竜崎伸也を主人公とする隠蔽捜査シリーズは、著者の手がけるシリーズ物の中では特に好きな愛読シリーズである。このシリーズ、3.5、5.5、9.5という番号づけが途中に組み込まれているので、タイトルは隠蔽捜査10であるが、このシリーズとしては第13弾の長編小説となる。「小説新潮」(2022年10月号~2023年9月号)に連載された後、2024年1月に単行本が刊行された。
余談であるが、このシリーズには2つの受賞歴がある。2006年に『隠蔽捜査』が吉川英治文学新人賞となる。2017年に「隠蔽捜査」シリーズが吉川英治文庫賞を受賞している。シリーズ物としては定評を得ていることがうかがえる。
さて、竜崎伸也は現在神奈川県警本部に異動し、部長官舎のマンション暮らしで、公用車通勤し、刑事部長の要職についている。原理原則論と論理的思考、現場主義を基盤とする竜崎の信条は微動だにしない。読者としてはそこが実に魅力的なのだ。
このストーリー、小田原署に行方不明届が出されたと、竜崎が阿久津重人参事官から報告を受けるところから始まる。行方不明届はよくあることなので、なぜ阿久津がわざわざ報告するのか竜崎は不審に思う。この行方不明者が大問題となっていく。
最近また大きな文学賞を受賞した小説家の北上輝記が行方不明の当人だった。小説を読まない竜崎はこの時、この作家の名前すら知らなかった。
小田原署の副署長がたまたま届けの記録を見て、署長に報告。それが県警本部に上り竜崎が報告を受けることになった。副署長はこの小説家のファンだった。竜崎はまず箝口令を敷けと指示を出す。その直後、竜崎は本部長から呼び出しを受けた。
佐藤実県警本部長にこの行方不明届が伝えられていた。佐藤本部長は北上輝記の大ファンだった。佐藤は伝手を頼って北上と横浜の中華街で食事を共にしたことがあるという。佐藤は竜崎に特殊班(SIS)を動かそうと思うのだが、と投げかける。捜査においてSISを動かすかどうかは、竜崎刑事部長の専権事項だろうと言う。ここでの会話が楽しい。そこに竜崎のスタンスが即座に出ている。
「そんなことはありません。板橋捜査一課長が(SISの)出動を命じることもできます」
「あ、そうなの?」
「はい」
「でも、捜査一課長にその気がなくても、部長が言えば、誰でも逆らえないよね?」
「考えろというのは、つまり、特別扱いしろということですか?」
「いやあ、強要はできないよ。だから、相談してるんだ。俺、ファンなんだよね」
「北上輝記のですか?」
竜崎は、「相手によって捜査に力を入れたり手を抜いたりという差をつけることはできません。それは、さきほども申しました」と。 (p10)
竜崎の真骨頂が直ちに本部長に対しても出ている。これがスタート地点になるのだから、おもしろい。どこかの高級官僚群のように、忖度などしないのだ。
さてどうなる。
竜崎流が早速発揮される。午後10時半頃に、竜崎は小田原警察署に到着た。捜査本部の準備がされていた。竜崎は副署長と板橋課長の話を聞く。北上が車で連れ去られるところを目撃した者がいると言う。特殊班中隊(SIS)が既に小田原署に来ていると板橋課長が竜崎に告げる。竜崎と板橋課長との会話が一段落した時点で、「今からここは捜査本部だ」と竜崎が承認した。
ここから捜査本部の有り様が面白味を加えることになる。なぜか?
