シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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あの優良 (だった?) 会社にも “追い出し部屋” が …

2013年03月25日 | 経済あーだこーだ
写真は、「うしろうしろー」。
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昨年末『朝日新聞』(12月31日) 一面に、「配属先は “追い出し部屋”」との見出し記事が載った。 ”追い出し部屋” は、もちろん会社の正式な名称ではなく、「事業・人材強化センター」(BHC パナソニック・グループ) が部署名で、リストラ対象として狙われた社員は、上司から 会社が募集する希望退職に応じるか「BHC」への異動を受け入れるかの、二者択一を迫られるのだという。 同類の部署は他社にもあり、ソニー・グループでは「キャリアステーション室」、NEC グループでは「プロジェクト支援センター」といった名称の部署が存在するという … (記事2から)
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「ソニー “中高年リストラ” の現場」(3月25日 東洋経済) _ ※追加1へ
「”追い出し部屋” の背景と対策」(1月23日 山崎 元/経済評論家/週刊ダイヤモンド) _ ※追加2へ

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ここ数年来の大手電機企業の業績推移から、上記の記事内容は容易に想像できることです。 要するに 業績不振が続くので、社員全体に充分な報酬を与えることができなくなってきているのです。 これを経営者の経営能力不足とするか、社員の能力不足とするかで、会社の対応が少し違ってくるのでしょうが、経営者だけが責任を取っても即 業績が改善することはありません。

経営者は責任を取って引退すれば済むのでしょうが、残された社員達は じゃ私たちもと、一斉に退社・転職するわけにもいかないのが実情です。 一般的に 経営者は引退するまでそれなりの報酬を得ている場合が殆どで、子供も既に巣立っている場合が多く、引退したあと 悠々自適の生活をおくることができます。

それに比べ 残された社員達は子供が小さかったり、中年社員はこれから子供の高校・大学進学に物入りとなる年齢でしょう。 転職しても年収が大幅に減るケースが多いご時世ですから、殆どは退社したくないと考えるから退社しません。 すると会社側はなんとかして社員数を絞ろうと、あの手この手の対策を講じることになります。

割り増し退職金を用意してる場合はまだいい方で、それを用意できないほど業績が悪化していれば 目標社員数を掲げてアノテコノテの対策を … (但し 露骨に退職強要・勧奨をすると訴訟などのトラブルや会社の評判を損なうなどの弊害が発生するため それらを避け) その中の1つに、この ”追い出し部屋” なるものが出てくるわけです。
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私が以前所属していた会社にも、20年以上前 部長職の人たちが4~5名ほど集まっているコーナーがありました。 畳み2つほどのスペースをパーティションで囲って、机1つとイスが置かれているだけで、時々そのコーナー近くにいくと、部下なし部長職 (肩書きは “人事部 担当部長” だったかも?) の人達が “皆黙々” と PC に向かって操作しているのが見えました。

あそこで彼らが何をやっているのか 当時は知る由もありませんでしたが、この記事2つを読んで分かりました __ ”追い出し部屋” だったのです。 仲間内で、あそこの部下なし元部長達は何をやってるのかなぁ などと話題が出たことがあります。 誰かが、どこかで部長の席が空く迄の “待機コーナー” らしいよ といったことを覚えています。 お互い 殆ど会話がないということも聞きました。

組織編成替え前の所属部長 (A) がそこにいたので、関連することで一度 聞きにいったことがあります。 接触はそれだけでした。 その後 そのAさんが、あるテーマで全社に呼びかけて 部長を対象にした会議を催したことがあります。 そのテーマでAさんがプレゼンをぶったところ、多くの出席者から反対意見が出され、Aさんの目論みが外れ “面目丸つぶれ” となったそうです。

その後 ほどなく、その所属部長Aさんは退社しました。 会社にいたたまれなくなったのでしょう (これが会社の意図だった?)。 他の待機部長たちは、退社せず じっと待っていたお陰か、(半年後から1年後?) しばらくして目出度く部長席が空いたらしく 部下がいる組織に転出していったそうです。
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Aさんとは、その後 元社員の葬式や同窓会で見かけますが、殆どの元社員とは会話らしい会話がないように見受けられます。 昔 40歳前で部長職に抜擢されたせいか、張り切って部下を締め上げて業績を上げようとしていたため、組織は一日中 ピリピリとした緊張が張りつめ、私を含め多くの同僚がAさんを嫌い、親しく話そうという人が少ないのです。

