京都市美術館で開かれている「竹内栖鳳展」を見てきました。凄いですね。
極限を超えた筆捌き、という表現がまさに現実として迫り来るものがありました。
「近代日本画の巨人」という副題が付いていました。幕末から昭和まで生きた画家です。
パリ万博に赴き西洋美術の影響を大きく受け、その後は旧来の日本画のスタイルに西洋画の要素を取り入れ日本画の近代化に大きく影響を与えた人らしいです。
20~30代の頃の迫力が40代、50代になると線が単純になり同時に色鮮やかにもなってきているようでした。 更に60代になると人物画なども増え、作品によっては酒だつな雰囲気も醸し出していました。
動物や自然をテーマにした作品が多く中でも日本で最も有名な猫、重要文化財「班猫」(※今回は展示されず後期展でお披露目されるとのこと)は余りに有名です。
獅子(ライオン・・・)や虎は従来の日本画の写意的(対象の内面を表現する為、敢えてディフォルメして描かく手法のことらしい)な表現とは異なり写実的で現実的です。 その分ふすま絵などに描かれたものはあまりのリアルな迫力で他を圧倒しているように見えました。他にも象から犬、猫、猿、狐、狸、兎や家禽類に至るまでその構図があまりに見事でつい見入ってしまいます。
僕は特に「枯野狐」という作品に心惹かれました。その狐の表情にです。
もちろん「金獅子」の迫力にも圧倒されましたが、また「飼われた猿と兎」という作品の前に立った瞬間、あの動物やその周囲特有の臭いのようなものまで一瞬ですがはっきり感じました。錯覚・・とは判っていますが・・・。
晩年の人物画で「日稼」という作品があります。東本願寺の庫裏でくつろぐ少女の一瞬の表情を捉えたものです。これも引き込まれるものがありましたね・・僕的には・・・。
等々、とにかく素晴らしい展覧会でした。すぐ横で「下絵を読み解く。竹内栖鳳の下絵と素描」という展覧会も併設されていて、そこも見て回りました、あの素晴らしい作品の数々の元になった下絵や素描達です。 作家の苦労というかその果てしない研究心には何とも圧倒されましたね。天才といえども、と云うか天才故の苦労のようなものですね。
と云うことでとても有意義で豊穣な時間を過ごすことが出来ました。
京都は前日まで台風の影響で生憎の雨でしたが、その日は雨は上がったもののまだどんよりした曇り空でした。
会場の片隅で一休みしていたら上の天窓が急に明るくなり、やっと雲が切れ出したんだなぁと何となく明るい気分になり、またしばらく作品を見て歩き楽しみました。
表に出たら綺麗な青空も少し垣間見え、駐輪場の桜の葉もすっかり色づき、爽やかな秋の気配が回りに漂っていました。
いい時間でした。
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