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紅葉の周遊・秋田内陸縦貫鉄道線

2013年11月04日 | 地域
テレビの旅番組を観ていて、急に汽車に乗ってみたくなって県内一周を思い立った。早朝奥羽本線十文字駅で、「大曲から角館へ、内陸線で鷹巣経由で秋田から十文字」まで周遊を相談したら「秋田わくわくパス」を薦められた。周遊距離320kmで3000円プラス大曲、十文字間往復900円計3900円で乗車。



奥羽本線十文字7時05分發で大曲に向かい、田沢湖線で角館へ、秋田内陸縦貫鉄道線で鷹巣行きを目指すことにした。早朝汽車の旅などは牛を飼っていた頃には想像できないことだった。コメどころ秋田の仙北平野は「あきたこまち」の中心だ。
途中の仙北平野は秋霞状態。約100mほどの先が見えない。稲川ではこれだけの朝霧に出会うことはほとんどない。フッと40年ほど前訪問した中国。広州から北京に向かった大陸縦断列車で、こんな風景に遭遇したことが思い出された。


田沢湖線羽後長野付近 霞む朝日 2013.10.29

間もなく角館駅到着。車では何回か来ていたが列車からの下車は初めてだ。朝の角館駅は県外からの観光客が結構多く、秋田内陸縦貫鉄道線で鷹巣行きの列車を一緒に待った。

列車内で配られたチラシ 

午前9時発鷹巣行きは一両車。始発でほぼ満席状態で話声からして8割ほどは県外客と思われた。発車間もなく沿線の各駅紹介のパンフが配られ、見どころを車掌さんが説明。しばらくすると内陸線の名物等の車内販売。北秋田名物の「バター餅」はたちまち売り切れ。列車の旅で各駅停車の車内販売は聞いたこともなかった。この私鉄会社の意気込みが十分伝わってきた。


八津駅近くで「かたくり群生地」の案内 2013.10.29
 

沿線の紅葉は真っ盛り。この風景を目的に乗車したのだろう首都圏からの観光客はしきりに「きれい」を連発し、デジカメを離さない。
秋田内陸縦貫鉄道線のもっとも美しいとされる大又川の橋梁では、風景堪能のため徐行運転の粋な計らい。


大又川橋梁周辺の風景 2013.10.29

阿仁マタギ駅、阿仁前田駅で多くの観光客は下車した。安の滝や太平湖に向かうのだろうか。鷹巣着は11時44分。終点鷹巣駅で下車は10数人になっていた。県内でも古い方に入る駅前アーケード街は他の町同様シャッターで閉まっている店が多く、人通りもほとんどない。駅前の「一代目 麺屋 与六」というラーメン店が見えた。「魚介スープしじみの力」の看板が気になり入った。昼だと云うのに客は誰もいない、独特の細めのラーメンの味は格別だった。しじみの力に忘れられない味の納得ラーメン。ラーメン通に薦めたいと想い店主に話しかけた。私たち二人だけだったが、帰ろうとする時に一人の客が入って来た。

鷹ノ巣駅12時26発、奥羽本線各駅停車で秋田市へ向かった。秋田内陸縦貫鉄道線の鷹巣駅と奥羽本線鷹ノ巣駅は隣で、駅名鷹と巣の間にノが付くのが奥羽本線の駅名を初めて知った。
鷹ノ巣から秋田駅まで所要時間85分、13時51分に秋田駅に到着した。
足早に新しく生まれた秋田県立美術館に向かった。駅から10分ともかからない。目当ては平野政吉コレクション藤田嗣治の大壁画「秋田の行事」だ。縦3.65m、横20.5mの大作の前は多くの人で混雑。「秋田の行事」1937年(昭和12年3月)に完成したという。当時の秋田の行事は生き生きと描かれ、観る人を圧倒した。秋田県立美術館は平日にもかかわらず、2階大壁画前の千秋公園に面したミュージアムラウンジは満席だった。列車で周遊した秋田の旅の最後にふさわしい美術館を後にし、帰途に着いた。


秋田の行事 秋田県立美術館 引用

十文字~大曲~角館~鷹巣~秋田~十文字の周遊。所要時間美術館を含めて10時間30分、列車乗車時間累計6時間40分の一日旅行が終わった。
2日間有効の秋田わくわくパス3000円、3日間有効秋田・津軽由遊パス4600円。東北管内だと3日間有効の周遊パス6000円、期間限定でJR各駅で発売されている。列車の旅は車のドライブでの風景と違う感覚を味わせ、つかの間でも日常の喧騒から解放されるひと時になった。
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