かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

ビタミンDの摂取基準

2012年02月25日 | RD(アメリカの管理栄養士)

今ビタミンとミネラルのクラスの試験勉強中です。

今回の試験範囲はビタミンA、D、リン、カルシウムの4種。

代謝から摂取基準、病気や病気の予防まで幅広く学びます。

そこでびっくりしたのが、ビタミンDの摂取基準の日本とアメリカの違い!

アメリカ(世界も含む)ではここ数年栄養の世界ではビタミンDの話題で持ちきりです。

というのも、これまでの必要量と考えられてきたビタミンDの量が低すぎたということが

わかったからです。

また、ビタミンDはカルシウムが骨に沈着するのを助ける働きが主なものと

考えられてきましたが、近年の研究で

自己免疫疾患(一型糖尿病やリウマチ)、癌などに深くかかわっているということが

わかってきたんです。

これまで欧米では日光に当たると皮膚癌になりやすいということで

日光を避ける傾向がありましたが、現在では一日15分程度日光に当たるのが推奨されています。

それというのも日光に当たることでビタミンDが皮膚で作られるからです。

また日光にあたったビタミンDは摂りすぎになるということがなく

過剰に作られたビタミンDは体内で壊されていきます。

そのため摂りすぎを心配する必要がないんです。

 

さて、ビタミンDの摂取基準、日本とアメリカではどう違うのでしょうか。

単位をIUで統一して比べてみます。

            アメリカ     日本

成人男女摂取基準    600IU   220IU

成人男女上限摂取量  4000IU   2000IU

そう、日本の方がずっと基準が低いんです!アメリカではこの基準も低すぎるということで

基準量を増やす検討がなされているところなんですが、日本の基準は低い。

日本以外の国ではビタミンDの研究がたくさんなされているんですが、

日本はどうなんでしょう。

私は最近の研究結果を読んでいる限りでは

日本でも基準値を早急に上げる必要があると感じています。

特に日本の女性はSPFの高い日焼け止めをばっちり塗っているので

日に当たることで皮膚で合成されるビタミンDは

ほとんどないと考えていいのではないかと思っています。

ビタミンの歴史を読むと世界各国でビタミンD欠乏によるくる病が問題になっていたころは

日本はビタミンD欠乏のない国として紹介されているぐらいなんですが、

現代の日本人の生活と食事を見ているとどう考えてもビタミンDが足りているとは思えない。

日本でもビタミンDに対する意識が上がってくれるといいんですが・・・。

ちなみに昔日本でビタミンDが少なかったのは、

緯度がそれほど高くなく、十分な日光が得られる、

比較的外を歩く生活(日光に当たる機会が多い)

食品からのビタミンDの摂取が多い(天日干しのしいたけや魚類)

などが原因だと思われます。

でも現代では食事が欧米化しているので干しシイタケの消費もあまり期待できないし

なんといっても干しシイタケは天日乾燥されて初めてビタミンDの含有量が上がるので

大量生産温度を上げての室内乾燥ではビタミンD豊富な干しシイタケは生まれないんです。

また、魚も昔ほど食べなくなってきたと思います。

アメリカでは今、多くの食品にビタミンDが添加されています(牛乳やシリアルなど)

そのうえ、多くの人がビタミンDサプリメントとして摂っています。

日本でも問題意識が上がってビタミンDの重要性がしっかり普及するといいなと

思っています


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
元気がでてきました!(就寝前ですが) (はっじ)
2012-03-01 23:55:45
世界ではいろいろと研究が進んでいるのですね!!常にアンテナを張っていたいと思っても未知のことだらけ、勉強になりました~!そして勉強する気になりました★今日から3月、気合いを入れなければとおもいます。

かちこさんのブログを読んで…

日本とアメリカでの栄養摂取基準の違い=摂取量の違いに反映されているのでしょうか?国民の健康に対する意識にもよるかもしれませんが、気になるところです。英語力も未熟ですが、国民調査を明日調べてみなきゃ。もしそこで反映されているのなら、骨粗鬆症の罹患率の差なども気になります。とっくに研究者の方々がお調べかもしれませんが、興味深いです!

ポジティブシンキングでいるために、お恥ずかしいですが、毎朝占いでラッキーアイテムのようなものをチェックしています(笑)今日は情報収集がラッキーを呼ぶとのことで、ブロクを、読んで「これだ!!」と、ひとりポジティブな気分です♪ウフフ

くだらないことばかり書いてしまいました。明日はひなまつり会を兼ねた3月のお誕生児の誕生会食、気合い入れておいしいチラシ寿司作ってきますね★

為になる記事ありがとうございました(^_^)
返信する
はっじさんへ (かちこ)
2012-03-06 14:49:41
日本の状況を教えていただけたらうれしいです。ネットで調べた限りでは2010年の時点では従来の基準のままで改訂はされていないように見受けられましたが・・・。
今栄養の世界ではビタミンDの研究が非常に注目をあびています。
アメリカの摂取基準が改訂されたのも2010年です。なので日本の基準も今検討中かもしれませんね。
日本人のビタミンDの食事からの摂取量は決して多いとは言えないと思います。それに加えて日焼け止めを一年中ばっちり塗る人がほとんどなので日に当たることによる皮膚でのビタミンD生成もあまり期待できないのではないかと思います。

もし日本の情報があれば教えてください。
返信する

コメントを投稿