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映画【バス男 (Napoleon Dynamite)】

2008-03-19 02:12:16 | 映画
 
 
バス男 (Napoleon Dynamite)
2004
Jared Hess(ジャレッド・ヘス)


コレは面白い!
素晴らしい映像センス。
サントラのセンスもバツグン。

どうして本作の邦題が「バス男」なのか。
オタク=「ナントカ男」でなければいけないのか。
当時騒がせていた「電車男」にあやかった邦題なのは言うまでもありません。
「電車男」も決して嫌いではありませんし、むしろ好きです。
この邦題のおかげで変な誤解を生み、敬遠されていることでしょう。
私もそうでした。
当時、日本未公開のDVDスルーで発表された時には全く見向きもしませんでした。むしろ「ナニ?日本で当たったやつをパックったの?」くらいの嫌悪感すらありました。

本作と「電車男」に共通点はありません。むしろ相反する生き様。
「電車男」ではたまたま知り合った女性になんとかして気に入られようと2ch住人のアドバイスから次第に成長していく物語ですが、本作の主人公:ナポレオンは全く成長しない。成長ドコロか我が道を行きすぎて逆に受け入れられてしまう。


しかし!
しかしですよ!

これは面白い!
突き抜け方がハンパじゃありません。
ウェス・アンダーソン監督作品やポール・トーマス・アンダーソン監督作品が好きな方には少なからずヒットすることでしょう。
本国ではスマッシュヒットするも、何故か日本では聞こえてこない作品でした。
もったいない!
これはもったいない!

オタクと呼ばれる青年の奮闘する様をもの凄く引いた目線でデフォルメしまくった作品です。
本作の解説として『モテないオタク高校生がダンスパーティに女の子を誘うにはどうすれば?』のようなことが書かれていますが、全くそんなお話ではありません。
オタクであるということに全く非を感じず、むしろ自分の信じる世界を突き進む一人の青年の話をコメディで描いた作品です。
本作の主人公:ナポレオンの痛々しさは笑いを誘いますが、それを笑いだけにしない、愛溢れる清々しい描写。
このくらいのオタクでありたい。


本作が原題のままの「ナポレオン・ダイナマイト」であったたら必ず手に取ったはずなのに。
もったいない!
次のプレスからタイトルを戻していただきたい。


日本には映画に金をかけないくせに、商品としての価値ばかりを追求する悪しき習慣が出来上がっているようです。
マーケと映画を一緒に考えるヤツが映画をダメにする。
結果、クソの足しにもならないお子様ランチ映画にしか入らない。
っつうか、観る側も映画に求めるモノが分からなくなっている。
作る側は良作よりも商売が優先される。
そう思ってるヤツは全員映画からいなくなれ。
日本映画の今の惨状はマッチポンプだってことをいい加減に気付け。
仕事柄で邦画も観るし、なるべく良いところを探しているけれども、殆どの作品が力を持っていない。
由々しき問題です。



是非ともご覧頂きたい作品です。
本作は「バス男」ではなく「ナポレオン・ダイナマイト」です。