約半世紀も前の梅干しの味の思い出です。私はクエートの火力発電所の設計を担当しており、現地に火力発電所の建設が始まると、度々クエートに出張するようになりました。
ある時、クエートの出張を終え、帰国する前の夜に、熱を出しました。朝起きると熱でフラフラしましたが、何とか帰国できると思い、クエートからレバノンのベイルートに向かいました。ロンドンからベイルートを経由し、東京に行くJALに乗り換えるためです。ところがベイルート空港で私は動けなくなり、ベイルート空港のロビーでぐったりして横になっていました。丁度そこに会社のベイルート支店の社員が別のエンジアの出張者を出迎えに来られ、私のスーツの襟の社員バッジに気付き、声をかけて下さいました。私がやっとの思いで病気になった状態や症状を伝えると、会社の提携している医院に連れて行って頂きました。医者に診て頂くと直ぐに紹介書を書くので、大学病院に入院するように勧められました。
ベイルートの大学病院に入院する準備のため、短時間ホテルに行きました。その時30歳代半ばのアラブ系の女性が、ぐったりしている私を自分の子供を抱きかかえるようにして、少しの水を飲ましてくださいました。その優しい介護に、どの民族も優しい心があり、人間は同じ心がある、と実感し、今でもその時のご親切を思い起こします。
幸いベイルートの大学病院に入院し、病状は回復、退院できました。退院しても直ぐ日本に帰ることが出来ず数日間はホテルに滞在しました。その時、会社のベイルート支店の社員が、ご自宅に食事に招いてくださいました。奥様が「病後は、日本の味のお粥と梅干しと巻きずしが良いと思います」と、言って日本の梅干しを出してくださいました。その時の梅干しの味は忘れがたいものとなりました。今も梅干しは毎日食べますが、半世紀も前に思いもかけず異国の地・レバノンのベイルートで食べた梅干しの味を思い起こします。
体力が回復し、JALで帰国しましたが、その時、スチワーデスの方が、私が横になって休み、帰国できるようにしてくださり、羽田まで大変なご親切を受け、無事に帰国致しました。JALは素晴らしいと思い感謝したものです。
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