ただ 同窓会の座長の元社長は誰とでもきさくに話すために、このAさんは専ら元社長にばかり会話しようとしているようです。 でも Aさんは同窓会会場に入室するなり、他の人たちに挨拶もせず 即 元社長に向かって行って元社長にばかり話すのも何か不自然です (元々 そういう普通ではない性格の人だったのですが)。
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同じ会社では、2000年頃 業界が設備投資のブームに湧き、多くの営業社員が設備を売って高業績を上げたために 30代前半で若くして部長代理となった社員が続出したことがあります。 ところが その後ブームが萎んで、なかなか業績が戻らなかった時期が何年も続きました。

しばらくして あるフロアに例の “パーティションで囲った畳み2つほどのスペース” がゾロゾロ出来ました。 そこに多くの部長代理が詰めているのを見たことがあります。 その後 そのコーナーがどうなったのか、私は知りません。 安易に昇格させてしまうのも問題ですね。 引き取り手が無くなってしまうかも …

以上


※追加1_ ●「キャリアデザイン室」で何が行われているか? ●

東京・品川のソニー旧本社ビル──。 現在、「御殿山テクノロジーセンター NS ビル」と改称された8階建てのビルの最上階に、問題とされる部署はある。「東京キャリアデザイン室」。 かつて大賀典雄名誉会長が執務室を構え、役員室が置かれていた由緒正しきフロアは今 社内で、「戦力外」とされた中高年の社員を集めてスキルアップや求職活動を行わせることを目的とした部署に衣替えしている。

Aさん (50代前半) も東京キャリアデザイン室への異動を命じられた一人だ。 午前9時前に出勤すると、自身に割り当てられた席に着き、パソコンを起動させる。 ここまでは普通の職場と変わりない。

違っているのが “仕事” の中身だ。 会社から与えられた仕事はなく、やることを自分で決めなければならない。「スキルアップにつながるものであれば、何をやってもいい」(Aさん) とされているものの、多くの社員が取り組んでいるのは、市販の CD-ROM の教材を用いての英会話学習や PC ソフトの習熟、ビジネス書を読むことだ。

Aさんも英会話に励んでいるが、「自分が置かれている境遇のことで頭がいっぱいになる。 いくら勉強しても身にならない」と打ち明ける。「隣の人との会話はなく、電話もかかってこない。 まるで図書館のような静けさ。 時々 孤立感やいいようのない焦燥感にさいなまれることがある」ともAさんはいう。

社内で “キャリア” と略して呼ばれる同室は、品川のほかに 神奈川県厚木市の「ソニー厚木第二テクノロジーセンター」、宮城県多賀城市の「ソニー仙台テクノロジーセンター」内にも設けられている。 関係者によれば 3カ所合計で 250人 前後が配属されているとされ、人数自体も増加傾向にあるという。

ノルマも残業もなく人事評価は最低レベル
ソニーは2012年3月期まで4期連続の最終赤字となっており、業績回復が急務だ。 12年度にグループで 1万人 の人員を削減する計画で、昨年5月、9月、そして今年2月末を期限として「勤続10年以上かつ満40歳以上」の社員を対象に3度にわたり早期退職者の募集が行われた。

キャリアデザイン室が人員削減のための部署であることは、社員ならば誰もが知っている。 この部署がほかと大きく異なる点は、配属された社員の人事評価が、多くの場合に「最低レベル」となり、在籍期間が長くなるほど、給与がダウンする仕組みになっていることだ。 というのも、仕事の内容がソニーの業績に直接貢献するものではなく、他社への転職を含めて本人の「スキルアップ」を目的としているためだ。