普通、捜査本部が立つと、本部の刑事部長はポイントとなる場面、捜査会議に列席するだけである。竜崎は捜査本部の設置された小田原署に、ほぼ詰めるという行動を取り始める。最前線の現場の状況、情報を己自身で知り、的確な判断と指示をするという信念である。勿論、これは板橋課長並びに小田原署の署長・副署長にとっては、いわば異例の状況に近い。捜査本部がどのように進展するのか。つまり、竜崎がどのような立ち位置で捜査本部に詰めるかが、読者にとっての興味となる。まずは板橋課長と竜崎との間で捜査の進め方についての判断等の関係が重要にならざるを得ない。板橋課長にとって本部運営のやりづらさがまず障害にならないかである。
一つ大きな変動要素が加わってくる。小説家の梅林賢と名乗る男が誘拐捜査にボランティアとして協力できると小田原署に来たのだ。本部が誘拐事件としての公式発表をしていない時点での申し出である。小田原署の内海副署長はこの小説家を知っていた。北上輝記と親交があったはずで、北上と同じくらい有名だと言う。梅林に応対した者は、本人が誘拐されたことは推理すれば誰でもわかる、自分なら捜査の手伝いができると語っていると報告した。
板橋課長は追い返せと言う。竜崎は興味があるので自分が応対すると引き受ける。竜崎の判断理由は明確である。1.現場の仕事に、俺は必要ではない。板橋課長が現場のトップであることを明確にした。2.梅林がどのように誘拐と推理したかを知りたい。また、小説家同士にしかわからないことがあるはずだ。それが捜査のヒントになるかもしれない。
捜査本部とは切り離した小田原署内の部屋にて竜崎が梅林に対応していくことになる。勿論、進行中の捜査情報は一切梅林には語れないという制約、大前提で、竜崎が梅林に応対するというサブ・ストーリーが捜査プロセスのストーリーとパラレルに進行していく。通常の捜査にはありえないこのサブ・ストーリーの進展がおもしろい。そこには小説家の世界を内側から眺めた話も登場するので、読書好きには興味が持てるだろう。竜崎がどのように梅林に対応するかが読ませどころとなる。
誘拐事件捜査という本筋のストーリーと並行していくつかの傍流が組み込まれていくところが、本書の構成として興味深い。3つの流れが上記2つの流れに併存していく。読者にとっては、それらの傍流が本流にどのように絡むのかが楽しみになる。
1. 竜崎の息子の邦彦が、ポーランド留学から帰国してくることになった。竜崎が結果的に、小田原署に赴いた日である。帰国した邦彦は留学経験を踏まえて、東大を退学すると母親に考えを告げたのだ。竜崎は妻から、邦彦の東大退学の意思についての対応と対話の下駄を預けられる。さて、竜崎どうする? が始まる。
2. 八島圭介が新任の警務部長として異動してきた。八島は竜崎の同期である。竜崎は相手にしていないのだが、八島は竜崎をライバル視している。本部長と竜崎の関係を常に注視しているのだ。北上誘拐事件についても、いち早くそれを知ると、竜崎に絡んでくるようになる。いわば竜崎の失点ねらいというところでの関心である。要所要所で竜崎は対応を迫られる立場になる。こういう類いの人物はどこの世界にも居るのではないかと思う。こういう傍流の組み込みは、俗っぽさをリアルに反映させてストーリーに面白さを加える要素となる。
一例だが、八島警務部長は、竜崎と連絡がとれないと、捜査本部の板橋課長に「くれぐれもヘタを打つな」と連絡をいれたのだ。勿論、竜崎は板橋に「警務部長が言ったことなど、気にしなくていい。俺が電話しておく」と即座に応え、対処したのだが。
3. 阿久津参事官が竜崎に警電で、東京の杉並区久我山で発生した殺人事件の概要を報告してくる。竜崎の同期である伊丹刑事部長が扱う事件である。
竜崎が梅林との面談を繰り返し、対話を重ねていると、東京でのこの殺人事件の被害者の名前に聞き覚えがあると梅林が、全く関係がない話なのだがとふと漏らした。
竜崎は伊丹に連絡を入れてみる。伊丹は梅林に直接話を聞けないかと言い出す。伊丹は梅林のファンの一人だった。梅林のふと漏らしたことがどう展開するのか。興味津々とならざるを得ない。
SISのメンバーは北上輝記宅に詰めているが、誘拐犯からは一向に要求事項の連絡が入らない。誘拐については箝口令を敷いた状態で、報道媒体には情報が流れてはいない。SISは誘拐犯の考えがつかめない。そんな最中に、SNSに北上が誘拐に遭ったという書き込みが発生し、拡散された。ここから動きが出始める。
犯人から被害者宅に誘拐を公表しろという電話連絡が入る。普通の誘拐事件とは様相の異なる事態へとさらに一歩踏み出していくことに・・・・・。
誘拐されて72時間を超えると、被害者の生存率が格段に下がるという経験則がある。
読者にとってはおもしろい展開となってくる。
タイトルの「一夜」は、小説家の梅林賢が竜崎の息子邦彦に語る次の一文に出てくる。「人生なんて、一夜もあればすかり変わってしまうこともあるということだ」(p329)に由来する。
