シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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三洋電機が “完全消滅”

2015年03月17日 | 電子産業は花形?
グラフは日経トレンディ記事から。 写真は井植 敏氏 (1986~2004年 三洋電機社長・会長)、野中 ともよ氏。
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関西の大手電機として 長年親しまれてきたメーカーが完全に姿を消す。 主取引銀行に融資を求めている もう1社も株価が低迷している。 関西には大手はパナソニックしか残らないのか。
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「三洋電機が事実上の消滅 鳥取の子会社をファンドに売却」(産経新聞 3月11日)
 「社員10万人が5年でゼロに!  三洋電機が “完全消滅” する日」(日経トレンディ 3月5日)
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今はもう存在しないが、私が学生時代に 栃木県の三洋電機カラー TV 工場で1日アルバイトをしたことがあった。 倉庫の整理なのだが、自分で用意した “軍手” を使ったのが失敗の元。 カラー TV の入った段ボール箱を持ち上げたら、力の入れ所がおかしかったのか “ギックリゴシ” になってしまった。 昼食の椅子に座るのもつらく、仲間の学生は無理しなくていいよといってくれたが、アルバイトに来た手前 午後もじっとしているわけにもいかず、半人前ながらなんとか仕事をこなした。 その後 2~3日はベッドで腰をいたわって治った経験がある。
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連結売上 2.5兆円 (2003年度) を超え、10万人の社員がいた企業が5年で消えてしまうのは、異常だろう。 よほど経営者が無能だったか、不可抗力が重なったとしか思えない。 普通だったら、経営者が無能でも、周りに有能なブレーンが何人もいて、なおかつ主取引銀行が潰さないよう 様々な手を打つものだが __

三洋電機のつまづきは、2004年 中越地震により新潟三洋電子の半導体工場が被災、500億円 超の被害発生から始まっているようだ。 翌2005年3月決算は 1715億円 の当期赤字となる。
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2005年6月には外部からジャーナリストの野中 ともよを招聘、会長・最高経営責任者 (CEO) に就任する。 しかし 2006年2月に野中は CEO 兼務を解かれる。
2007年3月 3期連続の赤字決算の責任と会計問題を処理する過程で 野中が社外取締役を辞し会社を去る。
 2009年12月 パナソニックが三洋の全株式の 50.27% を取得、パナソニックグループに加わる。

 2010年10月 パナソニックが三洋の全株式の 80.98% を取得、翌11年 三洋は上場廃止となる (ウィキペディアから)。
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2005年4月の日経ビジネス記事『三洋電機の仰天人事、その真相は財務で分かる』では、”負債に頼る財務の裏返しである自己資本比率の低下が1987年頃から始まっている”。 かつ “単独売上高営業利益率は、2004年3月期までの10年間 0.14~1.77% にすぎない” として、利益率の低さも指摘している (なお “仰天人事” とは野中 ともよの会長・CEO 就任人事のことだ)。

私も “仰天人事” を聞いて、会社経営経験のないジャーナリストを大会社の経営者に?と疑問が湧いたものだ。 畠違いでも大企業経営の経験があれば、違う業種でもその経験を活かせるだろうが、ジャーナリストというのは読んで字のごとく タダの “新聞雑誌記者” なのだ。

下記記事では、このサプライズ人事が何のために行われたかを解説している。 それは __ 約20年間 三洋の最高実力者として君臨した井植 敏が執念を燃やしたのは長男・敏雅の社長就任で、 世襲の非難をかわすために思いついた人事だ。 この奇想天外な人事に、社内外の目は野中に注がれた。 これがあまりに強烈だったため、社長についた敏雅に対する世襲批判は消えた、というのだ。
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「三洋電機、同族経営の終焉」(ネット IB 2007年4月~5月)
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記事は、野中についても書いている __ 野中は、経営者として実績はゼロ。 各省庁のさまざまな審議会の委員をこなす一方、複数の上場企業の社外取締役や顧問を務め “ジジ殺し” の異名をとる。 野中も公私混同色が強いとの批判を浴びた。 公認会計士の資格をもつ夫が経営するコンサルタント会社と、数億円規模のコンサルタント契約を結んでいた。 インドへの出張に夫を同行させ、夫の旅費まで三洋に負担させていたことも発覚した。
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数年前 民主党政権でジャーナリスト出身の “ミスター年金” と呼ばれた議員が厚生労働大臣に1年就いたことがあったが、成果があっただろうか (私は期待はずれだったと評価していますが)? 彼は元日経ビジネス誌記者で、大きな組織を管理した経験はなかったのではないだろうか?
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また 記事は、井植 敏についても書いている __ 中国事業に、ことのほか思い入れが強かった敏は、中国家電大手の海爾集団 (ハイアール) との合弁事業を現場の猛反対を押し切ってまとめ上げたが、一度も黒字になることはなく、技術が中国側に流出しただけで終わった。 三洋凋落の最大の要因は、中国ビジネスにあった。

20年近くも社長・会長を続けると、普通 人事が停滞して淀 (よど) んできます。 部下はトップの顔色を窺 (うかが) うようになり、悪い情報を持ってこなくなるのです。 それに気づく経営者ならばいいのですが、多くの経営者は耳に心地よい情報を聞きたがり、辛口の耳に痛い情報を聞きたがらなくなるものです。 また 井植 敏が推進した幹部候補育成策も、彼の思いつきで終わったように記憶しています __ 尤も 10年も経たずにパナソニックに吸収されるのですから、幹部候補社員がその潜在力を発揮しようもなかったのでしょうが。
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「社長への階段~次世代リーダーの育て方~」(TV 東京『ガイアの夜明け』 2004年4月) から抜粋 __ 2003年4月 三洋電機に入社した7人の幹部候補社員。 採用面接で「経営者の資質あり」と抜擢された “エリート君” たちだ。 順調に行けば20代のうちに管理職になる。

