今回はノンパラメトリックでのFriedman's test 後における Post-Hoc test についてNemenyi's test と Dunn's test を検証してみたいと思います。
最近の統計分析は商用統計ソフトに依存する割合が非常に多いのですが、Nemenyi とDunn の結果が自動的に出力されるソフトは少ないようです。そこで、
「Journal of Machine Learning Research」(2006 , Prof. Janez Demsar )の内容に従って筆算してみました。
筆算は「http://kstat.sakura..ne.jp/medical/med_022.htm」の「例題29」の気管支喘息患者の病態別 IgE 値を用いることにしましょう(やさしい医学統計手法参照)。
IgE データの順位と順位の平均は次の様になっています。
アトピー型 [ 3,3,2,2,3,3 ](平均順位=2.667)、
混合型 [ 2,2,3,3,2,1.5](平均順位=2.250)、
感染型 [ 1,1,1,1,1,1.5](平均順位=1.083)
なお、「1.5」は同順位の平均です。ここで、
同順位の補正なしでの Friedman satasticは Chi-sq=8.0897(p-value=0.01751)、
別報の筆算では「8.0833(p-value=0.01757)」となりました(計算の仕方で僅かに異なります)。
同順位の補正ありでの Friedman satasticは Chi-sq=8.4348(p-value=0.01474)で共に有意ですので、Nemenyi と Dann の検定を行うことになります。まず、
「Prof. Janez Demsar 」の手順に従うと、Nemenyi's test は次のようになります。
ここで、k=3、N=6 ですので、α=0.05 の Critical values=2.343 を当てはめて計算しますと、CD=1.3527 となり、
(アトピー型 IgEの順位の平均)-(混合型 IgEの順位の平均)=0.417
(アトピー型 IgEの順位の平均)-(感染型 IgEの順位の平均)=1.584
ですので、、
(アトピー型-感染型)=1.584>CD=1.3527
から、
Freidman の有意差は「アトピー型と感染型」のIgE値であると言えます。同様に、
Dann's test は、α=0.05 の Critical values=2.241 から、
(アトピー型-感染型)=1.584>CD=1.2938
となり、有意と判断されます。
詳しくは、
http://jmlr.csail.mit.edu/papers/volume7/demsar06a/demsar06a.pdf
を参照して下さい。
次回は、Dunnett's test 、 Bonferroni-Dunn、について検証してみたいと思います。