最後に、本作に出てくる竜崎の信条や観察による思考に現れるフレーズをご紹介しておこう。竜崎のキャラクターをイメージしやすくなるのに役立つだろう。
*捜査情報を漏らしたら、俺はクビになる。 p12
*キャリア同士は親しくなる必要などないのだ。どうせ、みんな二年ほどで異動になるのだ。 p13
*東大には再興の教授陣と研究機関がある。教育機関としてこれ以上の環境はない。
豊かな文脈もある。 p49
*大学は職業専門学校じゃないんだ。 p82
*本部長が心配したからといって、捜査が進むわけじゃない。 p89
*約束すると、嘘をつくことになりかねません。 p112
*事件に派手も地味もない。 p127
*追い詰められたら、人間はリスクのことなど忘れて犯罪に走ることがあります。p130
*捜査情報を守ろうとするあまり、亀のように甲羅の中に閉じ籠もってはいけない。p131
*「理屈が通っている」などとわざわざ考えるときはたいてい理屈が通っていないのだ。p152
*強くなければ謙虚にはなれない。 p159
*間違ってはいけないのはネットやSNSが悪いわけじゃない。悪いのはそれを利用する犯罪者だ。 p189
*そもそも俺は、自分が警察官であることを前提で物事を考えている。だから、他の職業のことなど、考えたこともない。 p244
*自分の人生に、そういうものは必要だろうか。
そして、必要ではないという結論に至った。
読みたければ読めばいいし、観たければ観ればいい。それだけのことだ。 p335
ご一読ありがとうございます。
こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『遠火 警視庁強行犯係・樋口顕』 幻冬舎
『天を測る』 講談社
『署長シンドローム』 講談社
『白夜街道』 文春文庫
『トランパー 横浜みなとみらい署暴対係』 徳間書店
『審議官 隠蔽捜査9.5』 新潮社
『マル暴 ディーヴァ』 実業之日本社
『秋麗 東京湾臨海署安積班』 角川春樹事務所
『探花 隠蔽捜査9』 新潮社
「遊心逍遙記」に掲載した<今野敏>作品の読後印象記一覧 最終版
2022年12月現在 97冊
余談であるが、このシリーズには2つの受賞歴がある。2006年に『隠蔽捜査』が吉川英治文学新人賞となる。2017年に「隠蔽捜査」シリーズが吉川英治文庫賞を受賞している。シリーズ物としては定評を得ていることがうかがえる。
さて、竜崎伸也は現在神奈川県警本部に異動し、部長官舎のマンション暮らしで、公用車通勤し、刑事部長の要職についている。原理原則論と論理的思考、現場主義を基盤とする竜崎の信条は微動だにしない。読者としてはそこが実に魅力的なのだ。
このストーリー、小田原署に行方不明届が出されたと、竜崎が阿久津重人参事官から報告を受けるところから始まる。行方不明届はよくあることなので、なぜ阿久津がわざわざ報告するのか竜崎は不審に思う。この行方不明者が大問題となっていく。
最近また大きな文学賞を受賞した小説家の北上輝記が行方不明の当人だった。小説を読まない竜崎はこの時、この作家の名前すら知らなかった。
小田原署の副署長がたまたま届けの記録を見て、署長に報告。それが県警本部に上り竜崎が報告を受けることになった。副署長はこの小説家のファンだった。竜崎はまず箝口令を敷けと指示を出す。その直後、竜崎は本部長から呼び出しを受けた。
佐藤実県警本部長にこの行方不明届が伝えられていた。佐藤本部長は北上輝記の大ファンだった。佐藤は伝手を頼って北上と横浜の中華街で食事を共にしたことがあるという。佐藤は竜崎に特殊班(SIS)を動かそうと思うのだが、と投げかける。捜査においてSISを動かすかどうかは、竜崎刑事部長の専権事項だろうと言う。ここでの会話が楽しい。そこに竜崎のスタンスが即座に出ている。
「そんなことはありません。板橋捜査一課長が(SISの)出動を命じることもできます」
「あ、そうなの?」
「はい」
「でも、捜査一課長にその気がなくても、部長が言えば、誰でも逆らえないよね?」
「考えろというのは、つまり、特別扱いしろということですか?」
「いやあ、強要はできないよ。だから、相談してるんだ。俺、ファンなんだよね」
「北上輝記のですか?」
竜崎は、「相手によって捜査に力を入れたり手を抜いたりという差をつけることはできません。それは、さきほども申しました」と。 (p10)
竜崎の真骨頂が直ちに本部長に対しても出ている。これがスタート地点になるのだから、おもしろい。どこかの高級官僚群のように、忖度などしないのだ。
さてどうなる。
竜崎流が早速発揮される。午後10時半頃に、竜崎は小田原警察署に到着た。捜査本部の準備がされていた。竜崎は副署長と板橋課長の話を聞く。北上が車で連れ去られるところを目撃した者がいると言う。特殊班中隊(SIS)が既に小田原署に来ていると板橋課長が竜崎に告げる。竜崎と板橋課長との会話が一段落した時点で、「今からここは捜査本部だ」と竜崎が承認した。
ここから捜査本部の有り様が面白味を加えることになる。なぜか?
