備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム146.一宮(その9・美作国オマケ2)

2009-04-02 20:48:05 | Weblog
備前国内神名帳の研究とはあまり関係がないので、また脱線するが、美作国の「御鴨神社」(新庄村)・「美甘神社」(真庭市美甘)に参拝したついでに、宮座山の磐座を見に行った。「磐座主義者」「巨岩ファン」なので、御宥恕願いたい。
もともと、宮座山山上に「御鴨神社」が鎮座していたが、その後、現・新庄村と現・真庭市美甘の2ヵ所に分かれて祀られることになり、真庭市美甘の方は美甘郷の総社として「美甘神社」と改名したという。
宮座山(みやぐらやま)は、標高(739m)ほどには高くは感じない。ただ、山上には社殿を置くような広さはないようだ。ようするに、神代からの祭祀場ということで、磐座を神社としたということだろう。登山道を上って行くと、「帆立岩」、「辺津磐座」、「中津磐座」、「奥津磐座」、「柱状節理」と巨岩、奇岩が現れる。ここの「磐座」は「辺津」「中津」「奥津」の3つが揃っているとして有名らしい。確かにそれぞれ立派な巨岩ではあるが、祭祀を行うほどの広場がない。より原始的な巨岩信仰だろうか。「柱状節理」も苔むして、やや分かりにくくなっているが、人工物のようにも見え、これが古代人には「神の仕業」と思われたかもしれない。
これがなぜ鴨氏の神と結びついたのか。また、これほどの古さを持ちながら式外社とされたのはなぜか。新庄村は出雲街道の宿場町として栄えたところであり、鴨氏が出雲の出身なら、「御鴨神社」となったことは不思議ではないだろう。式外とされたのは、あるいは(得意の妄想ですが)、もともと社殿が無くて祀られていたからかもしれない(「熊野那智大社」が式外なのは、仏教色が強かったから、というほかに、正式の社殿が無かったから、という説もある。)。


写真上:帆立岩。写真ではわかりにくいが、かなり大きな岩で、帆立貝というより、オオシャコ貝みたい。


写真中:宮座山奥津磐座


写真下:宮座山の玄武岩柱状節理。「屏風岩」ともいうようだ。