手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

金継ぎ

2009-02-09 13:29:50 | Weblog
 依頼された割れた茶碗。 金で繕いました。


お問い合わせは 會州堂 (かいしゅうどう) まで
     TEL 0857-23-3917 FAX 0857-23-0543
     Mail kbtwings@hal.ne.jp

国産漆の危機

2009-02-09 08:43:24 | Weblog
漆はもともと中央アジアが原産といわれています。しかし、日本の漆は、縄文早期(紀元前9000年)といわれる北海道南茅部町垣ノ島B遺跡から発掘された遺品の中に
赤色漆で塗られた副葬品発見されました。 

現在漆工品が出土した最古の遺跡といわれる中国揚子江流域の河ぼ渡遺跡の7000年前よりはるかに古いものになります。

日本の漆技術は、中国から伝わったといわれていますが、この遺品を見る限りに日本起源説あるいは同時発生説の具体性を帯びてきた(人間国宝室瀬和美氏漆文化より)といわれるようになりました。凄いですね。

 日本の漆は、中国産と比べると香りがあり、中国産は臭うといわれます。香りと臭いの差は何かと言うと、艶と硬さです。漆が硬化した時その硬さは国産のほうが優れているようです。漆芸家は、皆さん日本産はぜんぜん出来上がりが違うと言われます。

その国産漆が、今危機に瀕しているのです。わずか1%しか取れないのです。




佐治漆 その2

2009-02-08 08:40:00 | Weblog
佐治は、佐治川を挟んで南北に山があります。旧佐治役場の裏の山(加瀬木の山と呼んでいる)は、水はけが良く漆が育つには最適なのです。現在は、杉の山になっています。 北側の山は、20世紀梨の梨畑になっています。

どちらかと言うと、南側の山の斜面のほうが、日当たりや水はけの具合が大変良い条件になっています。良質の佐治漆は、加瀬木山で取れました。漆畑のように、植栽されて管理されていた木から採取したというより、自然に生えた木から採取したようです。

掻き子は、余戸(よど佐治川の上流の村)とか尾際(おわせ 余戸より更に上流の村)から来ていたようです。 幕末には300貫目(約1100kg)の漆が取れたと言うのですから、漆の木も相当あったのですね。山全体が、漆の木の山だったのでしょうか。 

それにしても、かつて佐治の暮らしを支えてきた漆の歴史が、今は語られていません。ほんのわずかの人が漆の話をしてくれますが、ほとんどの人がこの歴史を知っていないと言うことに残念さを覚えました。

佐治小学校に5しの歌というのがあります。和紙のし、梨のし、佐治石のし、佐治谷話のし、星のしです。漆のしが欠けています。今は衰退したものでも、きちんと歴史を教えてもらいたいものですね。
 有志が立ち上がって、伝統の復興なんてやって欲しいものですね。








トリプロ

2009-02-07 15:17:01 | Weblog
先月トットリプロダクトが設立されましたが、どのような動きになるのか気になるところでした。 鳥取民芸運動で、鳥取から多くの民芸が全国に発信され、鳥取は
民芸のふるさととまでいわれた時代もありました。 

家具や木地、和紙 陶器・・漆器もありました。吉田璋也は鳥取の漆器にも深い関心を示されたわけです。


漆を塗る、うるし・・・。今は、漆というものが生活の中から消えていくような時代になってしまいました。家具でも器でも、ウレタン、カシュー塗装。見た目はきれいで、安く買うことができます。そういうものに支配されてしまい、本物の日本の伝統の美が訳がわからない具合になってしまったわけです。

 トリプロは、本物を鳥取から全国に発信していこうとしているようです。各種製造のプロの技術を集合して、鳥取から最高の商品を全国に発信したいと言うわけです。私のところは、漆担当であるようですが頑張りたいと思います。





佐治の漆

2009-02-07 11:27:51 | Weblog
鳥取県の東部。前は八頭郡佐治村。人口4000人ほど。佐治川沿いに発展した集落。
地場産業は、20世紀梨栽培と因州和紙の産地。現在、平成の大合併で鳥取市と合併。鳥取市佐治町となる。 

この佐治町は江戸時代から漆の生産の有名な産地でした。幕末ごろには、300貫目(約1100kg)以上生産されました。鳥取藩の貴重な経済資源でした。鳥取藩は、この漆を厳しく統制管理していたようです。


 この漆の生産は、昭和40年前半まで続きました。掻き子といわれる漆掻き職人が
いなければ、漆を採取することはできません。佐治の山は、現在ほとんど杉に覆われていますが、漆掻きの盛んな時代は漆の木がたくさん植わっていたようです。
 
佐治の漆は良質で、全国でも有名だったようです。私は、この佐治漆をいつか復興したいと8年前から一人で啓蒙活動してきました。現在5~6人の方が賛同してくださっています。 

 やっと最近地元の方が、ひそかに漆の木を植栽そして育成していたことがわかりました。今年の夏に採取したいといってました。
 その方は、私のことを新聞などで知っていて一度お話がしたかったといわれました。なんと嬉しい出会いでしょう。だまって見ていた方がいたんですね。(^^)






誕生日

2009-02-05 20:43:29 | Weblog
今日は、?歳の誕生日でした。今日の日は、篤姫の誕生日でもあるんですね。昨年は
篤姫ブームで日本中が沸きましたね。

それはそうと、立春のころに生まれたわけですから、寒さには強いはずです。しかし、この私は寒さに弱いですね。ちょっと寒いとすぐストーブをつけたりします。
我慢すれば良いものを・・・。

 それにしても、振り返ってみればこの年。まだまだ若い気ですが、やっぱり足腰が弱くなってます。これから、へたばらないように心身ともに鍛えなおさなければと思ってます。年増して更に意気盛ん!!

マイスター制度を確立すべき!!伝統工芸の育成保護も大切!

2009-02-01 10:34:12 | Weblog
新しい月を迎えました。どんよりした天気とまだ雪解けで湿った土を見ると、早く「春よ来い」と叫びたくなる気持ちです。

大阪のものづくりの職人達の作ったロケットが、見事に宇宙に飛び立ちました。
テレビで打ち上げの場面を放映してましたが、感極まって泣いていた方々もいましたね。 

日本の技術は、言うまでもなく世界トップの技術です。小さな町工場で働く職人の手仕事が支えている例が多いんですね。 戦艦大和のスクリューは、最後の仕上げは旋盤工が手で磨き上げて完成させたと聞いたことがあります。それから、砲弾も、不発弾を防ぐため、弾薬庫の部分に漆を塗っていたということも聞いたことがあります。NASAのスペースシャトルも、日本の技術無しでは飛ばないわけですね。

日本も、技能資格の試験を取らせて技能士と認定したり、更に卓越した技能の持ち主ならば、「現代の名工」として表彰されています。そういう方は、マイスターという名前だけの資格保持者ではなく、技術士としてリーダーになり、更には技術指導できる者として頑張って欲しいものです。
  
 加工貿易国家日本の将来は、これしかないと思うのですが・。時代の流れに流されて、伝統工芸の育成、保護も忘れてはなりません・・。後で後悔するのは国なのですから・・・。 教育は国家百年の計にあり。


ドイツと日本の比較 マイスター制度とは?
http://www.shou.co.jp/waza/myster.htm