普通、捜査本部が立つと、本部の刑事部長はポイントとなる場面、捜査会議に列席するだけである。竜崎は捜査本部の設置された小田原署に、ほぼ詰めるという行動を取り始める。最前線の現場の状況、情報を己自身で知り、的確な判断と指示をするという信念である。勿論、これは板橋課長並びに小田原署の署長・副署長にとっては、いわば異例の状況に近い。捜査本部がどのように進展するのか。つまり、竜崎がどのような立ち位置で捜査本部に詰めるかが、読者にとっての興味となる。まずは板橋課長と竜崎との間で捜査の進め方についての判断等の関係が重要にならざるを得ない。板橋課長にとって本部運営のやりづらさがまず障害にならないかである。
一つ大きな変動要素が加わってくる。小説家の梅林賢と名乗る男が誘拐捜査にボランティアとして協力できると小田原署に来たのだ。本部が誘拐事件としての公式発表をしていない時点での申し出である。小田原署の内海副署長はこの小説家を知っていた。北上輝記と親交があったはずで、北上と同じくらい有名だと言う。梅林に応対した者は、本人が誘拐されたことは推理すれば誰でもわかる、自分なら捜査の手伝いができると語っていると報告した。
板橋課長は追い返せと言う。竜崎は興味があるので自分が応対すると引き受ける。竜崎の判断理由は明確である。1.現場の仕事に、俺は必要ではない。板橋課長が現場のトップであることを明確にした。2.梅林がどのように誘拐と推理したかを知りたい。また、小説家同士にしかわからないことがあるはずだ。それが捜査のヒントになるかもしれない。
捜査本部とは切り離した小田原署内の部屋にて竜崎が梅林に対応していくことになる。勿論、進行中の捜査情報は一切梅林には語れないという制約、大前提で、竜崎が梅林に応対するというサブ・ストーリーが捜査プロセスのストーリーとパラレルに進行していく。通常の捜査にはありえないこのサブ・ストーリーの進展がおもしろい。そこには小説家の世界を内側から眺めた話も登場するので、読書好きには興味が持てるだろう。竜崎がどのように梅林に対応するかが読ませどころとなる。
誘拐事件捜査という本筋のストーリーと並行していくつかの傍流が組み込まれていくところが、本書の構成として興味深い。3つの流れが上記2つの流れに併存していく。読者にとっては、それらの傍流が本流にどのように絡むのかが楽しみになる。
1. 竜崎の息子の邦彦が、ポーランド留学から帰国してくることになった。竜崎が結果的に、小田原署に赴いた日である。帰国した邦彦は留学経験を踏まえて、東大を退学すると母親に考えを告げたのだ。竜崎は妻から、邦彦の東大退学の意思についての対応と対話の下駄を預けられる。さて、竜崎どうする? が始まる。
2. 八島圭介が新任の警務部長として異動してきた。八島は竜崎の同期である。竜崎は相手にしていないのだが、八島は竜崎をライバル視している。本部長と竜崎の関係を常に注視しているのだ。北上誘拐事件についても、いち早くそれを知ると、竜崎に絡んでくるようになる。いわば竜崎の失点ねらいというところでの関心である。要所要所で竜崎は対応を迫られる立場になる。こういう類いの人物はどこの世界にも居るのではないかと思う。こういう傍流の組み込みは、俗っぽさをリアルに反映させてストーリーに面白さを加える要素となる。
一例だが、八島警務部長は、竜崎と連絡がとれないと、捜査本部の板橋課長に「くれぐれもヘタを打つな」と連絡をいれたのだ。勿論、竜崎は板橋に「警務部長が言ったことなど、気にしなくていい。俺が電話しておく」と即座に応え、対処したのだが。
