日曜日の中日新聞に土日行われる「美濃国山城トレイル」の記事が載っていた。揖斐川町の小島公民館を出発し、翌日は坂祝のJR坂祝駅まで、山城や山頂を繋いで走るとあった。揖斐川町は、城台山や城ヶ峰を走っていく。知り合いの女性が牛洞峠でエイドステーションのボランティアをすると聞いている。おじさんには歩くだけでも大変なのにそこを走っていくというのだ。とても若くないとできないスポーツだと感じる次第。
3月5日中日新聞西濃版
日曜日おじさんも頑張って城ヶ峰まで登る 家から50分(結構速い) 揖斐川山岳会の3人、軽装の2人、犬連れた女性、少し年配者
珍しく沢山の人に会った
さて、今日の話題は少子化で、今政府は「異次元の少子化対策」と称する施策を行うようである。しかし、少子化対策なるものは既に2000年以前からエンゼルプランを端緒として行われてきたが、残念ながら一向に効果は現れていない。それどころか、コロナのせいもあるのかよく分からないが、出生者は80万人を切り、想定より11年早い少子化だそうである。日本の育児休業制度は今や北欧諸国をもしのぐ期間であったり、手当であったりする。保育所の整備も進みつつある。制度的にはアメリカをはるかに上回る(産前産後、育児休業も有給な制度としては存在しない。支援するかどうかは全て企業次第ということになる)育児支援策があるのに、出生率ではアメリカにはるかに及ばない。普通であれば、ここで日本はどこに問題があって、少子化が進んでいるのかを考える必要があるはずである。中身を精査せずに少子化予算倍増(国防予算と同じ)するだけでは今までどおり失敗を繰り返すことになる。
日本におけるジェンダー平等度は先進国はいうまでもなく世界の国々の中でかなり低い。
◯女性の給与は男性の60~70%
◯女性の国会議員、地方議員、企業の管理職の割合が絶望的なくらい低い
◯男性は主たる稼ぎ手、女性は育児、家事、介護等無償労働の担い手であるべきという社会規範が強い
このジェンダー平等度が低いことが、出生率が低いことと関連している。東京医科大学などで入試で男性を優遇していることが明らかになった。女性の医師は長時間労働できないというのがその理由であった。しかし、この働き方自体がおかしいと考えるべきなのではないか。
少子化の理由として、若者の未婚化、低所得化がよくあげられる。所得が低くて、未来に対する経済的不安があれば結婚や子どもを持ちたいという希望すら持てないだろう。日本の経済は停滞しており、賃金水準は今や韓国にも抜かれてしまった。これを解決するためには、経済成長がプラスになるようにしなければいけないが、これも多くを期待することはできない。ではどうすれば良いのだろうか。メアリー・ブリントン著「縛られる日本人ー人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか」(中公新書2022年)、この本こそ国会議員に是非読んでもらいたい本である。ただし、筒井淳也著「仕事と家族ー日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか」(中公新書、2015年)で指摘されたこととかなり一致する。
◯男性の長時間労働に問題がある
二人の著者は、日本人の男性の働き方に大いに問題があると言う。日本では就職しても、その仕事内容は事前にきちんと決められていない。欧米ではジョブ型(仕事の内容が書類で明確化されている)というのに対し、日本はメンバーシップ型と言われている。これだと自分の仕事が終わっても、周りの仕事が終わっていない場合、退社できない(つきあい残業などとも言われる)。上司から仕事を命令されれば拒むことは難しくなるので帰れなくなる。こうして日本の働く人たちは長時間労働となる。男性が主たる稼ぎ手モデルであり、家事、育児分担をすることは想定されていない(事実上できない)。しかし、長時間働いているにもかかわらず、日本の労働生産性は極めて低い。働き方改革、残業時間の規制などにより、職場外すなわち家での労働は増えているとも言われている。
◯女性(特に育児中の女性)は無償労働(家事、育児)が多く、働く時間を制限してもトータルの時間は男性と同じ
人口減少なかでも生産人口の減は進むばかりで、女性が男性同様に働いて欲しいというので「女性活躍社会」を掲げている。しかし、これは女性を男性に近づける方向で進んでしまう怖れが大いにある。これでは子どもを持つことに躊躇せざるをえなくなる。また、男性は遠方への転勤があり、小さな子どもがいること、妻が働いていることを理由にこれを拒否することはできない。事実上シングルマザーということになり、全ての無償労働が妻の負担となる。意欲のある女性でも育児のため働く時間を制限する必要があり、フルタイムで働きたいと思ってもできない。これを放置して、医学部の入試で女性を差別するのはフェアではないと考えなければならない。