同じくキャリアデザイン室に所属するBさん (40代) によれば、「ノルマや課題もなく残業もない」という。「何をやっていてもいい」とはいうものの、「社外で英会話を学ぶ場合には自分で授業料を払わなければならず、近場での無料の講習会に参加する際に交通費が出る程度。 社内の仕事を斡旋してくれることも皆無に等しく、自分で探し出さなければならない」(Bさん)

しかし 大規模な人員削減が続く社内では新たな仕事を見つけることは困難で、必然的に転職のための活動を余儀なくされる。「上司」に当たる人事担当者とは1~2週間に1度の個別面談があり、その際に「他社への就職活動はきちんとやっているか」などと説明を求められる。

もし社内に踏みとどまろうとすれば、誰でもできる単調な仕事しか与えられない。「仕事が見つからずにキャリアデザイン室に在籍して2年が過ぎると、子会社への異動を命じられ、そこでは紙文書の PDF ファイル化など、ひたすら単純作業をやらされる」(ソニー関係者)

キャリアデザイン室に送り込まれる前の段階であっても、早期退職の勧奨が熾烈さを増している。 ソニーから生産子会社に出向中のCさん (50代前半) も度重なる早期退職の勧奨を受けた一人だ。 Cさんへの退職勧奨は、昨年11月 部長による面談から始まった。

電子メールで呼び出しがあり、指定された会議室に入ると、上司から開口一番 次のように告げられた。「来年も今の仕事を続けるのは厳しい。 社内か社外で仕事を探してください。 期限は13年3月末です」。 そして3度目に当たる3週間後の面談で、「13年3月いっぱいであなたの仕事はなくなります」といわれた。

「今の仕事は本当になくなるのですか」と問い返すCさんに、上司は「ほかの人がやる」と返答。 納得がいかなかったCさんがさらに尋ねると、「事業規模に見合った人数にするためです。 近隣の事業所に異動先はないので、社内募集に手を挙げてください」と促された。

Cさんはやむなく社内募集のエントリーシートに必要事項を記入して提出したものの、12月末には「書類審査で通らなかった」との回答があった。 年をまたいだ1月の5回目の面談では、「2月末が早期退職募集の期限だから、早く社内の仕事を見つけてください」といわれた。

だが Cさんは仕事を見つけることができなかった。 会社が指定した再就職支援会社の面接も受けたが、求人内容は年収が大幅にダウンするものばかりで、これまでの経験を生かすことができる仕事はなかった。

そうした中 6回目に当たる2月の面談で、前出の上司から来年度の事業計画での戦力外を通告される。 そのうえで、「身の振り方を決めていないのはあなただけです」と暗に退職を求められた。 その翌日の人事担当者との面談でも、「あなたに合う社内募集はない。 2月末が早期退職の期限なので、急いで経歴書を作ってください」と催促された。

結局 会社にとどまることを希望して早期退職を拒否したCさんは、3月に入っても次の異動先が提示されないままだ。 Cさんは、「不安な日々が続いている」という。

縮小する一途のソニー 巧妙なリストラ話法
Dさん (50代前半) も昨年11月に上司から「あなたの仕事はなくなる。 キャリアを生かせる場所をほかで探してほしい」と告げられた。 その後も上司との面談が続けられたが、今年1月の面談では「(辞めないのなら) 下請け会社での清掃業務や九州など遠隔地の子会社への異動もありうる」との説明があった。

CさんやDさんは「退職を強要されている」と受け止めている。 だが ソニー広報センターは本誌に、「退職強要の事実はない」と説明。 少数組合のソニー労働組合が問題視しているキャリアデザイン室についても、「異動先が未定の社員が次のキャリアを速やかに見つけるための調整部署。 (“追い出し部屋” との) 指摘のような事実はない」としている。

CさんやDさんによれば、上司は「仕事がない」と繰り返す一方で、「辞めてください」とは決していわないという。 また「早期退職という方法がある」と話すものの、「申し込んだらどうか、ともいわない」ともいう。 Cさんが「退職を勧奨しているのですか」と聞いたところ、上司は「違います。 あくまでキャリアについての面談です」と返答。 それでもCさんは「退職を強く促されている」と感じている。