3. 阿久津参事官が竜崎に警電で、東京の杉並区久我山で発生した殺人事件の概要を報告してくる。竜崎の同期である伊丹刑事部長が扱う事件である。
竜崎が梅林との面談を繰り返し、対話を重ねていると、東京でのこの殺人事件の被害者の名前に聞き覚えがあると梅林が、全く関係がない話なのだがとふと漏らした。
竜崎は伊丹に連絡を入れてみる。伊丹は梅林に直接話を聞けないかと言い出す。伊丹は梅林のファンの一人だった。梅林のふと漏らしたことがどう展開するのか。興味津々とならざるを得ない。
SISのメンバーは北上輝記宅に詰めているが、誘拐犯からは一向に要求事項の連絡が入らない。誘拐については箝口令を敷いた状態で、報道媒体には情報が流れてはいない。SISは誘拐犯の考えがつかめない。そんな最中に、SNSに北上が誘拐に遭ったという書き込みが発生し、拡散された。ここから動きが出始める。
犯人から被害者宅に誘拐を公表しろという電話連絡が入る。普通の誘拐事件とは様相の異なる事態へとさらに一歩踏み出していくことに・・・・・。
誘拐されて72時間を超えると、被害者の生存率が格段に下がるという経験則がある。
読者にとってはおもしろい展開となってくる。
タイトルの「一夜」は、小説家の梅林賢が竜崎の息子邦彦に語る次の一文に出てくる。「人生なんて、一夜もあればすかり変わってしまうこともあるということだ」(p329)に由来する。
最後に、本作に出てくる竜崎の信条や観察による思考に現れるフレーズをご紹介しておこう。竜崎のキャラクターをイメージしやすくなるのに役立つだろう。
*捜査情報を漏らしたら、俺はクビになる。 p12
*キャリア同士は親しくなる必要などないのだ。どうせ、みんな二年ほどで異動になるのだ。 p13
*東大には再興の教授陣と研究機関がある。教育機関としてこれ以上の環境はない。
豊かな文脈もある。 p49
*大学は職業専門学校じゃないんだ。 p82
*本部長が心配したからといって、捜査が進むわけじゃない。 p89
*約束すると、嘘をつくことになりかねません。 p112
*事件に派手も地味もない。 p127
*追い詰められたら、人間はリスクのことなど忘れて犯罪に走ることがあります。p130
*捜査情報を守ろうとするあまり、亀のように甲羅の中に閉じ籠もってはいけない。p131
*「理屈が通っている」などとわざわざ考えるときはたいてい理屈が通っていないのだ。p152
*強くなければ謙虚にはなれない。 p159
*間違ってはいけないのはネットやSNSが悪いわけじゃない。悪いのはそれを利用する犯罪者だ。 p189
*そもそも俺は、自分が警察官であることを前提で物事を考えている。だから、他の職業のことなど、考えたこともない。 p244
*自分の人生に、そういうものは必要だろうか。
そして、必要ではないという結論に至った。
読みたければ読めばいいし、観たければ観ればいい。それだけのことだ。 p335
ご一読ありがとうございます。
こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『遠火 警視庁強行犯係・樋口顕』 幻冬舎
『天を測る』 講談社
『署長シンドローム』 講談社
『白夜街道』 文春文庫
『トランパー 横浜みなとみらい署暴対係』 徳間書店
『審議官 隠蔽捜査9.5』 新潮社
『マル暴 ディーヴァ』 実業之日本社
『秋麗 東京湾臨海署安積班』 角川春樹事務所
『探花 隠蔽捜査9』 新潮社
「遊心逍遙記」に掲載した<今野敏>作品の読後印象記一覧 最終版
2022年12月現在 97冊