相模大野の相模女子大学グリーンホールで開催されたオーケストラ・グランシャリオ第1回演奏会 (3月15日) に行ってきました。
このアマオケは HP によると、「北里大学交響楽団 OB・OG メンバーを中心に編成されたオーケストラです。 当団の名前の由来となったグランシャリオ (Grand Chariot) は “北斗七星” を意味します。 かつて共に音楽を作り上げた北里大学交響楽団の仲間たちともう一度演奏したく、その『道しるべ』となるようにとの思いからこのオーケストラを立ち上げました」とあります。
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第1回演奏会プログラムは、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第一幕の前奏曲/ワーグナー、「ハンガリー舞曲」より抜粋 (1,3,5,6,18番)/ブラームス、交響曲第7番イ長調/ベートーヴェン となっており、メインプロは勿論 ベートーヴェンだ。
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小田急相模大野駅から4分とあったが、初めて行くホールだったので少しまごついた。 伊勢丹相模大野店の裏手にあるので、伊勢丹の前でぐるっと回って行ったら裏道に出てしまい、駐車場事務所のような所で尋ねると、伊勢丹の店の中を真っ直ぐ突っ切ればよいとのことだった。
ホール入り口に入場者の列が出来ていたので並んで会場に入る。 1800席の6~7割が埋まっていた。 土日利用の午後料金は 98,000円 とホール HP にある (安いほうかも知れない)。 (先日のすみだトリフォニー大ホールの3分の1だから) 都内のはもっと高額だろう__私はいつも無料で聴かせてもらい 各アマオケの皆さんには感謝です。
団員はバスーン奏者が中年の他 20代から30代前半の人、若い女性が多い。 コンミス (女性コンサートマスター) も若い。 不思議なことにコンミスのステージ衣装が最も派手というか、露出度が高い服を着ている (といってもノースリーヴで胸の上が少し空いてる程度ですが)。 恐らく 女性団員はコンミス以上に目立つ服を着ないという暗黙の了解事項でもあるのかと推測した。 男女とも全員 黒服のステージ衣装か黒シャツで、これはどのオケも同様だ。
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さて1曲目は有名な前奏曲で、華々しく始まる。 大概 演奏会のしょっぱなの曲はオケの乗りがよくないことが多いのだが、このオーケストラはよく鳴っていた。 チューバ奏者は普通体格のいい男性だが、このオケでは若い女性で大丈夫かなと思ったが、しっかりと音が出ていた。
2曲目の「ハンガリー舞曲」抜粋はそれぞれが小曲で、曲間に拍手が入るが、指揮者が振り返って手を胸にあててお辞儀をするので、どうも全部終わってからにしてくれという仕草らしい。 最後の18番だけを除いて聞き易かったが、どうも「ハンガリー舞曲」はコンサートの付け足しに思え、別のプロの方がいいのではと思った__同じブラームスなら序曲とか、1曲目と同じワーグナー管弦楽曲とか。 更に盛り上がりを求めると協奏曲とか (これは予算がかかって無理?)。
休憩の後 メインプロの交響曲第7番が始まる。 出だしから感じたのは、”ベートーヴェンの交響曲はコンサートの華だ” というもの。 ベートーヴェンの交響曲があってこそ、コンサートが最も映えるのではないだろうか (しかし 右隣の中年のオッサンは、頭が前のめりに下がって下を向いたままで、どうやら第1楽章から “子守唄” らしい)。
アマオケ団長挨拶文にも、「2011年に開催された北里大学交響楽団定期演奏会で、ベートーヴェン交響曲第七番が演奏されました。 演奏会は大成功を収め、私たちにとって大変思い入れの深い演奏会となりました。 あの時の感動をもう一度再現したく、北里大学交響楽団の OB・OG を召集し今回の演奏会を企画しました」とあるから、このオケには記念すべき重要な曲らしい。