◯アメリカでは育児を支援する制度が整っていないにもかかわらず、出生率(1.71、日本1.30)が高い
著者(ブリントン)は日本とアメリカの家族概念の違いを言う。日本では男女のカップルと少なくとも一人の子どもであるのに対し、アメリカではそれらに加えて夫婦の友人、親戚、近所の人なども含めたネットワークの中に夫婦がいるという捉え方をしている。これらの人々が結婚して子どもを持つことを後押しする。また、アメリカはジェンダーによる役割分担の考え方が日本より弱い。カップルは共働き・共育てモデルを柔軟に実践しやすい。労働市場の流動性が高く、教育レベルの高い層では、家庭生活とのバランスのとれた働き方を雇用主と交渉しやすい。日本では育児について一人で悩むことが多い。結果自国で子育てをしやすいと思う人が子育てをしにくいと思う人の割合を大きく上回る(アメリカのデータはないが、スウェーデン97.1%、フランス82%、ドイツ77%、日本38.3%)。ベビーカーで混雑した電車に乗ることに勇気がいったり、幼稚園の子どもの声がやかましいという子どもに非寛容な日本であり続ける限り、子育てしやすいあるいは子育てを楽しむことは難しくなる。
◯男性の家事分担割合が日本は極端に低い
アメリカの家事分担割合40%弱、北欧40%以上、日本15%。長時間労働している日本の男性はその気持ちがあっても分担できない。日本の女性は男性の5倍もの無償労働をしなければならない(アメリカでは1.4倍、北欧男女でほぼ同じ)
◯日本の男性の育児休業取得率は低い(12.7%)し、かつ期間も短い
法律上、日本の男性は、満額支給換算で30週間の育児休業を取得することができる(67~50%の支給で14ヶ月取得可能)のだが、仕事の繁忙、上司の許可、昇進への影響などの理由から取得に消極的となっている。国では取得状況について報告を義務づけしようとしている。これでは短期の取得は増えても、長期の取得は増えないだろう。若者は、育児や家事をすることに年配の者に比べると抵抗感はない。これを少しでも支援するような施策は有効であろう。
悲観的な見方をすると、これらの社会規範ともいうべき状況はなかなか改善されることはないであろう。ジェンダーの平等が進み、真の意味での女性活躍が起こらなければ、やはりこの国の未来は暗い。
3月5日中日新聞西濃版
日曜日おじさんも頑張って城ヶ峰まで登る 家から50分(結構速い) 揖斐川山岳会の3人、軽装の2人、犬連れた女性、少し年配者
珍しく沢山の人に会った
さて、今日の話題は少子化で、今政府は「異次元の少子化対策」と称する施策を行うようである。しかし、少子化対策なるものは既に2000年以前からエンゼルプランを端緒として行われてきたが、残念ながら一向に効果は現れていない。それどころか、コロナのせいもあるのかよく分からないが、出生者は80万人を切り、想定より11年早い少子化だそうである。日本の育児休業制度は今や北欧諸国をもしのぐ期間であったり、手当であったりする。保育所の整備も進みつつある。制度的にはアメリカをはるかに上回る(産前産後、育児休業も有給な制度としては存在しない。支援するかどうかは全て企業次第ということになる)育児支援策があるのに、出生率ではアメリカにはるかに及ばない。普通であれば、ここで日本はどこに問題があって、少子化が進んでいるのかを考える必要があるはずである。中身を精査せずに少子化予算倍増(国防予算と同じ)するだけでは今までどおり失敗を繰り返すことになる。
日本におけるジェンダー平等度は先進国はいうまでもなく世界の国々の中でかなり低い。
◯女性の給与は男性の60~70%
◯女性の国会議員、地方議員、企業の管理職の割合が絶望的なくらい低い
◯男性は主たる稼ぎ手、女性は育児、家事、介護等無償労働の担い手であるべきという社会規範が強い
このジェンダー平等度が低いことが、出生率が低いことと関連している。東京医科大学などで入試で男性を優遇していることが明らかになった。女性の医師は長時間労働できないというのがその理由であった。しかし、この働き方自体がおかしいと考えるべきなのではないか。
