アンダルシアの犬 (Un Chien Andalou)
1928
ルイス・ブニュエル
あー、もう、はっきり言ってしまえば理解できません。
何が面白いんですか?とまでは言いませんが、これがもし30分以上の尺であったらとてもじゃないけど観られません。
現代映画に慣れすぎてしまっているのかもしれませんが、これが、シュールレアリズムというものなんでしょうか?
確かに、1928年当時に公開された映画としては現代に通じる手法が盛り込まれていて、これって当時どうやってんの?と思うことはありましたし、これを試行錯誤の末に編み出した先駆者としての努力と能力には本当に敬意を表します。
実は、サイレント映画を観るのは初めてかもしれません。
残念なのは、「オレ、これやんなきゃ駄目になっちゃうよ!」という気概が感じられなかったというか、「どう?」って感じが先に出ちゃって。
ダリのことも全力で奥行きを出す奇妙な絵を描く画家としてとしか良く知りませんが、伊達男って感じなのでしょうか?今で言う誰?
冒頭の女の眼球を剃刀で割るシーンは凄ぇなって思います。ピアノに乗ってるよく分からない獣の腐乱死体も、掌から出てくるアリも。
僕は頭が悪いんですか?「タクシードライバー」も大学生の時に観て、「なんじゃこりゃ?」と思い、後から方々から聞くモンモン端っこ系も理解できませんでした。
視覚的な刺激のみを求めるのであれば、あのサントラはなんだったんでしょう?逆に恐かったですけど。
この映画が初めて上映されてから既に3/4世紀も経っているのだからある程度の色あせはやむを得ないところですが、多分、全く色あせていないんでしょうね。
この映画を観て「うぉ!ヤバイじゃん!」って思う人も沢山いると思います。かなり根本的なところまで行ってしまっていると思います。それだけに難解。
話しは変わりますが、黒沢明の「羅生門」を観た時はほんとにヤバイと思いました。ラスト辺の女の笑いで本当にぞくっとしました。感覚的にはそれを求めていたんですが、文化の違いなのでしょうか?小道具やら登場人物やらが既に洗練されてしまっていて飛びつけません。コンプレックス丸出しです。
全てを説明してくれるストーリーに慣らされてしまい、それ以外を受け付けなくなりつつある自分が悔やまれます。
ただ、こういった作品をサクッと借りて見られるという時代になっていることに改めて驚きを感じます。
だって、こんなの当時の日本人だれも観てないでしょ。
こういう映画をゼロから作れる人間、実際尊敬します。
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