そして退職勧奨されている社員が最も恐れているのが、キャリアデザイン室への異動だ。 Cさん、Dさんとも、「絶対に行きたくない」と口をそろえる。 Cさんは、面談を受けた再就職支援会社の担当者から、次のようにアドバイスされた。「あそこ (=キャリアデザイン室) にいると働こうとする気持ちが失せてしまい、グループ外の企業に応募しても合格しなくなる。 在籍するにしても、せいぜい半年にとどめておいたほうがいいと思います」

11年当時にキャリアデザイン室に在籍していた同僚からも、「何もしないというよどんだ空気が嫌だ。 今回は退職勧奨を受けたので会社を辞める。 あの部屋にだけは絶対に戻りたくない」という言葉を聞いた。 ソニーの生産子会社の期間社員として勤務した後、雇い止め撤回のための団体交渉で再就職となり、ソニーの孫会社の正社員となった3人の社員も、疎外感を抱いている。

3人は昨年7月に孫会社への就職が実現した。 しかし、「キャリア育成グループ」に配属されて7カ月が経った現在も、「仕事ではほかの社員と区別され、朝のミーティングへの参加も認められていない」(3人の一人のEさん) という。

疎外感を抱く孫会社の社員たち
Eさんによれば、「担当する清掃業務に必要ない」という理由で PC は支給されていない。 そのため、紙の勤務記録表に手書きで出退勤時間を書き込んでいる。 また PC がないために社内のホームページを見ることができず、「監督者」としてソニー本社から派遣されている上司から情報を得るしかない。

ところが この上司がしばしば情報伝達を失念するために、締め切り直前まで健康診断や予防接種の連絡がなかったという。 3人の社員は今年2月 上司に処遇の是正を求めたが、上司は「仕事の内容が違うのだから、ミーティングをほかの社員と一緒にやる必要はない。 PC も支給しない」との考えを変えなかった。

ソニー広報センターは、「雇用確保のために外部委託していた仕事を取り込むことで採用したため、(孫会社の) 事務職の社員とは職場環境が異なる。 同社では首都圏でも直接雇用の清掃職が存在しているが、(3人と) 就業条件には差がない」と説明している。 3人が具体例を挙げて嫌がらせや差別を受けていると語っていることについては、「指摘のような事実は確認していない」と本誌に回答している。

労働法が専門の西谷敏・大阪市立大学名誉教授は、「嫌がらせの有無や程度にもよる」としたうえで、「退職勧奨やキャリアデザイン室への異動、孫会社での処遇が、嫌気が差して辞めるようにしむけることが目的であるならば、法的に許された域を超えてくる」と指摘する。

企業のメンタルヘルス問題に詳しい生越照幸弁護士は、「度重なる退職勧奨によって、社員本人が精神疾患を発症した場合、企業が労働契約法に基づく安全配慮義務違反を問われる可能性がある」と分析する。

企業のリストラ策にはさまざまな手法がある。 中にはある日突然 職場への出入りを禁止する「ロックアウト型」の解雇や本人に過大なノルマを課して辞めさせる手法など、ソニーのやり方をはるかにしのぐものもある。

ソニーだけでなく日本企業の多くが、中高年世代の余剰人員を抱えている。 企業からすれば 人員スリム化は理由のあることかもしれない。 だが 企業業績の悪化→中高年への退職勧奨を続けるかぎり、ビジネスパーソンはつねに不安を抱えながら働くことになる。
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※追加2_ ● リストラ対象者を一堂に集める「配属先は『追い出し部屋』」の衝撃 ●

昨年末の『朝日新聞』(12月31日) の一面に、「配属先は『追い出し部屋』」と見出しの立った印象的な記事が載った。「追い出し部屋」とは、パナソニック・グループの従業員がそう呼ぶ、リストラ対象社員を集めてまとめて置いておく部署のことだ。 横浜市にある同グループの子会社にその部屋はあり、がらんとした室内に 100台の古い机とパソコンが並んでおり、他の部署から応援要請があればそれに応えるのが仕事だという。