少子化の理由として、若者の未婚化、低所得化がよくあげられる。所得が低くて、未来に対する経済的不安があれば結婚や子どもを持ちたいという希望すら持てないだろう。日本の経済は停滞しており、賃金水準は今や韓国にも抜かれてしまった。これを解決するためには、経済成長がプラスになるようにしなければいけないが、これも多くを期待することはできない。ではどうすれば良いのだろうか。メアリー・ブリントン著「縛られる日本人ー人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか」(中公新書2022年)、この本こそ国会議員に是非読んでもらいたい本である。ただし、筒井淳也著「仕事と家族ー日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか」(中公新書、2015年)で指摘されたこととかなり一致する。
◯男性の長時間労働に問題がある
二人の著者は、日本人の男性の働き方に大いに問題があると言う。日本では就職しても、その仕事内容は事前にきちんと決められていない。欧米ではジョブ型(仕事の内容が書類で明確化されている)というのに対し、日本はメンバーシップ型と言われている。これだと自分の仕事が終わっても、周りの仕事が終わっていない場合、退社できない(つきあい残業などとも言われる)。上司から仕事を命令されれば拒むことは難しくなるので帰れなくなる。こうして日本の働く人たちは長時間労働となる。男性が主たる稼ぎ手モデルであり、家事、育児分担をすることは想定されていない(事実上できない)。しかし、長時間働いているにもかかわらず、日本の労働生産性は極めて低い。働き方改革、残業時間の規制などにより、職場外すなわち家での労働は増えているとも言われている。
◯女性(特に育児中の女性)は無償労働(家事、育児)が多く、働く時間を制限してもトータルの時間は男性と同じ
人口減少なかでも生産人口の減は進むばかりで、女性が男性同様に働いて欲しいというので「女性活躍社会」を掲げている。しかし、これは女性を男性に近づける方向で進んでしまう怖れが大いにある。これでは子どもを持つことに躊躇せざるをえなくなる。また、男性は遠方への転勤があり、小さな子どもがいること、妻が働いていることを理由にこれを拒否することはできない。事実上シングルマザーということになり、全ての無償労働が妻の負担となる。意欲のある女性でも育児のため働く時間を制限する必要があり、フルタイムで働きたいと思ってもできない。これを放置して、医学部の入試で女性を差別するのはフェアではないと考えなければならない。
◯アメリカでは育児を支援する制度が整っていないにもかかわらず、出生率(1.71、日本1.30)が高い
著者(ブリントン)は日本とアメリカの家族概念の違いを言う。日本では男女のカップルと少なくとも一人の子どもであるのに対し、アメリカではそれらに加えて夫婦の友人、親戚、近所の人なども含めたネットワークの中に夫婦がいるという捉え方をしている。これらの人々が結婚して子どもを持つことを後押しする。また、アメリカはジェンダーによる役割分担の考え方が日本より弱い。カップルは共働き・共育てモデルを柔軟に実践しやすい。労働市場の流動性が高く、教育レベルの高い層では、家庭生活とのバランスのとれた働き方を雇用主と交渉しやすい。日本では育児について一人で悩むことが多い。結果自国で子育てをしやすいと思う人が子育てをしにくいと思う人の割合を大きく上回る(アメリカのデータはないが、スウェーデン97.1%、フランス82%、ドイツ77%、日本38.3%)。ベビーカーで混雑した電車に乗ることに勇気がいったり、幼稚園の子どもの声がやかましいという子どもに非寛容な日本であり続ける限り、子育てしやすいあるいは子育てを楽しむことは難しくなる。
◯男性の家事分担割合が日本は極端に低い
アメリカの家事分担割合40%弱、北欧40%以上、日本15%。長時間労働している日本の男性はその気持ちがあっても分担できない。日本の女性は男性の5倍もの無償労働をしなければならない(アメリカでは1.4倍、北欧男女でほぼ同じ)
◯日本の男性の育児休業取得率は低い(12.7%)し、かつ期間も短い
法律上、日本の男性は、満額支給換算で30週間の育児休業を取得することができる(67~50%の支給で14ヶ月取得可能)のだが、仕事の繁忙、上司の許可、昇進への影響などの理由から取得に消極的となっている。国では取得状況について報告を義務づけしようとしている。これでは短期の取得は増えても、長期の取得は増えないだろう。若者は、育児や家事をすることに年配の者に比べると抵抗感はない。これを少しでも支援するような施策は有効であろう。
悲観的な見方をすると、これらの社会規範ともいうべき状況はなかなか改善されることはないであろう。ジェンダーの平等が進み、真の意味での女性活躍が起こらなければ、やはりこの国の未来は暗い。
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