3・4楽章は続けて演奏する。 4楽章の後半では 聞き慣れた版とはすこし違う展開の版だったようだが、十分迫力があって楽しめた。 “低弦がうなる” ように活躍する4楽章で あまり低弦が聴こえてこなかったのは残念。 盛大に終わって直ぐにブラボーのかけ声が上がる。 何度も出るブラボーと盛大な拍手は、聴衆の多くが満足したことを表現している (サクラもいるのでしょうが)。 私も大きく拍手して演奏者を讃えました。
拍手している間 無表情の団員も多いが、この拍手を受けるために練習してきた甲斐 (かい) があったと演奏した喜びを味わっていることだろう。 良かったのはティンパニで、終わって指揮者から促されて立った何人かの奏者の中では最大の拍手を浴びていた (聴衆もよく分かっている)。
団員の打ち上げパーティでは何が話題に上がるのだろうか? 私は最近の生演奏ではティンパニの音が大きいと感じるので、昔のティンパニに比べて今のは改良されて大きな音が出易くなっているのではないかと推測するが、どうなのだろう。 一度 通の人に訊いてみたい。
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アンコールはJ. シュトラウスのポルカ『雷鳴と電光』(※追加1へ) だった。 これはカルロス・クライバー指揮の『こうもり』CD (第2幕終り直前に挟まれている) で親しんだ曲で、実演は初めて。 打楽器のシンバルと大太鼓が交互に活躍する箇所もいいが、特に大太鼓奏者 (これも若い女性) がドロドロと雷鳴をまねて続けて打ち鳴らす様が新鮮で、実演でないと この面白さは分からないだろうと思った。 収穫ものでしたね。
指揮者は踊るような指揮ぶりで、アンコールのポルカには向いていると思ったが、ベートーヴェンではあまり足を広げたり、戻したりなど 動かしたりせず下半身をできるだけ固定して上半身だけを活発に動かした方が、曲に合っているのではないかと個人的に思った__もちろん 指揮者の個性だから、どのように体を動かすかは自由で、本人も無意識に動いているのだろう。
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ということで 当初はあまり期待していませんでしたが、意外に期待以上で楽しめる演奏会でした。 帰りは帰る聴衆にそのままくっ付いて、伊勢丹の中を通って帰りました。 その店内通路の両側は、美味しそうな高級菓子を売っているフロアで、いかにも演奏会帰りの客が買いたくなるだろうと見越して並べているようにも思いましたね。
そういえば、ホールドアから伊勢丹店内に入るドア脇に7~8回レストラン案内の看板も置いてありましたから、演奏会のあとのお帰りの際 食事どきだったら、レストランもご利用下さいという商魂のたくましさも分かりました。 うまく配置されていますね。 次は1年後。
以上
※追加1_ 『雷鳴と稲妻』(Unter Donner und Blitz) 作品 324 は、ヨハン・シュトラウス2世が作曲したポルカ・シュネル。 タイトルは『雷鳴と電光』などの表記もある。
シュトラウス2世は多くのポルカを作曲しているが、この作品は最もポピュラーなものの1つであり、ニューイヤー・コンサートなどでしばしば演奏されている。 シュトラウスの代表的オペレッタ「こうもり」のバレエ音楽にさしかえて演奏・舞踊されることがある。 中でもオットー・シェンクの演出によるものは長年親しまれ、現在も3種類の上演 DVD (ひとつは映画形式) が発売されている。
打楽器群が活躍するこの作品は3部形式になっており、主部は遠雷を思わせる大太鼓のトレモロが響き、中間部のトリオでは稲妻と雷鳴がけたたましく交錯しながら主部に戻り、瞬く間に曲は終わる。 大太鼓で雷鳴を、シンバルで稲妻 (または電光) を思わせ、雷鳴と稲妻を巧みに模写している。
スリリングな興奮を高めるが、不気味とか恐ろしいといった感じは全く無く、むしろ明快でユーモラスに感じられる (ウィキペディアから)。
今日はここまでです。