「追い出し部屋」は、もちろん会社の正式な名称ではなく、「事業・人材強化センター」(BHC) が正式な部署名で、リストラ対象として狙われた社員は、上司から、会社が募集する希望退職に応じるか「BHC」への異動を受け入れるかの、二者択一を迫られるのだという。 記事によると、同類の部署は他社にもあり、たとえば ソニー・グループでは「キャリアステーション室」、NEC グループでは「プロジェクト支援センター」といった名称の部署が存在するという。

また 自分自身が社外での自分の出向先を見つけることを業務内容とする「企業開拓チーム」という部署を設けている朝日生命保険のような会社もある。 これらを「工夫」と呼ぶのがいいかどうかは迷うところだが、会社としては、実質的には指名解雇したい社員を自発的な「自己都合退職」に誘導するための有力な「仕組み」だ。

会社側から社員を個別に解雇しようとすると、就業規則違反などの正当な理由を用意しておかなければ、訴えられて敗訴するリスクがある。 このため、「あなたの名誉のために、自己都合退職扱いにしてあげるから ……」などと社員を説得して自分から辞めるように試みたり、それぞれの部署で社員の居心地を悪くして (つまり “虐めて”) 自主退職に追い込んだりすることは、日本の多くの会社でこれまでに行われていた。

しかし 退職金でも雇用保険上も不利の多い自己都合退職をすんなり選択してくれるとは限らないし、各部署で「虐め」を実施すると、やりようによってはパワー・ハラスメントなどで訴えられる可能性があるし、職場の雰囲気が険悪なものになる。

業績の悪化で解雇したい対象が増えてきたこともあって、こうした自己都合退社実現のための器を各社が用意することになったのだろう。 表向きには、仕事がある先への人事異動であって指名解雇ではないが、心が折れて自主退社したくなるように社員を仕向ける仕組みである。

人間の心を痛めつけることを手段として用いるのだから、”嫌な感じ” のやり方であることは間違いない。 大企業の悪知恵ともいいいたくなる。 しかし 社長の一声で問答無用にクビが宣告されることの多い中小企業の解雇に比べると、いくらか丁寧で優しいような気もして、一概に非難する気にもならない。

「追い出し部屋」に配属されたらどうするか
会社側としては、”やむをえない” 事情が多々ある。 指名解雇は理由なしにできない。 業績は短期間に回復する見込みはない。 余剰人員を抱えている余裕はない。 優秀な社員には残って欲しい。 訴訟などのトラブルは起こしたくない。 会社の評判は (なるべく) 損ないたくない。

後でこうなる可能性を考えて、正社員の採用を絞って非正規労働者を使って来たのではあったが、「業績の悪化がこうした工夫を軽く追い越した」といった状況だろう。 仮に、自分が「追い出し部屋」への配属を打診されたら、どうするべきだろうか。

まず やってはいけないのは、自分からあっさりと「一身上の都合により退職 ……」といった自己都合退社の辞表を書いてしまうことだ。 今日まで働いてきた組織で自分が「不要だ」といわれているという現実と顔を付き合わせる状況は精神的に辛いが、生活を守るためにはひと頑張りしなければならない。

まず、「無条件で自己都合退社する意思はない」ことを会社側にはっきり告げるべきだろう。 しかし同時に、その会社に残る選択肢は現実的でないことの覚悟も必要だ。 目標を、転職と、そのために有利な条件の確保と、経済的により有利な退職の実現に、切り替えるべきだろう。

会社側が、希望退職者に対する優遇制度を提示している場合は、制度の内容を検討すべきだが、すぐに受け入れるのは止めた方がいい。 もう少し良い条件を引き出せる可能性があるし、「会社都合」でなく「自己都合」で辞めた場合には失業保険の条件が悪い。

検討、あるいは交渉に値するのは、転職先を見つけるための異動の先延ばしだろう。 それまでどのような仕事をしていたのかによるが、多くの仕事で「今やっている仕事」を探す方がスムーズに職探しができ、条件もよりよいものを獲得しやすい場合が多い。