 2003年秋 三洋電機社内の会議室に30代半ばから40代の社員ばかりが集められた。 彼らはこれまでの実績を評価され「トップ1000」と呼ばれる幹部候補に選ばれた人々である。 ここで行われるのは「経営者としての資質測定試験」。 結果は数値化され、経営者候補としての「通信簿」が渡される。 これまでの実績があっても「経営者資質」が認められなければ、出世はない。
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三洋電機は、創業者 井植 歳男が初代社長、その弟2人が2代目 3代目社長となり、歳男の子 敏が4代目、その子 敏雅 (歳男の孫) が8代目社長となったが2007年に辞任しています。 ありていにいえば、川柳にある様 (さま) そのものかも __ ”売り家と唐様 (からよう) で書く三代目” __ 初代が苦心して財産を残しても、3代目にもなると没落してついに家を売りに出すようになるが、その売り家札の筆跡は唐様でしゃれている。 遊芸にふけって、商いの道をないがしろにする人を皮肉ったもの。

かつての三洋電機社員はどんな思いで、”川柳の3代目に相当する三洋の人物” を見詰めているのでしょうか? 結局 三洋電機は、10万人の規模となっても「井植ファミリー商店」から抜けきれなかったのでしょう。

十数年前に井植 敏について 日経新聞が『私の履歴書』で登場させていますが、読み返す気が起きません。 当時は当然ながら、三洋電機の低迷・消滅の未来が予想できなかったのでしょうね。 ネット百科事典ウィキペディアには彼の項目がありません。 削除されたのかも __

“仰天人事” はともかく、三洋電機も長らくテレビ事業が看板の電機メーカーで、2000年以降のブラウン管 TV が LCD TV に移行する過程で、世界的な価格下落の影響を受け、赤字を垂れ流したことも大きいと想像します。 今 ソニーやシャープなども、その赤字に苦しんでいますが。

2009年、10年とパナソニックが三洋の株式を買い進めて、最終的に子会社化していますが、あれは本当に三洋の事業が欲しかったというよりは、当局から買収して三洋が倒産するのを救ってほしいと依頼されたのではないでしょうか? 三洋が倒産となれば、関西経済界への影響が大きく、関西経済界と当局が一緒になって救済をパナソニックに持ち込んだのだろうと推測しています。

日本の電機メーカーの不調を尻目に 韓国メーカーの躍進が目立ちますが、聞こえてくる韓国メーカーの内情は、効率重視・上司に絶対服従・長時間労働・38度線 (38歳までに幹部にならないと先がない) など、日本とはかなりかけ離れた企業文化で、日本ではありえないものばかりです。 効率を突き詰めていくと、どうしても非人間的になるものです。
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さて、関西の大手電機のもう1社 シャープは … こちらもここ数年 経営危機が続いています。 今度 仮にシャープが倒れるとなると、オオゴトで これも影響が出てきそうですが、もうパナソニックには引き受ける余裕がないでしょうね。
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「崖っぷちのシャープは生き残れるのか?  不振の液晶事業、奏功しない構造改革」(日経 BP ネット 3月5日)
「シャープ、主要取引行に支援要請 1500億円 軸に増資」(朝日新聞 3月6日)
 「経営危機再来のシャープ、危険水域へ突入 救うのか見捨てるのか? 銀行に迫られる決断」(Business Journal  3月12日)
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尤も 関東でもソニーは安泰ということでもないと思いますが __ ソニーは金融業やソフト関連はいいのでしょうが、エレキ事業 つまり電気製品群、中でも TV 事業が依然として赤字なのは、これまた改善していませんね。

多くの日本の電機メーカーが市場環境の変化に翻弄され、赤字体質から抜け出せないまま その存在感が年々薄れています。 日立/三菱/NEC の DRAM 事業を統合したエルピーダ社は倒産し、今は米マイクロン社の一部となりました。

日立/三菱/NEC の DRAM 以外の半導体事業を統合したルネサスは度重なるリストラの末、ようやく今期に黒字化しそうですが、赤字は10年続きました。 とりあえず 危機は脱したのでしょうか?

日本の自動車産業はまだまだ健在です。 これがズッコケるようになったら、日本経済は本当に “風前の灯” です。 トヨタ以下 車やさんには引き続き頑張ってもらわないと。

以上
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後日追加__「シャープ、3千人希望退職募集へ」(3月19日 共同通信) _ 経営再建中のシャープが、2015年度中に国内で3千人規模の希望退職を募集する方針を固めたことが19日分かった。 主力の液晶事業などの不調により、15年3月期連結決算で2千億円近い赤字が避けられず、大規模な人員削減を進める。 主要取引銀行への金融支援の要請額も、当初の 1500億円 から 2千億円 に積み増す考えだ。

削減は、国内グループ従業員約 2万4千人 の1割を超える人数。 経営危機に陥った12年に実施した希望退職と同程度の規模となる。 退職金などにかかる費用は約 300億円 とみられる。 ほかに、海外でも 2千人 程度の人員を削減する方向だ。

以上

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