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アベック・モン・マリ (avec mon mar)
1998
大谷健太郎


ニューシネマ・ワークショップのプロデュース作品なんですね。サイト観たら自信満々で載ってました。
随分前から見た気になっていましたが、観てみるとやはり初見でした。
大学生の時から映画好き・芝居好きの友達と酒飲みながら、あーでもないこーでもないとグダグダとクダを巻いていた頃がしりきと想い出されます。単館系代表みたいなノリですね。シチュエーションコメディっつうか、スモールサークルっつううか。
でも、素敵な映画に違いはないですね。観たあとのニヤっとする感じ。ラストのカットの表情とか。あー、全部これでオッケーって感じになってしまいます。
なんかオシャレにまとめてみましたって最初は思ったんですが、そのオシャレさがだんだんイヤミじゃなくなってくる。時代的なオシャレさは後になればなるほどに影を潜め、結局消えモノ的な位置に落ち着いちゃってます。最初のフリ何だったの?ってくらい。
このロケ地の団地、 うちの超近所なんですね。なんか嬉しい。
こういう感じ、良いなぁ・・・、なんて多分制作サイドの思惑にずっぽりはまってしまいました。フランスばりの駄目男主義がやけに身にしみます。
駄目男ってやっぱり駄目なの?駄目は駄目なりにそこから上の部分って凄く良いところなんじゃないの?相対的にとかそういう消極的な意味でなく、なんてことを思いました。ゴリゴリの男根主義は元々嫌いなのですが駄目すぎるのも如何なものかとがんばって正社員やっています。駄目男は映画の中でこそ、であって欲しいモノです。リアルでもたまに見かけますが、知人にも大勢いますが、奴らは奴らなりにがんばっているはずなので否定はしません。最近、社会的にもそう言う雰囲気が漂っていますよね。
この映画、実際商業的に成功しているんでしょうか?この映画が好きな人ってそんなに大勢いるとは思えません。存在を知っている人が既に少ない気がします。元々のターゲットを絞っていればおそらく予算内で収まり、劇場公開で赤でもあとはセルとレンタルで回収ってノリなんじゃないですか?
この企画を通して押し通しきってしまったプロデューサー様、貴方のような人はそちらの世界ではどのくらいいるんですか?

ターゲット絞りすぎ。でも、好きよ。こういう映画をサクッと撮って公開してくれる劇場が全国でもっとあっても良いと思います。

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アンダルシアの犬 (Un Chien Andalou)
1928
ルイス・ブニュエル


あー、もう、はっきり言ってしまえば理解できません。
何が面白いんですか?とまでは言いませんが、これがもし30分以上の尺であったらとてもじゃないけど観られません。
現代映画に慣れすぎてしまっているのかもしれませんが、これが、シュールレアリズムというものなんでしょうか?
確かに、1928年当時に公開された映画としては現代に通じる手法が盛り込まれていて、これって当時どうやってんの?と思うことはありましたし、これを試行錯誤の末に編み出した先駆者としての努力と能力には本当に敬意を表します。
実は、サイレント映画を観るのは初めてかもしれません。

残念なのは、「オレ、これやんなきゃ駄目になっちゃうよ!」という気概が感じられなかったというか、「どう?」って感じが先に出ちゃって。

ダリのことも全力で奥行きを出す奇妙な絵を描く画家としてとしか良く知りませんが、伊達男って感じなのでしょうか?今で言う誰?
冒頭の女の眼球を剃刀で割るシーンは凄ぇなって思います。ピアノに乗ってるよく分からない獣の腐乱死体も、掌から出てくるアリも。

僕は頭が悪いんですか?「タクシードライバー」も大学生の時に観て、「なんじゃこりゃ?」と思い、後から方々から聞くモンモン端っこ系も理解できませんでした。
視覚的な刺激のみを求めるのであれば、あのサントラはなんだったんでしょう?逆に恐かったですけど。

この映画が初めて上映されてから既に3/4世紀も経っているのだからある程度の色あせはやむを得ないところですが、多分、全く色あせていないんでしょうね。
この映画を観て「うぉ!ヤバイじゃん!」って思う人も沢山いると思います。かなり根本的なところまで行ってしまっていると思います。それだけに難解。

話しは変わりますが、黒沢明の「羅生門」を観た時はほんとにヤバイと思いました。ラスト辺の女の笑いで本当にぞくっとしました。感覚的にはそれを求めていたんですが、文化の違いなのでしょうか?小道具やら登場人物やらが既に洗練されてしまっていて飛びつけません。コンプレックス丸出しです。

全てを説明してくれるストーリーに慣らされてしまい、それ以外を受け付けなくなりつつある自分が悔やまれます。
ただ、こういった作品をサクッと借りて見られるという時代になっていることに改めて驚きを感じます。
だって、こんなの当時の日本人だれも観てないでしょ。

こういう映画をゼロから作れる人間、実際尊敬します。

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