転職できれば辞める。そうでなければ「追い出し部屋」行きを覚悟する
いい転職先が見つからなかったら、異動を受け入れると言って、異動を1~3ヵ月先に延ばしてもらえないかを交渉してみる手がある。 もともと戦力外なのだし、それで穏便に辞めてくれるなら会社側も助かるはずなので、この条件を受け入れてくれる可能性はある。

ただし この際にも、辞表を書いて渡してはいけない。 条件はあくまでも、「転職できれば辞める。 そうでなければ『追い出し部屋』行きを覚悟する」というものであるべきだ。 そして、引き延ばしが成功してもしなくても、「自力で」最大限に努力して、転職先を探す努力をしなければならない。

会社が用意する人材紹介会社は、社員を辞めさせることが優先であり、会社側と結託しているのだから、頼ってはならないと考えるのが常識だ。 転職を強引に決めさせられることがあるかもしれないし、不適切な会社を紹介される心配もある。 もちろん 自分で探した人材紹介会社を使うことは悪くない。 友人、知人、親戚、取引先など、あらゆるコネを使うのもOKだ。

なお転職先を探す活動は、休日や平日の時間外など業務時間外の時間を必ず使い、面接などで必要がある場合には有給休暇を取ろう。 時間管理をいい加減にしていると、勤務態度不良で解雇の口実を与えてしまう可能性がある。

いい転職先が見つかれば、場合によっては自己都合で辞めて (あげて) もいい。 でも、できれば割増退職金をもらおう。 自分は転職先が決まり、割増退職金をもらい、会社は1人片付いたことにほっとするという状況は、この問題の望ましい解決の1つだ。

クビになる人などたくさんいる会社 都合退社は不名誉ではない
転職先が見つかるまでは、元からいた部署にいるにせよ、”追い出し部屋” に異動させられた後にせよ、自分から辞めてはいけない。 これが原則論だが、心と体 (特に前者) がどこまでもつかは個人差があるだろうと思う。

どこまで争うか、争う場合に管理職ユニオンなど外部の団体などを使うかなどは個人の問題だが、力尽きて辞める場合は会社都合が原則だ。 そうでないと、失業保険がすぐにもらえない (もらえる総額も減る)。

「会社都合は不名誉であり、経歴に傷が付く」というような脅しを巧妙に述べられることがあるかも知れないが、無視しよう。 相手は、後の訴訟リスクが怖いか、退職金を値切りたいと思っているだけなのだ (注:自己都合で辞めた場合に、退職金が会社都合の場合の5~6割程度になるような規定を設ける会社が多い)。 実質的にクビになる人など世の中にたくさんおり、「会社都合退社が不名誉だ」などということはない。

一方 完全に満足できる転職先はまず見つからないだろうが、どこかで割り切って転職先を決めるべきだ。 また、「追い出し部屋」要員に指名された段階で、その会社・職場への未練は断ち切らねばならない。 自分にとっても相手にとっても、意味のある仕事ができることが大切だ。

企業にとっても社員にとっても不毛な “追い出し部屋” をなくすために
“追い出し部屋” は使いようによっては、企業にとってコスト削減につながる工夫といえないこともないが、そのあり様は、企業にとってもリストラされる社員にとっても「不毛」だ。 このような非人道的かつ経済的にも無駄なやり方をなくすためには、正社員の金銭補償による解雇の条件を、明確に決めるべきではなかろうか。

正社員の権利を弱めることにつながるが、人材の流動性が増すので、転職先は見つかりやすくなるはずだ。 また、前述のように多くの中小企業では、何の補償もなく、社長の一存で「クビ!」がまかり通っているのが現状だから、解雇のルールを明確にすることは、「労働者全体にとって」であるなら、悪い条件変更ではないはずだ。

条件は、官僚や裁判所に裁量の余地がないシンプルなものがよい。 たとえば 勤続年数に応じた月数分の現収入を (12ヵ月くらいの上限を設ける方がいいかもしれないが)、退職金とは別に一時金として支払うことで、雇用主は社員を自由に解雇できると決めておく。

社員の側も一定額の補償が必ず貰えるし、雇用主側もリストラ費用について計画が立ちやすい。「追い出し部屋」のような社会のムダが生じない仕組みにしたい。

以上

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