間はかけがえのない何かを失いつつあるようだ」 
農業情報研究所06.4.21(引用)