備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム127.金甲山の磐座

2009-02-13 22:03:38 | Weblog
金甲山(403m)は児島半島で最も高い山で、海に囲まれているため実際より高く感じる。山頂近くまで県道399号線(金甲山線)で自動車で上れ、駐車場・トイレも整備されているので、手軽に行ける。今では電波塔が林立しているが、廃屋となったレストハウスのところに磐座がある(写真上・中)。レストハウスが大岩を覆い隠すように建てられているので、よくわからなくなっているが、今でも眺望のよいところである。
現在は山麓の岡山市南区郡に鎮座する古社「國津神社」は、元はこの金甲山山頂にあったとされる(「國津神社」の項(2008年6月28日記事)参照)。もともと「吉備児島」は、古事記などによれば伊邪那岐・伊邪那美の2神の国産みの際、大八島の次に生まれたとされる。そして、「吉備児島」の別名が「建日方別命」であり、「國津神社」はこの神を祀る。言わば「吉備児島」そのものを祀っているので、逆に、他の地区では祀られることはほとんどない。
しかし、備中国一宮「吉備津神社」・備前国一宮「吉備津彦神社」では「岩山宮(岩山神社)」として「建日方別命」を祀る。ここでは、大吉備津彦命が祀られる前の地主神として「中山主神」とも呼ばれている。単に「吉備児島」の地主神ではなく、吉備国全体の地主神とされているようである。「吉備津」という名もそうだが、「吉備児島」とのつながりが感じられ、吉備国における海人族の影響力が窺われる。


写真上:金甲山山頂の小祠


写真中:旧レストハウス横の大岩


吉備津彦神社の岩山宮