備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム211.玉比神社(小豆島町)のオマケ

2009-09-26 14:27:35 | Weblog
小豆島は石(石材)の産地で、大阪城の築城・修復用の巨石が切り出された現場が観光地として残されていたりする。奇岩が連なる「寒霞渓」などの景勝地もあるが、小豆島での神の居場所は山よりも、やはり港の近くが多い。現在では「八幡宮」が主になっているが、備前国内神名帳に載るのはいずれも「玉比神社」である。「葺田八幡神社」のほか、「内海八幡神社」(小豆島町安田)にも境外末社として「玉姫神社」がある(写真下)。いずれも八幡信仰が盛んになる前に、海神族のタマヒメ信仰があったのだろうと思われる。
タマヒメというのは豊玉姫(トヨタマヒメ)を指すことが多いが、「玉姫宮」(小豆島町)の祭神は、その妹とされる玉依姫(タマヨリヒメ)で、出産時の姿を見られて海に帰ってしまったトヨタマヒメに代わってウガヤフキアエズを育て、神武天皇などの母となった。タマヨリヒメは1人ではなく、いろいろな伝承が結び付けられているともいわれるが、その1つの性格として、水に関連が深いというのがある。
小豆島は大きな島ではあるが、飲料水は貴重なものだったのではなかろうか。小豆島町福田の「玉姫宮」のそばを流れる2本の2級河川や、近くにある「八大竜王堂」(写真中)をみると、「玉姫宮」は水の恵みを祈ったものではないか、などと妄想した。


写真上:巨大な岩が露出しているのが見える。「福田遠手浜海水浴場」入口の辺りから山側を見る。


写真中:上の写真の山麓、やや右手に八大竜王堂の磐座? 垂直な岩の壁の割れ目を祀っているようだ。この割れ目から泉でも湧いていたのか?


写真下:小豆島町安田にある「玉姫神社」(国道436号線沿い、小豆島町立図書館の向かい側にある。)